自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

さよなら女子部。

2017年11月30日 11時08分41秒 | チャリダー★



今週のチャリダー★は、
「坂バカ女子部 卒業スペシャル」。
生みの親の一人としては、
なかなか感慨深いものがあります。
いつかやってくる日。
たとえば娘が嫁いでいく日のような。





毎朝、朝練した日々が懐かしい。
私たちスタッフは睡眠時間2時間生活だったし、
大宅さんは毎回片道40km自走して駆けつけてくれた。
でも、おかげでステテコさんは走りながらボトルの水を飲めるようになり、
佐藤さんはギヤチェンジが上手になった。
そうして全員で作って来た、坂バカ女子部。


彼女たちは素晴らしくて、この2年の間に
自分の道をそれぞれ切り開いて行きました。
もう番組の力、坂バカ女子部の肩書きがなくても、
きっとすばらしい未来を手にしてくれると思います。


今週土曜の拡大50分スペシャル。
ぜひ皆さんでエールを送ってあげてください!



…さあて、寂しくなっちゃった猪野監督と
坂バカ遠足にでも行ってこようかな★


ブレイン。

2017年11月26日 02時27分19秒 | おしごと日記



チャリダーがはじまって5年。
ひさびさに50分時代のチャリダーを見てみたら、
けっこう変わってきたんだな、と思った。


前の方が良かったという人もいるかもしれないし、
今の方が好きだと言う人もいるでしょう。
とにかく意識し続けてきたのは
常に新しい事にチャレンジし続ける番組であること。
レギュラー番組だからといって、同じ仕立てで続ける事だけは禁じてきた。
その結果が、変わった、という事なのだと思う。


たとえば近年あたらしく企画した事でいうと、
坂バカ遠足、坂バカ女子部、接待ライド、大運動会、愛車写真の旅、教えてドクター、チャリダー実験室、トラック特集、全日本選手権ドキュメント。
ね、けっこう新しい事やってるでしょ。
ひねり出すのにけっこうな時間がかかっております。
夜、誰もいない会社で、ずーっと天井見ながら考えていることも多いし、
日曜日の大平山ライドの途中、たんぼ道で考えていることもある。


今のところ枯渇を感じたことはないけれど、
いつも思うことが一つある。

「だれか相談できる相手がいたらなあ」


たとえば、なんとなく一緒に走りに行って、
途中でいろんなアイデアのバカ話で笑って、
ポロっと新しいアイデアが形になる。
そんなブレインがいたらなあ、と思う。


思いながら、いまも新しいアイデアを
会社のデスクで考えてるんですが。



ちなみに12月の放送予定の回でも
いろいろとあたらしい遊びをやっておりますので、
どうぞお楽しみに。
バカすぎて賛否が分かれるかもしれませんが……★

きみが好きだ。

2017年11月15日 02時33分20秒 | おしごと日記



編集スタジオに詰めていたら、
遠くから「Dスケ!」と呼ばれた。
ビックリして落としたパンを拾って顔を上げると、
笑顔が近づいてきた。


自転車ふたり旅でお世話になったYさんだ。
当時、若気の至りで、この雲の上ぐらい偉い人に
だいぶ歯向かったのだけれど、
それ以来ずっと気にかけてくれて、
「また一緒に何かやろうな!」と声をかけてくれる。


「おい、いつ企画持って来るんだ。ったく、全然持ってこないんだから。
 募集期間中だっての知ってるよな?
 よし、待ってるぞ。
 あと今さ、Sと仕事してるんだよ。新番組で。
 知ってるだろ?
 君のことが大好きだって言ってたよ。
 (注:S氏はこの人と同じくらい偉いオジサン)
 すごい褒めてたよ、Dスケのこと。
 人気者だな。
 それじゃあな。企画待ってるぞ」


嵐のようにしゃべり倒し、風のように行ってしまった。
しかし、この一瞬は私の脳に濃く焼きついた。



S氏というのは、長いこと番組を一緒にやらせてもらった人なのだが、
ついぞ一度も褒めてもらえなかった「思い出の人」だった。
どんなに全力投球をしてもダメだったので、
何度も自分の限界を感じた。
そしてS氏を心から喜ばせられずに離れてしまったことを悔やんでいた。

なんとそのS氏が、褒めていたという。
しかも大好きなのだという。
これはすごいことだ。
きっとこの言葉ひとつのおかげで、
これから1年ぐらいは全力疾走できるくらい、私は
エネルギーをもらった。



Yさんは演出家だから、
これは演出かもしれないし、何気なく伝えただけかもしれない。
しかし確かなのは、私が莫大な幸せとエネルギーをもらった
果報者であるということか……。

夢食う人々。

2017年11月03日 04時41分01秒 | おしごと日記




暖かい午後、
イノッチが会社に来てくれて、
まったりと話をした。
イノッチと何かやりたくて考えた企画が
5年も続いているよ、と。
イタリアを旅していた頃には
想像もできないことをやっている。
かつてあったプロトンという店のカウンターで
イノッチと語り合った夢が形になっている。


私が考え、イノッチが具現化する。
その喜びと反省をつまみに
未来の話をあてどなく。
腹が痛いほどよく笑った。





昔、私にこう言った人がいた。
そんなに夢物語を語ってもムダだろうと。
ありえない話じゃなくて、もっと現実的なことを話しなさいと。
でも、やっぱり夢物語は楽しいし、
夢物語をしないことには、夢が実現する可能性はゼロだ。



走ってみたい道、始めたいプロジェクト、行ってみたい国。
夢を食って生きられない、とは言うけれど、
やっぱり夢は最高においしい。

さあ、来年にむけてどんな夢を描こうかな…☆

ごろうさん。

2017年11月01日 02時38分01秒 | 自転車



筧五郎さんと走ると、なぜ楽しいのだろうか。


乗鞍のレース後の長い下りを、
五郎さんのそばで走ったときのこと。
私の前を走る人が、コーナー(ブレーキング)のたびにフラついていた。
目の前で突然落車されたら困るので、
「この人の前に出ておきたい…」と思った。
ふと左を見ると、さっきまで隣にいた五郎さんが
3mほど後ろに下がっていて、
「わはは!」
と笑った。


これはすごいことだ。
なぜなら、その3mは私が左に逃げるためのスペースで、
笑ったのは、私の考えを手に取るように分かっていたからだ。



私は、一言も発していない。
右に逃げられるかチラッと確認したら、右にスペースはなかった。
距離を開けるために後ろに下がろうかとも思ったが、
後ろの人がビッタリ張り付いていて下がれない。
このまま前の人が落車したら、私もアウトだ。
しかし左を見ると……天の助けか、スペースが空いているではないか!
しかも、自転車1台分とちょっとだけのスペース。
『君の技量なら、ここに入れるでしょ?』
と、そのスペースは語っていたのだった。


舌を巻く、とはこのことだ。
おそらく、集団全員の動きを観察して、
その中で自分や私がどこにいるべきか考えた時に、
私がキョロキョロしていたのが見えたのかもしれない。
私など、路面とカーブを見るのに
精一杯だった。



私は、五郎さんと走った経験など
この乗鞍の下りぐらいなものだ。
それでも驚きと楽しさの連続だった。
もっともっと一緒に走りたかったし、
そのまま2時間のパーソナルコーチをお願いしたかった。
この人が近所にいたらいいなあ、と
何度も思った。





五郎さんによれば、プロとしてやっていた頃は超絶のビンボーで、
裏切られたことも、裏切ったこともあるし、
もちろんスランプなんて数えきれないほど経験しているという。
「人生が軌道に乗っている」と感じられたのは
ほんの最近のことではないかと思うくらい、
五郎さんの人生は傷だらけだ。


しかしおそらく、その経験の全てが、
サイクリストたちへの目線に生きている。
しかも言葉に衒いや嘘が一切ない。


そんな人と走れるのは、なによりの安心感があるのだろう。
何にも隠す必要のない安堵感。
全力には全力で返してくれる達成感。
それが五郎さんと走る「楽しさ」なのかもしれないなあ、と
数少ない五郎さんとのライドを思い返しているのだった。