テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《テディちゃ頭巾》反省会?

2008-01-03 23:04:55 | 新春特別編!
 はーい、《テディちゃ頭巾》出演の皆さま、
 お疲れ様でしたあ!

「おつかれェなのでスゥ!」
「くたくただよォッ!」

 テディちゃだけじゃなく、ゆきのジョーも、よく頑張ったわ!

「ほんとゥだよォ!
 よつやから、ずーッと、たかおさんまでェ、あるかされてさッ」
「あくしょんしーんもォ、あッたものねッ」
「くまづかいがァ、あらすぎるよゥッ」

 あっちこっちで、
 お蕎麦やお団子をたっぷり食べたんだから、
 まあ、いいじゃない?
 今日だって、
 こうして御節料理とお菓子、
 御馳走を用意して――
 あら?
 お重がもう空っぽになってる?!

「ふんッ、あれッぽッちぃ!」
「おいしかッたけどォ、
 ものたりないでス~」

 な、ないわ!
 ネーさが大々好きな、虎屋さんの羊羹『夜の梅』が、
 一切れも残っていないなんて!

「ひゃッ!
 ネーさがおこるまえにィ、
 ゆきのジョー、にげようッ!」
「おッしゃあ、すたこらさッ♪」

 許せないわ!
 次回は、もっともっともっと歩かせてやる……!
                   
                  (え? 次回があるのかッ??)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第六巻

2008-01-03 13:49:13 | 新春特別編!
 さぁてさて、うららな春の日の語り、
 皆みな様のお耳にかける
 テディちゃ頭巾のものがたり、
 やってきましたドン詰まり。
 いかが相成りますことか、
 どうぞ御心ひろびろと――

 
  **  **  **  **  **  **  **  **
 
 高尾の山が揺れ動く、
 杉の木立が騒ぎ鳴く、
 ぜんたい何が現れた?
 天下の大事と聞いてはいたが、
 こは何事ぞ、何としよ?
 テディくまたちは地に伏せる。

「うきゃァッ! まぶしいィひかりがッ!」
「みんなッ、きをつけろォッ!」

 突風が吹く、木の葉は躍る、
 必死の力でやり過ごし、
 おびえて顔を上げたれば、
 《えんぜる》小箱は消え失せて
 すぐ目の前に、すぐそこに、
 仁王立ちたるその姿、
 こがねに輝くそのすがた!

「こ、これッてェ?!」

 こがねの像は動き出す、
 群がる黒い影めがけ、
 金の光を放ち射つ。

 たちまち墜ちる黒い影。
 土にまみれた影からは、黒い翼がこぼれ落ち、
 真の姿が曝されて、
 あッと一同瞠目す。

「これッ、すずめ、だよッ!」
「なんて、やせているんだろうッ……!」
「ほんとだァ、ほねと、かわ、だけじゃあないかッ」

 餓死寸前の痩せ雀。
 数は多いが、
 悪しき気配ももはやなく、
 敵というにはあまりに哀れ。
 なんだかァちょッとォかわいそうゥ……
 テディちゃ頭巾の呟きに、
 応えた声は、
 その声は。

      ―― よくぞ申した、ちびくまたちよ! ――

「ひゃッ、また、かぜがッ!」
「これは、きッと、てんぐかぜッ!」

      ―― 褒美に受け取れ、こがねのキョロを! ――

 杉の森陰、山の奥、天狗は大きく高笑い、
 残響ゆるく、なお遠く、やがて静まる山の道。

「も、もらッちゃッたねェ」
「いただいちゃッて、いいのかなァ?」
「いいみたいィ、だねェ」

 えんやァこらさァほいさッさァ、
 テディくまたちは帰路に就く。
 花のお江戸へ帰る道、
 車に金のキョロ像積んで、
 よっこらせェと押し歩く。
 生まれ変わった雀らも、
 翼を拍って励ませば、
 坂も小川もなんのその。

 あれに見えるか、
 お江戸の町が。
 上野の山の鐘が呼ぶ、
 愛宕の山の桜が招く、
 とうとうお江戸に帰り来た!

「いらしゃい、いらしゃい、おかしはいかがァ」
「いらしゃい、いらしゃい、おいしいよッ」

 数日経った、道場は
 わいのわいのと人だかり。
 テディくまたちのお菓子屋が、
 店を開いて大繁盛!
 連日行列大繁盛!

「きょろちゃん、おだんごの、ちゅうもんだッ!」
「きょろちゃん、こッちはァ、こんぺいとうッ!」

 テディくまたちがキョロ像を
 撫でると不思議、
 あらふしぎ!
 お菓子がポン!と現れる!

「はいッおまちどおさまッ!」

 賑わう店は大評判、
 お江戸の町に知れ渡る。
 テディちゃ頭巾の菓子包み、
 天狗の紋の甘い菓子、
 厄除けになると大評判。

「みんなでたべよう、おいしいおかし!
 おかしで、めでたい、えどのはる♪」

 あらめでたやな、めでたやな、
 テディちゃ頭巾のものがたり、
 高尾参りのものがたり、
 終わり良ければすべて良し。
 
 お江戸の春に風そよぎ、
 雲のぽんわり流れゆく、
 テディくまたちも満腹し、
 ちょうど仕舞いとなりました。
 語りはこれにて、
 皆さまこれにて、
 新年の
 御多幸お祈りいたします――
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第五巻

2008-01-02 22:49:05 | 新春特別編!
 おいでいただきありがたや。
 テディちゃ頭巾のものがたり、
 どうやら佳境に入ったか。
 語りましょうや、
 綴りましょうや、
 テディくま魂ここにあり――


  **  **  **  **  **  **  **  **
 

「うしろだ! あぶないッ!」
「あたまをォさげろッ!」

 叫びあい、庇い合うのはテディくま一同。
 襲い来たった黒い影、
 尋常に勝負!勝負!!
 我こそ北クマ一刀流の遣い手なり!
 さあ!と剣に手をかけて、

「いや、ならんッ!」

 ゆきのジョーは制していわく、
 ここは聖なる修験のお山、
 刀を抜くのは憚りあり。
 最後の最後の最後まで、
 剣を用いず闘おう!

「よゥしッ!」
「てやァッ!」

 空手ちょっぷに、拳固に、頭突き、
 噛み付き、引っ掻き、ふっく&きっく、
 黒い影への、わんつーぱんち!
 奮闘に次ぐ大奮闘!

 とはいえしかし、ああしかし、
 黒い影ども湧いてくる、倒せど倒せど湧いてくる。
 テディくまたちも疲れたか、
 肩で息する有り様よ。

         ――その意気や よし!――

 突如ひびくは誰の声、
 山をもどよもす太い声、
 木立の間より、届き来る。

        ――ちびくまたちよ、力を貸そう!――

 音がするする、音がする。
 がらがら、どしん!あの音は、
 つい先程も聞いた音。
 上空高く、天高く、
 何かが降って来やる音。
 見よやクマたち、この小箱、
 さらなる新たな小箱の紋を。

「あッ! えんぜるゥッ!」
「いつつめの、えんぜるだッ!」

 五つの箱が集まった!
 銀のえんぜる、集まった!
 天下の大事が顕れる!
 杉葉も枝もおののけば、
 五色の雲と妙なる楽の音、
 怪異なりや、
 瑞兆なりや?
 高尾の山に光が走る!

「あッ、あれはッ!」
「おおッ、あれはァ!」

 さあさ、時間となりました。
 五段の語りは、ここに了。
 お山に何が来たったか、
 テディくまたちはどうなるか、
 次の巻まで待たれませ。
 ゆるり、ゆる~りとお待ちくだされ――
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第四巻

2008-01-02 15:52:51 | 新春特別編!
 はいはい、またも始まりまする、
 テディちゃ頭巾のものがたり。
 ここな四段目にて、起こるはいったい何事か――

 
  **  **  **  **  **  **  **  **


 初春の雲たなびくは高尾山、
 やってきましたテディたち。
 ところがそこへ、飛脚便、
 急な報せがあるという。
 お山の道のとば口で、手紙を囲む一同に、
 もたらされたは、はて何ぞ――

「あッ、ネーさししょうからァ、おてがみだッ!」

 テディちゃ頭巾は封を切る。
 お江戸の町からネーさ師匠、
 書いてきやるは、

     ――いにしえの、
     伝承にある『えんぜる』紋、
     その秘密をば知らせおくりそうろ
     げにおそろしきひみつなり!――

「うう~ん? どういうことだいッ?」
「それはね、ゆきのジョー、え~と、だねェ」

 ネーさ師匠は文に説く、
 《えんぜる》紋つき《ちょこぼおる》の秘密。
 銀で描かれた異国の紋、
 ひとつだけなら何ともないが、
 ふたつだけでも何ともないが、
 いつつ揃ったその時は、
 天下に大事が出来(しゅったい)す!

「てんかのだいじィ?」
「いッたい、なにがァ、おこるのかなァ?」
「うん、それはネーさししょうにもォ、
 わからないィ、んだッてさ」

 不思議の小箱をよっこらせ、
 テディくまたち背負いあげ
 今度こそはと向かいます。
 高尾のお山のいただきへ、
 うねって登る道の先。
 《えんぜる》紋つき箱みっつ、
 奉納しよう、天狗さまに。

 高尾参りだ、お参りだ、
 謡いながらも上ってゆけば、
 杉の木立はぞわぞわと、
 不意に大きく揺れ動く。
 おおッと仰ぐ頭上から、

「わッ、あぶないィッ!」
「なにかッ、ふッてきたァッ!」

 どっすん、がらがら。
 降ってきたのは、
 舞い降りたのは、
 なんと、びっくり、

「ちょこぼおるのッ、はこッ!」
「ああ、これも!
 えんぜるがァッ?」

 テディくまたち、驚き畏れ、
 新たな小箱を眺めやる。
 《えんぜる》紋がきらりと光る、
 ひぃ、ふう、みぃ、の

「よ、よッつめの、えんぜる、だッ!」

 震え上がって一同は、
 小箱四つを遠巻きに。
 どうしたものか、この異変。
 まかり間違い、あとひとつ、
 もしも小箱が来たるなら、

「てんかのだいじがァ、おきちゃうぞッ!」
「どうしよおッ!」
「こわいよおッ!」

 さすがの剣の達者にも、
 不穏な心地むくむくと
 きざして周囲を見回せば
 折りから暮れる山の宵。
 もうじき闇が地に満ちる。

「ゆきのジョー、あれはッ」
「ややッ! あやしのかげ!」

 襲い来るのは、黒い影。
 テディちゃ頭巾を狙う影。
 さあ、どうするテディくまたち。
 向かい討つのか逃げるのか。
 お山に危機が迫り来る!

 続きましょうか、第五巻。
 この先どうなる第五巻。
 あいや、しばらく、
 暫く待たれよ次巻まで!
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第三巻

2008-01-01 22:56:49 | 新春特別編!
 めでたやの、風が舞います江戸の春。
 テディちゃ頭巾の行く先へ
 福は吹くのか、
 吹雪が舞うか?
 さあさ、語りは三段目、
 続けましょうぞ、続けましょう――

 
  **  **  **  **  **  **  **  **


「たかおまいりだァ、おまいりだァ!」
「おまいりいこうッ、おやまへいこうッ!」

 掛け声高く、足取り軽く、
 進みますのはテディ猛者。
 ゆきのジョーを先頭に、
 おのおの抱え持ったるは
 『えんぜる』紋入り不思議の小箱。
 高尾の尊き天狗さまへ、
 奉納しようこの小箱。

「たかお、たかおだッ!」
「おまいりだーいッ!」

 のっしのっしと道を往く
 テディくまたち一行に、
 さぞや人々眉ひそめ?
 いえいえ、それが、そうでもない。
 高尾参りと叫ぶ間に、
 交わす言葉というたなら、

「ねえ、ゆきのジョー、
 さッきのおそば、おいしかッたねッ♪」

 ははあ、深大寺名物お蕎麦のことでございましょう。

「うんッ。
 でも、いまたべた、きびの、おもちも、おいしかッたァ」

 どうやら、
 府中は大国魂神社、
 その門前市で黍餅を食したので。

「みたらしだんごも、よかッたね♪」

 立川の諏訪神社でも、はあ、
 お団子を食べましたか。

「かえりはァ、おふどうさまで、おまんじゅうッ!」
「ほかほかの、おまんじゅうは、いいなッ♪」

 帰路には日野の高幡不動、
 蒸かしたてのお饅頭を食べようなァと、
 万事が万事この調子。
 行き逢う人もくすくす、ぷふふ、
 笑わせておりますテディたち。

「たかおまいりだァ! もぐもぐもぐッ」 

 西へ西への甲州街道、
 お江戸と甲府をつなぐ道。
 美味しいものに誘われて、
 四谷にあります《北クマ一刀流》道場より、
 とんとことんの、とんとことッと
 歩み到った山の裾。

 さあ、テディたち、御覧あれ!
 お江戸日本橋より十里がほど、
 やってきました高尾の里。
 あれに見ゆるは、登りの小道。

 胴震いしてテディたち、
 踏み出そうとした、ちょうどその時。

「おおいッ!
 テディちゃ頭巾へ、早飛脚!
 江戸から文が、参っておるぞ!」

 急ぎの文とは何であろ?
 はてな、とテディくまたち首傾げ、
 お山を前に足止める。

 続きまするは第四巻、
 いよいよ高尾のお山にて、
 いかなる椿事が待ち受ける?
 どうか、ゆるりんしゃんしゃんと、
 お待ちくだされ、お待ちあれ――
 
 
 
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第二巻

2008-01-01 14:25:21 | 新春特別編!
 ♪めでたやな、あらめでたやな、この新春♪
  またも始まる始まるよ♪
  テディちゃ頭巾の物語♪
  耳を澄ませば、ほら、聞こえましょう♪
  たッたかたァ~と足音が♪


  **  **  **  **  **  **  **  **

 たッたか、たッたか、たッたかた、
 お江戸の町を小走りの、
 おや、テディちゃ頭巾じゃありませんか。

 はて、追われていたのはどうなった?
 ネーさ師匠とやらを訪ねていったはどうなった?
 今はなにやら、明るい顔のテディちゃ頭巾、
 勇んで門を叩きやる。
 門には大きな札があり――

      『北クマ一刀流』

「おういッ!
 おういッ! ゆきのジョー!」
 
 テディちゃ頭巾が呼ばわれば、うっそり出てきたその姿。
 色は白いが、しっぽも白いが、
 どこかで見たことあるような。

「ゆきのジョー!
 ひさしぶりッ、あけましておめでとォ!
 ねえねえ、それでさァ、ゆきのジョー、
 たかおまいりへ、いかないかいッ?」

「たかおまいりィ?」

 ゆきのジョーこと白熊雪乃丞、
 北クマ一刀流道場師範代を務めまする剣の達者。
 実はテディちゃ頭巾の遠い親戚。
 『高尾参り』と出会い頭に言われても
 何が何やら、霧の中。

「あのねッ、こういうことなんだッ」

 テディちゃ頭巾は解き明かす。
 黒い影に襲われて、教えを乞うたはネーさ師匠、
 某寺子屋の物識り屋。
   ――テディちゃずきんよ、
     高尾参りにゆくがよい。
     お主にとってさほどでなくとも
     黒い影には大事な何かを持っているのなら、
     高尾の山の天狗さま、
     仙力ある御方にお預けするのだ。
 えッ天狗さまァ、と驚くテディちゃ頭巾です。
   ――天狗さまであれば、
     物事の善悪を見極めてくだされよう。
     お主に知恵を授けてもくだされよう。
     高尾参りに、ゆくがよい。

「ふゥゥん、たかおまいり、かァ」

 うむと頷くゆきのジョー。
 
「でも、テディちゃ、
 くろいかげの、ねらいはァ、いッたい、なんなんだいッ?」

 これであろうと見せました、
 小脇に抱えた或る小箱。
 ネーさ師匠が言いますに、
     ――おお不可思議な紋章が?
       もしや、伝承にある《えんぜる》紋か?
       テディちゃ頭巾よ、
       悪意持つ者にこれを渡すでないぞ!
 なのだそうでございます。

「みちで、ぐうぜん、ひろッたんだよォ」
「うう~ん、よくわからんが、
 あくにんにィわたしてはならん!というのなら、
 いこう!
 たかおまいりへ、いこう! 
 てんぐさまのおやまへ、いこう!」
「うんッ、いこうッ!」

 行かむ、はるばる高尾参りへ。
 おおと上げる雄叫びに、
 北クマ一刀流道場の猛者たちも唱和する。

「いこう! いこう!
 みんなでいこう!
 たかおまいりだ、
 おまいりだ!
 たかおのおやまへ、さあいそげ!」

 かくして目指すは高尾の御山。
 お江戸の西方、ちょっと西。
 テディくまたち一行は、
 剣を手挟み、
 草鞋を結び、
 手拭いひとふりふところに、
 やッと繰り出す門のそと。

 行き着けるのか、高尾まで。
 歩きつけるか、西のやま。
 語りはまだまだ続きます、
 巻の三へと続きます。
 ゆるりゆるりと
 のんびりほろろと、
 お待ちくだされ――
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第一巻

2007-12-31 22:29:54 | 新春特別編!
 さあさあ、良い子のみんな、寄っといで。
 坊ちゃん、嬢ちゃんも見ておいで。
 《うえぶ紙芝居》の始まりだ、
 さあさ、座ったり座ったり、
 飴玉いるかい、水飴ァどうだい、
 ほいよ、後ろの御子らも、よっく見な。

 いざや、語って聞かせましょう、
 昔むかしのその昔、
 花のお江戸のそのむかし、
 町を沸かせた騒がせた、
 テディちゃ頭巾のものがたり――


 **  **  **  **  **  **  **  ** 

「うんしょッ、こらしょッ、はァ、つかれたァ~」

 走っております、ころころと。
 小路を右へ、左へと、
 テディちゃ頭巾が走ります。

 寒がりで、何かにつけては頭巾を被り、
 あァやッぱりィずきんはぬくいィ、などと言っておりますところで、
 人呼んで、
 《テディちゃ頭巾》。

 はあ、なんと?
 頭巾なんか被っていないじゃないか、と?

 さよう、
 それには訳がございます。

 なんと、テディちゃ頭巾、
 追いかけられている真っ最中。
 
 こけつまろびつ、
 東へ西へ
 道から道へと進むうち、
 頭巾はふっ飛ぶ、
 草履は無くす。
 お腹は空いて、喉も渇いた。
 まったくもって困りもの。

 ぜんたい何者に追いかけられているか、と申しますと――

『やい、寄越せ!
 やれ、寄越せ!
 オマエが隠したことはお見通しだ!』

 飛来する黒い影!
 鋭い爪が狙うのは、テディちゃ頭巾の頭としっぽ。

「やめろォッ、
 テディちゃはァ、なにもォかくしてなんかいないやいッ!」

 払いのけ、押しのけ、えいッとゲンコツを振りまわし、
 するとそのうち、
 一斉に散る黒い影。

「あァ、よかッたァ、あれはッ」

 木戸をくぐって現れ出たのは、
 火の用心~と声を揃える見回りの小父さんたち。

「おうッ、テディちゃじゃねえかッ。
 早くけえんなよッ、今夜は北風が冷たいぜッ!」
「うんッ。ありがとう、おじさんッ」

 帰りたいのは山々ですが、
 はて、まっすぐ帰っていいものか。
 さっきの黒い影たちが、家へ襲い来ぬとも限らない。
 いやいや、
 そもがそも、
 なにゆえ奴等は襲ってきたのか?

「さッぱりィ、わからないなァ……?」

 どうしたものかとテディちゃ頭巾、
 黒いお鼻を一撫で、二撫で。
 と、妙案に膝を打つ。

「そうだッ、ネーさししょうにィ、そうだんしようッ!」

 そうだッそうだい、そうしよう、と。
 テディちゃ頭巾はえッこらさ、
 またまた、こけつまろびつ、小走りに。

「お~いッ、ネーさししょう~ッ!」

 はて、ネーさ師匠とは何者ぞ?
 黒い影たちの正体を、誰が知る?
 長い語りとなりまして、
 続きまするは第二巻、
 ゆるりゆるりとお待ちあれ。
 
                            [つづく]
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする