テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 画狂人さんの《漫画郷》 ~

2016-08-31 22:10:10 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァうゥ~…なつやすみィがァ~…」
「がるる!ぐるるるるる~…」(←訳:虎です!終わりますね~…!)

 こんにちは、ネーさです。
 台風の被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げつつ、
 一日も早い復興を願っております。
 先週は私たちも河川が氾濫寸前となって
 地獄のような時間を過ごしましたから
 とても他人事とは思えません。
 8月も終わることだし、
 もう今年は台風なんて来なくてけっこう!ですから、
 本日は、厄祓いならぬ台風祓いに効きそうな
 こちらの御方の展覧会情報を、どうぞ~! 
 
  



            ―― 北斎漫画展 ――



 神奈川県茅ケ崎市の茅ケ崎市美術館にて、
 会期は2016年9月11日~11月6日
 (月曜休館、ただし9/19、10/10の祝日は開館し、
 9/20、9/21、9/23、10/11、10/12、11/4は休館)、
 『HOKUSAI-MANGA Sketches from everyday life to supernatural』
 と英語題名が、
 『――画は伝神の具也――』と日本語副題が付されています。

「ほくさいィおじさァ~んッ!」
「ぐるるがるるるる!」(←訳:日本のマエストロ!)

  

 世界にその名を知られる浮世絵師、
 葛飾北斎さん(1760~1849)。

 湘南の名所、
 サザンビーチにも程近いこの美術館で開催されるのは、
 “画狂人”北斎さんの
 《北斎漫画》を主題とする展覧会です。

「かきこみィましたでスゥ!」
「がっるるる!」(←訳:ギッシリと!)

 《北斎漫画》――

 その内容は、実にシンプルです。
 筆一本に、墨一壺、白い紙。
 高価な岩絵の具など要りません。

 画題は、人間、動物、オバケや妖怪、
 伝説のモンスターから神さままで、
 何でもござれ。

 けれど、裏を返せば、
 白黒の、何でもアリの、そのシンプルさが怖ろしいんです……

 描き手の画力が、技力が、
 一目瞭然なんですから。

「そこはァ、しんぱいィむようゥでスゥ!」
「ぐるがるるるぐるる!」(←訳:北斎おじさんだもの!)
「はてしなくゥ、じょうずゥ、なのでスよゥ!」

 はい、その通り。
 《北斎漫画》は発表されるや大好評を博し、
 次々と版を重ね、
 続巻も刊行されたのです。
 
 私ネーさ、以前に別の展覧会で
 《北斎漫画》を拝見したことがあるんですけど、
 いやー、スゴかったわ!
 スゴすぎてね、ただもうポカーンとするか、
 笑うしかないっていうか、
 魂消るっていうのは、ああいうことですねえ。
 19世紀ヨーロッパの、
 印象派の画家さんたちが愕然としたのもごもっとも、
 だと思いました。

「つきぬけェちゃッてまス!」
「ぐるるる!」(←訳:画仙人だ!)
 
  

 この展覧会では、
 山種美術館が収蔵する
 浦上満さんの《北斎漫画》コレクション作品を中心に、
 ジャポニズムの影響を受けたヨーロッパのガラス工芸品も
 併せて展示されます。
 
 また、会期中には、
 落語の独演会、
 コレクター浦上満さんによる講演会、
 ワークショップなども予定されていますので、
 詳細を美術館HPで確認の上、
 お出掛けくださいね~!

「ひゃくぶんはァ、いッけんにィしかズゥ、なのでス!」
「がるぐるるがるるる!」(←訳:ぜひ本物を御覧あれ!)
 

    
   では、ここで8月を〆るオマケ画像を……ごろにゃん!と。
   
   『アフタヌーンティー』さんの店頭で出会ったのは、
   
   ↑紅茶のセットや、
   
   ↑タンブラーや、
   
   ↑大きめマグカップや、
   
   ↑中サイズのカップや、
    
   ↑チビぬいぐるみもミュートな
   たくさんの猫グッズ~!!
   マグカップやタンブラーにはそれぞれ
   小さな鈴が付いていて、
   それもまた可愛いんです。
   「ごろろんッ♪」
   「ぐぅるる!」(←訳:にゃおん!)
   ニャンコ好きさんな御方、
   お店へGO!してみてくださいね。
     

   
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ひたいの、しるし。

2016-08-30 22:09:14 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とうほくォもォ、ほッかいどうゥもォ~!」
「がるる!ぐるるがるるー!」(←訳:虎です!無事でいてねー!)

 こんにちは、ネーさです。
 台風10号による被害が軽微でありますように……!
 こんな場合ですからね、
 いやもう、後回しにしてもいいんですよ、読書タイムは。
 大雨大風が止んだ後でも充分です。
 台風が去って、お天気が落ち着いて、
 気持ちも落ち着いたなら、
 そのときは、さあ、リラックスして
 こちらの御本を、どうぞ~!

  



            ―― かたづの! ――



 著者は中島京子(なかじま・きょうこ)さん、2014年8月に発行されました。
 第28回柴田錬三郎賞受賞、
 第4回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞、
 第3回河合隼雄物語賞受賞、と
 錚々たる肩書を有するこの御本の主人公は……

 人間じゃない?

「しゅじんこうはァ、たぶんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:ツノだね!)

 主人公が、人間ではなくて、
 ツノである、とは、どんなナゾナゾでしょうか。

 いえいえ、実は、謎かけではないんです。

 主人公というべき存在は、
 一頭の羚羊(かもしか)さん、なのでした。

 しかも、この羚羊さん、
 或る特徴があって、見分け易いんです。

 角(つの)が、一本しかない――

「だからァ、かたづのッ?」
「ぐるがるるる!」(←訳:角が片方だけ!)

 片角(かたづの)、あるいは、一本角(いっぽんづの)。

 羚羊さんがそんな呼び方をされるようになったのは、
 珍しいからと捕らえられることもなかったのは、
 ひとりの少女の言葉がきっかけでした。

  《この羚羊はきっと法華経の守護神、
   龍の姿を持つ七面天女の仮の姿に違いない》

「つまりィ、かみさまッ?」
「がるるるぐるる?」(←訳:神さまの御使い?)

 時代は、慶長5年――西暦にして1600年。
 関ケ原で天下分け目の決戦が行われようとしているときです。

 神仏の御加護を祈りこそすれ、
 縁起の悪いことは出来るだけ避けたいと思うなら、
 仏さまの仮の姿か、神の御使いか、
 と見えなくもない一本角の羚羊を
 敢えて殺めようとする者は
 一人としていなくなりました。

 こうして、一本角の羚羊さんは
 はからずも羚羊を救った少女――祢々(ねね)を訪ね、
 しばしば彼女の住む城を訪ねることとなりました、が。

「おしろォ、でスかッ?」
「ぐぅるがるるぐるるる?」(←訳:じゃあ彼女はお姫さま?)

 八戸南部氏20代当主・直政の妻・祢々さま。

 祢々さまが数奇な運命を辿るがゆえに、
 一本角の羚羊さんもまた、
 彼女とともに転変の生を送ります。

 あるときは、羚羊として。
 あるときは、ツノとして。
 またあるときは、ツノ以上の何かとして。

「なにしろォ、にんげんじゃァありませんからッ!」
「がるるぐるるがるるるる!」(←訳:人間の掟には縛られない!)

 遠い西洋の一角獣の神話を、
 万城目学さんの『鹿男あをによし』を想わせる
 ファンタジックな物語は、
 それとも、一種の異類婚譚でしょうか。

 羚羊とヒトの、
 ヒトとヒトならぬものの、
 いつかは神話になるかもしれないものがたり……

「いまごろォ、かたづのォさんはァ、どこにィ?」
「ぐるがるぅ?」(←訳:元気かなぁ?)
 
 夏の名残の読書タイムに、
 皆さま、ぜひ!
 
 
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栄光の、表も裏も。

2016-08-29 22:08:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 もッとォ、ひがしにィ~!」
「がるる!ぐっるがるる!」(←訳:虎です!もっと遠くに!)

 こんにちは、ネーさです。
 こっち来るな~!という私たちの“念”が通じたのか、
 やや進路が東に逸れた台風10号……
 いやいや、もっとだ、もっと東へ行っちゃえ!と
 あらためて念じながら、
 さあ、今日もも読書タイムです。
 本日は、こちらの小説作品を、どうぞ~♪
 
  



           ―― スティグマータ ――



 著者は近藤史恵(こんどう・ふみえ)さん、2016年6月に発行されました。
 『サクリファイス』『エデン』『サヴァイブ』に続く
 ロードレーサー白石誓(しらいし・ちかう)さんを主人公にした
 シリーズの最新刊ですよ。

「これはァ、つーるゥでスねッ!」
「ぐーる・る・がるるる!」(←訳:ツール・ド・フランス!)

 自転車競技の、ことにロードレースのファンである方々には、
 御本の表紙写真からも、よ~くお分かりですよね、
 毎年7月にフランスで開催される
 ツール・ド・フランス!

 グラン・ツールと呼ばれる3大レース、
 イタリアで行われる『ジロ・ディ・イタリア』、
 フランスで行われる『ツール・ド・フランス』、
 ちょうどいま
 スペインで行われている『ブエルタ・ア・エスパーニャ』のうち、
 最も華やかで、
 最も注目され、
 最も人気が高いのが、
 他でもなく、この『ツール・ド・フランス』なのですが……

 『ツール・ド・フランス』には
 暗い歴史があります。

「すきゃんだるゥ、でしたでス!」
「がるぐるるるるる~…!」(←訳:目を覆いたくなる~…!)

 リオ・オリンピックでも問題になった
 ドーピング行為。

 かつて、ツールではドーピングが蔓延していました。

 いえ、すべての選手がドーピングに手を染めた訳ではありませんが、
 一部の選手の許し難い違法行為により、
 ツールの評判は地に堕ちたのです……
 
 そして、違法行為が発覚して後は
 多くのタイトルが剥奪され、
 記録も抹消されました。
 現在、グラン・ツールでは
 非常に厳しいドーピング検査が実施されています。
 
「くりーんにィ、たたかおうゥ!」
「ぐるがる!」(←訳:薬物追放!)

 主人公・白石誓さんが挑んでいるのは
 そんな背景を持っているスポーツです。

 暗い歴史はあっても、
 依然として人気は絶大な『ツール・ド・フランス』。

 ロードレーサーならば、
 そこに出場するのが夢、
 そこでステージ優勝するのが夢、
 それに、もしも、総合優勝できるなら――

「ゆめのォ、またゆめッ!」
「がるぐるるぅ!」(←訳:憧れだよねぇ!)

 夢を叶えるためには、人はなんでもする、のでしょうか。
 ためらうことなく、
 違法な薬物に手を出す、のでしょうか。

 フランス南部、
 バスク地方のプロチームに所属する白石さん、
 今年、『ジロ』には出場できなかったけれど、
 『ツール』の出場選手に選ばれました!

 チームのエース、ニコラ選手のアシストとして
 ニコラさんを優勝させるため、
 それに来年度の契約が欲しい自分のためにも
 気を引き締めてレースに向かう白石さんに
 降りかかるのは。

「とらぶるのォ、よかんッ!」
「ぐるがるっ!」(←訳:事件かもっ!)
 
 御本の題名『stigmata』とは
 ラテン語で『聖痕』を意味する言葉です。

 世界一過酷なレースのどこに
 『聖痕』が刻まれているのか、
 誰が『聖痕』を背負っているのか、
 ツール好きさんも
 スポーツ好きさんも、
 いざ、楽しく一読を!


 
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火花よりも、烈く。

2016-08-28 22:12:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しょうりィしたけどォ、しんみりィ~…」
「がるる!ぐるがるるる……!」(←訳:虎です!黙祷しました……!)

 こんにちは、ネーさです。
 開幕2連勝となった我がユヴェントスですが、
 地震の被害を受けた方々を悼み、
 喪章をつけての試合となりました。
 私たちもイタリアへ祈りと、ガンバレ~!の思いを飛ばしつつ、
 さあ、ここからは切り替えて、
 読書タイムで元気を復活させましょう。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!
 
  


 
         ―― ベスト・エッセイ 2016 ――



 編集委員は、角田光代さん、林真理子さん、藤沢周さん、
 町田康さん、三浦しをんさん、2016年6月に発行されました。
 『 THE BEST ESSAY 2016 』と副題が付されています。

 えー、いつもでしたら、
 ここで著者さんのお名前を記すところなんですけれど、
 今回ばかりは、ちょっとムリです。
 
 この御本に収録されているのは、
 “2015年に新聞などに発表された数多くのエッセイ作品の中から
  読み応えのある77編を厳選しました”
 とのことで、つまり、
 77編の作品の、77人の著者さんの名を書いていたら……

「うでがァ、つッちゃうゥでス!」
「ぐるがるるぅる!」(←訳:夜が明けちゃう!)

 という次第で、御勘弁いただくとして、
 ええ、逆の見方をするなら、、
 77人もの作家さんです。

 77人もいれば、
 きっとその中には、
 大好きな作家さん、
 ずっと読み続けている作家さん、
 この御方の作品なら間違いはないわ!な作家さんがいるはず、
 とも申せましょう。

「どれもォ、けッさくゥ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:どれもおすすめ!)

 宮尾登美子さんへのリスペクトがひしひしと伝わる、
 林真理子さんの『華やかな孤高の人』。

 あるよね、これ!と共感を誘われる、
 三浦しをんさんの『ロボコップ彷徨』。

 くすくす笑いが止まらなくなる、
 三谷幸喜さんの『《よっこいしょ、ふう》厳禁』。

 短編映画にしたくなるような、
 よしもとばななさんの『幸せを創る』。

 愛らしくも輝かしい
 マイケル・エメリックさんの『保育園、送り迎え』。

 本当に、おすすめの作品ばかりなのです、が。

 これは!
 という作品をひとつ挙げるとしたら……?

「うゥ~んッ? どれがァ、いいかなァ~??」
「ぐるるがるる~?」(←訳:どれにしよう~?)

 私ネーさが選ぶのは――

 又吉直樹さんの
 『芥川龍之介への手紙』。

 御本の冒頭、
 いちばん初めに収録されているこの作品には、
 又吉さんの著作『火花』に続く
 “創作”への想いが綴られています。

 題名の通り、
 文豪・芥川さんに宛てた手紙、
 お師匠さんに書き送るお便りのような文章は、
 軽やかであり、
 てらいなく素直で、
 しかし、ダイヤモンドのように
 きらめく光を放射しています。

 いえ、ダイヤモンドじゃないわね、
 夜空を横切るハレー彗星か、
 百万の星雲ように朗々たるまぶしさ!

「きらきらァ、してまスゥ!」
「がるるるー!」(←訳:きれいだー!)

 又吉さんのこの作品を、ぜひ!
 そして、アタマを冷やすひとときを置いたら、
 次の作品、次のページへ!
 
 激おすすめのエッセイ集、
 全活字マニアの皆さまに激おすすめですよ♪
 ぜひ、一読を~!
 
 
 
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変幻自在な、超絶《明治工藝》!

2016-08-27 22:07:06 | ミュゼ
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 わううゥ! こッちにィきちゃだめェ~ッ!」
「がるる!がっるぐる~!」(←訳:虎です!あっち行け~!)

 こんにちは、ネーさです。
 天気図上の台風10号予想進路を見るたびに、
 私ネーさも全力で念じていますよ。
 日本に来るんじゃない~っ!!
 ホントにもう台風なんてコリゴリな週末は、
 読書をひと休みして
 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~!
 
  



          ―― 驚きの明治工藝 ――



 東京都台東区の東京藝術大学大学美術館にて、
 会期は2016年9月7日~10月30日(月曜と10/11は休館、9/19と10/10は開館)、
 『Meiji Kogei:Amazing Japanese Art』と英語題名が、
 『すごい!びっくり!かわいい!』と日本語副題?が付されています。

「ふァいッ! ひそかなァぶーむゥ、なのでス!」
「ぐるるが~る!」(←訳:人気が高~い!)

  

 そうねえ、ここ5~6年くらいかしら、
 細密・精密な技巧を凝らした明治時代の工藝美術が
 あらためて脚光を浴び、
 展覧会が開催されたり、
 関連書籍も刊行されていますよね。

「めにすればァ、びッくりィ~ぎょうてんッ!」
「ぐるがる!」(←訳:超絶ワザ!)

 長い年月を経て、
 ようやく再評価が始まりつつある《明治工藝》――
 
  

 この展覧会では、
 台湾の《宋培安コレクション》から
 100点以上の名品が出展されます。
 
 たとえば、
 鉄や銀で作られた写実的な『自在置物』は、
 龍の首や胴体部分が、
 伊勢海老の甲や脚が、
 蛇はアタマからシッポの先までが、
 ぐにゅん、と動く!うねる!

「ひゃあァ! すごいィ!」
「がるぐるる!」(←訳:面白楽しい!)

 かと思えば、
 可愛~い根付けたち、
 七宝の花瓶や、
 金工、漆工、彫刻など
 虫メガネを手に鑑賞したくなる作品も
 登場いたしますよ。

「めいじのォ、にほんはァ~♪」
「ぐっるるがーる!」(←訳:けっこうクール!)

 なお、展覧会場内では、
 写真撮影が可能となっています
 (一部撮影できない作品もあります)。

 工芸マニアさん、
 ミニチュアコレクターさんは
 ぜひカメラを手に、
 上野の東京藝大大学美術館へお出掛けを!
 

 
 
    ではここらで、季節のオマケ画像も、はい、どうぞ~♪ 
   
    いただきものの、↑こちらのお菓子は……
   
    『陸乃宝珠』と申しまして……
   
    大粒のマスカットをもち粉でコーティング!
   「わぴゃッ!あまいィ~!」
   「がるるぐるるっる!」(←訳:本物のマスカット!)
    いまの季節にしか食べられない貴重なお菓子、
    熱い緑茶か、
    抹茶入り玄米茶が似合いそうです。
    いや、ハーブティーもいいかもしれませんね♪


    東日本も西日本も、
    台風が近付くにつれ荒れ模様のお天気です。
    どうか皆さま、しっかり防御態勢を整えて
    穏やかな休日を!

    
    
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探偵先生も、猫が好き?

2016-08-26 22:00:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァ~…なつやすみィ!」
「がるる!ぐるっるぅる~!」(←訳:虎です!終わっちゃう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 依然として状況深刻なイタリアの地震被害に嘆息しつつ、
 ハッと気付けば、うわぁ!
 八月最後の週末じゃありませんか。
 宿題やら新学期の準備やらでバタつくこの時期、
 せめて読書タイムは元気にゆきましょう。
 本日は、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



        ―― 化学探偵MR.キュリー 4 ――



 著者は喜多喜久(きた・よしひさ)さん、2016年3月に発行されました。
 人気の《化学探偵》さんこと
 四宮(しのみや)大学・理学部化学科の准教授
 沖野春彦(おきの・はるひこ)先生が事件の謎を解く
 人気シリーズ第四作の登場です!

「おァ~! みすたー・きゅりィー!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:お久しぶりですね!)

 大学、という
 学生さん・先生がた・職員さん・出入りの業者さん等々、
 何百どころか何千もの人々が出入りする場所では、
 そりゃあ色んなことが起こります。

 Mr.キュリーとも呼ばれる沖野先生は、
 大学庶務課の新人職員・七瀬舞衣(ななせ・まい)さんの依頼を受け、
 これまでにも
 《某教授の髪の毛が突如発火!》事件や、
 《密室に現れる人魂》事件、
 《体調不良を引き起こす呪いの藁人形》事件など
 数々の難問奇問を
 解決に導いてきました。

「せんせィはァ、のりきじゃァなかッたでスけどォ~」
「がるるるぐるるっ!」(←訳:ガンバリましたっ!)

 そうね、新人職員・七瀬さんにハッパをかけられて、
 あら失礼、協力を要請されては
 学内のコンプライアンス委員たるもの、
 の~んびり高みの見物、は許されません。

「ちゃッちゃッとォ!」
「がるるぐる!」(←訳:事件を解決!)

 今回もまた、いえ、
 珍しいことに今回は、
 沖野先生、嫌がりもせず、
 進んで事件解決に乗り出してくれました。

 なぜって、実は沖野先生、
 大のネコ好き!

「ふァ?? ねこォ~?」
「ぐるがるぐるるぅ?」(←訳:それ重要ですかぁ?)

 ええ、重要なんです。

 最近、四宮大学構内では
 ちらほら、と
 ネコたちの姿が目に付くようになってきました、が。

   あ、ニャンコだわ、可愛いわね~♪

 で済めばいいんですけれどね、
 世の中には動物嫌いな御方、
 医学的理由で動物を苦手としている方々も
 少なくありませんでしょ。

「でスねェ~…」
「がるるるーぐる?」(←訳:アレルギーとか?)

 ひとと、動物。
 人と、ネコ。

 ニャンコたちとの共存共栄を願い、
 庶務係の猫柳さん、
 そして沖野先生も
 《大学猫を守る会》の有志に
 こっそりチカラを貸すことになりました。

 しかし、《大学猫を守る会》の主要メンバーさんが
 奇妙なトラブルに巻き込まれて……?

「あはァ! でばんッでスねッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:探偵先生の!)

 『化学探偵と猫騒動』
 『化学探偵と互助組合の暗躍』
 『《化学探偵》の殺人研究』
 『沖野春彦と偽装の真意』
 『七瀬舞衣と三月の幽霊』

 という五話から成る連作ミステリは、
 本格ミステリ好きさんに、
 ニャンコ好きさんにも
 楽しく読める一冊です。
 
 忙し~い月末のお仕事の合間に、
 宿題の山が片付いてホッ♪なひとときに、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。

「あいしょうがァ、よいィのでスゥ!」
「がるるぐるるる!」(←訳:化学と探偵はね!)



 
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  《声》を見よ。

2016-08-25 22:18:43 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうもォなげまスッ、げんきだまッ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!届きますように!)

 こんにちは、ネーさです。
 イタリアで、そしてミャンマーでも地震が、と聞いて、
 どうにも胸苦しい一日でした……。
 いや、ここでメゲてはならじ!
 えいやっ!と元気玉を投げ終えたら、
 さあ、私たち活字マニアの元気の素、
 読書タイムとまいりましょう。
 本日は、こちらの小説作品を、どうぞ~!

  



           ―― 暗幕のゲルニカ ――



 著者は原田マハさん、2016年3月に発行されました。
 『GUERNICA UNDERCOVER』と英語題名が付されています。

「げるにかァ、とうとォ、あのゆうめいィなァ?」
「ぐるるるるるがる!」(←訳:ピカソさんの大作!)

 ええ、そうです、
 美術の教科書に、いえ、もしかしたら
 世界史の教科書にも載っているのかしら、
 パブロ・ピカソさん作『ゲルニカ』(1937年制作)。

 『ゲルニカ』は現在、
 ピカソさんの祖国スペインのマドリッドにある
 レイナ・ソフィア芸術センターに収蔵されていますが、
 そこに辿りつくまでに
 壮大なドラマがあったことを
 アート好きな方々はよく御存知のことでしょう。

「せんそうのォさなかッ、だッたのでスゥ!」
「がるぐるる!」(←訳:欧州全域が!)

 『ゲルニカ』の制作年代からもお分かりのように、
 スペインに内戦が起こり、
 独裁政権が共和国政府を倒した時期に
 ピカソさんはこの作品を描きました。

 ゆえに、
 画布にはゲルニカ空爆への、戦争への怒りと抗議が
 描き込まれているのも必然であり、
 作品から政治的なメッセージを読み取ることも
 できなくはありません。

「ひとめェみればァ、わかりまス!」
「ぐるがるるぐるる!」(←訳:戦争なんてイヤだ!)

 著者・原田さんは
 御本の巻末にこう記しています。

 《本作は史実に基づいたフィクションです》

「ふぃくしょんだけどォ~」
「がるるぐっるる!」(←訳:事実もいっぱい!)

 語られるのは、
 ピカソさんが『ゲルニカ』を政策した20世紀の物語と、
 NYとスペインを主な舞台にした現代――21世紀の物語。

 特注品の巨大なキャンバスに、
 ピカソさんの手で
 いままさに描かれんとする『ゲルニカ』。
 その制作過程を撮影してゆく
 ピカソさんの当時の恋人ドラ・マールさん。

 完成した作品が
 公開当時だけでなく、
 21世紀の現代、そして未来にまで
 不穏な波紋をもたらすものになろうとは
 ピカソさんは予想していたでしょうか……

「それほどォ、ぱわふるゥなのでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:すごい絵だよね!)

 すごい絵、いえ、すご過ぎる作品は、
 21世紀のNY、
 MOMA美術館で働くひとりの日本人女性の人生をも
 嵐の中の木の葉のように翻弄します。

 ピカソさん公認の貴重な『ゲルニカ』複製作品が
 政治的に利用される、という事件が起きました。

 MOMA美術館のミュレーターであり、
 ピカソ作品の研究者としても知られる
 ヨーコ・ヤガミさんは
 事件に深く関わっているのでは、と
 メディアに疑われます。

「むむゥ! ぬれぎぬゥでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:無関係だよう!)

 『ゲルニカ』を利用したのは何者なのか?
 何を目論んでそんなことを?

 スペインで、NYで、
 ヨーコさんは事件の真相を追いますが……

「さすぺんすゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:ミステリ!)

 歴史小説的な側面も持つこの御本、
 しかし本質はやはり、
 ミステリだと思われますので、
 これ以上の粗筋は明かせませんが、
 アート好きさんにはきっと楽しめるでしょうし、
 読後の充実感にも、
 そして物語に織り込まれたメッセージにも
 エールを送りたくなる快作です。

 ピカソさんが上げた抗議の声を
 “いま”によみがえらせる一冊を
 皆さま、ぜひ!


 
 
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惜しみなく、《傑作》を。

2016-08-24 22:00:16 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いたりあァがァ、しんぱいィでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるる!」(←訳:虎です!頑張れイタリア!)

 こんにちは、ネーさです。
 現地時間24日未明、
 イタリア中部アマトリーチェで起きた地震の映像を見るにつけ、
 心が痛みます……
 どうか、被害が最小限にとどまりますように!

「おくりまスよゥ、げんきだまッ!」
「ぐるがるるるる~!」(←訳:届けイタリアへ!)

 精一杯の気持ちを海の彼方に飛ばしつつ、
 週の半ばの本日は、
 読書をサボって展覧会情報をお送りいたします。
 さあ、こちらを、どうぞ~!
 
  



        ―― 浮世絵 六大絵師の競演 ――



 東京・渋谷区の山種美術館にて、
 会期は2016年8月27日~9月29日(月曜休館、ただし9/19は開館し9/20は休館)、
 『Splendid Colors and Compositions by Six Masters of Ukiyoe』と英語題名が
 『――晴信・清長・歌麿・写楽・北斎・広重――』と日本語副題が付されています。

「わッ! せいぞろいィでスねッ!」
「がるるるるるぐるる!」(←訳:有名画家さんばかり!)

  

 山種美術館開館50周年を記念するこの特別展には、
 ええ、浮世絵といえばこの絵師さん!と言いたくなる
 超一流の画師さんがずらりと並びました。

 さらには、展示作品も、
 生涯の代表作か、
 時代を象徴する快作か、
 滅多に観られない秘蔵品か、という、
 贅沢なラインナップ!

  

「しゃらくさんッ、きちょうゥでス!」
「ぐるるるるる!」(←訳:北斎さんのも!)

 美術史上に燦然と輝く
 6人の絵師――
 鈴木晴信さん、鳥居清長さん、喜多川歌麿さん、
 東洲斎写楽さん、葛飾北斎さん、歌川広重さん。

 世界でも数点しか残っていない晴信さんの優品
 (色がよく残っている!)、
 現存点数が少ない写楽さんの大首絵3作品、
 広重さんの『東海道五拾三次』全56枚一挙展示、と
 江戸美術愛好家さん&浮世絵マニアさんが
 身を乗り出してしまうこと必至の展覧会は、
 《きもの・ゆかた割引》もアリ!

「きものォ??」
「がるるぐる?」(←訳:ゆかた割引?)

 会期中、
 きもの・ゆかたで来館した御方は
 団体割引料金で入館できるんですよ。
 なお、中学生以下の方々は入館料は無料ですので、
 オトナ諸氏もコドモさんたちも
 連れだってお出掛けしてくださいね~! 
 
 


    では、ここでオマケ画像も、それっ!
   
    『自由が丘ロール屋』さんの
    《プチロールギフト》!
    小さな小さなロールケーキは……
    「かわいいィ~!」
    「ぐるるぅ!」(←訳:美味しぃ!)
    いただきものなんですが、
    ミニチュアサイズ?のギフト用お菓子、
    ありがたく堪能いたしました。
    夏バテ気味な御方は、
    ぜひ、濃い目の味のお菓子で体力回復を!
    
    (ああ、それにしても心配です、イタリア……)
  
    
    
   
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かがやく星、ひとつぶ。

2016-08-23 22:11:34 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうもォ、あれもようゥでスゥ!」
「がるる!ぐるがるぐるる!」(←訳:虎です!川はまだ増水中!)

 こんにちは、ネーさです。
 台風の豪雨による疲れが抜けない中、
 皆さまの御無事を祈りつつ、
 はい、今日もも敢行いたしますよ、読書タイム!
 本日は、昭和の映画界で輝いた
 或る大スターさんへのトリビュートMOOKを、どうぞ~♪

  



            ―― 高峰秀子 ――



 ↑上の画像からお分かりでしょうか、女優・高峰秀子さんのお写真が表紙の
 文藝別冊KAWADE夢ムックは、2016年6月に発行されました。
 『女優・妻・エッセイスト』と副題が付されています。

「かッこいィ~おしゃしんッ!」
「ぐるがるぅる!」(←訳:粋でオシャレ!)

 1924年(大正13年)に生まれ、
 2010年(平成2年)に亡くなられた
 女優・高峰秀子(たかみね・ひでこ)さん。

 この御本は、エッセイストとしても名高い高峰さんに捧ぐ、
 エッセイ、対談、追悼文、
 フィルモグラフィ、著作一覧、
 略年譜他から成る
 “ラブレター”ともいうべき一冊です。

「みんなァ、たかみねさんのことォ、だァ~いすきィ!」
「がるるぐるるる!」(←訳::超絶な人気ぶり!)

 子役として映画界にデビューをはたして絶賛され、
 その後もスター女優であり続けた高峰さん。

 《デコちゃん》と呼ばれ、
 こよなく愛された高峰さんの業績・足跡は、
 既によく知られていますが、
 この御本では
 単行本未収録の対談、
 やはり単行本に未収録のエッセイ、インタビューなどが
 日の目を見ることとなりました。

 そのどれをとっても、いえ、どれを読んでも、
 スター感はハンパないといったらいいんでしょうか、
 いやぁ、スゴイものを見ちゃったわ!と
 私ネーさ、感心するばかりです。

 若かりし日のお写真の、なんと美しいこと!

 そのエッセイの、なんと潔いこと!

 そして、誰にも、物おじしていないこと!

 三島由紀夫さんとの対談なんてもう、
 完全に対等なスタンスでお喋りしてるんですから!

「にんきのォりゆうがァ~」
「ぐるるる!」(←訳:解ります!)

 映画好きさんにとっては興味尽くせぬ御本ですが、
 活字好きさんにとっての読みどころのひとつは、
 沢木耕太郎さんが高峰さんを偲んで記した
 『挽歌、ひとつ』。

 高峰さんの著作の解説を書いたことで、
 沢木さんと高峰さんの間に生まれた交流と、
 沢木さん御自身の若き日、
 そして尾崎豊さんとの思い出を語る文章は、
 背筋がゾクゾクしてくるほどのすばらしさ!

 誰かを《追慕》することの意味を、
 身に染みて考えさせる傑作です。

「ぜッたいィのォ、おすすめッ!」
「がるぐるる!」(←訳:必読なのだ!)

 高峰秀子さんてだぁれ?と首をひねった方々は、
 グレゴリ青山さんによるマンガ作品が収録されていますから、
 先ずそちらを読んでみてくださいね。

 黄金期の映画界を、
 観客を魅了したひとりの女優さんがいた、ということ。

 そこから、高峰さんへの好奇心が膨らんでゆけば、
 はい、貴方も立派な《デコちゃん》ファン!

「にじゅうよんのォ、ひとみィ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:浮雲もおすすめ!)

 この御本をきっかけに、
 高峰さんの出演映画へ、
 エッセイや旅行記の世界へ、
 ぜひ、踏み入ってみてくださいね~♪

 
 
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その筆、天職!

2016-08-22 22:12:29 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおあめェ、こわいィでスゥ~ッ!」
「がるる!ぐるがるるるぅ!」(←訳:虎です!川があふれるぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 リオオリンピック閉会式の中継時間、
 ここ東京・八王子周辺は台風9号の豪雨に襲われ、
 ネーさ家のすぐ裏手の川が氾濫寸前に!
 市役所の方々が土嚢を運んでくださったり、
 少し雨足が弱まったことで
 なんとか浸水は免れましたが、
 これから台風の進路に当たってしまう地域の皆さま、
 どうか気を付けてくださいね!

「きけんがァ、せまッたらッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:すぐ避難を!)

 幸い、現在の多摩地域は天候が安定していますので、
 ココロを平静に保つためにも、
 さあ、読書タイムですよ。
 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  



         ―― ダルトン・トランボ ――



 著者はジェニファー・ワーナーさん、原著は2014年に、
 日本語版は2016年8月に発行されました。
 英語原題は『BLACKLISTED:A Biography of Dalton Trumbo』、
 『ハリウッドのブラックリストに挙げられた男』と日本語副題が付されています。

「ひょうしのォ、おじちゃんがァ~」
「がるるるぐる!」(←訳:トランボさん!)

 つい最近まで、
 ダルトン・トランボさん、といっても
 多くの人は首を傾げたことでしょう。

 それって誰?と。

 ですが、現在、事情は変わりつつあります。
 映画好きな御方ならば、きっと、こう答えてくれるはず。

 ダルトン・トランボさん?
 ああ、映画『ローマの休日』の脚本家さんね!

「すごいィぞッ、おじちゃんッ!」
「ぐるるーがるるる!」(←訳:オスカーあげよう!)

 ええ、アケデミー脚本賞を受賞するのも当然な、
 素晴らしいお仕事をしたダルトンさん。

 しかし、ダルトンさんがオードリー・ヘップバーンさん主演のこの映画で
 アカデミー賞授賞式の舞台に登壇した事実はありません。

 なぜなら、彼は、共産主義者として糾弾され、
 投獄された過去を持つ身でしたから。

「そこがァ、わきゃりませんッ!」
「がるぐるがる??」(←訳:それ犯罪なの??)

 アメリカの映画史に刻まれた最大の汚点、
 《ハリウッド・テン》事件。

 1948年、
 共産主義を排斥すべき、という当時の風潮が巻き起こした
 政治的な“陰謀”により、
 議会侮辱罪の判決を受け、
 10人の映画人が連邦刑務所で一年の刑を宣告されました。

 ダルトンさんは、その10人の中の一員であり、
 1950年、ケンタッキー州の連邦矯正施設に収監されます。

 そして、10ヶ月ののち、
 ようやく自由の身となりましたが……

 自由?

 そんなもの、どこに?

 投獄される前から、
 ダルトンさんの名はブラックリストに載っていました。

 ブラックリストに乗せられた状態では、
 脚本を書いても採用などされません。
 どんな良い脚本を仕上げても、
 映画会社から門前払いを喰らうばかり。

「そこでェ、おじちゃんはァ、かんがえましたでス!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:知恵こそ武器!)

 表には立たず、
 友人の名義を借りて、脚本を書く。

 そんな手を使っても、ええ、
 分かる人には分かっちゃうんですけどね、
 資金繰りが苦しい小さな映画会社は、
 見て見ぬふりをして
 別人名義のダルトンさんの脚本を買い上げます。

 ダルトンさんの武器は、
 速く書けて、手際もよい、
 そして観客さんにウケのいい脚本を書けること。

 そんな武器がアカ狩りに揺れる社会に通用するのか?
 窮状を打破できるのか?
 と心配になりますが……

「やッてェみなくちゃッ!」
「がるるるるるっ!」(←訳:わからないよっ!)

 トランボさんの闘いの記録を
 著者・ワーナーさんはひとつずつ拾い上げ、
 つなげてゆきます。

 耐え続けながらも、
 知恵を絞り、
 打てるだけの手を打ちまくり、
 脚本や小説の執筆を決して止めない。

 おそらくは、
 天職を見つけた者だけが持つ強さで、
 荒波を乗り越えてゆくトランボさん――

「いまはもうゥ、かくさなくてェ、いいのでス!」
「ぐるるるるる!」(←訳:自分の名をね!)

 近年、再評価がぐんぐん進む、
 ひとりの映画人の人生。

 訳者・梓澤登さんにも拍手を送りたいこの一冊を、
 皆さまも、ぜひ♪
 


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