自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

初ブルベ。

2023年03月29日 01時21分45秒 | 自転車
みなさんは「ブルベ」をご存知だろうか


ブルベとは フランス語で「Brevet」=「認定」という意味で
長距離を走った認定システムがそのまま競技名となったらしい


このブルベという競技は
200km 300km 400km 600km 1000km
という距離を 制限時間内での走破を目標としている
長距離にまったく自信のない自分は 縁のない世界だと思っていたが
出てみることにした


出るのはもちろん200kmクラス
制限時間は13時間30分
決められたルートをトレースして
途中のチェックポイントで通過証明をもらわねばならず
ちょっと道を間違えたら 私の脚ではゴールできない






金曜日 仕事を終えて 車で静岡入り
スタートが6時なのに 到着したのは午前2時(笑)


バイクは いずれ600kmの超ロングへ参加することを見込んで
柔らかいフレームのCERVELO ASPELO
そう ローラー用バイクに甘んじていたアスペロくんに
ついに活躍の時がやってきたのだ



アスペロくんは 本当はグラベルバイクだ
ある程度のオフロード撮影にも使えるようにと
フロントフォークはトラベル40mmのサスペンションに変えてある
これが舗装路のロングライドで どう出るか?





今回は 実験のための参加と言って良い
どんな装備が どう役に立ち
どう邪魔になるのか?

ホイールはZIPP353に変更
これもどう出るか楽しみだ





フレームバッグも ありったけ付けてみた
役に立つのか?
邪魔になるのか?





前後にドロヨケ





フロントはシングルで行ってみよう
ギヤは前38 後10−33
途中 ちょいちょい激坂があるらしいが
大丈夫かしら





コースはこちら
静岡市をスタートし 富士山を1周する
距離201km
獲得標高3450m


…獲得3450m!?
山だらけじゃん


しかも





雨かよ…


これ以上ないほど過酷な条件だが
いろんなものをテストするにはもってこいだと
気持ちを奮い立たせる
心が折れては 何もできない





4時起床
緊張して目が覚めてしまった
睡眠1時間で雨のブルベに行くのか…と
ちょっとブルー(笑)


上下ゴアテックスを着て
靴にはヴェロトーゼの中にビニールを履かせた
キャップもゴアテックス
グローブはRaphaのネオプレングローブ
インナーは着替え用に予備1着


朝食はアンパンとプリンを1000kcalほど


5時50分にスタート地点についたら
参加者はすでに出発していた(笑)
5時半からブリーフィングがあったらしい…
遅れてすみません と謝ったら
優しい主催者の方が 私が初めてだと知っていて
いろいろ説明してくれた

・途中誰の助けも無し 全て自力でやるのがブルベである
・富士山の中腹では気温0度の長〜いダウンヒルがあるので覚悟すべし
・エントリー者数十人のうち ほとんどが棄権し
 今日の参加者は私を入れて6人だけ


生きて帰れるのか?(笑)





雨の中 駿府城をスタートした

ペースはひたすら180〜190Wで行く
これなら最後まで脚はなくならないはずだ

前に出発した参加者は全く見えてこない
こんな日に参加しているのは
向こうみずなアホか 長距離の猛者のどちらかだ
これだけ走って見えてこないという事は きっと私より速いに違いない


コースのナビは ブルベやってる人のブログに載ってた
OsmAnd Mapsというアプリを試してみたが
たった2時間でバッテリーが20%以下になってしまい
慌ててガーミンのナビに切り替える
(念のため地図をガーミンに入れといて良かった)



44km地点
最初のチェックポイントのコンビニで
肉まんとアンパンを補給し
ポカリをボトルに補充
そのレシートが 通過の証となるので
防水ケースにしっかり保管
なかなか優れたシステムであるが
変なものを買うとバレてしまうのが難点である



ここで参加者の1人と出くわした


見たところ50代後半の がっしり体型のおっちゃん
なんと上半身はビニールカッパで 下半身はただのレーパンにレッグウォーマーだ

私「それで大丈夫なんすか?」
おっちゃん「これしかなかったんです」

聞けば 何度も600km完走経験アリだという
そこまでの猛者ともなると 気温10度以下の雨でも
ただのカッパで済ましてしまうものなのか…


コンビニ出てすぐの激坂で
おっちゃんを追い抜き 5位に浮上
「頑張りましょう」と声をかけたが
帰ってきた声は 消えそうなほど元気がなかった


ちなみにおっちゃんは
その後すぐにリタイヤしたらしい


600km走破の猛者でも
こういうことが起こりうるのだ


その後も雨はひどくなるばかり





晴れていれば さぞかし絶景なのだろう


富士山の中腹まで40km続く上り坂で
2人の参加者を追い抜き
3位に浮上





標高1400m地点で雨はみぞれに変わった
露出している顔が痛すぎる


ふと 前に自転車を押して歩く人がいる
2位の参加者かと思ったら
どう見てもブルベ参加者ではなかった


男性 30歳ぐらい
普通のママチャリと
グレーの薄手のパーカー
部屋着のようなズボン
雨でずぶ濡れだ


キョロキョロと左右の樹林を 探るように見ながら歩いている


ここは標高1400m
麓の最後のコンビニから30km
こんなところで いったい何をしているのか?


「大丈夫ですか?」
と声をかけたら ビクッとこちらを見て
「あ 大丈夫です」
とニンマリ笑った

いろいろ話しかけたが「大丈夫です ありがとうございます」の一点張り


あまりに心配なので 持っていた補給食のジェルを渡した





気温0度のダウンヒルは 地獄だった
あまりに寒くて 止まろうかと迷ったが
止まったらさらに体温が下がって 動きが取れなくなる気がしたので
気合いで一気に下った

その下りで 2位の参加者を追い抜いた
これで前にいるのはあと1人だ




下りながら さっきのパーカーの兄ちゃんのことを思い出していた
渡すなら金のほうが良かったのではないか?
それにしても 何のためにあんな場所に?


ハッとした
自殺志願かもしれない
だとしたら もう少し話を聞いてみるんだった


だが本音を言うと 私は自殺志願者に対して
何も考えずに「死ぬな」と言うのは 無責任な気がしてしまう
自分もそうだから分かるのだが
生きている方が 死ぬよりも辛い人だっているのだ


いや ただのアホな冒険野郎かもしれない
私は彼のことを考えることをやめた



走ること11時間37分
ついにゴールのコンビニに到着した
ゴアテックスを着ても どこからともなく沁みてくる水で
体はびしょびしょだった
防水に関しては もう少し研究の余地があるようだ

ひたすら「早く終わってくれ」と思うほどキツかったが
コースの景色が素晴らしくて ずっと感嘆しながら走っていた


207km(道に迷った)
TSS 433(回復に4日必要)


結局 前にいる1人は
1度も姿を見なかった





ゴールのコンビニ近くに住む主催者が
自宅を解放してゴールの受付をしていた


到着したら そこにいた数人のスタッフさんらが
「わーおめでとう!」「よくこの天候で!」
と祝福して 暖かいお茶を出してくれた
そしてこう言った
「1番時計ですよ!」


なんと 前には誰もいなかった
そりゃあ追いつかないわけだ(笑)



色々なデータが取れて かなり有意義なブルベだった
このブルベ用バイクも もう少し改良の余地があることが分かった
一番邪魔だったのは トップチューブバッグ
ダンシングすると内腿に擦れてとても邪魔だった
サドルも 超軽量でパッドがほとんどないモデルだと
低いパワーで漕ぐとお尻が痛くなる
このサドルでは600kmは無理だな…



何はともあれ 初ブルベは興奮の楽しさだった
一人相撲的な楽しさではあるが…
次は……晴れた日のデータを取りたい(笑)

準備。

2023年03月20日 17時27分50秒 | 自転車
新年度に向けて
バイクの改造をしている





改造するには まず整備
五郎さんに洗ってもらって以来 ピカピカにしないと気が済まなくなった…





シーラントは 最強のマクハルシーラント
ちゃんと入れていれば ほとんどの穴を塞いでくれる





改造のメインはサテライトスイッチ


追加のシフトボタンが ワイヤレスなのである



小さく作ったもんだと思っていたが
付けてみると 意外と大きい
バーテープの下に巻くのがとても大変だ
プロショップではどうやってるんだろう?


自分であらゆる可能性を試しておかないと
現場で事件が起きた時に 何も対処できない
そのためのテストが ものすごく時間がかかるが
他にこういうことをやるスタッフがいないのである


今 自分の立っている場所で
自分は何ができるか?
興味ないことにも楽しく取り組めると
世界がまるで変わるのだが
意外とできる人は少ない






4月から新たな出演者も増えるので
ウェアもバシバシ追加
いいなあと思うウェアは 国内で手に入らないものばかりなのは
なぜかしら?



準備の一環として 今月25日にブルベに出てみることにしたのだが
ガッツリ雨予報(笑)
しかも「強雨」




この日しかお試し参戦する時間が取れないのよね…
強雨でもブルベに参加するべきか?
迷い中(笑)

さよなら朝比奈。

2023年03月17日 19時41分44秒 | 自転車
明日の放送で 10年目のチャリダーが終わる



4月からは 金曜夜9時半からの30分枠へ移動するので
今回が50分枠の最後なのだ





そのラストを飾るのは
朝比奈彩ちゃんの お別れライド






2015年に 新しい番組メンバーを選ぼうと
何人ものタレントさんと面談した
何十人目だったか デビュー間もない彩ちゃんと会った時
1発でこの子にしようと決めた



明るくて
感情が豊かで
サバサバしていて
なにより裏表がなかった





仕事としてテレビに出ると
どうしても表の顔ができる
本当は嫌でも楽しいと言うし
美味しくないのに美味しいと言うようになる


彼女は圧倒的に それがなく
人として信頼できた





普通は2年で交代となる 番組アシスタントの座を
8年にわたってお願いすることになった








彩ちゃんへの感謝を込めて
全力でお別れの回を作った


感謝の気持ちを ディレクターが伝えるには
腕によりをかけて泣かせるしかないのである(笑)
というわけで 雪の青森でザブザブ泣いてもらいました



ありがとう彩ちゃん
縁があったら またどこかで会えると思う




明日(18日)の放送です
「さよなら朝比奈! 涙の卒業ライド」
ぜひご覧ください






人生のライン。

2023年03月08日 02時54分07秒 | 自転車
今年は忙しくても走るんだと決めた
距離を増やさないと この先に進めないのだ





ロケ先まで100kmぐらいなら自走で行くことにした



今回のロケ地までは80km
着いたらTSS(疲れの数値)が200だった(笑)
(※1時間フルパワーで走ると100)






深夜帰宅からのローラー練も
今年は2時間以上のメニューをやると決めた


昔は30分のローラーが苦痛でしかなかったが
やると決めたら 意外とできるもんだ
自分の心の中で どこにラインを引くかによって
人生は大きく変わる





絶対的な存在と思いたい パワーの数値も
メンタルひとつで全然変わる
普通に220Wのメニューをやると
キツく感じるけど
380Wの後に220Wが来ると
天の助けに感じる



いやはや 自分の感覚の曖昧さには ゲップが出る(笑)
月間1000kmが目標だった頃は
1000km行くことがほとんどなかったのに
目標を1500kmにしたら 毎月1000kmを超えている

かといって 目標を3000kmにしても
絶対不可能なので目標にならないのだが



人は人生のどこにラインを引くか
そのセンス次第でいろんな事がうまく行くようになる気がする











五郎さんの物語。

2023年03月05日 22時19分38秒 | チャリダー★
年度末
ロードレース男子部の総集編の話が持ち上がったとき
私の頭に どうしても描きたい物語が浮かんだ



監督の筧五郎さんの物語だ







チャリダーという番組で大事にしていることの1つに
「有名人に頼らない」というのがある


これはテレビを始め 商業ベースで考えたときに
ダメな考えだと思う
人気があるものや 有名人に群れ集まるのが人の性だし
どんなに中身が良くても 流行を取り入れていない限り
売れることは限りなくゼロに近い


だからといって
福山雅治に出てもらうために
100kmのルートの撮影する要所だけ走って
あとは車でワープする
そんなことをしたくなかった
100km走り切った感動を大事にしたいし
それを体感してくれる人だけに出演してもらいたかった


なので
チャリダーの出演者は世間的に無名な人ばかり
「ドクター竹谷」と聞けば「お医者さんですか?」と言われるし
猪野さんを紹介すると「お笑いの人ですか」と聞かれる



よくここまで続いたものだと思う
おそらくNHKでしかあり得ない企画だろう




そして世間的に言えば超無名の
筧五郎という人を主人公にするなんて
普通のテレビ番組では常識はずれもいいとこだが
有難いことに作らせてもらえた






ロードレース男子部と 五郎さんの人生



この2つは 沖縄210kmが終わったとき
私の中に一本の線でつながった
苦労と絶望と 見果てぬ夢
「総集編」という制約がある中でどう描けるか?



時間のない私の代わりに
林塾の5期生 ダイキADがディレクターとしてロケに行き
連日泊まり込んで編集をし
私は30時間以上かけてナレーションを書いた力作です



力作が名作とは限りませんが
3月11日(土)のチャリダー「ロードレース男子部 ポンコツたちの挑戦」
どうぞご覧ください







2月の走行距離〜11年目へ。

2023年03月01日 02時51分32秒 | チャリダー★
モーレツに忙しかった2月の走行距離は
1071kmでした


まったく乗れない日が11日もあったのに
よく1000km超えたなと
自分を褒めてあげたい(笑)





ロケの移動は貴重な睡眠時間





ロケハンする時間がないので
撮影開始前の数時間で猛ダッシュロケハン





もっとのんびり走りたい(笑)





ビターボのタイヤを4年ぶりに交換

日に当たらないように保管していても
ゴムがだいぶ硬くなっていた
新品の28Cにしたら 乗り心地抜群すぎて楽しい




試しに買ったブレーキパッド
Absolute Black(以下AB)のグラフェンパッド
日本で売ってない(たぶん)し 超高級(1ペアで1万円ぐらい)だが
使い心地は素晴らしかった


でもさすがに1万円は高すぎる
次は3500円の純正でいいかな




ふだん電車にまったく乗らないので
ホームでまごまごしてしまった
2回に1回は逆方向に乗ってしまう(笑)






さて
気がついたらアナウンスされていましたね
チャリダーは11年目に入ります



35歳で企画したこの番組
まさか45歳になるまで続くとは…


坂バカ部にも新メンバーが入り
新しい部も新設します
自分にとっても番組にとっても
大チャレンジになります
どうぞお楽しみに




さあ 深夜3時を回りましたが
沖縄210kmに向けてトレーニングしときます☆