
愛知県から はるばる
友達が来るので
浅草で待ち合わせ
この日に行くので 一緒に走れますかと
数週間前に連絡があり
夕方までの時間を空けておいた
「友達と走りに行く」という理由で
仕事のすべてのスケジュールを空けさせてくれた
うちの会社は素晴らしいと思う
現れたのは この男

男子部の伊織くん
他に用があったとはいえ
わざわざ来るということは
何か話したいことがあるのだろう

伊織くんが ホイールを貸してくれた
ボーラワン コンチネンタルのチューブラー仕様
私のROVAL CL50(チューブレス)は
強度を上げる必要上 それなりに重い(1460gぐらい)ため
持った瞬間「軽い!」と言ってしまった
走った感じは
漕ぎ出しの軽い 全教科75点の優等生という感じ
大きな欠点はないが 特徴もない
昔持っていた ボーラウルトラに似ている
オールマイティーが好きな人には響くのかもしれない
一教科だけ95点というような
とんがったホイールが好きな自分には
物足りなかった
私にはビターボの方が合ってるかな
でも 初めてのホイールで走るのは とても楽しかった

伊織くんは不思議な男だ
能力はバツグンで パワーでいえば私など足元にも及ばないのだが
ロードレースでは全く勝てない
原因はハッキリとわかっていて
一番にゴールする自分(または仲間)をイメージできないためだ
自分が弾を何発持っているか
どこでその弾を打てば良いか
ライバルにどこで弾を使わせるか
ゴールでライバルよりも自分の方が弾を残すように走るにはどうすれば良いか
その布石を考えて走れた者が勝つ
伊織くんは そういった展開とは関係なく
好きな時にアタックを仕掛け
好きな時に後ろに下がる
だからいつも 最後に体力を残せずに負ける
性格が直球で正直すぎるのだ
だが そこが皆から愛される所以でもある
もちろん私も大好きだ

70キロ 休憩しながら3時間
いろんなことをしゃべりながら走った
ここでは言えない 秘密の話を
どうも苦しいと思ってメーターを見たら
280W出ている
私は域値ギリギリで苦しいのだが
伊織くんは涼しい顔をしておしゃべりしている
試しにこっそり 300Wまで上げると
伊織くんも 話の途中の息継ぎが必要になって来る
どうやら伊織くんの域値は300W前後のようだ
突然 伊織くんが前方の橋を指差して
「あそこまで勝負しましょう」という
もちろん受けて立つ
牽制が始まる
どちらが先に仕掛けるか
橋の250mほど手前 早めに伊織くんがアタック
おそらく最後までもたないだろう
楽しくて我慢できない性分が出たな(笑)
タイヤが グワッ グワッ とうなる
その後ろにピタリと着く
これで私は伊織くんより30%少ないパワーで走れる
まさに必勝パターンだ
しかし
橋の100m手前でちぎられた
メーターを見ると
1168Wだった
それなのに 後ろに着いていて千切られてしまった
バケモンだ…
3本勝負して
3本ともカンタンに千切られた(笑)

ゆっくりコーヒーでも飲もうと思い
3軒に電話したが
ぜんぶ休みだった
仕方なく荒川沿いの休憩所に向かうも
そこも工事中で自販機すら使えず
2人ともハンガーノック寸前

浅草に戻り ようやく開いてる喫茶店を発見
窓が広く 自転車が目の前に見えるため
安心して入れる
カフェ ライゼ
浅草4−48
ドイツのソーセージを使ったホットドッグは絶品
おすすめです

レースでは監督の指令を聞かず
怒られてばかりだったけれど
伊織くんは男子部の潤滑油だった
伊織くんがいなければ 男子部は
うまく行かなかったと思う

最後は上野駅でお別れした
「そろそろ大キュンとか大ちゃんとかで呼んでくれよ」
と言ったが
「絶対できません」
と断られてしまった(笑)
またな 伊織!
また悩みがあったら走りに来いよ!