テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ファイト!の鐘が鳴る ~

2023-02-28 22:02:20 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あれはァ~…うぐいすゥ!」

「がるる!ぐっるるるる!」(←訳:虎です!歌ってるねえ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今朝方、ホ~ホポポッ♪ピキュキュ♫と

 練習中らしき歌声を響かせていたのは、

 春の使者ウグイスくん!

 季節が変わってゆくのを実感させられる

 2月最後の読書タイムは、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

    ―― 闘え!ミス・パーフェクト ――

 

 

 著者は横関大(よこぜき・だい)さん、

 2022年12月に発行されました。

 『Fight!Miss Perfect』と英語題名が付されています。

 『ミス・パーフェクトが行く!』に続くシリーズ第二作ですよ。

 

「おおッ! おねえさんッ、さいとうじょうゥ!」

「ぐるるがぅるるーぐる!」(←訳:今回もファイターです!)

 

 真波莉子(まなみ・りこ)さん。

 

 頭脳明晰にして抜群の行動力、

 周囲からの期待も大の彼女は、

 厚生労働省のエリート官僚さん――

 

 だったのです、

 或るニュースが流れるまでは。

 

「みィ~んなァ、びッくりィ!」

「がる~!」(←訳:呆然~!)

 

 実は、彼女は総理大臣の隠し子……!

 

 という、

 ショッキングな報道が日本中に広まる頃には、

 莉子さん、厚労省に辞表を出して

 公務員の職をあっさり捨ててしまいました。

 

 そして、

 新たに始めたのは、

 フリーランスの《解決》屋さん。

 

「どんなァ、とらぶるゥでもォ~」

「ぐーるるがる!」(←訳:ドーンと来い!)

 

 第一作で莉子さんが《解決》したのは、

 政治家の炎上発言、

 某ファミレスの売上げ不振、

 航空会社客室乗務員さんのセカンドキャリア、

 病院経営の健全化、

 といった難問でした。

 

 この第二作でも、

 地域の過疎化、

 給食への異物混入、

 といった難問、いえ、複雑な社会問題が

 莉子さんの“闘う相手“となって

 リングに上がって来ます。

 

「ふァいッ!」

「がぅる!ぐっる!」(←訳:ジャブ!フック!)

 

 難問を、どう片付けるか。

 難敵を、どう退けるか。

 

 不正な手段は使わずに、

 ルール違反もせずに、

 莉子さんは真摯に取り組みます。

 

 その真摯っぷりには

 ユーモラスな側面もあって、

 どことな~く『水戸黄門漫遊記』的な空気も……?

 

 いえ、莉子さんは

 総理の隠し子という切り札――

 葵の印籠を振りかざしたりはしないんですけれど、

 読んでいる私たちに安心感をもたらしてくれます。

 

 彼女なら、きっと大丈夫!

 切り札があってもなくても、

 必ず難局を打破してくれる!と。

 

「いざッ、じんじょうにィ~しょうぶゥ!」

「ぐるるがる!」(←訳:燃やせ闘志!)

 

 ミステリと、

 パズルゲームの要素と、

 万事お任せ!の頼もしい

 《ミス・パーフェクト》シリーズ、

 これは近々映像化されるんじゃないかしら?

 と想像してしまいますが、

 ドラマや映画になってしまう前に、

 活字マニアの皆さま、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

 

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~ 剣よりも、糸を ~

2023-02-27 22:01:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いいぞォ、はんぞうゥさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるるるがるる!」(←訳:虎です!半蔵さんを主役に!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』での私たちの最推しは、

 山田孝之さん演ずる服部半蔵さん!

 半蔵さんと服部党をメインにした

 スピンオフ作品制作を熱望しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

   

 

 

       ―― 編み物ざむらい ――

 

 

 著者は横山起也(よこやま・たつや)さん、

 2022年12月に発行されました。

 はい、時代は家康さんの頃から幾星霜……

 お江戸に大きな町が作られて、

 徳川家による政権の機構もしっかり確立して。

 

 なのに、とあるお武家さんの屋敷から

 聞こえてきたのは。

 

「でていけェ~ッ!」

「ぐるがるる!」(←訳:この阿呆が!)

 

 ほどなく、とぼとぼ、という足取りで門を出、

 川べりに座り込んで溜息をついたのは、

 黒瀬感九郎(くろせ・かんくろう)さん。

 

 そう、出ていけ!とか、この阿呆が!とか、

 怒鳴られまくっていたのは、

 感九郎さん、だったのですね。

 

「でてけッてェ、つまりィ~…」

「がる!」(←訳:勘当!)

 

 きっかけは、些細な、いえ、大したことでした。

 

 江戸市中で人気の医師が

 不正を働いている――という話を耳にした感九郎さん、

 その旨を奉行所に訴えたのですが、

 事実無根、との裁定が下されたのです。

 

 そうなると、責められるのは感九郎さんの方で、

 勤め先の凸橋(とつばし)家を召し放ちになり、

 父からも勘当されてしまって……あーあ。

 

「どうしようゥ~…」

「ぐるがっるる~…」(←訳:お先真っ暗だ~…)

 

 しかし、古来より言われておりますね。

 

   《芸は身を助く》

 

 と。

 ええ、そうなんです、ずっしり落ち込んでいる感九郎さん、

 実は《芸》を、

 ちょっと特別なスキルをもっているんです。

 

 それが、編み物。

 

「あみものォ~…???」

「がるぐる?」(←訳:それ本気?)

 

 私ネーさも、御本の題名を読んだときは、

 これ何かの冗談なの?と思いました。

 お武家さんが、編み物?

 笑いのネタ? スラングなのかしら?

 

 ところが、冗談ではなかったので、もうビックリ。

 編み針を使って、

 ひぃふぅみぃ、と糸を手繰って

 生地を編み上げてゆく手仕事は、

 感九郎さんの得意技だったのでした。

 

 名門ではあるけれど、

 財政状態は火の車になっている家計の足しにと、

 せっせと内職をしている感九郎さんは

 本物の“編み手”です。

 

 そして、

 家を追い出され、

 しょんぼりしている現場でも

 編み針と糸を離さなかったことが、

 彼の身を助けてゆきます。

 

「そのォ、すきるゥ!」

「ぐるるるがるる?」(←訳:活かしてみない?)

 

 正体がよく分からない一団に誘われ、

 《仕組み》の一員となった感九郎さん。

 

 感九郎さんの編みスキルが、

 隠れた才能が、

 お江戸の未来をも助く……んでしょうか?

 

「ふしぎなァ、だいぼうけんッ?」

「がぅるるるっるぐる!」(←訳:ファンタジックだよ!)

 

 剣……ではなく、

 糸をもってものごとを動かし、織り成す、感九郎さん。

 

 この作品が小説デビューとなる著者・横山さんは、

 オンライン手芸サロンで活躍する

 正真正銘の編み物作家さんです。

 ニットのプロフェショナルが

 編んでは解いてゆく新機軸お江戸ファンタジー作品を、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

  

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~ ティーと一緒に、ゆるゆると。 ~

2023-02-26 21:36:25 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぐすんッ! かなしィでスよゥ~!」

「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!感謝とご冥福を!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 数々の映画や大河ドラマに出演した

 撮影馬・バンカーくんの訃報はショックでした……

 特徴ある鼻筋の模様を思い出しては、

 涙、涙で心はぺっこり凹んでおりますが、

 ここからはギアを入れ替え、さあ、読書タイムにいたしましょう。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

  ―― 食文化からイギリスを知るための55章 ――

 

 

 編著者は、(いしはら・こうさい)さん、

 市川仁(いちかわ・ひとし)さん、宇野毅(うの・たけし)さん、

 2023年1月に発行されました。

 

 英国と食文化、って、

 それはつまり――

 

「おいしくゥないィ?」

「ぐるるぅる?」(←訳:悩んじゃう?)

 

 そうですねえ、

 同じ欧州でもフランス料理やイタリア料理は、

 世界中から美味!旨い!と称賛されるのに、

 まあその……

 美味しさぶっちぎり!とは言い難いのが

 英国料理でしょうか。

 

 この御本では、料理を中心とする観点から

 英国の食文化が考察されていますけれども、

 冒頭の『はじめに』の時点で、

 かなりはっきり不穏というか、

 きな臭さが漂ってきましたよ。

 

 ウォルター・ローリー卿が持ち込んだという

 『じゃがいも』は結果的に多数のアイルランド人を餓死させた?

 

 サトウキビを育てる

 ジャマイカのプランテーションを維持するために、

 奴隷貿易が発展した?

 

 紅茶と砂糖は国家に莫大な富をもたらすも、

 社会の分断と国民の健康問題を引き起こした?

 

 そして、

 イギリス料理がいっこうに美味しくならないことが、

 ロンドンと英国各地に

 外食天国を作り上げた?

 

「いんでィあァ!」

「がぅるるーる!」(←訳:チャイニーズ!)

「ぎりしあァにィ、とるこォ!」

 

 一方、

 美味しくない!

 いや見どころはある!など、

 評価が割れている中でも

 大好評を得ているお料理もありますね。

 

 紅茶とスコーン、お菓子をメインとする

 『アフタヌーンティー』は、

 

「やぱりィ、おいしィ~ッ!」

「ぐるーるがるるるる!」(←訳:クリーム増し増しで!)

 

 さらに、忘れてはいけないのが、

 『エール』……

 日本で言う『ビール』や、

 『ミード(蜂蜜酒』『シードル(林檎酒)』でしょう。

 

 とどめは、

 御本の終盤を占める

 『文学に見る料理』の章です。

 

 シェイクスピアさんや、

 ジェイン・オースティンさんたち

 英国の作家さんの作品に出てくるお料理は……?

 

「いがいにィ~おいしそうゥ?」

「がるるぐるるがる!」(←訳:食べてみたいかも!)

 

 豚肉、小麦、紅茶、野菜を巡るエピソードと、

 コーヒーハウスの誕生。

 ホビットたちが頬張ったパイとチーズ。

 

 《食》の窓から

 英国の文学を眺め直す一冊は、

 アガサ・クリスティーさんのミステリや

 《ハリー・ポッター》シリーズ好きな方々に

 おすすめですよ。

 55の章はボリュームがありますので、

 お茶をいただきながら、

 の~んびり読み進んでいってくださいね~♪

 

 

 

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~ 会いに行こう、ギュスくんに! ~

2023-02-25 21:41:33 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうはァ、あらためてェごしょうかいィ~なのでスゥ!」

「がるる!ぐぅるが~る!」(←訳:虎です!ギュスく~ん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 は~い、2月最後の週末である本日は、

 読書をサボって展覧会情報をお送りしますよ。

 さあ、いま大人気&大評判の↓こちらの特別展へ、どうぞ~♪

  

 

 

    ―― ヒグチユウコ展 CIRCUS  FINAL END ――

 

 

 東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて、

 会期は2023年2月3日~4月10日(会期中無休)、

 2019年から全国を巡回してきた

 ヒグチユウコさんの大規模個展『CIRCUS』が

 東京に帰還!

 

「おかえりなさァ~いッ!」

「ぐるるるるがる!」(←訳:なつかしの再会!)

  

 開幕地となった世田谷文学館での『CIRCUS』の楽しさは、

 今もはっきり思い出せます。

 小さなお子さんって、

 美術展では退屈そうにしていたりするんですけど、

 『CIRCUS』の展示室では違っていました。

 みんな笑顔で、目をキラキラさせていて……!

 

「こんかいィもォ~」

「がるるるぐるる!」(←訳:そうだといいね!)

  

 この展覧会では、

 日本の各地を旅してきた作品約500点に加え、

 各巡回先で描き下ろされた作品、

 新作『終幕』も公開されます。

 

「これェかなッ?」

「ぐるがる!」(←訳:これだね!)

  

 ↑こちらの『終幕』(2022年)は、

 展覧会のポスターにもなっていて、

 都心部の駅や六本木ヒルズ周辺で

 ドーンと人目を惹きまくっていますね。

 

 ポスターほど大きくはありませんが、

 チラシ版の『終幕』も印刷が精緻で、

 惚れ惚れしてしまう仕上がりです♫

 

「いざッ、ゆめのォくにィへェ~」

「がるぐるる~!」(←訳:出発しよう~!)

 

 展示作品の素晴らしさは言うまでもないのですが、

 物販コーナーがものすっごい人気で大行列、

 ガチャガチャもカフェも行列、

 と噂に聞きました。

 『CIRCUS FINAL END』展へお出掛け予定の方々は、

 時間とココロと体力に充分な余裕をもって

 六本木ヒルズ森タワー52階を目指してくださいね~♪

 

 

 

   ではここで、美味しいオマケ画像も!

   

   『YBC』さんの

   《春色ピコラ さくら抹茶味》は、

   ピンク色が可愛らしいですね。

   「ほんのりィ~さくらッ!」

   「ぐるるるる!」(←訳:和テイスト!)

   おやつに、ピクニックに、

   そして、お花見にもおすすめですよ。

   サクラの開花予報を待ちながら、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

   

 

  

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~ 長い《歴史》の、表も、裏も。 ~

2023-02-24 22:03:06 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ももいろォ、きれいィ~でスゥ!」

「がるる!ぐるるるがるぐる?」(←訳:虎です!今週末が見頃かも?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 関東のあちこちで

 河津桜がピンクの花を咲かせていますね。

 そろそろサクラの開花予想も……?などと想像しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの新書作品を、どうぞ~♪

  

 

 

        ―― 日本史を暴く ――

 

 

 著者は磯田道史(いそだ・みちふみ)さん、

 2022年11月に発行されました。

 『戦国の怪物から幕末の闇まで』と副題が付されているこの御本、

 現在、歴史関連書籍のジャンルで

 ベストセラー第一位を激走中だそうです。

 

「わくわくわくッ!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:期待がMAXに!)

 

 著者・磯田さんは、

 『読売新聞』連載の

 《古今をちこち》(2017年9月~2022年9月分)を、

 

   第1章『戦国の怪物たち』

   第2章『江戸の殿さま・庶民・猫』

   第3章『幕末維新の光と闇』

   第4章『疫病と災害の歴史に学ぶ』

 

 と、4つの章に構成し、

 歴史の裏にも表にも光を当ててゆかんと試みています。

 

「ちゅうもくゥすべきィはァ~…」

「がる!」(←訳:ここ!)

 

 映画やドラマでは殆どレギュラー?な、

 信長さんや、秀吉さん、家康さん。

 日本の戦国史の“顔“といえる彼らは

 もちろん登場しますが、

 興味深いのは、

 本文78ページから84ページにかけての、

 

 『漫画で考える災害史、女性史』と

 『女性の力で出来た藩』

 

 という2編です。

 ここで論じられているのは、

 ええ、勘の良い御方は既にお分かりでしょう、

 五代将軍・徳川綱吉(つなよし)の時代と、

 よしながふみさん作の長編漫画『大奥』。

 

「どらまはァ、だいひょうばんッ!」

「ぐるがるるぐる!」(←訳:反響すごいよね!)

 

 漫画『大奥』を賞賛する磯田さんが掘り起こすのは、

 綱吉さんの治世下、

 わずかな期間だけ実現した

 ジェンダーレスな社会――

 

  女性が藩(家)の政治をリードしたっていい、

  鎧を着けて儀式に出たっていい、

  学問だって、

  うん、大いにやっていい。

 

「だよねッ!」

「がるるぐるる~!」(←訳:自由に行こう~!)

 

 ドラマ『大奥』は私ネーさも拝見していて、

 フィクションと史実は別のものだと解ってはいますが、

 “女性を見下さない“大奥が

 現実に存在したのかと思うと、

 綱吉さんという人物がますます好きになっちゃいました。

 

 女性を擁護するなんて、

 幕府内部からの風当たりは強く、

 苦労したに違いありませんけれど、

 どんな御方だったんだろうなあ、綱吉さんて……。

 

「ますますゥ~けんきゅうゥ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:進むといいね!)

 

 古文書をひもとき、

 資料にあたり、

 読み解いてゆく《歴史》の表と裏。

 

 災害史に興味をお持ちの方々にも

 おすすめの新書です。

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ ゆらゆら、お湯ものがたり ~

2023-02-23 22:01:52 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ほんじつゥ、こうかいィ~でスよゥ!」

「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!湯道温心~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 祝!映画『湯道』公開!

 作品の大ヒットを祈願しつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、

 こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― いいお湯でした ――

 

 

 原案は小山薫堂(こやま・くんどう)さん、

 作画は冬川智子(ふゆかわ・ともこ)さん、

 2023年1月に発行されました。

 映画『湯道』の企画・脚本家である小山さんが

 原案を担当した新刊コミックのテーマは……

 はい、こちらも《湯》ですよ。

 

 ただ、『湯道』とつながる作品ではあるものの、

 こちらのコミック作品は、映画とは別の物語です。

 

 主人公は、ひとりの若い女性――

 服飾メーカーに勤務する

 秋山いづみ さん。

 

 あら、失礼しました、ここは過去形で書かなくちゃ。

 以前は服飾メーカーに勤務していた

 秋山いづみ さん、ですね。

 

「あぱれるゥ、でスかッ?」

「ぐるがるる~」(←訳:激務だよね~)

 

 洋服が大好きで、

 服に係わるお仕事がしたくて、

 服飾メーカーに就職したいづみさん。

 けれど。

 

 そう、激務です。

 半年先や一年先を見据えて新作を準備する、

 なんていうことはザラで、

 毎日あまりに忙しすぎて、

 入社したてのいづみさんの心身にも

 疲労が溜まってゆく……。

 

 そして或る日、ふと気付けば、

 アパートの電気とガスが止められていて。

 

「わきゃッ! しまッたでス!」

「がるるるるぐるる~…!」(←訳:振り込むの忘れた~…!)

 

 アパートのお湯が使えないのなら、

 仕方ない、と、いづみさんは向かいます。

 ご近所の銭湯へ。

 

 戸惑いながらも入ってみれば、

 これが、思いがけぬ愉しさ!

 番台の女性からは、

 ゆっくり温まってね、と優しい言葉を掛けてもらって、

 久しぶりにしっかり身体を洗えて、

 お湯の中では手足を存分に伸ばせる。

 お風呂上りの、飲み物も美味しい……!

 

「はまッちゃいィましたでスねッ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:無理ないです!)

 

 この銭湯体験が、

 いづみさんを変えるきっかけとなりました。

 

 服飾の、洋服の世界から、

 《湯》の世界に

 針路を……

 

「むむッ! まさかッ?」

「がるるるぅ??」(←訳:ホントにぃ??)

 

 ネタバレ回避のため、

 これ以上のお喋りは許されませんが、

 いづみさんが自分自身の意思で見つけてゆく“未来“は

 沸かしたてのお湯のように熱く、

 新緑の風のように爽やかですよ。

 

 巻末には、

 作中に登場する銭湯さんを紹介するページもありますので、

 銭湯好きな方々も

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

「ぞくへんッ、ありまスかッ?」

「ぐるる~る!」(←訳:読みた~い!)

 

 いづみさんの物語の、その後は……?

 どうか続巻がありますように!

 

 

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~ たとえ《じゃないほう》だとしても ~

2023-02-22 21:55:27 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス! 

 にゃァ~にゃァ~にゃァ~♪」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!今日は猫の日~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 日本全国のニャンコたちよ、

 今日2月22日はおやつのおかわりOKだぞ!

 猫又になっちゃうほど長生きして健やかに!

 と、ニャンズにエールを送りながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪ 

  

 

 

    ―― 義経じゃないほうの源平合戦 ――

 

 

 著者は白蔵盈太(しろくら・えいた)さん、

 2022年12月に発行されました。

 題名の通り、物語の主人公は、

 頼朝さんの弟でありながら、

 “義経じゃない方“なんて言われてしまうこと度々の、

 源範頼(みなもとののりより)さん。

 

「かばどのォ~!」

「ぐるる!」(←訳:蒲冠者!)

 

 そうですね、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では

 『蒲殿(かばどの)』と呼ばれていた範頼さん、

 確かにちょっと、目立ちにくい存在ではありました。

 

 兄が、頼朝さん。

 弟が、義経さん。

 

 源氏の嫡流であり、

 東国に武家政権を打ち立てるようとする兄と、

 日本史上に名高い軍略家の弟に挟まれ、

 ただでさえ肩身が狭いのに、

 範頼さん、ハンデを背負っていたんです。

 

 お母さんの身分が、高くない――

 

 頼朝さんのお母さんは熱田神宮のお姫さまでしたし、

 義経さんのお母さんが京の都きっての美少女で

 中宮・九条院に仕えていたのに比べると、

 一段も二段も見劣りしてしまう……。

 

「きにしないでッ、かばどのッ!」

「がるぐるる!」(←訳:精進しよう!)

 

 そうは思っても、やっぱり、ねえ……。

 挙兵した頼朝さんのもとに駆けつけたのも、

 兄弟のうちでいちばん最後……

 その言い訳をしようにも

 厳しい顔付の兄を前に緊張して、

 いい言葉が出てこない……

 ああ、こんなところに来るんじゃなかった……

 

 と冷や汗をかきまくる範頼さんですが。

 

 才能がないワケではない、んです。

 

「れいせいィでス!」

「ぐるるる!」(←訳:考えます!)

 

 《政》の天才・頼朝さんと

 《軍》の天才・義経さんの間で、

 自分にはあんなスゴイこと思いつかないよなぁと

 引け目を覚えたり感心したりしながら、

 範頼さんは探ります。

 

 凡人な自分に出来ること。

 自分だからこそ出来得ること。

 

 細く険しいその道を辿る範頼さんは、

 “義経じゃないほう“の立場に敢えて甘んじ、

 平家との闘い――

 国の未来を、

 武士たちの将来を左右する

 一大合戦へ突き進み、

 いえ、巻き込まれてゆきます。

 

 はたして、

 蒲殿こと範頼さんの運命は……?

 

「じゃないほうゥ、でもォいいんでスゥ!」

「がるぐるる~!」(←訳:生き延びて~!)

 

 鎌倉を中心に、

 いままさに始まらんとしている、

 新たな時代。

 範頼さんの、

 源家の兄弟たちそれぞれの、生きる道は。

 

 『鎌倉殿の13人』ロスに陥っている方々に、

 昔から範頼さんのファンなんです!という歴史好きさんに、

 おすすめの一冊ですよ。

 私ネーさと同じく

 ドラマで蒲殿を演じた迫田孝也さんのファン諸氏も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

 

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~ 王子を待つ《冬》 ~

2023-02-21 22:08:36 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さいごまでェ、だいにんきィ~なのでスゥ!」

「がるる!ぐぅるるぅる~!」(←訳:虎です!シャンシャン~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 シャンシャンちゃんを乗せたトラックは

 大勢のファンさんが見守る中、空港へ……

 名残惜しいけれど、どうか元気でね、ありがとう、と

 私たちも感謝の気持ちを送りながら、

 さあ、ここからは読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

   ―― ジェラール・フィリップ 最後の冬 ――

 

 

 著者はジェローム・ガルサンさん、

 原著は2019年に、画像の日本語版は2022年11月に発行されました。

 仏語原題は『LE DERNIER HIVER DU CID』、

 フランスの名優ジェラール・フィリップさんの

 “最後の日々”を追ったノンフィクション作品です。

 

「とにかくゥ、かッこいいィのでス!」

「ぐるがるぅ!」(←訳:美男だよう!)

 

 1950年代のフランスで

 最大の支持を獲得した俳優さん、といえば、

 ジェラール・フィリップさんでした。

 21世紀となった現在でも、

 ジェラールさんのお姿は

 『パルムの僧院』『赤と黒』『花咲ける騎士道』など

 映画作品で偲ぶことが出来ます。

 

 私ネーさがジェラールさんを知ったのは、

 ジェラールさんが画家モディリアーニさんを演じた

 『モンパルナスの灯』という作品がきっかけでしたが、

 もう本当にノックアウトされてしまいましたよ。

 

「あんまりィにてないィのにィ~!」

「がるるぐるがるる!」(←訳:本人と錯覚しそう!)

 

 その実力を疑うまでもない、

 超一流の役者・ジェラールさん。

 

 しかし、キャリアの絶頂期で彼を待っていたのは、

 急な病でした。

 

 この御本では、

 ジェラールさんが身体の不調を自覚して以降の出来事が

 ほぼ時系列に沿って記されています。

 それがまた、どうにも切なくて……

 

「はやくゥ、びょういんへッ!」

「ぐるる!がるる!」(←訳:検査を!手術を!)

 

 ええ、本文が始まるやいなや、

 私たち読み手はそう思い、はらはらさせられます。

 ただ……フランスは日本とは医療システムが異なるのか、

 時代性や技術の問題なのか、

 或いはジェラールさん御自身が検査を忌避したのか、

 結果から言えば……

 間に合いませんでした。

 

 いえ、急いで検査や治療をしたとしても、

 おそらく間に合わなかった……

 ジェラールさんを襲ったのはそういう病気だったようです。

 

「ただァもうゥ~…」

「がるる……」(←訳:ため息……)

 

 未来は無い?

 いいや、未来はきっとある。

 

 病気が進行する中でも、ジェラールさんはそう信じていました。

 でなければどうして、

 映画『モンテクリスト伯』出演を

 約束したりするでしょう?

 ローレンス・オリヴィエさん主演『ハムレット』の舞台を

 観るために英国へ旅したり、

 『ハムレット』仏訳版脚本を持ち歩いたりするでしょう?

 

「すごいィ~きゃくほんッ!」

「ぐるるるるるる!」(←訳:信じられないよ!)

 

 『ハムレット』仏訳版の脚本は、4種類。

 アンドレ・ジッドさん、マルセル・シュウォップさん、

 マルセル・パニョルさん、

 ピエール・レリスさんがそれぞれ仏訳した脚本って……

 私ネーさ、豪華さに目眩がしました。

 

 あのパニョルさんが翻訳した『ハムレット』!

 もしそれをジェラールさんが演るとしたら!

 観たい! なんとしても観たい~!!

 

「えんげきかいのォ、きせきィ?」

「がるる!」(←訳:至宝だ!)

 

 ジェラールさんが夢見た未来。

 実現しなかった未来。

 ジェラールさんのエドモン・ダンテスも、

 王子ハムレットも、

 叶えられることないまま、去ってしまいました。

 

 けれども、

 すべてが消えてしまったわけではありません。

 舞台俳優として、

 世界を魅了した映画俳優として、

 ジェラールさんの名は残ります。

 願わくば、永遠に。

 

 ジェラール・フィリップさん(1922~1959)。

 彼が過ごした《最後の冬》の記録を、

 皆さま、ぜひ。

  

 

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~ 近代日本文学の基本は……怪談? ~

2023-02-20 22:07:32 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まつもとォせんせェいィ~ッ!」

「がるる!ぐるがるるぐる……」(←訳:虎です!ああ出発のベルが……)

 

 こんにちは、ネーさです。

 松本零士さんが旅立たれたというニュースに、涙……涙……

 今頃は銀河鉄道の座席で

 メーテルさんと朗らかに語り合っておられることを祈りしつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  

 

 

         ―― 文豪と怪奇 ――

 

 

 著者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、

 2022年11月に発行されました。

 雑誌『幽と怪』に連載された

 《文豪たちの幽と怪》を書籍化した評論エッセイ集……

 いえ、オバケ好き文豪さんへのラブコールと申しましょうか。

 

「みィ~んなァ、だいすきィ!」

「ぐるがるる!」(←訳:怖いお話が!)

 

 この御本に登場する文豪さんは、

 

   泉鏡花さん、

   芥川龍之介さん、

   夏目漱石さん、

   小泉八雲さん、

   小川未明さん、

   岡本綺堂さん、

   佐藤春夫さん、

   林芙美子さん、

   太宰治さん、

   澁澤龍彦さん、

 

 という、 近代・現代の日本文学に多大な影響を与えた

 まさに文豪と呼ぶべき方々なのですが、

 著者・東さんは作家さんたちの《怖い話嗜好》とともに

 意外な事実やつながりをも明らかにしてくれます。

 

 芥川龍之介さんは、大の泉鏡花さんファン!

 定期試験中でも、

 鏡花さんの新作が出たとあれば、

 手に入れる!

 徹夜で読んじゃう!

 ……試験の結果は散々なものだってけれど。

 

 鏡花さんが『遠野物語』という書物を誉めている、

 と聞き知ったなら、

 発行部数がたった350部!な自費出版だろうと、

 なんとかして手に入れる&読む!

 

「じょうねつゥてきィ!」

「がるるるぐるる!」(←訳:ほとんど推し活!)

 

 芥川さんの弟子筋というべき

 夏目漱石さんも、同好の士、ですねえ。

 

 英国留学中に神経衰弱に陥った漱石さん、

 帰国後、東京帝国大学の雑誌

 『帝国文学』(1904年1月号)に発表したのは、

 『マクベスの幽霊に就(つい)て』。

 

「ふわわァ~…またもォ、ゆうれいィ!」

「ぐるるがるるぐる!」(←訳:みんなオバケ好き!)

 

 東京帝国大学で英文学の教師となった

 ギリシア生まれのアイルランド人

 ラフカディオ・ハーンさんこと

 小泉八雲さんは、なんと、

 少年時代に幽霊……いえ、生霊を目撃しています。

 

 そして、

 八雲さんを“ハーン先生“と呼んで慕ったのが、

 童話作家として知られている

 小川未明さん。

 

 その未明さん、実は……

 怪談作家である!と、

 東さんは喝破しています。

 

 そう! そうよね!

 『赤い蝋燭と人魚』って、

 童話というより怪談よね!

 

「むむむゥ~むッ!」

「がるるっる~!」(←訳:つながった~!)

 

 あの作家さんとこの作家さんをつなぐ、

 《怪奇》という糸。

 

 次代へ、未来へ、と手渡されてゆく

 糸の文様。

 

 本文の最後に取り上げられている

 澁澤龍彦さんと著者・東さんの出会いまでをつなぐ

 近現代日本文学の《怖いモノ志向》秘話は、

 怪談好き&文学史好きな方々に

 ぜひのおすすめですよ。

 

 北村紗希さんによる文豪さんたちを描いた挿絵も

 本当に素晴らしいので、

 どうか、お見逃しなく~!

 

 

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~ ぽかぽかと、湯の道を往く ~

2023-02-19 22:11:11 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 うゥ? うすいィ~??」

「がるる!ぐるがる~!」(←訳:虎です!雨水だよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日2月19日からは、二十四節気の《雨水(うすい)》。

 降る雪が雨に変わり雪解けが始まる時節、

 そして……銭湯通いが楽しくなる季節?

 ということで、

 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― 町田忍の 銭湯パラダイス ――

 

 

 著者は町田忍(まちだ・しのぶ)さん、

 2021年11月に発行されました。

 銭湯研究の第一人者にして

 日本銭湯文化協会理事の町田さんによる

 《銭湯ガイド》ですよ。

 

「もうすぐゥ~こうかいィ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:銭湯の映画が!)

 

 映画『おくりびと』脚本、

 『料理の鉄人』他TV番組の放送作家として知られる

 小山薫堂(こやま・くんどう)さん企画&脚本の映画

 『湯道』がもうすぐ公開!

 とあって、

 SNSやTVCMで銭湯の映像がた~くさん流れていますね。

 

 CMの映像は、

 もちろん映画のために作られたセットなのですが、

 では、現代の日本に実在する

 本物の銭湯の姿は……?

 

「えんとつゥ~…?」

「がる……?」(←訳:番台……?)

「ふじさんッ!」

 

 銭湯には高い煙突があって、というのは、

 いまや超少数派、でしょうか。

 近年は都市部を中心にガス化が進み、

 かつては町のランドマークにもなっていた煙突も

 多くが消えつつあります。

 

 けれど、健在なのは、

 銭湯の名が染め抜かれた暖簾!

 タイル敷きの洗い場!

 大きなペンキ絵!

 ケロリンの湯桶!

 

「けろりんッ!」

「ぐるるがるる~!」(←訳:黄色が可愛い~!)

 

 魅惑のケロリン桶はともかくも、

 これは銭湯ならではだなぁ~と思うのは、

 天井の高さ。

 その広い空間に差し込む光に、

 しゃっきりと、

 或いはぼんやりと浮かび上がるペンキ絵は、

 定番の富士山か、

 地域の名勝か……

 

「むむッ、これはァ~めずらしィ??」

「がるるぐるる???」(←訳:お城や浮世絵??)

 

 本文126~129ページには、

 『銭湯の代名詞的存在“ペンキ絵“誕生物語』と

 『ペンキ絵ギャラリー』

 『タイル絵ギャラリー』

 があって、

 ペンキ絵好きさんを唸らせてくれます。

 

 完全に手描き!っていうのは、良いですねえ。

 

「おゆにィ、つかッてェ~」

「ぐるるるがっるる~」(←訳:見上げてゆったり~)

 

 『威風堂々たる“宮造り銭湯“』

 『今、訪れるべき 東京銭湯12』

 『地方のゲキシブ銭湯10』

 『今も現役!江戸時代創業銭湯』など、

 レトロから最新まで

 佳き銭湯の良さを追い求める

 楽しい銭湯ガイドを、

 お風呂好きさんは、ぜひ、覗いてみてくださいね、

 

 映画『湯道』が大ヒットして、

 全国の銭湯に大勢のお客さんが詰めかけますように、

 と祈りつつ……。

 

 

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