「こんにちわッ、テディちゃでス!
すいぶんッ、すいぶんッ!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!塩分も!)
こんにちは、ネーさです。
外気温は軽く35℃越えの東京・多摩地域……
気持ちだけでも涼やかになりますようにと、
さあ、本日の読書タイムは、
《海》の場面がいっぱいの、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 恐るべき子ども ――
著者はリュック・ベッソンさん、
原著は2019年に、
画像の日本語版は2022年6月に発行されました。
原題は『Enfant terrlble: Autobiographie』、
『リュック・ベッソン《グラン・ブルー》までの物語』
と日本語副題が付されています。
ジャン・コクトーさん作『恐るべき子どもたち』は、
子どもたち、と複数形になっているのに対し、
こちらは、子ども、と単数形。
では、その“恐るべき子ども”とは
誰のことかというと……。
「それはァ、もッちろんッ!」
「ぐっるるがる!」(←訳:ベッソンさん!)
映画監督、脚本家、さらには映画のプロデューサーも務める
リュック・ベッソンさん。
代表作としては、
現在も大人気の『レオン』(1994)、
『ニキータ』(1990)や
『フィフス・エレメント』(1997)、
そして『グラン・ブルー』(1988)
が挙げられますが、
私ネーさのお気に入り作品は『サブウェイ』(1984)。
この御本では、
初めての長編監督作品『最後の戦い』(1983)が
幾つもの映画祭で賞を獲得し、
続く『サブウェイ』で観客のハートを掴み、
そして、
カンヌ映画祭オープニング作品となった
『グラン・ブルー』の
脚本執筆から製作、撮影に心身をすり減らしつつも、
ついに!……という、
さながら”映画のような”ベッソンさんの半生が
饒舌に語られています。
「ふううゥ~…たいへんでスねェ~…」
「がるるぐるっる……がる!」(←訳:映画の世界って……もう!)
デジタル編集? CG?
いえいえ、『グラン・ブルー』を制作していた当時は、
フィルムの時代でしたから、
ベッソンさん御自身が特殊なカメラを抱え、
海中でイルカの群に遭遇し、撮影るだけでなく、
フィルムを現像して
上手く撮れていなかったら撮り直し、
なんていう悲惨なことも
日常茶飯事だったのです。
そういった技術的な問題に、
莫大な予算や日程、複雑な権利関係が絡み、
プライベートでも危機が連続して、
プレッシャーは増すばかり。
けれども、《恐るべき子ども》は
前方に立ち塞がる困難を、壁を、
駄々っ子のようにブチ破り、壊し、踏み越えてゆきます。
《ぼくの子ども時代の夢だった映画》
を完成させるために。
「いるかのォ、ゆめッ?」
「ぐるる?」(←訳:海の夢?)
ベッソンさんのこの半生記の、
クライマックスとも呼べる華々しいシーンは、
『グラン・ブルー』が上映されるカンヌ映画祭で
レッドカーペットを歩いた瞬間でしょうか。
ハリウッドとつながりが出来て
大スターさんたちと親しくなった時でしょうか。
いいえ、おそらく、そうではなく。
御本の前半に、
それは描かれています。
孤独をかこつリュック少年が、
バカンス村の海で出会ったのは――
「……きたッ!」
「がるるる!」(←訳:イルカだ!)
第六章『イルカと青い世界の底へ』の、
リュック少年がイルカと邂逅する場面は、
痛々しいほど美しく、
私たち読み手の心を抉ります。
何ものにも代えがたい、代えようのない、
福音の記憶。
その一瞬。
ベッソンさんのファンの方々、
『グラン・ブルー』好きな方々は、
ぜひ!手に取ってみてくださいね。
読み終えたら、きっと、
『グラン・ブルー』を観たくなりますよ♫