エルムンドの第一夜、ご覧頂きありがとうございました!
タンザニアの絶景はいかがでしたか。
どうぞ皆様のご意見ご感想、どしどしNHKあてにお送りください。
好評なご意見が多ければ、今回も完全版への道が開かれます!
(もちろんその逆もアリ…)
さて。
アホたちと自転車で西へ向かったお話。
(※書いたらものすごく長くなっちゃった。ヒマな人だけ読んでくださいませ…)
夢は1日300km。
ロングを走ったことのない
新ジョカトーレ(C59)とおニューのシューズ(Rapha)の具合を確かめたいこともあり、
Facebookで地獄の道連れを呼びかける。
もちろん参加資格は「アホ」であること。
意外と「自称アホ」は少なく、名乗りをあげてくれたのは5名のみ…。
カフェ・プロトンを6時半出発!
1名は連絡すらとれず不参加っぽいので、
4名で発つことにした。
(写真の普段着の人は見送り組…ありがたいことです)
6時30分に世田谷を発った
「アホ4名西へ向かう」ツアーの概要はこうだ。
1、タイムリミットは日没。
2、とにかく遠くへ行く。浜名湖まで行けたらうれしい(300km)。
3、帰りは輪行の日帰り。
4、脱落者は途中の駅で見送り、残ったメンバーで旅を続ける。
参加者4名の内訳は、
猪野学(アホ俳優)/林D(アホディレクター)/小川マサオ(アホなアパレル系)/落合寛幸(アホデザイナー)
※参加賞としてアホの称号を差し上げただけであり、
ご本人の人格を否定する意図があるわけではございません。
とりあえず国道246号線を西へ、積雪が予想される箱根を迂回し、
静岡県沼津市から海沿いを行くコースを選んだ。
長距離走行のため、まずはペースづくりのため林Dが先頭をゆく。
巡航は32km/hに押さえて走る。
30km地点で猪野学氏と先頭交代。
ここで最初のお笑いが発動する。
なんとまあ、猪野氏の輪行バッグのでかいこと!!
しかもシートポストにビニールテープでぐるぐる巻きにしてあるのだが……
これがペダリングする太ももに当たってプリプリプリプリ左右に揺れる。
後ろを走る私は、おかしくて笑いが止まらない。
しかも。
ホイールは「アルパイン」の超やわらかホイール(柔らかすぎて力が逃げちゃう)。
ギアは調整が行き届かずカラカラカラカラといっこうに決まらない。
どうやらローラー台練習用車両で来たらしい。
でも800mlのボトル2本に水満タンは
「休憩する気さらさらなし」の意思表示。
さすが俳優・猪野学。
笑いが止まらないので、私は猪野氏と離れて最後尾に着くことにする。
50キロ地点。
「俺、燃費悪いんです。補給させてください」と
マサオ氏が申し訳なさそうに切り出した。
メシを食うならちゃんと店に入った方が体が冷えないのだが、
猪野氏の「休憩なしで突っ走って300キロ行く!」というオーラに誰も意見を言えず
コンビニでの簡易休憩となる。
気温は4度。北風3m。
とりあえず高カロリー食をかきこんで即出発する。
ここで4人を絶句させる事件が発生した。
なんと、気付いたら国道246号線を離れ、いつのまにやら
太平洋に出てしまったのだ!
看板には「藤沢」とある。
どうも道が狭くなったな~と思ったら、やっぱりか。
これはつまり、箱根を超えるしか道がなくなったということだ。
箱根を通れば、体力の消耗激しく時間もロスする。
しかも積雪は確実で路面凍結の恐れあり。
マサオ氏は「うわあああ~」と天を仰ぎ、
猪野氏は300kmが遠のいたことを実感して「………」となり、
落合氏は「???」と混乱している。
林Dだけが「面白いことになった!」とゲラゲラ笑っている。
笑っている場合ではない。純粋に危険なのだ。
しかしもはや登る以外に道はなし。
ここで落ち込む男たちに林Dが新たな提案をした。
標高800mの箱根峠は凍結で危険だ。
途中から別ルートで仙石原→御殿場方面へ抜ければ箱根峠は避けられるぞ、と。
男たちは「そんな隠しルートがあったのか!」と色めき立った。
しかし、これはさらなる地獄への序章だった。
地図を見て下りかと思っていた御殿場方面への道は、延々と上りだった。
やがて沿道に雪がちらほら見えてきた。
燃費の悪いマサオ氏がハンガーノックでダウン寸前だとぼやく。
そこに林Dがとどめの一言。
「お~い、標高800m超えたよ~」
なんと、箱根峠を迂回する乙女峠トンネルは標高810mあったのだ。
箱根峠と変わらないじゃないか。
気温はすっかり氷点下。
道はブラックアイスバーン。
大変なことになった……
でもキレイな富士山を見て、すっかり悪夢を忘れる4人。
地獄の下りはその勢いで豪快に下って、
なんとか元気に箱根をやり過ごしたのであった。
氷点下の下り坂は寒かった。
しかも北風が猛烈に吹き始めた。
相変わらずのコンビニ休憩での会話もなくなった。
「俺たちゃ一体何をやっているのだろう?」
きっと全員がそんな邪念にとらわれていたと思う。
170km地点ですでに午後3時。明らかに浜松なんて着く訳がない。
しかし「降りる」とも言えない。
もはや集団の惰性で走っていた。
言い出しっぺなので、必死に先頭を引っ張った。
後ろに着いたマサオ氏は意識もうろうの「無の境地で走ってた」らしい。
超絶に速いはずの落合氏にも疲れの色が濃い。
しかしここでまさかのご褒美が炸裂する!
「太平洋自転車道」!
広くて走りやすい!
山の南側を走るので横風が緩和されてる!!
ここで4人のテンションはMAXを振り切った。
…と思ったのもつかの間、極楽の道はとつぜん砂利道へと変わり、
そしてその砂利道は川に当たって行き止まりとなった。
なんというアトラクション。
静岡市は粋なことをなさる。
ウロウロと道を探し、排気ガスの溢れる国道1号線へと戻る。
ああ、もうすぐ日没だ。
西日が赤みを帯びてゆく。
距離は200キロを超えた。
交代で先頭を引いていた猪野氏と私の速度も落ちてきた。
すると、ハンガーノック陛下のマサオ氏がとつぜん先頭に躍り出た。
無言の背中で「ここからは自分が引きます!」と言ってくれていた。
涙が出そうになった。
これだ。これが人と走る醍醐味だ。
…と思った瞬間、マサオ氏はすごい速度で、
後ろを振り向かず行ってしまった。
他の2人はかろうじてマサオ氏に着いていった。
私だけ体よく千切られてしまったようだ……。
かっ飛ばす3人を必死に追いかけ、
ようやく静岡駅で、3人が道を誤ったスキに追いついた。
なのでゴールはめでたく4人。
ここで日没を迎える。
走行距離215km。
獲得標高1920m。
消費カロリー6461kcal。
なんとなく不発な感じも無くはないが、
この季節にやったことは「少しアホ」くらいは言えると思う。
なのでこの4名は今日から「少しアホ」を名乗って良いと思います。
すっかり忘れていたが、新フレームとシューズの具合はバツグン。
ロングライドしても体にこたえることはなかった。
両足のアキレス腱がちょっと痛んだので、クリートの位置をずらしてみよう。
次は暖かくなったら「アホ北」でもやろうかな?
きょうもエルムンド・タンザニアの旅でお会いしましょう!!