アイデンティティという概念を考え出したことで有名なエリクソンは、
愛(love)について述べている。
親から独立する成人期の前期の発達課題は、
「親密さや連帯感」を獲得すること。
それが出来ない場合、「孤立」となる。
「親密性」とは、
自分のアイデンティティと
他者のアイデンティティを融合する能力であり、
共有された同一性の感覚。
親密性が達成された場合の活力が「愛(love)」。
達成されない場合が「排他性(exclusivity)」である。
この発達理論は、世界中で起こる国と国の紛争にも当てはまる。
また、この親密性を獲得する過程における
対人的距離の取り方の難しさの比喩として
「山アラシのジレンマ」
が引き合いに出される。
人間関係が親密であればあるほど、
相手の棘(相手の自我)が自分を刺し、
こちらの棘(自我)も相手を刺す。
だから、お互いに適度の心理的距離を
保てることになるまでの葛藤として、
このジレンマが存在する。
愛が熟した時、人はその葛藤を克服し、
自分を失うことなく、
相手に与えることが出来るようになる…。
事件、紛争のニュースを見る度に思う。
人と人、国と国がいがみ合わないためには
決して排他的でなく
お互いを知り、違いを認め、
お互いを尊重し、与える
親密さ…愛が重要だと。