テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 時間が、帰る、還る、返ってくる ~

2025-01-27 22:03:12 | 2012も!新春特別企画♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 たたたッ、たかはしィさァ~んッ!」

「がるる!ぐっるるがるる~!」(←訳:虎です!やっぱり大笑い~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 1月26日放送の『ホットスポット』第3話、

 またまたしてもハラハラしたり笑い転げたり♫でしたね。

 毎週ハードワークする宇宙人・高橋さんに大拍手を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 時帰りの神様 ――

 

 

 著者は成田名璃子(なりた・なりこ)さん、

 2024年11月に発行されました。

 初詣……というには、1月ももう下旬ですけれど、

 いかがでしょうか、由緒ある神社にお出掛けするのは?

 

「わッほゥ! かまくらァ、でスねッ!」

「ぐるるるがるるぐる~!」(←訳:八幡宮は賑やかだよ~!)

 

 参拝客さんと観光客さん、地元の方々、と

 人でごった返す鎌倉駅周辺。

 そこから、ちょっとバスに乗って、

 ちょっと歩いて……いえ、けっこうな距離を歩くと、

 竹林の奥に見えてくるのは、

 《一条(いちじょう)神社》さん。

 

 はっきり言って、御社はボロボロで、

 今にも崩れてしまいそうですし、

 八幡さまと違って、境内には人影もありません。

 

「でもォ~…!」

「がるるるぐるるるる!」(←訳:ヒミツがあるのです!)

 

 《一条神社》さんの神様は、

 聖神(ひじりのかみ)さま。

 

 聖(ひじり)とは、日知り(ひしり)。

 

 つまり、暦の神さまであり、

 時を司る神様なんですね。

 

「あッ、きたきたッ!」

「ぐるるがるるるる!」(←訳:今日のお客さんだ!)

 

 流行っている、とはお世辞にも言えない《一条神社》さんへ、

 やや俯き加減に、疲れた顔色でやってくる

 参詣客さんがいます。

 

 そんな参詣客さんをつかまえて、

 巫女(みこ)の汀子(ていこ)さんが問うのは。

 

 《何か、後悔してることがあるんじゃないですか》

 《もしも過去の、

  ある時点に戻れるとしたら、戻りたいですか》

 

 そう、過去へ。

 時を司る聖神さまにお願いして、

 過去へ戻る。

 

「おのぞみィならァ~」

「がるるるぅるぐるがる!」(←訳:叶えましょうその願い!)

 

 第一話『この胸キュンは誰のもの』で

 《あの日に戻る》ことを選択するのは、

 板谷沙織(いたや・さおり)さん。

 

 高校時代の或る日に戻り、やり直したい――と望む沙織さん、

 みごと狙い通り、高校生の自分に戻ったんですけれど……

 後悔のもととなった出来事を

 改変することは、出来る、んでしょうか……。

 

「どうかなァ~…?」

「ぐるがるぐるるるる?」(←訳:危険かもしれないよ?)

 

 第1話のライトノベル風なノリが、

 じわりじわりとシリアスな要素を高めて、

 やがて一気に急転急変するのは、

 第5話『だいすき』。

 

 《一条神社》を訪れた若い夫婦の願いは……

 

 あの日に戻りたい。

 戻って、娘が交通事故に遭うのを防ぎたい。

 

「うううッ?」

「がる~??」

 

 夫婦の願いに、

 はたして時神さまは、

 どんな形で、どんな答えを返すのか。

 

 連作5編から成る

 時神さまの物語は、

 SF好き&ファンタジー好きな方々に、

 いえ、全活字マニアさんに

 激推ししたい快作です。

 くれぐれも、

 通勤通学の電車を避けて、

 ひっそり、ゆっくり、お読みくださいね~♪

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》オマケ編!

2012-01-03 23:23:05 | 2012も!新春特別企画♪
 こんにちは、ネーさです。
 えへん、あらためまして……

  あけまして おめでとうございます~!

  

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぼくたちからもォ、おめでとうゥなのでスよゥ~!」
「シロクマのユキノジョーです! 賀正!」
「がるる!ぐるるぐるるるがるー!」(←訳:虎です!ハッピーニューイヤー!)
「龍で~す!おめでとうございます!」

 今年もまた、おフザケ新春企画にお付き合い下さり、
 まことにありがとうございます♪

「ほんとォにィ、ありがとうございまスゥ!」

 寒波やら大雪やら、
 お天気不安定な年末でしたが、
 明けて年始は……お散歩&お買いもの日和?
 皆さま、
 初詣、それに初売りには、もうお出掛けになりましたか?
 私ネーさも、ちょこっとだけ福袋争奪合戦に参加いたしましたよ。
 その成果は……こちらで~す!

  

「わはッ?」
「何ですか、これ~?」
「がるぐるぐる?」(←訳:布地の袋だよ?)

 はい、こちらはね、
 バラエティショップの元祖的存在『アメリカンファーマシー』さんの
 LUCKY BAG!
 お菓子の福袋、ということで、
 お値段とってもリーズナブルな¥1.050(税込)!

「きゃぽゥッ♪
 ネーさッ!なかみィはッ?なかみィはッ???」
 
 はいはーい、ラッキーな内容は――

  

「がるぐる!」(←訳:チョコだ!)
「ウエハースもある!」

  

「ポップコーンに、ビスケット!」

  

「きゃんでィにィ、ぐみィもッ♪」

 大収獲のラッキーバッグ、
 さあ、《黄金色い(きんいろい)依頼人》出演の諸君、
 美味しく召し上がれ~♪

「いッただきまァ~ス!」
「出演料分を食べまくるぞ~!」
「がるぐるる!」(←訳:お腹空いた!)
「ぱくぱくぱく~!」

 ……は、速い、速すぎる! なんというスピード……!

「ごちそうさまァッ!」
「がるる!」(←訳:でした!)

  

 再度あらためまして、
 御来訪下さった心優しい活字マニアの皆々さま方、
 ありがとうございました!
 2012年もテディちゃ&虎くん&ネーさを
 どうぞよろしくお願いいたします~!

「よろしゅゥおたのみもうしまスるゥ~♪」
「がるるぐるがるぐるるる~!」(←訳:明日は読書タイム復活!で~す!)
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その4!

2012-01-02 23:26:10 | 2012も!新春特別企画♪
 てくてく、ばたばた、どたどた、と。
 御話の第四回が、さあ、足音とともに始まりました。
 足音の主は、ええ、もちろん、
 名探偵テディちゃムズ一行でございます。

  

「テディちゃムズ!どこへゆくんだい?」
 と、ユキノジョン・H・ワトソン博士。

「ぐるるがる~?」
 と、虎くん。

「ダディの居場所が分かったの?」
 と、依頼人のドラゴンくん。

 そうさ!と名探偵テディちゃムズ、鼻をぴかりと光らせます。
 ヒントの紙片にあった言葉の意味、とは――

「ささやきィ、ッていうのはァ、せんとぽーるじいんッ、だよッ!」

 なぁるほど!
 セントポール寺院にあります有名な『囁きの回廊』のことであったかと、
 一同、感心感服いたします。

「いそがなくッちゃッ!」

 ベイカー街から、やや東へ。
 新年を迎えて大騒ぎのリージェントストリート、コヴェントガーデン、ピカデリー広場……
 ロンドン市民たちが、飲んだり、歌ったり。
 そのお祭りの賑わいに加わりたいのをぐっと我慢して、
 てくてく、ばたばた、ふーふーはーはー、
 セントポール寺院へ到着です!

「ようしッ、ここからッ!」

 紙片によれば、
 『フェニックスふたつはばたき』。
 
 おっしゃ!とユキノジョン・H・ワトソン博士、
 ベイカー街から担いで持ってきた重~い《くまブリタニカ事典》を開きます。
 フェニックスの項を参照いたしますと……

 『はばたき二回分は、テディベアの歩数1000に相当する』ですって?

「よゥしッ!
 みなみィへェ、1000ぽッ!」

 1、2、3……1000歩と進めば、そこは。

「がるるぐる!」(←訳:テムズ川だ!)

 次の一節は『ながれにさからい ヒッポグリフにかいスキップ』でしたか。

「てむずをォ、さかのぼるんだッ!」

 では、とテムズ川沿いを上流へと歩き。

 さらに『ヒッポグリフのスキップ』を事典で調べますと、
 『スキップ一回でテディベアの歩数200にあたる』とな?

「ふーはー……200、あるいたよ!
 テディちゃムズ、このつぎは?」

 そうですね、
 『むかしのみちを ペガサスひとまたぎ』
 って、どういうこと?

「かんたんさッ!
 むかしのォみちィはァ~…ろーまかいどうッ、だよッ!」

 おおお!
 ローマ帝国時代の街道ですね!
 ブリテン島のあちこちに巡らされた古代ローマ街道!
 ローマへ通じる道を、
 ペガサスひとまたぎ分、って……
 あららら、
 事典で調べる手間ももどかしいのか、
 テディちゃムズ一行、
 ばたばたわらわら、と走り出します。

 そうして、辿り着いたところは――

  

「むゥ!
 くりすたるぱれすッ!」

 水晶宮ことクリスタルパレス。
 ロンドン南郊、
 かつては万国博覧会の会場であったそこは今、
 大きな公園になっています。

 緑ゆたかな公園は
 昼間はピクニックによさそうですが、
 夜ともなれば、
 物凄まじい暗さ、寂しさ……。

 けれど、その闇を裂いて、
 テディちゃムズたちは叫ぶのです。

  

「どらごんくんのォ、おとうさ~んッ!」

  

「ドラゴンのとぉちゃーん! いますかー?」

  

「がるるーぐるるるっ!」(←訳:どこに――わあああっ!)

  

「ダディ!!」

 万博の名残りの、モニュメントのひとつ。
 恐竜の彫刻が、
 むくむく、ぐんぐん、と巨きくなりました。
 雲をも凌ぐ身の丈に、
 きらめくウロコ、
 長~い尾。
 これぞまさしく、龍!

「ふぁ~、よく寝た~♪」

「ダディ!
 探したんだよ~! うわわ~ん!」

「お? ジュニアじゃないか!」

 ああ、映画の仕事を終えた後、
 恐竜像の姿を借りて、
 ほんのちょっと居眠りをするつもりが
 ずいぶん寝過ごしてしまったらしいな、
 すまんすまん――
 そう言って父親ドラゴンさんは謝ります。

「あのねダディ、みんなが待ってるよ!
 早くヤポンへゆこうよ~!」
「うん、そうだった、そうだった!」

 龍たちは、極東の或る国でこの一年の間を
 護り神となって過ごすのだと
 父親ドラゴンさんは説明し、
 テディちゃムズたちに御礼を言いました。

「探してくれて、ありがとう!」

 ぐんぐん、ずんずん。
 巨大なドラゴンは一段と巨大になり、
 子ドラゴンを首に巻きつかせて
 いま明けようとする空へ舞い昇ります。
 きんきら、きらきら、
 黄金色の龍たちは、
 見送る名探偵と仲間たちにヒゲを振りながら、
 しめくくりに、

「これ、依頼料だよー!」

 ドでかい黄金のウロコを、
 上空から、
 どかーんと一枚!

「うきゃーッ!」
「うひゃーっ!」
「がるるーっ!」

 ナイスキャッチ!な名探偵テディちゃムズ!
 新春早々景気も縁起も良きかな良きかな♪
 黄金のウロコを抱え、
 名探偵テディちゃムズ、
 ユキノジョン・H・ワトソン博士、
 虎くんも、
 東の国へ祝福を贈ったのでした――

「しんねんッ、おめでとうッ!!」


 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その3!

2012-01-01 23:13:23 | 2012も!新春特別企画♪
 さあ、御話の第三回でございます。

 新年の訪れを告げる鐘の音とともに、
 名探偵テディちゃムズの下宿があるベイカー街を訪れた依頼人――
 ドラゴンくんは言いました。

 行方知れずの
 ぼくのダディを探してください!
 ヒントなら、ぼく、持ってます!

「ひんとォ?」
「ヒント!」
「がるるぐる?」(←訳:ヒントって?)
 
   

 名探偵テディちゃムズ、
 シロクマのユキノジョン・H・ワトソン博士と
 虎くんは口々に訊ねました。

 行方不明のドラゴンを探し当てるヒントですって??

「ダディが家に忘れていった携帯用電動ウロコ磨き機のポーチに、
 こんな紙が入っていたんです!」

 差し出された紙片を覗き込んだ
 名探偵テディちゃムズは、

「うむッ!」

  

「テディちゃムズ!
 それは何だい?」

「これはねェ……いわゆるゥ、あんごうッだよッ!」

「がる!」(←訳:暗号!)

  

 暗号、とな?
 どれどれ、ちょっとその紙片に書かれた内容をば、読んでみましょうか――

  『ささやき より 南へ
   フェニックスふたつはばたき

   ながれに さからい
   ヒッポグリフにかいスキップ

   むかしの みちを
   ペガサスひとまたぎ』

「ええっ? 何なのコレっ??」
「ぐるがるがるる~!」(←訳:意味わかんない~!)

 う~ん?と腕組みするユキノジョン・H・ワトソン博士と、虎くん。
 失踪中のドラゴンくんのパパは、
 この文章で一体何を言わんとしていたのか、
 見当もつきません。

 が、しかし。

「あはァ!
 ひんとォ、いただきィッ~♪」

 おお!
 名探偵テディちゃムズ、
 早くも手がかりを摑んだようですよ!
 

  ~その4!に続く!~
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その2!

2011-12-31 23:30:06 | 2012も!新春特別企画♪
 さてさて、前回よりの続き、でございます。

 あかあかと燃える暖炉、
 テーブルの上の御馳走と、
 友人たちとの団欒と。
 今年こそ!
 ああ、今年こそは、穏やかに年を越せるものと思っていた、
 ここベイカー街で――

 名探偵テディちゃムズは、
 大晦日の夜に訪れた依頼人を目にして、
 まあ、びっくり!
 
   

「きらぴかッ、だねェッ!」

 シロクマのユキノジョン・H・ワトソン博士も、
「すごっ!」

 そして虎くんは、
「ぐるる~がるる~…?」(←訳:きみは~もしや~…?)

  

「そう!
 ぼく、ドラゴン!」

  

「どらごんッ!」
「ひゃあ! ほんもの!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:龍なんだよねっ!)

 ええ、本物の龍。
 ドラゴン。
 名探偵テディちゃムズのもとへ、
 やって来たのは、龍なのでした。
 
 驚いたり、慌てたりしながらも、
 テディちゃムズは龍に椅子と紅茶をすすめます。
 それで、御用の向きは?
 『ひとを探している』とのことでしたが……?

「はいっ!
 ぼく、ダディを探してるんです!」

「だだッ? だでィッ??」
「それは、えーと、パパっ?」
「ぐるるぐるがるるる?」(←訳:お父さんドラゴン?)

「うん、実は……」

 ぽわわ、と溜め息の代わりに小さな炎を吐いて、
 ドラゴンくんは説明いたします。

 半年も前の出来事だったでしょうか。
 父ドラゴンは、
 端役ではありましたけれど、
 映画に出演するためロンドンへ行くと言って旅立ったきり、
 音信不通になってしまいました。
 ああ、ダディはどうしちゃったのだろう?
 今どこに居るんだろう?

「ふんふんッ? それはァ、なんていうえいがァなのォ?」

 ドラゴンくんいわく――
 《魔法使いクマリー・ポッター》!

  

 おお!《クマリー・ポッター》!
 世界的ヒット映画シリーズの最新作には、そういえば……

「あッたねッ、どらごんのォ、でてくるゥしーんがッ!」
「あのドラゴンさんが?」
「ぐるがるる?」(←訳:行方不明?)

 人探しならぬ、ドラゴン探し?
 名探偵テディちゃムズも、うう~む、と首を傾げます。
 
 クマリー・ポッターの物語のように、
 魔法の杖を一振りすればヒントが空から降ってくる、
 という具合にはゆきません。
 ドラゴンの習性は?
 ドラゴンが隠れそうな場所は?
 くまブリタニア百科事典“D”の項目に
 そういった情報は掲載されているでしょうか?
 
 重たい事典と格闘する名探偵テディちゃムズ!
 と、ドラゴンくんは、
 白い炎を、ぽふー!と噴いて 
 
「ヒントなら、ぼく、持ってますー!」

 
  ~その3!に続く!~
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その1!

2011-12-30 23:24:51 | 2012も!新春特別企画♪
 ゴォ~ン、ゴォ~ン……
 鐘が鳴ります、鐘が鳴る、
 2011年の暮れを告げる鐘の音を、
 ビッグベンが鳴らしております。

 今年も、やってまいりました新春特別企画!
 例の如く、
 霧けぶるロンドンのベイカー街に響くのは、
 ヴァイオリンの調べ……ではなくて。

  

「きゃぽォ~♪
 しゃんぱんッ、あけようッ!」
「よっしゃ、まかせろぉ!」
「がるるるぐるー!」(←訳:盛大にゆこうー!)

 ああ、やはり。
 名探偵テディちゃムズ、
 シロクマのユキノジョン・H・ワトソン博士、
 彼らの友人の虎くんです。

「いろいろォあッたァ、いちねんだけどォ、
 おおみそかァはッ、ちょびッとォ、ぶれいこうッ!」
「たのしくさわごう!」
「がるるぐるぐるる!」(←訳:御馳走もできたし!)

 そうです、12月31日――年越しの夜は、
 荘厳な雰囲気のクリスマスと異なり、
 賑やかに、陽気に過ごすのが西欧の風習です。
 
 ベイカー街の名探偵テディちゃムズの下宿では、
 焼きたての蜂蜜パン、
 良い香りのホットワインがテーブルで湯気を立て、
 今にも深夜のくまパーティが始まらんとするところ。

 しかし、そこへ。

「むむッ?
 よびりんのォ、おとッ?」
「だれだろうね、いまごろ?」
「がるぐるる~…」(←訳:もしかして~…)

  

 下宿の女主人ハドソンさんが応対する声がして、
 ほぅら、足音がいたしますよ!
 誰かが、ぎし、ぎし、と階段を昇ってくる音が。
 そして足音は、
 名探偵テディちゃムズの部屋の前で停まりました!

「テディちゃムズさん!
 テディちゃムズさん!
 お願いです!
 たすけてください!」

「うむむッ??」

  

「ぼく、ひとを探してるんです!」

 人探し!
 テディちゃムズの脳裏を今まで扱った数多の難事件がよぎりました。
 『クマ花婿失踪事件(未公開)』!
 『唇を曲げたクマ(未公開)』!
 『くまスクール事件(未公開)』!

 どの事件も複雑極まるものでした。
 もし名探偵テディちゃムズの活躍がなかったら……
 いえいえ、追想にふけっている場合ではありません!
 初動捜査は、迅速でなければ!

「わかりィましたッ!
 そのじけんッ、ひきうけましょうッ!」

 さあ、部屋にお入りなさい、と
 お客を招き入れてみれば――

「ふァ??」
「えええッ??」
「がるっ!」

  

 さあ、黄金色い依頼人の登場です!


   ~その2!に続く!~ 


 


 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする