土曜日
仕事を終えて、乗鞍へ向かう
24時20分に自宅を出発
乗鞍までの距離 262km
徹夜には慣れている
50時間ぐらいは普通に起きていられる
でも 車の運転は別
どんなに睡眠をとっていても すぐに眠くなってしまうのだ
不安を抱えて首都高から中央道へ
ひたすらガムを噛み続ける
出発して4時間
なんとか無事に乗鞍観光センターに到着
出演者たちが来るまで1時間あるので
あとから来るスタッフに寝てる旨をメールし
急いで仮眠
すると 15分後
「着きました!」という電話で起こされる
もう少し寝ていたいからメールしたのに…

台風一過で3年連続のフルコース
頂上付近は風強め
走るかどうか 迷っていた
寝ずに走るとタイムがどうなるかは
なんども経験して知っているから
出発前の体重 56.2kg
去年よりさらに1kg絞れている
パワーも格段に上がっている
体を仕上げるために いろんなものをガマンして来た
だからこそ 中途半端なタイムを出すぐらいなら
走りたくなかった
見ると 五郎さんがいた
全身傷だらけだ
「もう走れるんですか?」と聞くと
「走れるわけないじゃないですか」という
2度の落車にギックリ腰
体のバランスはガタガタで
まともに1時間以上漕げないのだという
なぜ走るのか?と聞くと
「走らなくなったら 自分の夢が終わってしまう」
そう答えた
40を過ぎて 体はボロボロなのに
この先に まだ見果てぬ夢があって
そこに向かって走り続けている
ひょっとしたら 無理かもしれないけれど
夢に向かって走っていないと 生きていることにはならないのだという
ちょっと寝不足なくらいで 出ようか迷った自分が恥ずかしい
全力で走ることに決めた

他の出演者のスタートを撮影してたら
自分のクラスに並ぶのが遅くなり
最後尾でスタート
私のクラス(40代前半)の参加者は約500人
去年はド先頭からスタートしたので
脚のあるグループと一緒に走れて
1時間13分
今年は…周囲には同じくらいの脚の人は見当たらない
ひたすら「右通りま〜す!」を連呼しながら
追い抜いていく
走り始めてすぐ
嫌なことに気づかされた
脚が重いのだ
特に太ももの裏側 ハムストリングスの元気がない
ハムちゃんの疲労が抜けてないのは
徹夜特有の症状だ
260Wキープで行きたいのに250Wキープがやっと
それでも 最後まで250Wキープできれば
目標の1時間05分に近いタイムは出るだろう
とにかく集中する
第1チェックポイント 三本滝(7km)
19分10秒
去年より40秒短縮
8km地点
ようやく脚の合いそうな人を見つけて声をかける
「一緒に行きましょう!」
そこからは先頭交代を繰り返しながら
「右通りま〜す!」を連呼
しかし2kmほどで 気付いたらその人は千切れて
いなくなっていた
再び一人旅
250Wキープがキツい
気がつくとパワーが落ちて来るのを奮い立たせる
こういうときはどうするか?
とにかく無駄を省き ペダリングに集中する
丁寧に 丁寧に
上げる脚をしっかり上げて
踏み込む足は 12時からスッと力をフェードインして
4時ごろからフェードアウトさせる
知っているチームの人がいると
声をかける
「クエストさん頑張って!」
「スカイベリーさん頑張りましょう!」
帰って来る声が 息も絶え絶えだった(笑)
みんな限界ギリギリで頑張っているのだ
知らない者同士だけれど 今は同じ目標を目指す仲間だ
12km地点
前方で何やら騒いでる人がいる
大声で何かを叫び続けているのだ
こんなレース中に いったい何事かと思ったら
よく聞くと私の名前を叫んでいるではないか
「Dスケ〜! 行け〜!」
目を凝らして見ると うじきさんだった(笑)
ヒルクライム初出場のうじきさん
後ろにいる私にどうやって気付いたのだろうか
「Dスケ〜! 頑張れ〜!」を連呼する
「よく気づきましたね!」
「おおDスケ〜!! 行け〜!!! おわ、スゲー速ぇな〜!!」
この人は 何事も全力の人だが
応援も超全力だった(笑)
涙が出そうだった
私が抜いた後も 周りの選手たちに
速い速い あいつはディレクターなのに…とかなんとか
ずっと話しかけていた
なんというバイタリティ…
あんな元気な還暦になりたいものだ
うじきさんの応援をもらって
気持ちのスイッチがもう一段入った
ドリンクを飲むと呼吸が止まるので ドリンクを捨てた
そしてよだれを拭くことをやめた
出るもの出っぱなし
1ミリも体力を無駄にしたくない
第2チェックポイント 位が原(15km)
49分50秒
ベストより2分速い
しかしやはり 1時間05分は絶望的
なんとか1時間10分は切りたい
そのためには 一度でも気が緩んだらアウトだ
パワーは相変わらず出ないので ペダリングに集中し続ける
ここからの5kmがとにかく長い
標高2000mを超えて 空気は薄いし
勾配も結構ある
ゴールが見えるのに 近づいてこない
おまけに下山が始まって 右車線が走れなくなり
追い越しがしにくくなる
「右通りま〜す!」
何人抜いただろうか
相変わらずの一人旅
時たま 後ろからスタートしたクラスの猛者が抜いていくので
数秒だけ後ろに着かせてもらうが
また一人旅
あとで聞いたことだが
この辺で坂バカ女子部の佐藤綾衣を抜いたらしい
あの目立つウェアが目に入らないほど
ペダリングに集中していたということか…
残雪の4号カーブを曲がる
パワーが出ない
なんとか230Wをキープする
「Dさん ラスト!!」
下山の選手たちの中にいた文平くんだ
文ちゃん あんな大声出たのか というくらい
大きな声で応援してくれた
フルもがきでゴール!
1時間09分56秒
自己ベストを3分17秒だけ更新
29位/491人
ただただ悔しい
1時間05分を出すために 1年間トレーニングして来たし
今年は仕事が不規則で ウェイトを絞るのが大変だった
でも 全力でやり遂げたので 強烈に清々しい
そしてまた 来年も来る理由が出来てしまった
頂上で 恒例の同窓会
今年は風が強くて タイムが出なかった人が多かった
みんなで悔しそうにしていたのが おかしかった

GOKISOのブースにホイールを持っていき
メンテナンス
かっこいいリムのホイールがあって
何かと聞いたら GOKISOが1から作ったオリジナルのリムだという
すごい ついにリムまで作ってしまった
重い重いとバカにされ 相手にされなかった時代を超えて
ついにどのメーカーも諦めて来た「国産リム」を作ってしまった
その夢を実現するパワーに脱帽だ
ディスクブレーキ仕様のホイールと合わせて
発売開始が待ち遠しい

大人になってから 全力で何かをする
という機会は少ない
坂を登るという 無駄なことを全力でやり遂げて
みんな最高の笑顔だった
一緒に走ってくださった皆さん
ありがとうございました
またどこかの坂で 全力でお会いしましょう★
仕事を終えて、乗鞍へ向かう
24時20分に自宅を出発
乗鞍までの距離 262km
徹夜には慣れている
50時間ぐらいは普通に起きていられる
でも 車の運転は別
どんなに睡眠をとっていても すぐに眠くなってしまうのだ
不安を抱えて首都高から中央道へ
ひたすらガムを噛み続ける
出発して4時間
なんとか無事に乗鞍観光センターに到着
出演者たちが来るまで1時間あるので
あとから来るスタッフに寝てる旨をメールし
急いで仮眠
すると 15分後
「着きました!」という電話で起こされる
もう少し寝ていたいからメールしたのに…

台風一過で3年連続のフルコース
頂上付近は風強め
走るかどうか 迷っていた
寝ずに走るとタイムがどうなるかは
なんども経験して知っているから
出発前の体重 56.2kg
去年よりさらに1kg絞れている
パワーも格段に上がっている
体を仕上げるために いろんなものをガマンして来た
だからこそ 中途半端なタイムを出すぐらいなら
走りたくなかった
見ると 五郎さんがいた
全身傷だらけだ
「もう走れるんですか?」と聞くと
「走れるわけないじゃないですか」という
2度の落車にギックリ腰
体のバランスはガタガタで
まともに1時間以上漕げないのだという
なぜ走るのか?と聞くと
「走らなくなったら 自分の夢が終わってしまう」
そう答えた
40を過ぎて 体はボロボロなのに
この先に まだ見果てぬ夢があって
そこに向かって走り続けている
ひょっとしたら 無理かもしれないけれど
夢に向かって走っていないと 生きていることにはならないのだという
ちょっと寝不足なくらいで 出ようか迷った自分が恥ずかしい
全力で走ることに決めた

他の出演者のスタートを撮影してたら
自分のクラスに並ぶのが遅くなり
最後尾でスタート
私のクラス(40代前半)の参加者は約500人
去年はド先頭からスタートしたので
脚のあるグループと一緒に走れて
1時間13分
今年は…周囲には同じくらいの脚の人は見当たらない
ひたすら「右通りま〜す!」を連呼しながら
追い抜いていく
走り始めてすぐ
嫌なことに気づかされた
脚が重いのだ
特に太ももの裏側 ハムストリングスの元気がない
ハムちゃんの疲労が抜けてないのは
徹夜特有の症状だ
260Wキープで行きたいのに250Wキープがやっと
それでも 最後まで250Wキープできれば
目標の1時間05分に近いタイムは出るだろう
とにかく集中する
第1チェックポイント 三本滝(7km)
19分10秒
去年より40秒短縮
8km地点
ようやく脚の合いそうな人を見つけて声をかける
「一緒に行きましょう!」
そこからは先頭交代を繰り返しながら
「右通りま〜す!」を連呼
しかし2kmほどで 気付いたらその人は千切れて
いなくなっていた
再び一人旅
250Wキープがキツい
気がつくとパワーが落ちて来るのを奮い立たせる
こういうときはどうするか?
とにかく無駄を省き ペダリングに集中する
丁寧に 丁寧に
上げる脚をしっかり上げて
踏み込む足は 12時からスッと力をフェードインして
4時ごろからフェードアウトさせる
知っているチームの人がいると
声をかける
「クエストさん頑張って!」
「スカイベリーさん頑張りましょう!」
帰って来る声が 息も絶え絶えだった(笑)
みんな限界ギリギリで頑張っているのだ
知らない者同士だけれど 今は同じ目標を目指す仲間だ
12km地点
前方で何やら騒いでる人がいる
大声で何かを叫び続けているのだ
こんなレース中に いったい何事かと思ったら
よく聞くと私の名前を叫んでいるではないか
「Dスケ〜! 行け〜!」
目を凝らして見ると うじきさんだった(笑)
ヒルクライム初出場のうじきさん
後ろにいる私にどうやって気付いたのだろうか
「Dスケ〜! 頑張れ〜!」を連呼する
「よく気づきましたね!」
「おおDスケ〜!! 行け〜!!! おわ、スゲー速ぇな〜!!」
この人は 何事も全力の人だが
応援も超全力だった(笑)
涙が出そうだった
私が抜いた後も 周りの選手たちに
速い速い あいつはディレクターなのに…とかなんとか
ずっと話しかけていた
なんというバイタリティ…
あんな元気な還暦になりたいものだ
うじきさんの応援をもらって
気持ちのスイッチがもう一段入った
ドリンクを飲むと呼吸が止まるので ドリンクを捨てた
そしてよだれを拭くことをやめた
出るもの出っぱなし
1ミリも体力を無駄にしたくない
第2チェックポイント 位が原(15km)
49分50秒
ベストより2分速い
しかしやはり 1時間05分は絶望的
なんとか1時間10分は切りたい
そのためには 一度でも気が緩んだらアウトだ
パワーは相変わらず出ないので ペダリングに集中し続ける
ここからの5kmがとにかく長い
標高2000mを超えて 空気は薄いし
勾配も結構ある
ゴールが見えるのに 近づいてこない
おまけに下山が始まって 右車線が走れなくなり
追い越しがしにくくなる
「右通りま〜す!」
何人抜いただろうか
相変わらずの一人旅
時たま 後ろからスタートしたクラスの猛者が抜いていくので
数秒だけ後ろに着かせてもらうが
また一人旅
あとで聞いたことだが
この辺で坂バカ女子部の佐藤綾衣を抜いたらしい
あの目立つウェアが目に入らないほど
ペダリングに集中していたということか…
残雪の4号カーブを曲がる
パワーが出ない
なんとか230Wをキープする
「Dさん ラスト!!」
下山の選手たちの中にいた文平くんだ
文ちゃん あんな大声出たのか というくらい
大きな声で応援してくれた
フルもがきでゴール!
1時間09分56秒
自己ベストを3分17秒だけ更新
29位/491人
ただただ悔しい
1時間05分を出すために 1年間トレーニングして来たし
今年は仕事が不規則で ウェイトを絞るのが大変だった
でも 全力でやり遂げたので 強烈に清々しい
そしてまた 来年も来る理由が出来てしまった
頂上で 恒例の同窓会
今年は風が強くて タイムが出なかった人が多かった
みんなで悔しそうにしていたのが おかしかった

GOKISOのブースにホイールを持っていき
メンテナンス
かっこいいリムのホイールがあって
何かと聞いたら GOKISOが1から作ったオリジナルのリムだという
すごい ついにリムまで作ってしまった
重い重いとバカにされ 相手にされなかった時代を超えて
ついにどのメーカーも諦めて来た「国産リム」を作ってしまった
その夢を実現するパワーに脱帽だ
ディスクブレーキ仕様のホイールと合わせて
発売開始が待ち遠しい

大人になってから 全力で何かをする
という機会は少ない
坂を登るという 無駄なことを全力でやり遂げて
みんな最高の笑顔だった
一緒に走ってくださった皆さん
ありがとうございました
またどこかの坂で 全力でお会いしましょう★
