自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

過去最高?

2016年05月20日 18時02分16秒 | 自転車



海外ロケ、特にカメラマン兼務のロケから帰ると、
心身ともにズタボロになります。
いつもはまる1日寝て回復していたのですが、
今回はその時間がとれなくて、徐々に回復、という感じ。
通勤の平均パワーも8割ぐらいまで戻ってきました。


今回ラッキーだったのは、
ロケ前日に落車して痛めた右膝が、
バイクに乗れない1週間でうまい具合に完治したこと。
ふむ。よい方向に風が吹いている☆





毎年、富士国際に出るために
1月ぐらいから体を作り始めるのですが、
出られない今年に限って、いい具合に仕上がってます(泣)。
体重は57.6kg。
体脂肪は5.2%。
パワーウエイトレシオは4.2倍。
うお~、なかなかいい調子じゃないですか!
このまま体力が回復すれば、夢の1時間切りもできたかも…
6月ぐらいにプライベートで走りに行ければいいなあ。


次のレースの予定と言えば、6月26日のツールド美ヶ原。
チャリダーのロケで参加するので、ガチで走りたいぞ。
1ヶ月後か…維持したい!
というより、もっと上げていきたい!
でも、このコース走ったことないので、よい記録は望めなさそう。
だれかコースの特徴、走るコツを教えてください☆





ところで、新しいグッズを買いました。
ご存知「楕円チェーンリング」ですね。
ペダリングで力が入りやすい位置が「重く」
力が入りにくい位置が「軽く」なるように設計されているため
楕円になっています。


試した感想は…まったく違和感なし。
「あれ? 楕円に変えてたんだっけ?」
という具合。
私のペダリングと楕円の形状が一致しているからだと
思われます。
これがずれてると、「スカッ」と抜ける感じがしたりするらしいです。


本当にこれで「省エネ」につながるのかは
これから検証。
先日放送された「チャリダー大実験」もそうですが、
こうしてプライベートでテストして
効果がありそうなものを実際にロケで実験しています。
だって、効果がわからずにロケをして
「ぜんぶ効果ナシでした」となったら
番組になりませんからね。


ちなみにエアロ効果絶大だった「ふんどし」は
テストしてません。
さすがに「これも仕事だ」と言い張ったところで
ただの変態にしか見えませんからね…☆

なんとか帰国。

2016年05月16日 14時07分48秒 | チャリダー★



帰国しました!
撮りたい物はまだまだあったし、
もっとジロの中に身を投じていたかったのですが、
チャリダーのスタッフから
「Dがいないとこっちの仕事が進まないから帰ってこい」
との指令。

放送は毎週あるので、
毎日のように「試写」「構成打合せ」「ロケハン打合せ」などなど
私が決めねばならない仕事が山ほどあります。
いつまでもイタリアにいたら、スタッフのみなさんが困ることになります。


はいはい、帰りますよ。




一番近かったペルージャ空港へ。
ここから飛行機でローマへ移動し、
アリタリア航空で成田へと向かいます。
ところが直前になって、旅行代理店のHISより
「飛行機が無くなったから、ペルージャ→ローマはバス移動になります」
との連絡。
なんじゃそりゃ。

「ペルージャ空港では、空港カウンターではなくバスターミナルAにて受付をします。
 出発の1時間前にはバスターミナルAへ行ってください」

とのこと。





空港に着いて「ああ、来たか」と思った。


バスターミナルAが、見当たらない。

「きっとこのどこかがAで、どこかがBだったりするんだろう」
と思い直して、とりあえず出発1時間前までバール(カフェ)へ。





イタリアに来たらカプチーノ、と行きたいところですが、
私は牛乳がダメなので「カフェアメリカーノ」。
(ふつうのブラック。日本のアメリカンのように薄くはない)






コーヒーとパンとピザの香りが入り混じった
バール独特の匂い。
空港で働く人たちが、思い思いにカフェを楽しんでいる。
いい風景。
さて、そろそろ時間だ、バスターミナルへ向かってみよう。


しかし。


待てど暮らせど、バスは姿を現さない。
出発時間まで45分。
これは怪しいぞ。


飛行機が飛ばなくなったので
アリタリア航空のカウンターには人影なし。
仕方ないので、掃除のおっちゃんに聞く。
もちろん片言のイタリア語。

「このバスはどこに来るの?」
「あ~、そのバスはここじゃないぞ。
 ペルージャのダウンタウンのバスターミナルから出るんだ」


……まじかよ!
出発まであと30分しかないんだぞ!?


HISから送られてきた紙には
「空港のバスターミナルA」とある。
掃除のおっちゃんは「ペルージャのバスターミナル」だという。
もう少し待てば、バスが来るのだろうか?
それとも、ペルージャに向かった方が良いのだろうか?


あわてて日本のHISに電話。
「本日の営業は終了しました…」
いやはや、話が出来すぎだ。

タクシーのおっちゃんに聞いてみる。
「このバスはペルージャの街から出るのか?」
「ローマ行きのバスなんてペルージャから出てないぞ」


困ったもんだ。全員が違うことを言ってる。


「とりあえずペルージャのバスターミナルへ向かって!」
私はタクシーに乗り込んだ。
運転手のおっちゃんは「おまえ正気か?そんなバスは出ないぞ?」
と言い続けている。
「ワシがローマまで走ってやるぞ。300ユーロだ。ハーハーハー!」

こんな時にものんびり明るいのが、イタリア人の良いところか…。





おっちゃんは非常に安全運転で私を運ぶ。
「もうちっと飛ばしてくれないかなあ」と焦る私。
出発時刻まであと15分だ。

ペルージャの街は交通渋滞。
まったく車が進まない。
「ローマまで行ってやるぞ。400ユーロだ。ハーハーハー!」
値段上がっとるやんけ。


「とりあえずバスターミナルへ行ってくれ!」
おっちゃんは「ワシは知らんぞ」というジェスチャーをした。
私だって知らないよ。



街に入ったところで、おっちゃんが何かゴニョゴニョと話しかけてきた。
何を言っているのか、よくわからない。
「バスターミナルはどこだっけ?」と聞いているような気がする。
やべえなこりゃ。
私はローマまで300ユーロで(400ユーロではなく)
行ってもらうための交渉を、イタリア語で何と言うか考えだす。
ローマから成田への飛行機だけは、逃したくない。






出発時刻の5分前。
バスターミナルに到着!
……あった!
アリタリアのロゴが書かれたバス!
タクシーのおっちゃんは
「おお~、バスあったな。良かったな!」
と喜んでくれた。
「ありがとう! 助かったよ!」
私はチップを上乗せしておっちゃんに渡した。
「領収書をもらえない?」
「もちろんだ!」
おっちゃんはゴソゴソと領収書を取り出し、
1枚やぶって私に渡した。
「値段とか書いてくれよ。書いてないと意味ないんだ」
「おまえの好きな値段を書きゃあいいじゃないか! ハーハーハー!」
「いやだから、私はイタリア語書けないし…」
「いいんだ、そのまま持ってけ!
 好きな値段を書けばいいじゃないか!」





チャオ、と言いのこして、
おっちゃんは走り去っていった。
あ~あ、このタクシー代1万円、自腹かよ…






バスは時刻通り出発し、ローマへと走った。
バスの運転手は、Mr.マリックそっくりだった。
まだ何か起こるんじゃないだろうか?
不安になって、私はシートベルトをきっちり締めた。


とりあえず、私はジロデイタリアの会場でゲットした缶飲料をあけて
乾杯した。
明るいイタリアに。
今もレースを走り続けているチームの選手に。
今回の仕事を生んでくれた出会いに。


それからは順調に事が運んだ。
Mr.マリックは、サングラスをとったら
渡辺貞夫さんだったことが
唯一「起こったこと」だったぐらい平和だった。
というわけで、なんとか帰国しました。
これから編集に入るわけですが、そのまえに
ある「大事な仕事」があります。
ジロデイタリアの撮影は、かなり厳しい著作権に守られているため、
撮った映像の中で、どの映像が使えて、
どの映像が使用不可なのかをチェックする必要があるわけです。

そのへんの話は、また後日。
さあ、自転車乗りたいぞ、1週間ぶりに☆



ジロ潜入中です。

2016年05月14日 02時16分57秒 | チャリダー★



ジロ・デ・イタリア。

世界三大自転車レースのひとつ。
今年でなんと99回目。
なんとなく凄いことは知っていましたが、
やはり生で見ると、初めてわかることが
たくさんあります。







スタート、ゴール地点の群衆の多さはもちろんですが、
コース上の小さな村々でも、家族総出で応援している。
これほど老人のワクワクした笑顔を見たことがなかったし、
これほど子供達の「ダミアーノ!」「ビンツェンツォ!」という
憧れのこもった声を聞いたことがない。
そして観客は男性ばかりかと思っていたら、
女性の方が多いぐらい。
(カメラに手を振ってくれるのは必ず女性)





標高1400mの山頂ゴールに
バイクに乗って観戦に来ていた親子。
子どもは10歳ぐらいでしょうか。
どこまでも続く坂道を、父親を置き去りにして
スイスイ登っていった。
15年後、この子を取材することになるかも知れないなあ、と思いながら、
走る姿を眺めていた。





ゴールした選手たちを待つ「バスだまり」には
かならず子どもたちが待っている。
スタッフの私たちにさえ、憧れの目線を輝かす。
その眼差しがまぶしくて、思わず目を伏せてしまった。





1日に200km。
数日前には、イタリアの「つま先」のあたりにいたのに、
気づけばもうすぐトスカーナ(半島の真ん中あたり)。
しかし選手たちはまだ余裕の表情だ。
レベルが高すぎる…。





ゴールは午後5時。
全世界テレビ中継のため、この時間を基準にすべてのスケジュールが決まる。
8時起床。
レース3時間前に朝食。
レース直前にエネルギー補給。
お昼頃にレース開始。
ロードノイズをたてながら、平均時速40km/h以上で突き進む。
そして午後5時前後にゴールを迎える。
このタイムテーブルで、数千人のスタッフが動いている。
超巨大なキャラバン隊。





意外なのは、ホテル事情。
選手もスタッフも、主催者がホテルを決め、割り振る。
ゴール地点から100km近く移動する場合も。
今のところ、毎日他チームと同宿で、
一昨日はロットソウダル、AG2Rと。
昨日はジャイアントアルペシンと。
今日はトレック、アスタナと。
さっきロビーで、カンチェラーラが誰かと話してた。


とにかく巨大。
そして選手もスタッフも、この過酷な日々を1ヶ月続ける。
この熱狂と過酷さを、これまで私に実感させてくれるメディアに
巡り会いませんでした。
たぶん、この巨大さをお伝えするのが難しいのだと思います。
いやはや、がんばらないと…★

あ、今イタリアです。

2016年05月09日 03時07分30秒 | 自転車



編集を終えたと思ったら、
寝る間もなくバタバタ出国。
しかもバタバタに紛れて落車して(自転車でコケた)、右足を負傷。
踏んだり蹴ったり、這々の体でやってきましたよ、
イタリアの「土踏まず」のあたりへ。


イタリアは、先日も再放送してくれた
「自転車ふたり旅」のイタリアロケ以来、8年ぶり。
8年…。
あの番組、31歳のときに作った番組だったんだなあ。
あの時からずいぶん成長したような、
ぜんぜん進んでいないような。


とにかく、今、南イタリア。
今の時期に来ていることでお察しの方もいると思いますが、
世界のトップレース「ジロ・デ・イタリア」の撮影です。
選手もスタッフも日本人が多数在籍している
「NIPPO ヴィーニファンティーニ」というチームの密着取材です。
スタッフは私ひとり。ディレクター兼カメラマン。
専属通訳なし。
大丈夫かいな??


でもね、見たことない映像を撮るために、
いっちょ必死でやってみます!





ちなみに出国前に仕上げてきたのは、茂山モッピーと旅した京都~出雲の旅。
今週土曜日のチャリダーで放送です。
テーマは「補給食」。
ライド前の食べ物なんて何でもいいじゃん、と思ってましたが、
これがまたパフォーマンスをガラリと変えちゃうぐらいすごかった!


550kmの旅の素敵な出会いを楽しみつつ、
補給食の「へぇ~」も学べちゃう、オイシイ番組になってます。
ぜひお楽しみに~☆



※コメントのお返事、遅れてすんません。
 必ず返事しますので…★



うつわ。

2016年05月03日 02時24分42秒 | おしごと日記



また新しい相棒がやってきた。


祖母の家にあった備前の花瓶。

「これは人間国宝の花瓶。
 もし好きなら、私が死んだら持って行きなさい」

祖母が亡くなって6年、
故あって、私のもとへとやって来た。
共箱がないので、本当に人間国宝の作なのか、
誰の作かすら分からないのだが、
たいへん良い景色だ。
備前でこの景色を生み出せる人は、そうそういない気がする。


祖父を支え続けて、祖父が出世して、
家にこうした焼き物がやってきた。
それは祖母にとって、誇りだったのかもしれない。







私が茶器を集めだしたのは、高校時代。
初めて買ったのは、修学旅行先の奈良で出会ったこの茶碗。
一目惚れして、持ってた小遣いをはたいて買った。
友人たちに「なぜ修学旅行で茶碗?」と笑われた。




大学生になって全国の陶器の里を訪ね歩き、
その旅の中で知り合ったおばさまに、
「若いのに珍しいわね」と喜んでいただき、
さらに茶碗を頂いた。





常滑焼。
いただいた当時、私にはこの美しさが分からなかった。
「地味な茶碗だなあ。くれるならもらっておくか」
ぐらいの感じだった。
しかし、今はよく分かる。
光にかざすと浮き上がる、鈍色。
極薄手で均整のとれた作りは、
作者の腕の素晴らしさを物語っている。


頂いてから10年して、
ようやく良さがわかるようになったころ、
そのおばさまが亡くなったことを聞いた。


おばさまに、私の感じた良さを伝えておきたかった。
そんな後悔が、鈍色の模様に滲んでくる。



茶碗は、長生きだ。
ときどき茶碗が静謐に見えるのは、
長きにわたって、いろんな人の気持ちを
汲み取って来たからなのかもしれない。