自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

乗鞍本番。

2022年08月30日 00時47分20秒 | 自転車
いよいよレース本番がやってきた
冬から秘密コーチと続けてきた特訓の成果が試される
そして人体実験の成果も…



前日は五郎さんと「ペンションのりくら」で相部屋
21時には消灯して さあ眠ろうと思ったが
ドキドキして午前1時まで眠れなかった


それだけこの日に賭けてきたということだ
体重は3月から1ヶ月1kgのペースでうまく落ちていき
8月に入った時点で56kg台になった
直前3日間は ともすれば食事を減らしがちなので
あえてしっかり食べて 前日計量で56.5kg
試走は2日前に終わらせ 前日は軽く足を回す回復走を1時間
筋疲労もうまく抜けている



4時起床
カステラを6切れ
VELOFORTEのバーを1本
レース1時間前にジェル400kcalと
BETA FUELのエナジードリンク(320kcal)をちびちびと飲んでおく



午前8時10分 スタート
同じくらいの脚のメンバーと一緒にスタート
4.4倍ぐらいを狙おうと走り出すが
男子部の伊織くんが元気に先頭で5倍で引く
その後ろに私
そして五郎さんの弟子のマー君
ドM組合のリーダー
デストラのメンバーと続く

気がつくと伊織くん 私 マー君の3人になっていて
私もオールアウト寸前(笑)
3.5km地点でちぎれ回復に努めるが
まったく回復しない


今年もやっちまった(笑)
あれほど自分のパワーの限界を計算して
オールアウトだけはしないようにと誓ったのに…


しかもそこからは 脚が合う人が見つからず
延々とひとり旅だった


三本滝 18分50秒 260W



ひとり旅状態になると パワーが上がらない
三本滝から中間地点まで どんどんパワーが下がっていく
奮い起こしても すぐにタレる


後半になって 下山組の方が声をかけてくれて
気持ちが復活
声をかけてくれた皆さん 救われました


位が原 49分10秒 244W


目標より4分遅い
これは自己ベストもギリギリだと
気持ちを入れ直すが
時すでに遅し(笑)


ゴール 1時間09分00秒133 239W


手元のサイコンでは8分58秒だったが
計測チップは無情にも9分を0.133秒オーバー
「1時間8分です(59秒だけど)」と言えないではないか(笑)


自己ベストは更新したが
またもや目標にぜんぜん届かず
呆然としてしまった





伊織くんは1時間06分半
五郎さんは1時間08分57秒
意外とみんなタイムは伸びなかったんだな…



ゴール後 先日のイベントでご一緒したチームの方が
会いにきてくれた
イベント中に目の前で落車して大怪我をされたのだが
だいぶ良くなったようで うれしかった





ペンションのりくらで お疲れ様カレーをいただいた
あれだけ食べてから走ったのに 腹ペコで
胃袋に染みた


あまりにも悔しくて
もう一度チャンスが欲しい! と思ったが
そのチャンスは1年後
これがレースの面白さなのだ
悔しさをもらえただけ 出た甲斐があった








……さて。
ここからはデータの分析に入らねばならない



まず 高地対策がどうだったのかを考えたい



前回(2019)はFTP比 ー15%
今回はFTP比 ー13%

なんと2%向上していた!
2%というのは かなり大きな差である
1年でFTPを2%上げるのは 大変な労力がかかるが
わずか10日前からの高地滞在で得られたとすれば
効率的な作戦である

さらに言えば
先ほどのデータを思い出していただきたい
位が原からゴールまでのパワーが
位が原までのパワーからそれほど下がっていない
ゴール後に いつもの高山病の症状も全く無かったし
これはかなり効果があったと考えて良さそうだ


では パワーの数値が前回よりも上がったのに
なぜタイムが出なかったのか?


前回の自分の走りと 今回とを比べると
単独走行の時間が長かったことが 一番の違いだった
五郎さんが1時間01分を出した時
最後まで一緒に走るメンバーがいたことが大きかったと話していたが
平均時速20km近くで走っていれば
空気抵抗の影響はとても大きい


クラス順位を考えず タイムだけを狙いたければ
自分の場合 チャンピオンクラスでの出走がベターかもしれない





タイムが伸びず ショックが大きくて
悔しくて 帰りの車で涙が止まらなかったが
今年の乗鞍は得るものが大きかった
来年は高地順応に加えて
チャンピオンクラスでタイムを測ってみようと思う



さあ 何はともあれ
今シーズンの第1目標をクリアしたので
今週は揚げ物を食べまくろうと思います(笑)



↑テーマは「昭和」だそうで(笑)

高地合宿 その2。

2022年08月27日 10時24分47秒 | 自転車
雨は徐々に大粒となって
本降りとなった


空気が徐々に漏れ出ていると思うと
少しの衝撃すら与えたくない
路面が濡れて 走行音がしなくなると
ホッとする



足尾から奥日光の標高差は800m
落ち着いて考えたら49kmを2時間で走り切れる訳がない(笑)
いろは坂を4倍で25分
低気圧タイヤなので ダンシングをすると
タイヤが剥がれるのではないかと怖くなる



中禅寺湖が見えてきた!
かろうじて空気は残っているっぽい
ここまで来れば歩いても帰れる







そしてついに
奥日光温泉へたどり着いた





重圧からの解放というのは
何歳になっても良いものである




ここで衝撃的事実が私を待っていた


ゴールして ずぶ濡れの中ひとりガッツポーズをし
どれぐらいタイヤの空気が残っているか 確かめたら…



愕然とした
足尾で触った空気圧のままだった



タイヤの空気が抜けてズルズルしている感触とか
ダンシングするとボヨンボヨンと跳ねる感触は
すべて自分が作り出した妄想だった(笑)



自分の感覚に 割と自信があったのだが
あまりにアテにならない事が公然と判明し
ニヤニヤが止まらなかった(笑)






奥日光の滞在は3日間



色々あったので
走行距離は300kmと伸びなかった



3日目には頭痛が消えたが
パワーの数値が上がるほどまでの順応はしなかったし
何より1500mでの睡眠は
回復に時間がかかった





150km走って TSS230だった次の日も
平地と比べると遥かに 筋肉疲労が残っていた


感覚的には(笑)回復力が6割といったところか




高地トレーニングの結論としては
回復力の高い若者には有効だと思うが
回復力が衰えたおっさんには不向きだということ


そして おっさんが高地合宿するなら
1000mぐらいの標高が良い気がする






平地に帰って3日間 怒涛のような仕事をこなした



そして木曜深夜に乗鞍入り


金曜早朝 ゴール地点まで試走したら
いつも起こる頭痛が起きなかった





トレーニングとしての効果は無かったが
3日間の高地順応の効果は かなり残っていた
感覚的なものだが(笑)





果たして私の感覚が正しかったのかどうか?
本番は明日
何%減のパワーで走り切れるか?
どうぞお楽しみに★




高地トレーニング。

2022年08月26日 20時33分23秒 | 自転車
乗鞍の1週間前
高地順応の人体実験をするべく
奥日光へと出かけた






中禅寺湖よりもさらに先
奥日光温泉にある「パークロッジ深山」という宿に向かう
標高は1500m


実はここ 東京五輪代表の増田成幸選手が
オススメのトレーニング場所として教えてくれた場所
宿のおかみさんが 自転車を持ち込んだ私を見て
たいそう喜んでくれた


目標は 酸素の薄い高地で
いかにパワーの下げ幅を小さくするか
ということ
私の場合 3年前の乗鞍では
1時間09分で230Wだった
当時のFTPは270W
15%もパワーが落ちている

乗鞍に頻繁に通っていた五郎さんやドクター竹谷は
その下げ幅が10%以下だったことに驚いた
いったいどうして?
この差はどうしたら埋まるのかを検証するのだ


ひとまず高地合宿の基本である
低地でトレーニングし 高地で寝る
をやってみて データを取る


初日は150kmの周回コースを走る





日光というのは 埼玉出身の自分にとっては
思い出深い場所だ


「いろは坂」という九十九折りの美しい坂がある
高校時代 自転車部に入っている恋人がいて
合宿でいろは坂を上ったと聞き
当時の私は目を丸くした





彼女は県下一の女子校で 生徒会長をしていた
体が弱く病がちで
強くなりたいからと自転車を頑張っていた
毎朝 同じ時間の電車の 同じ車両で待ち合わせをしていたが
ズボラな私は週に1度ぐらいしか そこに行かなかった


彼女は元気に暮らしているだろうか
ボンヤリ考えながら旧道を走っていたら





パンクした…


旧道を走るとパンクばかりだ



チューブレスのパンクは大変めんどくさい
手っ取り早いのが 中にチューブをぶち込んで
クリンチャーとして走ること
しかし私は試したいグッズがあったので
チューブを持って来なかった


そのグッズとは





「チューブレスキュー」という画期的な修理グッズである





傘のような形のゴムを 金属を削り出した美しいパーツに取り付けて





ゴムにシーラントを塗りたくり
パンクの穴にブッ刺す
すると傘のゴムが内側から穴を塞いでくれるという


いざ突撃!
と思ったら!





CO2ボンベの口金が無かった(笑)
穴を塞いだところで
空気を入れる術がないではないか


なんてこった…
ゲラゲラ笑っている場合ではない
パンクしたのは 人っ子一人通らない旧道
しかもスタート地点から49km走って来ている
電話の電波もなし


歩いて本道に戻り
タクシーを呼ぶしかないのか…


………


見ると足元に
鹿の骨が転がっていた
自分の未来を暗示するようで 暗澹たる気分になった



すると!


遠くからエンジン音が近づいてきた






私は必死でその車を止めて(笑)
訳を話した

「どこかまで乗せていってくれませんか?」
と懇願すると
快諾してくれた





今日は仕事は休みで
キノコを採りに行った帰りだという

「こんな人のいねえ道で ほんどよがったね」

と笑ってくれた





「後輪も外れたら乗ると思うよ」
というので
「なんでも外しますよ! ハンドルも外れますよ!」
と答えてしまったが
前後輪を外しただけでうまくトランクに収まった





おっちゃんは54歳
栃木県は足尾の生まれで 今はダンプの運転手
今日はたまたま仕事が飛んで 山に遊びに来たという

都会が苦手で 千葉 神奈川 いろんな場所を転々と暮らしてきたのだと
身の上話を聞かせてくれた
聞けなかったが そんな風来坊な暮らしぶりからすると
おそらく独身なのかもしれない

「俺が小さい頃は まだ足尾は銅山が閉まる前で
 大勢人が住んでたよ
 夏祭りは上の町で3回 下の町で3回
 そりゃあ盛大だったんよ」

今は買い物をするにも一苦労なほど 人がいなくなってしまったのだと
寂しそうに語ってくれた





走ること10km
連れて来てくれたのは 自動車修理工場
足尾でただ一軒 自転車の修理ができるという



「よっぽど特殊でない限り直せるってよ」
とおっちゃんは笑うが
これはその「よっぽど特殊」な自転車なのだ


とにかく ここまで送ってくれたおっちゃんには
感謝の言葉もない
持ち合わせがなかったので お礼を送りたいから連絡先を教えてくれと頼んだが
この頼みだけは聞いてもらえなかった
「そんなもんはいいって」と
笑顔で走り去っていった




さて
まだ問題が解決したわけではない
自動車店の主人は 自転車を見た途端に首をかしげ
「その自転車は直せねえなあ」と悲しそうな顔をした


万事休すか…
見ると 工場の奥の方に
自転車用の空気入れが置いてあるではないか


「空気入れさえ貸していただければ
 自分で直せます!」


空気入れなら いくらでも使ってくれと
ご主人は申し訳なさそうな顔をした





シーラントを塗った傘ゴムを
パンク穴に打ち込む
シーラントが固まるまで30秒
傘ゴムを引っ張って 内側に貼り付ける


だが
どうしても空気が漏れてくる





トライすること3回


水に入れると プク…プク…と小さな泡が出てくるが
これ以上きっちり直せないかもしれない
それに 空気漏れがこのペースなら
2時間は持つ可能性もある


それに3回トライして
疲弊しきってしまった(笑)
少し迷ったが
これで帰ってみることに決めた





空気は多めに5気圧入れて
私は自動車店のご主人に頭を下げ
元来た道を戻り始めた


しばらく走り 足尾の街でドリンクを補給した際
タイヤを触ってみた

明らかに空気が減っている
触った感触では おそらく4気圧ぐらいまで下がって来ている
これでは最後まで持たない…


急いで足尾を後にし 奥日光を目指す
段差や石など ショックを与えるものは必死に避ける





白い外側線があるところは 必死に滑らかな白線の上を走る
初めて気づいたが トンボは白線の上にばかり停まっていた
必死にトンボを避けながら できる限りのスピードでペダルを漕いだ


怖いので タイヤは触らないようにした
触ってペコペコになっていたら
絶望しか無くなってしまうから




雨が降り出した



下り坂のカーブで タイヤがズリズリと滑っていく感触がある
パンクしたタイヤで走るとズルズルする あの感触だ
あと30kmもあるのに
何度でもトライして もっと完璧に直すべきだったのではないか?
でももう一度やっても ここまでうまく直せなかったかもしれない


さっき下った「いろは坂」を全開で上る(笑)



あと25km …



つづく
(乗鞍後になったらごめんなさい)

あと2週間。

2022年08月10日 16時52分57秒 | 自転車
乗鞍のことを考えると 緊張する


緊張するのは 今回は行けるのではないかと
期待してしまうからだが
それが楽しいのだから仕方ない(笑)


行けるかもしれない
やっぱりダメかもしれない
いや 行けるはずだ
しかしダメだったらどうしよう


その悶々とするのが幸せなのだと思う





トレーニング内容は
乗鞍が最終目標ではないので 沖縄に向けたメニュー


とはいっても 内容が重なる部分が多いので
安心して悶絶することができる


冬から続けてきた10分〜15分のメニューが
だいぶ身についてきた印象
体重はうまいこと絞れて56キロ台へ突入
パワーの数値もかなり上がっているので
かなり良い感じに仕上がってきている


無理して30分とか漕ぎ続けるメニューは
全くやっていない
強くなるのに必要な強度が出ない上に
疲れだけが溜まっていくから





夕食から12時間以上経過した早朝に行う
省エネ対策も週に1回やっている
だいたいFTPの55%ぐらいでトータル1時間半ペダルを回すと
体脂肪をエネルギーとして燃焼させる能力が発達するらしい


私の場合150Wでやるのだが
地味すぎてかなりツラい(笑)
60分過ぎてから補給するジェルの美味さだけを楽しみに
やってる感じ

これについては効果が今ひとつ感じられてはいないが
体重をうまく絞れている要因の一つかもしれない
実際のところ トレーニング日の合間の休養日にもできるメニューなので
重宝しているだけだったりするが…



そして 今年の乗鞍で試したいのが
「高地対策」だ


前回 ドクター竹谷の走りを見て
酸素の薄さによるパワーの数字の落ち込みが
少なかった事に驚いた


実はドクター こっそり何度も乗鞍に通っていたのだが
五郎さんが乗鞍に通い続けて成績を出したことと
同じことが起こっていたのではないかと推測した


なので ここから先
乗鞍本番まで
いくつかのことを試したいと思っている


果たしてどうなることやら☆


7月の走行距離。

2022年08月08日 13時32分38秒 | チャリダー★
そういえば 7月の走行距離は
1036kmでした


速い人は月に2000kmぐらい走っていることを考えると
大したことのない距離だが
今まで何にも打ち込むことも無かった自分が
よく頑張れているなあと思う





歴史旅のロケの3日目に
あまりに疲れが溜まっていたので
「ああ〜今日はカメラ持ちたくない」
とボヤいてたら
「ダイスケでもそんなこと言うんや!」
と もっちゃんが驚いていた


毎日そんなことしか思っていないのに
他人から見ると 私はそんなこと言わなそうな
優秀な奴に見えているらしい


とんだ勘違いってもんだ
めんどくさいことが起こると 他人のせいにして
自分の好きなこと以外は 何にもやりたくなくて
そんな自分に嫌気がさして
自分のケツを必死に叩いてなんとか凌いでいる


それぐらいダメな人間であることが
友人にすら分からなかったということは
新鮮な驚きだった





今でこそ どんな突発的なことにも対応できる力はあるが
元々は正反対な性格をしていて
思い定めた事と違う状況を 嫌悪すらしてしまう脳ミソだった


この仕事を始めて それではやっていけないと
20年かけて自分のケツを叩き続けてきたから 今がある


とりあえず 3週間後の乗鞍
そして3ヶ月後の沖縄に向けて
もう少しだけケツを叩いてみようと思う






グラベルバイクに サスペンションをつけた
機材を買ってしまえば 重い腰を上げざるを得ないから





しかし 半日あれば悪路を走りに行けるのに
一向に走りに行く気配がない
グラベルを走るロケでも考えようかな(笑)

夢を描く。

2022年08月05日 22時47分43秒 | おしごと日記


ニセコで走る私

福田さんのカメラにずっと写っていた


パワーの数字はあるのに 先頭集団に入れなかったのは
覚悟がなかったから
後のことを考えすぎて出し惜しみしたら
その瞬間にレースが終わった


撮影素材を見ていたら
男子部員たちが口をそろえて
「林さん見た?」「見てない」
「林さん残ってるかな?」「いるはずです」
そんなやりとりを何度もしていた

聞くたびに モニターに向かって「いねえよ!」と答えた(笑)


一生忘れない悔しさが残ったが
大きな自分へのプレゼントだと思うことにする


放送は明日です






4本の担当回のうち 3本が仕上がり
ようやくお盆休みが見えてきた

ちょうど偉い人から「企画を書いてくれ」と言われたので
ずっと調べ物をしているが
旅のコースを考えると なぜか獲得標高が2万m近くなってしまう(笑)



旅の面白さは ルートで9割が決まる



私のロケはぶっつけ本番でやることが多く
出会う人はその場でたまたま出会った人ばかりだ

だが それはただの「偶然」ではなく
「意志」の先にある出会いだ


「この町ではお笑いのシーンを撮りたい」
と思っているから
笑いが生まれそうな人にばかり話しかける
そして腹を抱えて笑うようなシーンが生まれる


ルートを考えるとき
その旅の形や展開も考えている
だからルート選びが9割なのだ


つまり
新規で考えている旅の
脳内イメージを実現するルートを選んでいたら
距離843kmで
獲得標高がどうしても20,000m近くなってしまうのである



ロケは現地7日間ぐらいしか無いんだけど(笑)




通るか分からない企画だが
考えている時は究極に楽しい
夢が詰め放題だから