大晦日に起こったクマリング侯爵家に伝わる《白い宝玉》盗難事件!
名探偵テディちゃムズが、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士、
友人の虎くんとともに向かったのは――
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「さあさあ、泣かないでクマリング侯爵夫人!
テディちゃムズが貴方の力になってくれるのですから、
もう心配は要りません!」
……美人と見れば、ユキノジョン・H・ワトソン博士が大乗り気!
張り切って被害者さんから事情を訊き出しますよ!
「ああ、ありがたい!
テディちゃムズ氏が!」
泣いたり喜んだり忙しい侯爵夫人の説明によれば。
明日の新年パーティ用衣装を整えておこうかしらと、
ドレスを衣装トランクから、
装身具を宝飾品ケースから出そうとして……
あら?
なんだか軽い?
まあ!んまああっ!
ケースの中身が空っぽ!
《白い宝玉》が失くなっているわー!!
「おまちくださいィッ、こうしゃくふじんッ!」
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鋭い声は、テディちゃムズ!
「こうしゃくふじんともォあろうおかたがァ、
ごじぶんでェ、いしょうのォ、おしたくをッ?」
ええ、とクマリング侯爵夫人は答えます。
「従僕のポール、小間使いのメリーたちは、
アルバートホールの『紅白クマ歌合戦』を観に行っておりますわ」
きらり!
テディちゃムズの眼光の鋭さ!
そして、それからの行動の素早さときたら!
従僕のポール、メイドのメリーらが使っていた部屋を調べます。
彼らの年齢や容姿をランガムホテル従業員に訊ね、
侯爵夫人の部屋を厳重に警備するよう依頼いたしました。
「テディちゃムズ!
どうしたんだいっ?」
「はんにんはァ、そいつらだよッ!
ユキノジョン・H・ワトソンくんッ!」
「えええッ???」
テディちゃムズ、いわく――
「あのねッ、こうはくくまうたがッせんはァ、
かんたんにィ、みにゆけるものじゃないのさッ!」
人気グループ『くまッぷ』や『くまらし!』が出演する今年の紅白クマ歌合戦は
例年にも増して観覧券の入手が困難なのです。
そんなプラチナチケットと、
盗難事件の発生はどう関わっているのか、というと……?
「ありばいィづくりィ、だよッ!」
犯罪が実行されていたと思しき時間に、
アルバートホールで紅白クマ歌合戦を観ていたと言えば
警察官たちも、ああ、なるほど、と納得するでしょう。
アリバイは成立!めでたく潔白証明!となる筈です。
けれど、テディちゃムズは納得いたしません。
何故と申して。
「あんまりィ、ぐうぜんすぎるゥじゃないかッ!」
そ、そうかもねッ、と頷くユキノジョン・H・ワトソン博士。
「じゃ、じゃあ、これからどうするんだい、テディちゃムズ?」
「こうするのさッ!
とらくんッ!
でばんッ、だよゥ!」
「がるっ!」(←訳:おうっ!)
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「がるがるるるーがる!」(←訳:臭いの追跡、開始だー!)
従僕ポールとメイドのメリーの部屋を調査する際、
彼らの臭いをたっぷり嗅ぎ、
その特徴を記憶してきた虎くん、
鼻をヒクつかせ、
先頭に立ちます。
「ぐるるるーがるがる……!」(←訳:ヤツらの臭いがするよ……!)
真夜中近いロンドンの街、
新年のカウントダウンが近づき
鐘の音鳴り響くロンドンの街路を、
抜き足、さし足、忍び足に速足で、
てってこてってこ、
進んでゆく名探偵一行。
やがて、辿り着いたのは……
「あッ! ここはッ?!?」
~ つづく ~
名探偵テディちゃムズが、
盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士、
友人の虎くんとともに向かったのは――
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「さあさあ、泣かないでクマリング侯爵夫人!
テディちゃムズが貴方の力になってくれるのですから、
もう心配は要りません!」
……美人と見れば、ユキノジョン・H・ワトソン博士が大乗り気!
張り切って被害者さんから事情を訊き出しますよ!
「ああ、ありがたい!
テディちゃムズ氏が!」
泣いたり喜んだり忙しい侯爵夫人の説明によれば。
明日の新年パーティ用衣装を整えておこうかしらと、
ドレスを衣装トランクから、
装身具を宝飾品ケースから出そうとして……
あら?
なんだか軽い?
まあ!んまああっ!
ケースの中身が空っぽ!
《白い宝玉》が失くなっているわー!!
「おまちくださいィッ、こうしゃくふじんッ!」
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鋭い声は、テディちゃムズ!
「こうしゃくふじんともォあろうおかたがァ、
ごじぶんでェ、いしょうのォ、おしたくをッ?」
ええ、とクマリング侯爵夫人は答えます。
「従僕のポール、小間使いのメリーたちは、
アルバートホールの『紅白クマ歌合戦』を観に行っておりますわ」
きらり!
テディちゃムズの眼光の鋭さ!
そして、それからの行動の素早さときたら!
従僕のポール、メイドのメリーらが使っていた部屋を調べます。
彼らの年齢や容姿をランガムホテル従業員に訊ね、
侯爵夫人の部屋を厳重に警備するよう依頼いたしました。
「テディちゃムズ!
どうしたんだいっ?」
「はんにんはァ、そいつらだよッ!
ユキノジョン・H・ワトソンくんッ!」
「えええッ???」
テディちゃムズ、いわく――
「あのねッ、こうはくくまうたがッせんはァ、
かんたんにィ、みにゆけるものじゃないのさッ!」
人気グループ『くまッぷ』や『くまらし!』が出演する今年の紅白クマ歌合戦は
例年にも増して観覧券の入手が困難なのです。
そんなプラチナチケットと、
盗難事件の発生はどう関わっているのか、というと……?
「ありばいィづくりィ、だよッ!」
犯罪が実行されていたと思しき時間に、
アルバートホールで紅白クマ歌合戦を観ていたと言えば
警察官たちも、ああ、なるほど、と納得するでしょう。
アリバイは成立!めでたく潔白証明!となる筈です。
けれど、テディちゃムズは納得いたしません。
何故と申して。
「あんまりィ、ぐうぜんすぎるゥじゃないかッ!」
そ、そうかもねッ、と頷くユキノジョン・H・ワトソン博士。
「じゃ、じゃあ、これからどうするんだい、テディちゃムズ?」
「こうするのさッ!
とらくんッ!
でばんッ、だよゥ!」
「がるっ!」(←訳:おうっ!)
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「がるがるるるーがる!」(←訳:臭いの追跡、開始だー!)
従僕ポールとメイドのメリーの部屋を調査する際、
彼らの臭いをたっぷり嗅ぎ、
その特徴を記憶してきた虎くん、
鼻をヒクつかせ、
先頭に立ちます。
「ぐるるるーがるがる……!」(←訳:ヤツらの臭いがするよ……!)
真夜中近いロンドンの街、
新年のカウントダウンが近づき
鐘の音鳴り響くロンドンの街路を、
抜き足、さし足、忍び足に速足で、
てってこてってこ、
進んでゆく名探偵一行。
やがて、辿り着いたのは……
「あッ! ここはッ?!?」
~ つづく ~