仕事を終えて福島県いわき市へ
到着は22時
宿泊は いつか来てみたいと思っていた「いわき新舞子ハイツ」
サイクリストのためのホテルだそうだが
風呂に入ってすぐに寝るだけだった
3時半起床
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もうちょっと寝たかったが 寝られただけマシか…
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5時に受付け
イベントに参加するときは スタッフだと言わずに参加しているのだが
こちらの主催者が私のブログを見つけたらしく
番組スタッフだと知られていた
「400kmは初めてなんですよね? 頑張ってくださいね!」
と 心配そうに声をかけてくれた

ブリーフィング開始まで 参加者のバイクを観察(笑)
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最近はサイコンのナビ機能で走る人がほとんどだが
キューシート(曲がり角情報を表にしたもの)での参加もちらほら
こっちの方が冒険感が増すから 愛する人の気持ちが分かる
趣味の世界は 便利さとかではなく
こだわりが大事だ
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今回参加したのは ただ400kmに挑戦したかったわけではない
9月に650kmを34時間で走るミッションがあり
どうしたら走り切れるかを考えるために参加した
ペース配分
回復の仕方
補給の研究
ブルベに参加できるチャンスは 9月までにもう無いと思うので
今回きっちり自分の体で研究しておきたいのだ
5時40分 検車を終え
パラパラと降り出した雨の中スタートした

参加者は一定の距離を置いて走っていく
特にそうしなければならないルールは無い
先頭交代しながら行けば良いと思ってしまうが
長丁場は 脚も気持ちも合わないと 一緒に走れないのかもしれない
などと考えていたら
んんんん?

裸足だ…
ペダルにダンボールのようなシートを貼り
それを裸足で直接漕いでるではないか
これで400km行くのか…
なぜ裸足なのかと聞いたら
「裸足で漕いでいたら 靴を履くのが嫌になった」
と言っていた
そもそも「裸足で漕いでいたら」というのがおかしいのだが(笑)
裸足ペダリングについて ニコニコ話すその方は
メガネのストラップは藁(わら)ヒモで
歯が半分なかった
「この人は仙人なんだ」と思った
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いわきから 小名浜へ
こんなに巨大な工業地域だとは知らなかった
鉄鉱関係の仕事をしていた祖父が 満州から引き揚げたのち
ここに住んでいたと聞いたことがある
当時の風景を想像しながら走る
今回のミッションのひとつ 最適なペースを探るべく
まずは180Wで走る
平坦でのスピードは32km /hぐらいだ
これに休憩などを合わせて 20時間以内
平均時速20kmをキープできれば
9月の650km完走が見えてくる
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180Wで走っていたら 全員を抜いて先頭に出てしまった
すると「着かせてください」と声をかけられた
右の方はPBP(パリ・ブレスト・パリ=1200km走るイギリスのイベント)を完走していて
左の方はキャリア7年のブルベライダー
大先輩を追い抜くってことは ペースが速すぎるのだろうか?
30km地点の坂道で 振り向いたら2人とも居なくなっていた
本当にこのペースで大丈夫なんだろうか…
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今回のブルベでは 約80km毎にチェックポイントが設けられている
全てコンビニで 買い物をしたレシートをもらっておき
打刻された時間で通過認定をもらうのである
補給も今回の重要なミッションで
すべて「固形物」を食べるとどうなるかを実験する
走り出すと食欲がなくなり
ジェルしか食べられなかったのだが
いろんな人から「固形物を食べないと最後までもたない」
と教わった
そんなことあるかいな?
ガソリンはカロリーさえあれば同じじゃないのか?
食欲がない胃袋に いなり寿司とタルトを流し込んだ
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100km地点を過ぎた
飽きた(笑)
景色は単調だし 雨だし
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トンネルの中は もっとつまらない
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歌でも歌おうかと
久々に心を込めて歌ったが
朝なので喉の調子がいまひとつだった
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後ろから誰か追いついて来ないかなあと思ったが
全く気配なし
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食事をして20分ストップしたが
それでも追いついて来なかった
自分はかなり速いペースで走っているようだ
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と言っても 平均時速21kmほど
途中で実験のミッションを行ったら けっこう時間かかるので
最終的に平均20kmペースを保てるか微妙なところだ
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福島の西側 栃木や新潟との県境に近くなると
風景が一変した
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いいなあ
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只見川
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ただし こういう場所には
自販機すらないことが多い
ハンガーノックになったらマズいので
常に補給食とドリンクは 予備をサドルバッグに入れておく
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240km地点
会津若松を通過
ここで今回の最大ミッションを計画していた
それは「風呂」に入るということだ
自分の経験上 風呂に入ってしまうと
疲れが一気に出て だるくて動けなくなってしまうのだが
入り方によっては効果的だという話を聞いたのである
入り方で効果が変わる…
それがどう変わるのか 研究しようというわけだ
結果的には 効果はバツグンだった
しかし詳細は伏せておく
番組で紹介する可能性があるので(笑)
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猪苗代湖を横目に 日没を迎える
風呂に入ったため ここまでの平均時速は19.8km
体はあちこちが痛くなって来ている
特に首の後ろや肩甲骨まわりがシビれるように痛い
福島の山道には 街灯などはほとんどなく
月明かりもない今夜は 漆黒の世界だ
心細くなる気持ちを 奮い立たせる
暗闇が恐怖を増幅させるのを無視する
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暗闇に自販機を見つけた時の嬉しさ
これは夜道を延々と走った者にしか分からないだろう
269km地点
3つ目のチェックポイントはセブンイレブン
暗闇に突如現れたコンビニ
救いの光に見えた
こういうコンビニをチェックポイントに指定する主催者は
さすが冒険ライドを知り尽くしているだけはある
・・・・・・・・・
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300km通過 14時間50分
渓谷沿いの細道は まさに闇だった
自転車のライトだけが頼りだ
私は夜道に慣れている
毎日の通勤でも 帰りは必ず深夜だし
夜の山道も数えきれないほど走っている
「慣れている」というのはどういうことかというと
暗い世界を「見る」方法を知っているのだ
暗い場所を見るには 見たい場所から焦点を少しずらすとよく見える
眼球の中心は感度が低いため 見たい場所を直視してもよく見えない
見たい場所からわずかに視線を外すと
見たいものを高感度で見ることができるのだ
なので 漆黒の夜道を走るときは
見るともなく 見ないともなく走るのがコツなのだ
ブルベとは なんなのだろうか
参加者は おしなべて皆明るくよく笑う
明るいからブルベに出るのだろうか?
いや おそらくその逆で
走ってみて感じたのは
こうした冒険に身を投じて ある種の諦めと
自分自身へのチャレンジを続けていると
人は明るくなっていくのではないかと思う
391km地点 最後のチェックポイント
ここからゴールまでは ちょうど10km
現在時刻は…24時23分
むむむ?
ラスト10kmを16分台で走れば 19時間切りじゃないか
走れるか?
無理か?
ボヤボヤしてる暇はない!
行ってダメならそれでいい
すでに20時間切りは確定ではないか
集中して ペダルを踏み始めた
時速35kmで走り続ければ19時間切りだ
身体中が痛いが
脚はなんとか大丈夫だ
風呂の実験が効いている
サイコンは見なかった
ひたすら16分で使い果たす感覚で漕いだ
途中3回はやめようと思ったけど(笑)
いわき新舞子ハイツが見えてきた!
すべてのエネルギーを振り絞る
そしてゴールした
402.3km
18時間59分31秒
消費カロリー 9272kcal
TSS 611
数字が破壊的だ(笑)
朝 私を心配しながら見送ってくれた主催者が
残念そうな顔で迎えてくれた
「お疲れ様でした。どこまで行けたんですか?」
そうか 私が途中でやめて帰って来たと思ったのだ
ちゃんと走ってゴールしたのだと言ったら
「ものすごく速いですよ! 1番時計です!」を連発していた
水戸黄門が印籠を出した気分だ(笑)
ブルベカードを差し出し チェックポイント通過の証拠
レシートを差し出す
すると
「あれ? これは…」
と主催者が怪訝そうな顔をする
「これ 同じセブンイレブンでも 店が違いますね」

暗闇の中 天国からの光に見えた
あのセブンイレブンだ
サイコンの距離もキューシート通りだったし
何より救われた気持ちのあまり
あそこがチェックポイントだと思い込んだのだ
チェックポイントは その数百メートル先の
町中にあるセブンイレブンだった
「すみません、ルールなので、認定はお出しできないんです」
主催者のみなさんが 非常に残念そうな顔をしてくれた
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↑写真用に もう一度残念そうにしてくれた(笑)
だが 私にとって「認定」などどうでもよかった
400kmを走り切ったこと
そしていろんな実験ができたことで 満足以上だった
そして
400kmはあまりに長いので
ブログも長くなりましたとさ
※文章は数日かけて修正していきます
とりあえず眠いので寝ます(笑)
到着は22時
宿泊は いつか来てみたいと思っていた「いわき新舞子ハイツ」
サイクリストのためのホテルだそうだが
風呂に入ってすぐに寝るだけだった
3時半起床
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もうちょっと寝たかったが 寝られただけマシか…
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5時に受付け
イベントに参加するときは スタッフだと言わずに参加しているのだが
こちらの主催者が私のブログを見つけたらしく
番組スタッフだと知られていた
「400kmは初めてなんですよね? 頑張ってくださいね!」
と 心配そうに声をかけてくれた
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ブリーフィング開始まで 参加者のバイクを観察(笑)
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最近はサイコンのナビ機能で走る人がほとんどだが
キューシート(曲がり角情報を表にしたもの)での参加もちらほら
こっちの方が冒険感が増すから 愛する人の気持ちが分かる
趣味の世界は 便利さとかではなく
こだわりが大事だ
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今回参加したのは ただ400kmに挑戦したかったわけではない
9月に650kmを34時間で走るミッションがあり
どうしたら走り切れるかを考えるために参加した
ペース配分
回復の仕方
補給の研究
ブルベに参加できるチャンスは 9月までにもう無いと思うので
今回きっちり自分の体で研究しておきたいのだ
5時40分 検車を終え
パラパラと降り出した雨の中スタートした
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参加者は一定の距離を置いて走っていく
特にそうしなければならないルールは無い
先頭交代しながら行けば良いと思ってしまうが
長丁場は 脚も気持ちも合わないと 一緒に走れないのかもしれない
などと考えていたら
んんんん?
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裸足だ…
ペダルにダンボールのようなシートを貼り
それを裸足で直接漕いでるではないか
これで400km行くのか…
なぜ裸足なのかと聞いたら
「裸足で漕いでいたら 靴を履くのが嫌になった」
と言っていた
そもそも「裸足で漕いでいたら」というのがおかしいのだが(笑)
裸足ペダリングについて ニコニコ話すその方は
メガネのストラップは藁(わら)ヒモで
歯が半分なかった
「この人は仙人なんだ」と思った
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いわきから 小名浜へ
こんなに巨大な工業地域だとは知らなかった
鉄鉱関係の仕事をしていた祖父が 満州から引き揚げたのち
ここに住んでいたと聞いたことがある
当時の風景を想像しながら走る
今回のミッションのひとつ 最適なペースを探るべく
まずは180Wで走る
平坦でのスピードは32km /hぐらいだ
これに休憩などを合わせて 20時間以内
平均時速20kmをキープできれば
9月の650km完走が見えてくる
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180Wで走っていたら 全員を抜いて先頭に出てしまった
すると「着かせてください」と声をかけられた
右の方はPBP(パリ・ブレスト・パリ=1200km走るイギリスのイベント)を完走していて
左の方はキャリア7年のブルベライダー
大先輩を追い抜くってことは ペースが速すぎるのだろうか?
30km地点の坂道で 振り向いたら2人とも居なくなっていた
本当にこのペースで大丈夫なんだろうか…
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今回のブルベでは 約80km毎にチェックポイントが設けられている
全てコンビニで 買い物をしたレシートをもらっておき
打刻された時間で通過認定をもらうのである
補給も今回の重要なミッションで
すべて「固形物」を食べるとどうなるかを実験する
走り出すと食欲がなくなり
ジェルしか食べられなかったのだが
いろんな人から「固形物を食べないと最後までもたない」
と教わった
そんなことあるかいな?
ガソリンはカロリーさえあれば同じじゃないのか?
食欲がない胃袋に いなり寿司とタルトを流し込んだ
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100km地点を過ぎた
飽きた(笑)
景色は単調だし 雨だし
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トンネルの中は もっとつまらない
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歌でも歌おうかと
久々に心を込めて歌ったが
朝なので喉の調子がいまひとつだった
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後ろから誰か追いついて来ないかなあと思ったが
全く気配なし
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食事をして20分ストップしたが
それでも追いついて来なかった
自分はかなり速いペースで走っているようだ
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と言っても 平均時速21kmほど
途中で実験のミッションを行ったら けっこう時間かかるので
最終的に平均20kmペースを保てるか微妙なところだ
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福島の西側 栃木や新潟との県境に近くなると
風景が一変した
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いいなあ
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只見川
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ただし こういう場所には
自販機すらないことが多い
ハンガーノックになったらマズいので
常に補給食とドリンクは 予備をサドルバッグに入れておく
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240km地点
会津若松を通過
ここで今回の最大ミッションを計画していた
それは「風呂」に入るということだ
自分の経験上 風呂に入ってしまうと
疲れが一気に出て だるくて動けなくなってしまうのだが
入り方によっては効果的だという話を聞いたのである
入り方で効果が変わる…
それがどう変わるのか 研究しようというわけだ
結果的には 効果はバツグンだった
しかし詳細は伏せておく
番組で紹介する可能性があるので(笑)
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猪苗代湖を横目に 日没を迎える
風呂に入ったため ここまでの平均時速は19.8km
体はあちこちが痛くなって来ている
特に首の後ろや肩甲骨まわりがシビれるように痛い
福島の山道には 街灯などはほとんどなく
月明かりもない今夜は 漆黒の世界だ
心細くなる気持ちを 奮い立たせる
暗闇が恐怖を増幅させるのを無視する
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暗闇に自販機を見つけた時の嬉しさ
これは夜道を延々と走った者にしか分からないだろう
269km地点
3つ目のチェックポイントはセブンイレブン
暗闇に突如現れたコンビニ
救いの光に見えた
こういうコンビニをチェックポイントに指定する主催者は
さすが冒険ライドを知り尽くしているだけはある
・・・・・・・・・
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300km通過 14時間50分
渓谷沿いの細道は まさに闇だった
自転車のライトだけが頼りだ
私は夜道に慣れている
毎日の通勤でも 帰りは必ず深夜だし
夜の山道も数えきれないほど走っている
「慣れている」というのはどういうことかというと
暗い世界を「見る」方法を知っているのだ
暗い場所を見るには 見たい場所から焦点を少しずらすとよく見える
眼球の中心は感度が低いため 見たい場所を直視してもよく見えない
見たい場所からわずかに視線を外すと
見たいものを高感度で見ることができるのだ
なので 漆黒の夜道を走るときは
見るともなく 見ないともなく走るのがコツなのだ
ブルベとは なんなのだろうか
参加者は おしなべて皆明るくよく笑う
明るいからブルベに出るのだろうか?
いや おそらくその逆で
走ってみて感じたのは
こうした冒険に身を投じて ある種の諦めと
自分自身へのチャレンジを続けていると
人は明るくなっていくのではないかと思う
391km地点 最後のチェックポイント
ここからゴールまでは ちょうど10km
現在時刻は…24時23分
むむむ?
ラスト10kmを16分台で走れば 19時間切りじゃないか
走れるか?
無理か?
ボヤボヤしてる暇はない!
行ってダメならそれでいい
すでに20時間切りは確定ではないか
集中して ペダルを踏み始めた
時速35kmで走り続ければ19時間切りだ
身体中が痛いが
脚はなんとか大丈夫だ
風呂の実験が効いている
サイコンは見なかった
ひたすら16分で使い果たす感覚で漕いだ
途中3回はやめようと思ったけど(笑)
いわき新舞子ハイツが見えてきた!
すべてのエネルギーを振り絞る
そしてゴールした
402.3km
18時間59分31秒
消費カロリー 9272kcal
TSS 611
数字が破壊的だ(笑)
朝 私を心配しながら見送ってくれた主催者が
残念そうな顔で迎えてくれた
「お疲れ様でした。どこまで行けたんですか?」
そうか 私が途中でやめて帰って来たと思ったのだ
ちゃんと走ってゴールしたのだと言ったら
「ものすごく速いですよ! 1番時計です!」を連発していた
水戸黄門が印籠を出した気分だ(笑)
ブルベカードを差し出し チェックポイント通過の証拠
レシートを差し出す
すると
「あれ? これは…」
と主催者が怪訝そうな顔をする
「これ 同じセブンイレブンでも 店が違いますね」
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暗闇の中 天国からの光に見えた
あのセブンイレブンだ
サイコンの距離もキューシート通りだったし
何より救われた気持ちのあまり
あそこがチェックポイントだと思い込んだのだ
チェックポイントは その数百メートル先の
町中にあるセブンイレブンだった
「すみません、ルールなので、認定はお出しできないんです」
主催者のみなさんが 非常に残念そうな顔をしてくれた
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↑写真用に もう一度残念そうにしてくれた(笑)
だが 私にとって「認定」などどうでもよかった
400kmを走り切ったこと
そしていろんな実験ができたことで 満足以上だった
そして
400kmはあまりに長いので
ブログも長くなりましたとさ
※文章は数日かけて修正していきます
とりあえず眠いので寝ます(笑)