御無沙汰しておりました、
皆さま、年に一度のパラレルクマ・ワールドへ、ようこそ!
今回も、ベーカー街221Bの下宿から、
名探偵テディちゃムズが……あらっ?
ここはベーカー街じゃありませんね?
えーと、この通りは……ロンドンのケンジントン&チェルシー地区、
ブロンプトン・ロードでしょうか。
「しィ~ッ! しずかにィ!」
「がるるぐる!」(←訳:行列中だよ!)
おお、失礼いたしました。
あのぅ、それはそうとして、行列って何ですか。
「これェだよゥ!」
ロンドンが、いえ、英国が誇る名探偵、
テディちゃムズは一枚の紙片を取り出しました。
名門百貨店『クマロッズ』の紋章入り用紙に
大きな活字で広告文が印刷されています。
《新春特別セール!》
《限定!ハチミツワイン&銘品ハチミツ詰め合わせ!》
《感謝の特価!先着39名に整理券を23時より配布》
なぁるほど、ハチミツのワインですか。
それでこうして、大晦日の寒風も厭わず、
『クマロッズ』百貨店前に列を作っている訳ですね。
あ! 整理券の配布が始まりましたよ。
お待たせしました!と
『クマロッズ』百貨店の制服を着た係員さんが、
ハチミツワイン欲しさに目を輝かせながらも、
お行儀よく並ぶクマたちに整理券を手渡してゆきます。
「やあ! やっと手に入れたぞ!
これで特製の熱々ハチミツワインをぐびっと……ん?
どうしたんだいテディちゃムズ?
お腹でも痛いのかい?」
「大丈夫?」(←訳:ぐるる?)
名探偵テディちゃムズの盟友、
ユキノジョン・H・ワトソン博士と
友人の虎くんは訊ねます。
数分前からテディちゃムズの顔色が良くありません。
モフモフの眉間にもモフ皺が寄っています。
お昼にスモークサーモンのサンドイッチを食べ過ぎたのかしら。
「ちッ、ちがうッてばァ!」
慌てて否定する名探偵テディちゃムズ、
周囲を気にしてか、ヒソヒソ声で、
「たいへんなことをォ、はッけんしちゃッたぞッ!
これからァ、だいじけんがァ、おきるゥ……!」
大事件、ですって?
ああ、もうすぐ新年だというのに、
名探偵テディちゃムズと友人たちは
またしても事件の渦に巻き込まれてしまうのでしょうか。
(次回へ、続く!)