テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 中禅寺先生は、躊躇なし ~

2022-08-31 20:58:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さらばッ、はちがつゥ~!」

「がるる!ぐるっるるぅ!」(←訳:虎です!暑かったねぇ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 フルーツ売場の主役は、

 桃やスイカから

 梨とブドウ、リンゴ、柿へ……。

 秋の訪れを実感しながら、

 さあ、8月最後の読書タイムは、

 こちらのコミック作品をどうぞ~♪

  

 

 

    ―― 中禅寺先生 物怪講義録 06 ――

 

 

 Founderは京極夏彦(きょうごく・なつひこ)さん、

 漫画は志水アキさん、

 2022年8月に発行されました。

 『中禅寺先生が謎を解いてしまうから』

 と副題が付されている人気シリーズの第6作は、

 んまあ、いつにも増して

 先生の目付きの悪いこと。

 

「かおがァ、こわいィ~!」

「ぐるるがる~!」(←訳:良い人なのに~!)

 

 名探偵《京極堂》さんが

 誕生するよりもちょっと前の、昭和23年。

 

 都立美戸川高校にて

 国語の臨時教師をしている時代の

 中禅寺秋彦さんを“探偵役“に据えたこのシリーズでは、

 いままで、主な舞台は

 “学校の中”、でした。

 

 それが、この06巻では、

 “学校の中”は殆ど描かれず、

 中禅寺先生も、

 先生の助手役の日下部栞奈(くさかべ・かんな)さんも、

 “学校の外“で起きた事件に

 積極的に係わってゆきます。

 

 今日も、中禅寺先生がお仕事を終えて

 向かった先で。

 

「こッとうゥのォ、おみせッ!」

「がるぐるる~!」(←訳:今川さんだ~!)

 

 知人の今川さんが経営する、

 青山の『骨董 待古庵(まちこあん)』の戸を

 ガララと引き開けると、

 そこにはもう一人、知った顔がありました。

 

 体型ヒョロリ。

 風貌は飄々。

 の~んびりした口調の、

 伊佐間一成(いさま・かずなり)さん。

 

 釣り堀『いさま屋』を経営する伊佐間さんは、

 ここ数日、ある現象に悩まされているんです。

 

「だれかがァ~…」

「ぐるるるる……!」(←訳:ついてくる……!)

 

 それは、おそらく、

 質屋さんで買い物をして以後のこと。

 

 背嚢(はいのう)、

 つまりリュックサックを

 伊佐間さんが見つけて、買って、

 ひょいと背負って歩いていると。

 

「むむゥ! じィ~ッと、せなかにィ、しせんッ!」

「がるるぐる!」(←訳:怖いよこれ!)

 

 誰かに見られている、追跡されている。

 相談を受けた中禅寺先生は、

 背嚢を手に取り、詳しく調べます。

 

 目を惹くのは、

 伊佐間さんが、

 これが気に入って買ったんだ♪という、

 刺繍の文字。

 

 アルファベットの『F』に似たこの刺繍が、

 謎解きの突破口に……?

 

「さすがはァ、せんせいィ!」

「ぐるがるる!」(←訳:博識なんだ!)

 

 第25話『三竦みの調和』から、

 第29話の『背嚢と呪文』、

 そして

 謎解きとはさっぱり無縁で

 あっはっは♪と大笑いさせられる

 第30話『あの日の二人』まで。

 

 中禅寺先生の講義録は、

 ミステリをマンガで楽しみたい方々に

 おすすめですよ。

 もちろん、

 京極夏彦さん著《百鬼夜行》シリーズファンの方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 彼は、《神探》? ~

2022-08-30 21:02:41 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いざッ! じかんッりょこうゥ~!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!世紀を超えて!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 はい、本日の読書タイムは

 大胆不敵な時間SF……いえいえ、そうじゃなくて、

 風味絶佳なパスティーシュ作品を御紹介しますよ。

 さあ、こちらを、どうぞ~♫

  

 

 

 ―― 辮髪(べんぱつ)のシャーロック・ホームズ ――

 

 

 著者は莫理斯(トレヴァ―・モリス)さん、

 原著は2017年に、

 画像の日本語版は2022年4月に発行されました。

 『The Great Chinese Detective』と英語題名が、

 『神探福邇(しんたんプーアル)の事件簿』

 と日本語副題が付されたこの御本は……

 

「うわッ、ほんかくてきィ~!」

「ぐるるがるるぅーるぅ!」(←訳:本気のパスティーシュ!)

 

 時代はヴィクトリア朝、

 大英帝国の首都ロンドン――

 ではなく。

 

 19世紀も後半の、清朝末期。

 場所は、香港。

 

 代々、医を生業とする家に生まれた

 華笙(ホア・ション)さんは、

 下宿を探していました。

 

 戦争で傷を負った華さんは除隊し、

 休養ののち、

 香港で医師の仕事をすることになって、

   さあ、心機一転、

   家賃を節約しながら新たな住居を見つけよう!

 と考えてのことでしたが。

 

「ほあさんッ、ほあさんッ!」

「がるるぐる?」(←訳:ここはどう?)

 

 知人の譚発(タム・ファ)さんが

 持ち込んできたのは、

 或る人物が

 独身の借間人を探している、という

 またとないお話。

 

 西洋式の家を買ったはいいが、

 広すぎてイヤ、なんですって。

 

 その人物こそ、

 福邇摩斯(フー・アル・マオス―)さん。

 

 後代、《神探》と称賛される

 偉大な名探偵さんなのでした――

 

「わおおおゥ!」

「ぐるがるるぅ~!」(←訳:そう来たかぁ~!)

 

 もしも、

 かの名探偵さんの物語の舞台が

 ロンドンではなく、香港だったら?

 それも、同じ時代の?

 

 著者・モリスさんは、

 さらに意欲的に《聖典》をベースにした

 新たな創造を試みます。

 ストーリーや登場人物の名前などなど、

 あっちもこっちも、

 《本家》を参考に書き変えちゃったら?

 

「ぷふふッ!」

「がるる!」

 

 パスティーシュ=贋作、というと、

 怒る方々もいるかもしれませんが、

 清朝香港版名探偵さんの頭脳のキレっぷり、

 油断できませんよ。

 

 短編6作品で構成される

 異色の連作パスティーシュは、

 ミステリすきな活字マニアさんはもちろん、

 東洋史好きな方々にもおすすめです。

 巻末の訳者あとがきまで、

 どうか読み逃しなく~!

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ドラマのあとに、名作(快作)再読! ~

2022-08-29 20:59:29 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 おにィちゃァ~んッ!」

「がるる!ぐるるぅぅるっ!」(←訳:虎です!お兄ちゃぁんっ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 昨日8月29日夜放送の

 ドラマ『拾われた男』最終回には、もう、涙、涙、涙……

 そこで本日の読書タイムは急遽予定を変更し、

 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 拾われた男 ――

 

 

 著者は松尾諭(まつお・さとる)さん、

 単行本は2020年6月に発行されました。

 現在は文庫版も刊行されているこの作品を、

 拙ブログでは6月にご紹介したばかり、なのですが、

 敢えて! 再登場していただきましょう~!

 

「ふしぎなァ、のんふぃくしょんッ?」

「ぐるるるるがる!」(←訳:ミラクルなお話!)

 

 ディズニー・ジャパンとNHKエンタープライズが共同制作した

 BSプレミアムドラマ『拾われた男』の

 原作作品であるこの御本は、

 俳優・松尾諭さんの自伝風エッセイ……いえ、

 『半生記』でしょうか。

 

 1975年12月、

 兵庫県尼崎市に生まれた松尾さん。

 

 “タクシー運転手俳優になる!”

 という少年時代の夢は、やがて、

 “俳優になる!”へ変わりました。

 

「ならばァ、しょうぶゥなのでス!」

「がるる!」(←訳:東京で!)

 

 御本の前半部分は、

 上京して俳優になろう!なるんだ!と苦闘し、

 恋をし、オーディションに落ち、

 付き人兼ドライバーのお仕事を任され、という

 松尾さんの“下積みの日々”が中心となっています。

 

 それが、後半にさしかかると……

 シュールで苛立たしくて、

 なのにどこか、もの悲しい気配が?

 

「りゆうはァ~…おにいィちゃんッ!」

「ぐるるぅるがるぐるっ!」(←訳:お兄ちゃんたらもうっ!)

 

 アメリカに行くと言って家を出たきり、

 ず~っと会っていない兄・武志(たけし)さんが、

 病気で倒れ、入院している――

 

 急報を受けた諭さんは、

 鬱屈した思いを抱きつつも

 米国へ向かう機上の人となりました。

 

「あわわわッ、いろいろォたいへんッ?」

「がるるるるぐるる!」(←訳:入院費用や手続き!)

 

 騒々しくも賑やかな前半と、

 後半部分の切なさ、儚さ。

 

 ドラマ版『拾われた男』で

 諭さんを演じたのは、仲野太賀さん。

 そして、兄・武志さんを演じたのは、

 草彅剛さんでした。

 

 このお二人が、

 いえ、すべての出演者さんが、

 本当に本当にすばらしかった!

 

「とりわけェ、さいしゅうゥかいィ!」

「ぐるがる!」(←訳:驚嘆です!)

 

 原作未読・ドラマ未見の方々のためにも、

 これ以上のネタバレお喋りは控えます……けれど、

 阪神電鉄の武庫川駅のシーンには

 完全にこころを持っていかれてしまいました。

 

 川の上に架かる橋が

 ほぼそっくりホームになっている

 武庫川の駅。

 そこで諭さんが目にしたものは。

 

 私ネーさ、あの光景を忘れません。

 いつか行きたいです、阪神・武庫川駅!

 

「かならずゥ!」

「がるぐるる!」(←訳:あの場所へ!)

 

 松尾さんは、

 ご自身の来し方よりも

 兄・武志さんについて書きたかったのじゃないかしら。

 この御本は、自分の半生記、と見せて、

 実は、おにいちゃんの物語、なのじゃないかしら。

 

 などとつい想像してしまう『拾われた男』、

 ドラマ版はディズニープラスで配信中です。

 最終話はBSプレミアムにて

 8月31日午後11時~午後11時45分に

 再放送が予定されていますから、

 ぜひ、チェックしてみてくださいね。

 

「しょせきもォ、どらまもォ~」

「ぐるるるがるる~!」(←訳:おすすめですよ~!)

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ここに、一件落着? ~

2022-08-28 21:01:13 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 これにてェ、いッけんらくちゃくゥ~!」

「がるる!ぐるっ!」(←訳:虎です!ははっ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 奉行所のお白州に響く小気味よい声――

 はい、本日の読書タイムは、

 江戸の法曹システムをテーマとする

 こちらの新書作品を、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

     ―― お白州から見る江戸時代 ――

 

 

 著者は尾脇秀和(おわき。ひでかず)さん、

 2022年6月に発行されました。

 『《身分の上下》はどう可視化されたか』

 と副題が付されています。

 

「おぶぎょうゥさまのォ、めいさばきィ!」

「ぐるるるがる~!」(←訳:難事件も解決~!)

 

 近年、映像化されることは少ないものの、

 かつては大人気だった

 名奉行さんが主役の映画やドラマ。

 

 そこに登場するのが、

 奉行所の中に設えられた《お白州》であり、

 ドラマを大いに盛り上がる大舞台、と申せましょう。

 

「じつざいィ、しましたでス!」

「がるるぐっるるる!」(←訳:資料も残ってます!)

 

 《お白州》の構造は。

 

 その歴史の始まりは。

 

 以前は『庭』と記述されていたものが、

 『白州』へと変わったのは、いつのことか。

 

 裁判(公事訴訟)の仕組みや手続きが整ったのは、

 いつ頃のことか。

 

 そして――

 《お白州》内部の、

 秩序やルールとは?

 

「むむむッ! ややこしィ~!」

「ぐるがるる!」(←訳:複雑だよう!)

 

 法の名の下、

 物事にきっちりカタをつける、って、

 これがなかなか簡単には行かぬようです。

 《お白州》での席順、

 役人さんたちの服装、

 身分や、先例や、

 本当にもう、大混乱で。

 

 

 そしてまた、

 仕来り(しきたり)を長く積み重ねて、

 あれやこれやの法務が定まってきた、

 と思ったら――

 

「わわッ! ばくまつゥ~!」

「がるるぐるぅっる!」(←訳:維新が来ちゃった!)

 

 江戸から明治へ、

 法体制も大転換。

 

 2021年放送の大河ドラマ『青天を衝け』では

 描かれなかった新時代の裁判システムや司法の稼働、

 すなわち

 徳川体制下の《お白州》の終焉を、

 著者・尾脇さんは丁寧に追跡してゆきます。

 

 近代へ、

 さらには現代へも通じる

 ひとつの道筋を。

 

「じみィだけどォ~」

「ぐるるがる!」(←訳:大きな変化!)

 

 《お白州》から明らかになる

 江戸の社会と、構造と、歴史。

 

 近代史好きな活字マニアさん、

 時代劇好きなの方々にもおすすめの

 ノンフィクション作品ですよ。

 

 なお、徳川慶喜さんについて書かれたパートは

 あまり多くはないのですが、

 “最後の将軍“の革新者ぶりが伝わってきますので、

 『青天を衝け』ファンの方々も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ パリっ子たちの寵児 ~

2022-08-27 20:42:11 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ……むむッ? このォかおりィ~はッ!」

「がるる!ぐるるるるるがる~!」(←訳:虎です!おフランスの香り~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 画面から漂い流れるのは、

 フランス産有名ブランドのオードトワレの香り……

 はい、8月最後の週末は、いつものように

 読書タイムをちょっとサボり、展覧会情報をお送りしますよ。

 さあ、こちらを、どうぞ~♫

  

 

 

     ―― キース・ヴァン・ドンゲン 展 ――

 

 

 東京・港区のパナソニック汐留美術館にて、

 会期は2022年7月9日~9月25日(水曜休館)、

 『フォーヴィズムからレザネフォル』

 と副題が付されています。

 

「はなのォ、ぱりィ~!」

「ぐるるがるるるぐる!」(←訳:最高に華やかなパリ!)

  

 キース・ヴァン・ドンゲンさん(1877~1968)は、

 オランダに生まれ、

 ロッテルダムの美術アカデミーで学んだのち、

 パリに移り住んで

 モンマルトルにアトリエを構えた画家さんです。

 

 この展覧会では、

 ヴァン・ドンゲンさんがフォーヴィズムの画家へと

 成長してゆく過程に

 スポットが当てられていますが、

 ヴァン・ドンゲンさんを

 《エコール・ド・パリ》の画家さんであったと

 考えておられる方々も多いのじゃないかしら。

 

 実は、私ネーさも、

 《エコール・ド・パリ》の寵児として

 ヴァン・ドンゲンさんを見ておりました……

 

「だいにんきィ、でしたでスゥ!」

「がるっるぐるる!」(←訳:売れっ子なのだ!)

  

 1920年代のパリ。

 お祭りのような日々の中、

 社交界の婦人たちの肖像画を描いては名を挙げ、

 “時代の寵児“に上りつめたヴァン・ドンゲンさん。

 

 ただし。

 “時代の寵児“になるというのは

 危険なことです。

 その“時代”が過ぎ去れば、

 “寵児“は置いていかれてしまう――

 

 ヴァン・ドンゲンさんも、

 一時期は“忘れられた画家”扱いをされていました。

 

 けれども、イマ風に言うならば、

 その古さが逆に、

 “一周回って新しい“……!

 

 いまこうして新たな風が吹き、

 “寵児“ヴァン・ドンゲンさんへの

 再評価が進んでいます。

 

「ぱちぱちぱちィ~!」

「ぐるるるがる!」(←訳:やんやの拍手!)

 

 日本の美術館では44年ぶりの開催となる

 この企画展では、

 国内外の美術館に所蔵される

 ヴァン・ドンゲンさんの作品が展示されます。

 

 20世紀アート好きな方々は、

 ぜひ、汐留にお出掛けしてみてくださいね~♪

 

 

 

 

   では、ここでオマケ画像も!

   

   『ブルボン』さんのプチ・シリーズ新作

   《かまんべーるチーズビスケット》は、

   本気のチーズ味!

   「りあるゥ!」

   「がるるぐーる!」(←訳:確実にチーズ!)

   チーズのクリームが柔らかいので、

   少し冷やしてからいただくと

   美味しさが増す、ような気がします。

   それにしても、これは夏のお菓子じゃないわね。

   秋のお菓子だわ!……と次なる季節を先取りしながら、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

   

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ガイドさんは、雄弁に ~

2022-08-26 20:50:29 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きせつはァ、もうゥすぐゥ~♪」

「がるる!ぐーるるがるる!」(←訳:虎です!アートの秋だよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 夏が去り、

 秋風がゆるゆると吹き始めれば、

 はい、アート散歩の季節ですよね。

 本日の読書タイムは、こちらの御本で

 ミュージアム巡りの予行演習を、さあ、どうぞ~!

  

 

 

    ―― 私を美術館に連れていって ――

 

 

 著者は山下裕二(やました・ゆうじ)さん、

 壇蜜(だん・みつ)さん、

 2022年5月に発行されました。

 『いつでも鑑賞できるミュージアム』

 と副題が付されています。

 

 『週刊ポスト』に連載された

 《美術館に行こう》という記事を再編集し、

 単行本となったこの御本で紹介されているのは、

 美術館の《常設展》。

 

 そこには、企画展ほどの“特別感“は

 ないかもしれませんが――

 

「くうかんッ、ゆッたりィ~!」

「ぐるがるるるる~」(←訳:混雑してないよ~)

 

 本文中では、

 『東京国立博物館(法隆寺宝物館、東洋館)』

 を筆頭に、

 『岡本太郎記念館』

 『川崎市岡本太郎美術館』

 『JPタワー学術文化総合ミュージアム』

 『ちひろ美術館・東京』

 『神奈川県立歴史博物館』他、

 東京と神奈川エリアの

 14の美術館が取り上げられています。

 

 そして、贅沢なアート小旅行のナビゲーターは、

 『日本美術応援団』団長の山下裕二さんと、

 同じく『日本美術応援団』の団員5号である

 壇蜜さん。

 

「にんきもののォ~おふたりィ!」

「がるぐるる!」(←訳:絵になるね!)

 

 どちらを向いても名品、傑作ばかり。

 それが、有名な美術館の常設展示室。

 

 ここにはこんな国宝がある、

 重要文化財がある、

 この名作は見逃せない。

 

 そんなお話の合間に、

 さりげなく語られるのは、

 意外なことに

 『レプリカ』の重要性です。

 

 長期にわたる常設展示では、

 繊細な作品を照明などのダメージから守るため、

 レプリカも多く展示されている。

 

 けれど、

 ええ?本物じゃないのぉ?

 なんてガッカリすることはありません。

 

 3Dデータや3Dプリンターの活用、

 仏像は特殊樹脂を使って複製し、

 北斎さんの版画は実物大高細密複写を展示したりと、

 オリジナルの作品を劣化から守り、

 焼失してしまった作品も

 デジタル技術で推定復元する――

 そりゃもう、

 手間も気合も半端なくかかっています……!

 

「それがァ、さいせんたんッ?」

「ぐっるる~!」(←訳:びっくり~!)

 

 これは、

 本物の展示をおろそかにするのではなく、

 なによりもまず、

 “本物があってこそ”を前提に、

 貴重な収蔵品を

 未来へとつなげてゆく姿勢、でしょうか。

 

 次に美術館の常設展示室を訪ねるときは、

 ものすご~く精巧なレプリカに

 度肝を抜かれる!という

 新たな愉しみもアリそうですね。

 

「もうひとつゥ!」

「がるるぅぐる!」(←訳:忘れちゃダメ!)

 

 ええ、美術館を出る前には、

 ミュージアムショップとカフェを

 しっかりチェックいたしましょう。

 巻末には各ミュゼの人気グッズも載っていますよ。

 

 アート好きな方々、

 ミュゼガイドを読むのが好き!な方々に、

 おすすめの一冊です。

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♫

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 田中が、変えます! ~

2022-08-25 20:42:27 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♪るるゥ~♪まなつのォぴィ~くがァ~♪」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!名曲が今年も!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 フジファブリックさんの『若者のすべて』が

 今年もまたラジオから聴こえてきました……

 夏の終わりを実感しながらの読書タイムは、

 さあ、こちらのコミック作品を、どうぞ~!

  

 

 

    ―― 項羽と劉邦、あと田中 1 ――

 

 

 原作は古寺谷雉(こじや・きじ)さん、

 漫画は亜希乃千紗(あきの・ちさ)さん、

 キャラクター原案は獅子猿(ししざる)さん、

 2020年7月に発行されました。

 

「こううゥとォ、りゅうほうゥ!」

「……ぐるがる??」(←訳:……あと田中?)

 

 《項羽と劉邦》といえば、

 紀元前206年~紀元前202年に

 秦王朝滅亡後の覇権をめぐって

 西楚の項羽と漢の劉邦の間で起きた

 楚漢戦争(そかんせんそう)を指します。

 

 三国志(180年頃~280年頃)よりも前の、

 戦乱の時代を背景にした

 ふたりの英雄の対決は、

 古今のクリエイターさんを魅了し、

 小説、映画、TVドラマ、漫画、と

 さまざまな《項羽と劉邦》が生み出されています、が。

 

「むむむゥ! これはッ??」

「がる~!」(←訳:転生~!)

 

 現代の、つまり21世紀の東京で、

 フツーに会社員をやっている

 田中(たなか)さん。

 

 その田中さんが、いったいどういう訳か、

 《項羽と劉邦》の時代の古代中国へ、

 ふっ飛ばされてしまいました。

 

 いえ、正確には、

 《項羽と劉邦》前夜の時代、でしょうか。

 

 項羽さんも劉邦さんも、

 まだまだ、名を馳せるには至っておらず、

 けれど秦王朝崩壊の兆しがあちこちに窺え始めた、

 そんなところへ。

 

 田中さん、やって来ちゃった、のですね。

 

「かえりたいィ~よゥ!」

「ぐるがるるる!」(←訳:でも帰れない!)

 

 ここは、どこ?

 日本……じゃないの?

 帰りたいんだけどー!

 

 ああ……帰りたくても、帰る方法が分かりません。

 まずはとにかく、生き延びることを目標に、

 見知らぬ土地を歩き始めた田中さん、

 さっそくトラブルに巻き込まれてしまって。

 

「はやくもォ、ぴんちィ!」

「がるぐるる!」(←訳:誰か助けて!)

 

 “誰か”は現われました。

 

 危うい所を救ってくれたその人物から、

 田中さんは今いるここが

 秦王朝末期の古代中国である、と知ります。

 

 そして、どうやら、

 我が一族の者か!

 という、誤解もされちゃった?

 

「いちぞくゥ??」

「ぐるっる?」(←訳:誤解って?)

 

 窮地から助け出してくれたその人物の名は、

 田横(でん・おう)。

 

 横さんは、田中さんを

 田中(でん・ちゅう)と呼び、

 田(でん)一族の者であると早トチリ、

 いえ、認定してしまいます。

 

「ぷふふッ!」

「がるるっ!」

 

 思いがけず、古代の異国に

 “居場所“を得ることとなった田中さん。

 彼の眼に映るのは、

 刻々と迫る王朝の終焉、

 不穏な戦乱の気配。

 

 現代の日本に戻れるよう願う一方で、

 しかし、

 田一族を見捨てたくはない田中さんの運命は……?

 

「たなかさんッ、がんばッてェ~!」

「ぐるるるる~!」(←訳:くらいつけ~!)

 

 はたして、田中さんというファクターは、

 歴史を変えてしまうのでしょうか――

 

 コミカルな転生モノ、という以上の、

 インパクトある大冒険絵巻は、

 歴史好きな活字マニアさんにおすすめですよ。

 小説好きな方々は原作の小説版で、

 マンガ派さんはこのコミック作品で、

 波乱万丈な田中さんの古代世界時間旅行を

 存分に楽しんでくださいね~♫

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ それは甘く、美しく ~

2022-08-24 20:45:46 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きたぐにはァ~しんがッきィ?」

「がるる!ぐるがるぐるる!」(←訳:虎です!まだ8月なのに!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 北海道や東北では、もう新学期を迎えて始業式!

 という学校も多いそうですね。

 北の大地に実りの季節が訪れる様子を想像しながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♫

  

 

 

     ―― 古今東西スイーツ物語 ――

 

 

 著者は吉田菊次郎(よしだ・きくじろう)さん、

 2022年5月に発行されました。

 『The History of Sweets in Japan & the World』

 と英語題名が付されています。

 

「おかしィ!」

「ぐるーる!」(←訳:スイーツ!)

 

 古今東西、年代や性別を問わず、

 広く、長~く愛されているもの――

 お菓子。

 

 日本スイーツ界のマエストロである

 著者・吉田さんがこの御本で紹介しているのは、

 世界のスイーツの歴史と、

 ここ日本でのスイーツの歴史です。

 

「けッこうゥ、びッくりィ~!」

「がるるぐるがるる!」(←訳:意外なことだらけ!)

 

 ええ、そうなんです。

 西洋のお菓子の歴史?

 そりゃイタリアとフランスに尽きるでしょ。

 なんていうのは誤解で、

 まず驚かされるのは、本文38ページの↓この一文!

 

 《お菓子はギリシャ人の生活に深く結びついていった》

 

「……ぎりしゃッ??」

「ぐーるがぅるるるる!」(←訳:ローマじゃないんだ!)

 

 ローマ帝国時代の皇帝たちの食事が

 いかに豪華なもの、並外れたものであったかは

 有名なお話ですよね。

 必然的に、ローマのお菓子もすごかっただろうなぁ、と

 推測されますが。

 

 実は、お菓子の文化を果敢に開拓していったのは、

 古代ギリシャの人々でした。

 

 そもそも、

 人類が意図的に初めて利用した《甘味》は、

 果実であり、ハチミツだった、といいます。

 

 古代エジプトでは、

 パンが生まれ、ビールが生まれ、

 ナツメヤシの甘さが好まれ、

 それが古代ギリシャでは――

 

「こんれいのォ、おかしィ!」

「がーるるーるーる!」(←訳:バースデーケーキ!)

 

 ゴーフルのような、煎餅型の焼き菓子。

 ドーナツのような、揚げ菓子。

 チーズケーキの原点といえるお菓子。

 バターもヨーグルトも、

 ギリシャ時代にはかなり普及の兆しを見せていた、

 と吉田さんは語っています。

 

 この古代ギリシャの食文化が

 古代ローマに受け継がれ、

 中世、ルネサンスの時代を経て、

 近世の天才製菓人

 アントワーヌ・カレームさん(1784~1833)の手により

 爆発的進化を遂げる……!

 

「さいごにィ、きめたのはァ~」

「ぐっるるがるるる!」(←訳:やっぱりフランス!)

 

 歴史の転換とともに、

 完成へと近付いてゆく西洋のお菓子の世界。

 

 対して、ここ日本では、

 外来文化の浸透がお菓子の発展を促しました。

 唐から、南蛮から、米国や欧州から、

 海を超えてやって来る《甘味》が、

 どう変わり、どう定着していったか。

 

「ものすごくゥ~わかりやすいィでス!」

「がるるぐるる~!」(←訳:文章も楽しい~!)

 

 目に麗しく、

 こころに優しい《甘味》の歴史。

 

 お菓子好きな方々だけでなく、

 世界史好き&日本史好きな方々にも

 おすすめのノンフィクション作品です。

 いつも私たちにチカラを与えてくれる

 美味しいものへと感謝とともに、

 皆さま、ぜひ一読を~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 千年の旅をゆく ~

2022-08-23 20:47:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ♪るるゥ~♪はァるばるゥ~きましたァ~♪」

「がるる!ぐるる~♪」(←訳:虎です!京都へ~♪)

 

 こんにちは、ネーさです。

 いざ、京都の町へ。

 それも、海を越えて、大陸の西のはてから、

 はるばると京都へ――

 本日の読書タイムは“究極の京都本”ともいえる

 こちらの御本を、さあ、どうぞ~!

  

 

 

 ―― 清少納言を求めて、フィンランドから京都へ ――

 

 

 著者はミア・カンキマキさん、

 原著は2013年に、

 画像の日本語版は2021年7月に発行されました。

 

 それは、9月の京都――

 いえもう、東京もなかなか暑いんですけどね、

 京都で、夏で、といったら、やっぱり。

 

「あついィ~ッ!」

「ぐるるる!」(←訳:盆地の熱!)

 

 日本人もヘトヘトになる晩夏の京都へ、

 著者・ミアさんはやって来ました。

 涼しい北欧の国・フィンランドから。

 

 観光旅行、ではありません。

 これは、長期休暇制度を利用し、

 助成金を取得しての“学びの旅”で、

 目的は……

 《清少納言を研究する》。

 

「わおゥ! ようこそォ~!」

「がるるぐる!」(←訳:古典の都へ!)

 

 暑い暑い京都の町で、

 日本人女性を見習って日傘をさし、

 さっそく研究に取り組むミアさん。

 

 ただし。

 研究対象が清少納言さん、という点が

 ちょっとばかり厄介です。

 『源氏物語』なら、その作者の紫式部さんなら、

 いろんな言語に翻訳されていて、

 研究書も出版されていて、と、

 西欧社会ではけっこう知られているのです。

 

 比べるに、『源氏物語』以外の作品は……

 ややマイナーな?

 

「これからァ、でスよゥ!」

「ぐるるるがるぅーるぐるるる!」(←訳:これからメジャーになるんだ!)

 

 本分398ページに、ミアさんはこう記しています――

 

 《西洋の言語で

  あなたについて書かれているものはない》。

 

 そう、《あなた》とは

 清少納言さんのこと。

 

 ミアさんは、

 『セイ』と清少納言さんに語りかけ、

 問いかけながら、

 ゆっくり京都の町を歩き、

 図書館に通い、

 思いをめぐらせます。

 

 《セイ、

  何があなたに『枕草子』を書かせたのか》

 

「うむむぅ! しんぷるゥ~だけどォ」

「がるるぐるがる!」(←訳:急所を突く質問!)

 

 京都の四季、

 日本の文化や、歌舞伎見物。

 滞在中に起きた東日本大震災のため、

 いったんは国外へ退避したものの、

 再び京都へ。

 

 こうして、

 現代の悲劇と混沌を乗り越え、

 1000年の時を超え、

 ミアさんはいよいよ王手をかけます。

 

 『セイ』の《真実》、

 『枕草子』を著した動機とは――

 

「まるでェ、みすてりィ!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:かなりミステリ!)

 

 長編エッセイ作品、ではありますが、

 終盤の勢いはさながら探偵小説のような、

 ミアさんの《セイを探す旅》。

 

 本国フィンランドで大ヒット、

 イタリア語やドイツ語他にも訳され

 大好評を得たこの御本は、

 エッセイ好きな方々に、

 古典好き&旅好きな活字マニアさんに、

 いえ、全活字マニアさんに

 激おすすめの一冊ですよ。

 これから京都旅行にお出掛け予定の御方も、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 街角に、きらり ~

2022-08-22 21:06:24 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 がくぶるゥ~なのでスよゥ!」

「がるる!ぐるるぅ~…」(←訳:虎です!重いよぅ~…)

 

 こんにちは、ネーさです。

 いやぁ~もう、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第32回、

 ストーリーの重さ暗さに打ちのめされました……

 ここは何とかメンタルをリカバリーしなくちゃ!という訳で、

 さあ、本日の読書タイムは、

 こちらの御本で気分転換を、どうぞ~♫

  

 

 

       ―― よろずを引くもの ――

 

 

 著者は西條奈加(さいじょう・なか)さん、

 2022年5月に発行されました。

 《お蔦さんの神楽坂日記》

 とシリーズ題名が付されています。

 

「おしゃれなァ、おつたさんッ!」

「ぐるるがるぐる!」(←訳:今回も健在です!)

 

 地理的に見て、“東京の真ん中“に位置するのが、

 神楽坂(かぐらざか)。

 山手線が描く大きな円の、

 ほぼ中央あたりにあって、

 しかし不思議なことに、

 “昔っぽさ”というか、

 昭和の風情を湛えるお店や住宅は

 令和の今も現役で活躍しています。

 

 多喜本(たきもと)履物店を営む

 お蔦(つた)さんこと

 滝本津多代(たきもと・つたよ)さんも、

 孫の望(のぞむ)くんと暮らしながら、

 あっちに顔を出したり、

 こっちに呼ばれたり、と

 大忙しの毎日で。

 

「きょうもォ、およばれェでスかッ?」

「がるぐるるがるる?」(←訳:いや空気が重いよ?)

 

 大河ドラマの修羅場を想わせる

 シリアスな表情のお蔦さん……

 

 もちろん、その憂い顔には理由があります。

 

 最近、神楽坂商店街で

 大問題になっているのは、万引き。

 

 いえ、神楽坂商店街に限りませんよね、

 お店を経営している方々にとって

 万引きは到底看過できるものじゃありません。

 

 望くんは幼馴染の洋平(ようへい)くんと

 万引き犯特定作戦を開始したものの……

 

「あれれッ? どうしたのでスかァ?」

「ぐるるがる?」(←訳:消極的だね?)

 

 万引き犯を捕まえることに、

 あまり乗り気でなさそうなお蔦さん。

 

 いったいなぜ?

 と望くんたちは首を傾げますが……?

 

「せつめいィ、してくださいィなッ!」

「がるるる!」(←訳:お蔦さん!)

 

 長く神楽坂に暮らしてきた

 お蔦さんならではの、智慧と、機微。

 

 表題作品『よろずを引くもの』を含む

 7つの短編作品の中には、

 私たちの地元であるここ八王子が

 ちょっぴり登場する

 『山椒(さんしょう)母さん』

 もありました♪

 

 シリーズの愛読者さんにも、

 初めて読みます!という方々にも楽しめる

 《お蔦さんの神楽坂日記》最新作、

 本屋さんで、図書館で、

 ぜひ、探してみてくださいね~♫

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする