テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 赤レンガと、100年の画会 ~

2023-09-30 22:08:18 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ……おつきさまァ、みえなかッたでスゥ~…」

「がるる!ぐる~!」(←訳:虎です!無念~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 雲に遮られ、探せども探せども、中秋の名月は観られず……

 がっかりしましたけれども、

 さあ、週末ですよ♫

 気を取り直して、本日は読書……をサボり、

 ↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪ 

  

 

 

       ―― 春陽会誕生100年 それぞれの闘い ――

 

 

 東京・千代田区の東京ステーションギャラリーにて、

 会期は2023年9月16日~11月12日

 (月曜休館、ただし9/18・10/9・11/6は開館し、9/19と10/10は休館)、

 『Artists of Shunyo-kai Celebrating Its 100th Anniversary』と英語題名が、

 『岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ』と日本語副題が付されています。

 

 『春陽会(しゅんようかい)』とは、

 帝国美術院、二科会に拮抗する

 第3の美術団体として

 1922年に組織された美術団体です。

  

 『春陽会』が他の団体とちょっと違うのは、

 既に知名度&人気も高まっていた画家さんたちの会であった、

 ということでしょうか。

 

 小杉放菴さん、三岸好太郎さん、梅原龍三郎さん、

 中川一政さん、岡鹿之助さん、長谷川潔さん、

 木村荘八さん、岸田劉生さん……

 ふぅ、豪華で贅沢な顔触れですねえ。

 

「ふしぎなァ、なつかしさッ?」

「ぐるるるがる?」(←訳:レトロな感じ?)

 

 モダンなのに、どこかレトロに見えてしまうのは、

 今回の出展作品が、

 1920~30年代に制作されたものが少なくないため、かもしれません。

 岸田劉生さんの《麗子弾弦図》は1923年、

 長谷川潔さんの《アレクサンドル三世橋とフランス飛行船》は1930年……

 二つの世界大戦の狭間の時代に描かれたもの、ですね。

  

 この展覧会では、

 創立から1950年代頃までの『春陽会』の展開を、

 100点以上作品で辿ってゆきます。

 

 私ネーさのおすすめは、

 ↑いちばん上の画像の、

 チラシ(フライヤー)表側に大きく印刷されている

 岡鹿之助(おか・しかのすけ)さん(1898~1978)の作品!

 

 岡さんの作品は、

 まとめて収蔵・展示している美術館が無いために

 観賞できる機会も限られているのですが……

 

「ここではァ、てんじィされてまスゥ!」

「がるるるぐる~!」(←訳:お見逃しなく~!)

 

 秋のアートタイムは、

 駅から徒歩0分の

 東京ステーションギャラリーへ、

 ぜひ、お出掛けを♪

  

 

 

   では、オマケ画像も、じゃ~ん!

   

   中秋の名月に合わせて準備したのは、

   『山方永寿堂』さんの

   《お月見きびだんご》です。

   「でざいんッ、かわいィ~!」

   「ぐるるがるぐる!」(←訳:お月見仕様だね!)

   

   箱の中身は、

   岡山銘菓の《きびだんご》、ですわね。

   ぷにぷにのお餅菓子に豊作祈願しながら、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 秋の日に、ひんやり? ~

2023-09-29 22:06:56 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くんくんッ? むむむゥ~これはッ!」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!香りがするよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 朝ドラ『らんまん』最終回の余韻に浸っていると、

 銀木犀の香りが、ふわり……!

 秋の空気を深呼吸しながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

      ―― 怪談 青柳屋敷(かいだん あおやぎやしき) ――

 

 

 著者は青柳碧人(あおやぎ・あいと)さん、

 2023年5月に発行されました。

 『むかしむかしあるところに、死体がありました』で大ヒット、

 先頃は『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』が映像化された

 ミステリ作家・青柳さんの“趣味”は、

 怪談蒐集。

 

 この御本には、

 青柳さんが集めた怪異譚49篇が収録されています。

 

「……ううゥ! ほかのものをォ、あつめましょうよゥ~…!」

「ぐるるがるぐるるっるがる~」(←訳:ボタンとかマグカップとか~)

 

 ダメです、怪談です(←きっぱり)。

 

 友人知人さん、編集者さん、

 居酒屋さんで隣りに座った人、

 タクシーの運転手さん、

 そして、青柳さん御自身の体験も、と

 『青柳屋敷』に吹き寄せられてきた物語は、

 怪談……でありつつ、

 幽玄なファンタジー、

 ドタバタなコメディ風のものや、

 SFやホラー調も、と百花繚乱です。

 

 そう、例えば、

 修学旅行につきものなのは――

 

「こいばなッ!」

「がるる!」(←訳:枕合戦!)

 

 ……これは、青柳さんが、

 長らく教師をしていたお母さまから聞いたお話。

 

 その年の、三泊四日の修学旅行先は、京都でした。

 お喋りで盛り上がる一泊目の夜、

 慣れてきた二泊目、と旅程は進んで、三泊目の夜。

 

 ひとりの女の子の、様子がおかしいのです。

 押入れを全開にして、その前に正座をし、

 呟いている言葉は、

 

 ……どうしてついてきたの? 私、どうしたらいいの?……

 

「ひええッ!」

「ぐる~っ」(←訳:怖い~っ)

 

 どうやら《何か》が彼女に尾いてきちゃったらしいんですね、

 或る神社から、ずっと。

 女の子は困り果てていたのですが、

 幸いに、というか、生憎というか、

 修学旅行という大イベントは

 《何か》をそのまま放ってはおきません。

 

   なになに? なにごと?

   うちの部屋にオバケがいるって?

   オバケ?どこ?

   きゃあ!本当だ!

   えっ?あたし何も見えないよ?

   あたしは見えるー!

 

 というような具合で。

 

「……えェ~とォ?」

「がるるるぅ~…」(←訳:すごいなぁ~…)

 

 見える、いや見えない、と

 きゃあきゃあ大盛り上がりの女子生徒さんたち。

 そこにやって来た見回りの先生ふたりも、

 片方が“見える“タイプだったものですから、

 部屋が静まるはずもなく、再度のきゃあきゃあ。

 

 いやぁ、私ネーさ、

 こんなににぎやかな《怪談》には初めて出会いました。

 修学旅行ハイっていうのかしら、

 気分高揚中の学生さんには敵わないわね。

 

 そして、オバケ騒ぎの、結末は……?

 

「しッ! ひみつゥでス!」

「ぐるるるがる!」(←訳:ネタバレ厳禁!)

 

 『押入れの女』(83ページ)、

 『都会の熊』(112ページ)、

 『K城』(119ページ)――

 

 著者・青柳さんのセンスがきらきら光る

 妖しくもミステリアスな怪談短篇集を、

 秋の読書リストに、皆さま、ぜひ~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 馬像の長き迷走 ~

2023-09-28 22:07:54 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 みすてりィよりもォ~みすてりィ!」

「がるる!ぐるるるがるるるる?」(←訳:虎です!スリルとサスペンス?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ノンフィクション作品なのに、

 スリルとサスペンスはフィクション作品以上??

 本日の読書タイムは、これ本当にノンフィクションなの?

 と疑ってしまいたくなる怪作に登場していただきますよ。

 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― ヒトラーの馬を奪還せよ ――

 

 

 著者はアルチュール・ブラントさん、

 原著は2021年に、日本語版は2023年ん7月に発行されました。

 原題は『De Paarden van Hitler』、

 『美術探偵、ナチ地下世界を往く』と日本語副題が付されています。

 

「いまァよみがえるゥ~…」

「ぐるるがる!」(←訳:過去の亡霊!)

 

 1945年4月、

 ナチスドイツの帝国は迫り来る米軍とソ連軍の足音に

 屈しようとしていました。

 同月22日、ヒトラーは自死し、ベルリン陥落――

 

 このとき、多数の美術品が行方不明となったのは、

 よく知られている事実です。

 

「めいさくがァ、きえちゃッたのでス!」

「がっるるぐるる……!」(←訳:もったいないよ……!)

 

 そもそも、違法に美術品を接収したのがナチスで、

 その美術品を見つけるや大喜びで略奪したのがソ連軍で、

 現在もロシアの美術館に展示されている略奪絵画をめぐって

 度々ドイツ×ロシアは火花を散らしているほどですが。

 

 ここに、新たな火花が……!

 

「おうまさんッ、でスゥ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:ブロンズのね!)

 

 その馬像がただのブロンズ彫刻だったらよかったんですが、

 持ち主も、作者も、ただ者ではなかった――

 

 作者はヨーゼフ・トーラック、

 ナチスの御用作家、というべき彫刻家です。

 

 そして、馬像の主は、

 帝国の総統ヒトラー。

 

 高さ3メートル、重量は1トン、という

 巨大なブロンズ馬像は、

 ベルリンの総統官邸の庭、

 総統の執務室の窓からよく見える場所に設置されていたものの、

 ベルリン陥落の混乱の中で行方知れずに。

 

 おそらく、2体あった馬像は、

 ドイツ軍を憎むソ連の兵士たちの手で

 打ち壊されたに違いないと考えられ、

 敢えて探そうとする者もおりませんでした。

 

 ところが……?

 

「さいはッけんッ?」

「がるるぅ!」(←訳:嘘でしょ!)

 

 盗難美術品の発見や調査を専門とし、

 “美術界のインディ・ジョーンズ“とも呼ばれる

 著者・ブラントさんは耳にします。

 

 ヒトラーの馬が売りに出されている。

 馬像たちはベルリン攻防戦をくぐり抜け、

 秘密裏に保管されていたのだと。

 

 冗談だろ?とブラントさんの仲間たちは笑いますが、

 調査を進めるに従い、

 もしや、と思う気持ちが強くなってゆきます。

 馬像たちは、本当に……実在する、のかも……?

 

「こッこれはァ~…どうしよゥ??」

「ぐるるがるるるぅ!」(←訳:大事件すぎるよぅ!)

 

 官邸で壊されたのではなかったのか?

 大戦から70年、馬像はどこにあった?

 なぜいま、ブラックマーケットに?

 この像はコピーか?真物か?

 

 疑問と疑念を抱きつつ

 調査を進めるブラントさんたちの前に現れるのは、

 ナチス高官たちの異様な遺族、

 ネオナチの影、

 ソ連占領時代の闇、

 東ドイツ政府の監視体制、

 怪しい情報屋たちに、

 盗難美術品奪還に執念を燃やすドイツ警察――

 

 俄かには信じ難い出来事の連続に

 眼が回りそうになりますが、

 戦後はまだ終わっていないのだと

 痛感させられるノンフィクション作品です。

 歴史好き、特に近現代史好きな活字マニアさんに

 激おすすめですので、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ ゴロゴロゴロンと、手の上で ~

2023-09-27 22:08:28 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もうすぐゥ~おつきみィ!」

「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!29日だよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2023年のお月見は、9月29日金曜日……

 晴れるかな? 晴れてお月さまが見えますように!と期待しつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのアートブックを、どうぞ~♪

  

 

 

      ―― 藤田嗣治 安東コレクションより 猫の本 ――

 

 

 編者は軽井沢安東美術館の皆さん、2023年7月に発行されました。

 『Léonard Tsuguharu Foujita』と仏語題名が付されています。

 

 2022年10月、長野県北佐久郡軽井沢町にオープンしたのは、

 軽井沢安東(あんどう)美術館。

 日本初、いえ、世界初の、

 藤田嗣治(ふじた・つぐはる)/レオナール・フジタさんの

 作品だけを展示する個人美術館です。

 

「すべてェ、ふじたさんッ!」

「ぐるるるるるがるるるぐる!」(←訳:見事なまでに藤田さん一色!)

 

 安東美術館に収蔵されている藤田さんの作品は、

 約200点……!

 

 この御本では収蔵作品の中から、

 《美術館の看板娘》だという

 『パリの屋根の前の少女と猫』(1955)、

 同じく《看板猫》の

 『正面を向く猫』(1930)をはじめ、

 《猫の画家》フジタさんの名猫画の数々が

 紹介されています。

 

「かわいいィ~!」

「がるぐるるる!」(←訳:凶暴そうだよ!)

「ふわふわァでス!」

「ぐるがるるるぅ!」(←訳:牙を剝いてるぅ!)

 

 御本の表紙の《看板猫》さんのように、

 おとなしく座っているニャンコがいて、

 かと思うと、

 名作『猫の教室』(1949)では、

 床で引っくり返っているニャンコ、

 骨をめぐってケンカしているニャンズ、

 オシャレな教師ニャンコもいて、

 ワイルドかつエレガント。

 

 おお、本文14ページには

 『猫の教室』発表時のものでしょうか、

 1950年に撮影されたモノクロのお写真がありますね。

 

 壁に掛けられた『猫の教室』の前にいるのは、

 藤田さん御自身と、

 ジャン・コクトーさん!

 

「ためいきィ~…!」

「がるる!」(←訳:豪華だ!)

 

 数年前になりますが、私ネーさ、

 猫をテーマにした絵画や彫刻、ファブリック等を集めた

 イベントに行ったことがあります。

 

 何百ものニャンコたちがひしめき合う空間で、

 あ、この子がいい!

 と直感して近寄っていった先にあった作品には、

 藤田嗣治さんのお名前が。

 

 超リアルでは、決して無い。

 媚びてもいない。

 ときには変顔をしていたりもする。

 けれども、

 体温と、鼓動と、

 息づかいさえ感じさせる

 フジタさんの猫たち。

 

「だいすきィ~だッたのでスゥ!」

「ぐるるがる!」(←訳:生涯の友達!)

 

 絵画作品の他に、

 解説、藤田さんの略伝と年表、写真、語録、

 安東美術館設立の経緯も収録されていて、

 読み物としても大充実のアートブックです。

 

 ニャンコ好きな活字マニアの皆さま、

 ぜひ、ページを捲って、

 フランスの猫たちがゴロゴロ喉を鳴らす音に

 耳を傾けてみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 水底の、歴史と遺産 ~

2023-09-26 22:07:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まんたろうゥさァ~んッ!」

「がるる!ぐるるる~る!」(←訳:虎です!お寿恵さ~ん!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 最終週となった朝ドラ『らんまん』は、残りあと3回……

 終わってほしくないのに~と思ったりしながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、前回記事とつながるこちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 水中ミステリー ――

 

 

 著者は井上たかひこ(いのうえ・たかひこ)さん、

 2023年6月に発行されました。

 『THE UNDERWATER MYSTERY』と英語題名が、

 『海底遺跡と難破船』と日本語副題が付されています。

 

 前回記事でご紹介した

 『海賊たちは黄金を目指す』では、

 財宝を獲得せんと冒険(と迷走)に乗り出した

 “カリブの海賊“たちが主人公でした。

 

 《海賊》たちが闊歩する17世紀から、

 時は流れて、現代――

 新たな”海の王“として

 存在感を増しつつあるのが、

 水中考古学者さんです。

 

「もぐりィ~まスよゥ!」

「ぐるる!がるる!」(←訳:深海へ!水中へ!)

 

 水中考古学(Underwater Archaeology)は、

 仏の海洋学者ジャック=イブ・クストーさんが

 1943年にアクアラング(自給式水中呼吸装置)を

 開発したことがきっかけとなって発達した学問です。

 

 海洋冒険家による海底の財宝探しが主流であった初期を過ぎると、

 その目的は、古代の沈没船や海底都市の位置特定など

 文化遺産の学術調査に変わってゆきました。

 

 著者・井上さんは、

 数々の水中考古学調査で活躍する、

 日本の水中考古学のパイオニアさんです。

 

「ちちゅうゥかいィ!」

「がるるるぐるるる!」(←訳:カリブに北大西洋!)

「ちばけんッ!」

「ぐるるるがるるる!」(←訳:どこでも潜ります!)

 

 この御本では、井上さんが調査に参加したもの、

 現在は調査が終了(休止)している伝説的な海難事件、

 今後くわしい調査が行われる遺跡等、

 24の水中文化遺産のエピソードが取り上げられています。

 

 海の悲劇の代名詞となったタイタニック号、

 有名な海賊船ウィダ号、

 古代ギリシャの難破船、

 英国王の軍艦メアリー・ローズ号、

 そして、

 日本近海の遺跡も……!

 

「これがァ、おどろきィなのでスゥ!」

「がるるぐるる!」(←訳:すごく多いよ!)

 

 熊野灘で座礁した

 トルコのエルトゥールル号については

 広く知られていますが、

 その他にも、

 坂本龍馬さんのいろは丸や、

 琵琶湖の湖底遺産があったり、

 軍艦の捜索も。

 

 日本って水中文化遺産だらけなの?

 と、呆然としてしまう中で

 とりわけ目につくのは、

 戊辰戦争時のもの。

 

 薩摩藩士さんたちが乗り込んだ黒船ハーマン号、

 日本人による操縦で初めて太平洋を渡った咸臨丸、

 新政府軍の命綱になるはずだった開陽丸……

 ああ、惜しまれますねえ、

 開陽丸が無事であったなら、

 土方さんたちにも勝機はあったかもしれない……?

 

「れきしのォ、もしもッ?」

「ぐるがるるぅる!」(←訳:つい考えちゃう!)

 

 大陸から大陸へ、

 島から島へ、

 旅を試みた人びとの遺産とは。

 

 なお、コラムでは、

 水中考古学の定義と意義、

 水中文化遺産保護条約、

 海底探査に欠かせない機器や、

 遺物の所有権は誰に?

 という、水中考古学の基礎知識も

 説明されています。

 

 歴史好きな方々にはもちろん、

 水中考古学入門書としても

 おすすめですよ。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 求ム、黄金! ~

2023-09-25 22:06:53 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さささッ、さむゥ~??」

「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!風が冷たいよ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 朝夕の空気がひんやりしてきて、秋ですねえ♫

 熱中症の恐怖から解放されてホッとしながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 海賊たちは黄金を目指す ――

 

 

 著者はキース・トムスンさん、

 原著は2022年に、日本語版は2023年7月に発行されました。

 英語原題は『BORN TO BE HANGED』、

 『日誌から見る海賊たちのリアルな生活、公開、そして戦闘』

 と日本語副題が付されています。

 

 《海賊》――

 ものすごーくフィクショナルなようでいて、

 実はがっちりノンフィクションな存在が

 彼/彼女たち《海賊》です。

 

「えものォ、はッけんッ!」

「ぐるがる~!」(←訳:~宝を奪え~!)

 

 映画の方のカリブ海の海賊は

 フィクションというよりファンタジーですが、

 アトラクションのカリブの海賊には

 考古学的な“事実“がいくらか盛り込まれていて、

 往時の《海賊》ライフを偲ぶことも不可能ではありません。

 すなわち、

 

 けっこうキツイ。

 

「ぷふふッ!」

「がるる!」

 

 著者・トムスンさんはこの御本で、

 現実に起こった

 “ある海賊集団の略奪作戦”

 を活写しています。

 

 その事件の発端は、

 1680年の春、

 ひとりのプリンセスが誘拐されたことでした。

 

 現在の南米コロンビアと中米パナマの間のジャングル地帯、

 ダリエン地峡の先住民の、

 クナ族の王の孫娘が

 スペイン人にさらわれてしまった……!

 

「うわァ、たいへんでスゥ!」

「ぐるがるる!」(←訳:激突必至だ!)

 

 美しい孫娘を救い出すべく、

 スペイン要塞を襲撃しようと考えた王さまは、

 そこでしばし思案を巡らせました。

 

 我ら部族の戦士だけでは、

 数とチカラの点でいささか足りない。

 ならば、そうだなぁ……

 

 海賊を雇うか!

 

「ふァ?」

「がるる?」(←訳:本気で?)

 

 本気も本気の王さまが雇い入れたのは、

 カリブ海を根城にスペインの船舶や町を襲う

 『バッカニア』と呼ばれる海賊たち。

 

 かねてより『バッカニア』たちは

 スペイン人が金銀財宝を保管している

 パナマを襲撃したくてたまらず、

 現地の地理に明るい案内人を求めていて、

 一方、

 王さまはプリンセス救出のための武力が欲しい。

 

 利害が一致した両者は、

 同盟を結び、

 かくしてプリンセス奪還&パナマ大襲撃作戦の

 幕が切って落とされる……んです、が。

 

「ゆくてにィ~あんうんッ?」

「ぐるるるがるる!」(←訳:いろいろ想定外?)

 

 黄金、黄金、黄金。

 黄金の山を求めて、

 《海賊》の旅は続きます。

 

 多数決の重視や、

 日常のルール、罰則など、

 詳細に描かれる《海賊》の生活は、

 快適なものだったのか、

 それとも……?

 

 新旧《海賊》映画好きな方々に、

 歴史好きな活字マニアさんにおすすめの力作です。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 鵼(ぬえ)の探索 ~

2023-09-24 22:08:21 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ただもうゥ~いッしんふらんッ!」

「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!ひたすら読む!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 はい、本日の読書タイムに下手な説明は要りません。

 “読む愉しみ“をとことん味わいたいのなら、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 鵼(ぬえ)の碑 ――

 

 

 著者は京極夏彦(きょうごく・なついこ)さん、

 2023年9月に発行されました。

 著者・京極さんのデビュー作『姑獲鳥の夏』から始まる

 《百鬼夜行》シリーズの、17年ぶりの新作長編です。

 

「わおおおォ~!」

「ぐる~!」(←訳:拍手~!)

 

 どっしりずっしりな新刊は、

 単行本版と新書版が刊行されています。

 私ネーさは新書版を選んでみましたよ。

 表紙を飾る妖怪画は、シリーズ共通のものですね。

 そうして、肝心の、御本の中身はと言えば――

 

 《鵼(ぬえ)》。

 

 古い伝説の中に見え隠れする

 キメラのような化鳥をモチーフに、

 物語は幕を開けます。

 

「ひしょちィ、なのでスよゥ!」

「がるるぐるるがる~!」(←訳:外国の人にも人気~!)

 

 日光榎木津ホテルは、

 外国人観光客さんにも、日本人にも人気の、

 高級ホテルです。

 

 その高級ホテルの一室に滞在しているのは、

 作家の関口巽(せきぐち・たつみ)さん。

 今日もホテルの周囲を、

 どんより暗い表情で散歩している関口さんですが、

 おや、隣に誰かがいるようですね?

 

「あァ~あのォひとはァ~」

「ぐるるがるる!」(←訳:同じく文筆業!)

 

 劇団で脚本家をしている久住加嘉夫(くずみ・かずお)さんも、

 あららら、関口さん以上に暗い顔をしています。

 というのも――

 

 実は久住さん、

 ある”打ち明け話”に衝撃を受けてしまって、

 途方に暮れているのでした。

 

 久住さんもまた、日光榎木津ホテルに逗留し、

 新作戯曲を書こうと四苦八苦しています。

 なかなか上等なお部屋には

 専属のメイドさんがいて、

 彼女が言うことには。

 

   ―― 人を殺した ――

 

「あうううゥ?」

「がるぅ!」(←訳:出たぁ!)

 

 衝撃的な告白話に恐れおののき、

 しかし、久住さんの内心は

 どこかで納得していません。

 

 人を殺したって、いつ、どこで?

 誰を、どうして、どうやって?

 メイドさんの話は、何かがおかしい。

 ごく真剣に、

 嘘をつくつもりなど全く無しに話しているのは解るけれど、

 何か……何かが……納得できない?

 

 彼女の話のウラを取らねば、と

 関口さんと久住さんが、

 遠回りしたり迷ったりしながら、

 調査に取り掛かったちょうどその頃。

 

 東京で、探偵社の扉を叩く者が、ひとり。

 

「もしかしてェ、このォひともッ?」

「ぐるがるる……!」(←訳:謎がカブる……!)

 

 東京・神田の薔薇十字探偵社の益田(ますだ)さん、

 薔薇十字探偵社の所長・榎木津さん、

 警視庁麻布署の木場(きば)刑事、

 そして、

 古書店《京極堂》の主・中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ・あきひこ)さん。

 

 異なるルートから

 同じ一つの山頂を目指す登山者のように、

 彼らは日光に集います。

 

 はたして、山頂で彼らを待っていた《答え》とは……?

 

「はふゥ~~…!」

「がるぐるる~…!」(←訳:圧巻でした~…!)

 

 日光に、何がある?

 

 時代は、昭和29年。

 戦争の、戦前の色が、残留物が、

 まだ取り除けられていない社会を、

 《京極堂》と友人たちはどう片付け、整えてゆくのか。

 

 ファンとしては、

 久々に中禅寺さんや関口さんと出会えたこと、

 彼らのお喋りやウンチクを聞けたことが

 とっても嬉しくて、楽しゅうございました♫

 (ネタバレ回避のため、この辺りで自主規制いたしますw)

 秋の読書タイムに激おすすめの、

 2023年を代表するミステリ作品を、

 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 《光》を描く。 ~

2023-09-23 22:07:14 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わあおゥ! すずしィ~♫~♪」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!涼しい朝でした!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 秋分の日の関東は、なんと! 気温が低め!?

 暦の通りに秋が来たんだわ~と実感しながら、

 さあ、本日は読書……をサボって、

 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― テート美術館展 光 ――

 

 

 東京・港区六本木の国立新美術館 企画展示室2Eにて、

 会期は2023年7月12日~10月2日(毎週火曜休館)、

 『LIGHT Works from the Tate Collection』と英語題名が、

 『――ターナー、印象派から現代へ』と日本語副題が付されています。

 

「ろんどんからァ、きましたでスゥ!」

「ぐるがるるる~!」(←訳:一挙120点~!)

  

 英国のテート美術館&テート モダンの膨大なコレクションから、

 選ばれたのは約120点の名作――

 そのいずれも、

 《光》をテーマとした作品です。

 

 そして、120点のうちの100点が、

 日本初出品、なのだそうですよ。

 

「これェ、すきでェ~ス!」

「がるるるぐる!」(←訳:良いよねこれ!)

  

 展覧会のポスターなどに使用されているのは、↑こちら!

 ジョン・ブレットさん作

 『ドーセットの崖から見るイギリス海峡』(1871年)。

 

 凪の日の海峡に降り注ぐ陽の光は、

 詩歌の一節のような美しさですね。

 

「こッちもォ、おきにいりィ~!」

「ぐーるるがるぐるる~」(←訳:テートの本領だよね~)

  

 テート美術館で大人気なのは、

 ラファエル前派を中心とする

 18世紀後半~19世紀の美術作品です。

 

 この『光』展では、

 ウィリアム・ブレイクさん、

 エドワード・バーン=ジョーンズさん、

 ホイッスラーさん、

 ターナーさんの作品も展示されますよ。

  

 もちろん、テート・モダンからは

 現代美術の名品が数多く出展されます。

 

 ただ、↑上の写真の、

 オラファ―・エリアソンさんの作品『星くずの素粒子』や、

 リリアン・レインさんの作品『黄色vs紫』は、

 観賞できる時間が指定されていますので、

 詳細を美術館HPで確認の上、

 お出掛けしてくださいね。

 

 なお、『光』展はこの後、

 大阪中之島美術館へ巡回します

 (会期は2023年10月26日~2024年1月14日)。

 関西圏にお住まいの方々は、

 ぜひ、中之島美術館へお出掛けを♪

 

 

 

 

   では、ここで美味しいオマケ画像も!

   

   『YBC』さんの

   《ビスキュレ レモン》は……

   あらっ、ビスケット生地はサクサクで、

   クリームとレモンソースがしっとりしていて、

   つい――

   「ぱくぱくぱくッ!」

   「がるるる!」(←訳:おかわり!)

   おやつの食べ過ぎに注意しながら、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

   

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 鵼(ぬえ)の探索 《序》 ~

2023-09-22 22:05:31 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 わおッ! ずッしりィ~!」

「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!分厚い!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ええ、いま読書界で噂のアイツが、

 我が家に到着しましたよ……!

  

 京極夏彦さん著『鵼(ぬえ)の碑(いしぶみ)』、

 これがまた……!

  

 ノベルズサイズにして

 厚さ4センチ3ミリ、

 本文は2段組み、

 という大作です。

 

 著者の京極さん御自身が

 『鈍器として使える』

 と言っておられるだけのことはありますねえ……。

 

「じゅうりょうきゅうゥ、なのでスゥ!」

「ぐるるぅーるがる!」(←訳:超ヘヴィー級だよ!)

 

 この超級重量重厚本を

 数時間で読破することは、

 どうしたって無理で無茶で不可能ですから、

 本日は軽く”顔見世“するに留め、

 後日、あらためて御紹介したいと思います。

 

 《百鬼夜行》シリーズ17年ぶりの長編新作、

 そこでいったい何が起きるのか……

 皆さま、お楽しみに~♪

 

  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ エキゾたちと、新たな日々を  ~

2023-09-21 22:06:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうゥからァ、はッぴょうゥ~かいィ?」

「がるる!ぐーるるぅるがる!」(←訳:虎です!ゲームショウだよ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日9月21日から開幕するのは《東京ゲームショウ》!

 来年のヒット作は?どんな新作グッズが?と楽しく想像しながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 珍獣のお医者さん 1 ――

 

 

 著者は二宮香乃(にのみや・かの)さん、

 2023年8月に発行されました。

 『The Doctor for Exotic Animals』と英語題名が付されています。

 

「えきぞッ??」

「ぐるる!」(←訳:エキゾ!)

 

 エキゾチックアニマル――

 通称エキゾ。

 

 いわゆる“ペット業界“界隈では、

 犬猫以外のすべての動物を

 エキゾチックアニマルと呼んでいて、

 ヘビやトカゲなどの爬虫類、

 ウサギやモルモットなどの小型哺乳類、

 イモリやカエルなどの両生類、

 スズメやオウムなどの鳥類、

 アロワナやグッピーなどの魚類、

 クモやサソリなど無脊椎動物も、

 みーんなまとめてエキゾ、なんです。

 

 トカゲもモルモットも小鳥も

 一緒くたにしちゃっていいのか?

 と驚かされますが――

 

「ろんよりィ~しょうこッ!」

「がるるぐる!」(←訳:これを見て!)

 

 神無(かんな)くんは、

 大学を卒業したばかりの新人獣医さんです。

 動物病院に就職して、

 大好きなワンコたちのためのドクターになるのが

 子どもの頃からの夢だったんだ!

 と張り切っていた折も折、

 神無くんの身を悲劇が襲いました。

 

 犬アレルギー、発症……。

 

「あわわァ~…」

「ぐるるがる~…」(←訳:つらいねえ~…)

 

 試用期間が終わるや、

 お払い箱になってしまった神無くん、途方に暮れます。

 僕は、どうすりゃいいんだ?

 せっかく獣医師免許を取得したっていうのに、

 働く場所がないなんて。

 

 日本の動物病院は、殆どが犬猫専門のようだから、

 犬と触れ合えない僕は、もう……

 

「ちょッとォ~まッたァ!」

「がるるぐるるる!」(←訳:他にもあるよう!)

 

 そうだ、犬猫以外の動物の治療を行う、

 エキゾチックアニマル専門の病院がある!

 と、一縷(いちる)の望みを胸に、

 神無くんはネットで調べ当てた

 エキゾを専門とする

 『月光動物病院』へと

 面接に向かいますが……ひゃあっ?

 

「うおおッ、だいこんざつゥ?」

「ぐるがるる!」(←訳:緊急事態だ!)

 

 エキゾチックアニマルをたくさん飼っている近所のお家が、

 火事に……!

 トカゲやウサギやカメやヘビたちが

 火災で傷を負って、

 月光動物病院に次々と運ばれてきます。

 

 エキゾ?触ったことないよぅ?

 などと躊躇している場合じゃありません。

 新人獣医の神無くんも、いざ、治療のお手伝いを!

 

「がんばッてェ、かんなせんせいィ!」

「がるるぐぅるる!」(←訳:今こそファイト!)

 

 はたして神無くん、

 エキゾな動物病院にフィットできるんでしょうか。

 

 エキゾチックアニマルとともに暮らしている方々、

 ワンコ&ニャンコのオーナーさん、

 動物は好きだけれど事情があって飼えない方々にも、

 おすすめの新刊コミックです。

 大人はもちろん、

 小学生さんたちも、ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする