自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

ブルベ600km inしまなみ 後編。

2024年04月30日 01時55分31秒 | 自転車
続きがなかなか書けなくてすみません
GW前後は発狂しそうなほど忙しくて…
それでは待たせた割に大したことがない後編です(笑)








200kmを9時間半で通過
身体はとても調子が良く どこも痛くなっていない
淡々と170Wで漕ぎ続ける



愛媛の松山を出たところでポツポツと雨が降り出した
雨粒が大きい
どしゃ降りになるサインだ



私はあることをずっと考えていた
それは どのタイミングで宿に入ろうかということだ





予約しているのは 折り返し地点の25km手前
西予(せいよ)市にある「まつちや旅館」だ


ここを走るのは確実に夜となる
ルート沿いで見つけやすい宿が良い
そして往復ともに宿の前を通過する(290kmと340km地点)ので
休憩のタイミングを選べる
快活な老夫婦が切り盛りして ご飯が美味しいという評価も魅力だ


それに私は「普通のホテル」が好きではない
なぜなら面白くないからだ
ほどほどに快適で
ほどほどに便利
お値段もほどほど
そんな人生まっぴらだ




考えているのは 行き(290km地点)と帰り(340km地点)の
どちらで休憩するかということだ

このまま行けば 290km地点には19時少し前
340km地点には21時に到着する


まつちや旅館に電話する
「21時になっても良いですか?」
「あらあ大変ね。自転車だわよね。それじゃあ夕ご飯は無しね」

ちょっと待ってくれ(笑)
お風呂に入って夕飯をゆっくり食べるために
まつちや旅館にしたのだ


290km地点での休憩が確定した(笑)






雨は本降りになった
いつもは嫌いな長いトンネルが
今日は天国に思える


風も強くなってきた
微妙に向かい風だ


走りながら クリームパンを食べていたら
突風で飛んでいった





切ない…





さらに風の影響で
平均時速が 22km/hから18km/hに落ちた
上下のゴアテックスが 風をはらんで
漕いでも漕いでも進まない



突然 前を走っていたトラックが停まった


何があったのかとトラックの前に出てみると
車が大破して道を塞いでいた


事故が起こった直後らしい
カップルが電話で警察に状況を説明していた


カーブを曲がりきれず 道の外側の岩に激突し
クルクル回って止まったらしい
岩がなかったら海にドボンだろう
2人で「死ぬまで一緒」とならなかったのは
不幸中の幸いか…



助けられることはないか?
事故渋滞の交通整理を買って出ようかと思ったが
以前 サイクルウェア姿で事故現場の交通整理をしていたら
私が自転車で事故を起こしたと勘違いされ 大変だったのを思い出した


警察が早く到着することを願い 先を急いだ







290km地点 旅館に着いた
予定より1時間多くかかってしまった


女将さんが
「まあまあご苦労さんでした。そのままお風呂に入ってください」
と タオルを持ってきてくれた

「濡れた服はそこのカゴに入れてください。脱水かけますから」

ありがたい
これで暖房かけて部屋干しすれば 出発までに乾くだろう


養生テープで防水加工したシューズは
見事なほど中が濡れなかった
さすが世界に誇る日本のガムテだ(笑)






古い旅館ならではの物干し





1着干すたびに落ちる(笑)





食事はボリューム満点
ご飯が多くて助かった
1泊夕食付きで6500円


ふと窓外を眺めると 雨が止んでいる
急いで天気予報を見たら なんと今から3時間だけ
曇りマークに変わっているではないか


このスキに折り返しポイント(宇和島)までの往復50kmを
走って来てしまいたい!


女将さんに「ちょっと走りに行って来ていい?」と聞いたら
「すぐに寝なきゃダメです」と 笑顔で却下(笑)
そりゃあ深夜1時まで玄関を開けて待ってるのは
いやだよねえ…


つまらなくても 便利なホテルにするべきだったか…


「今走ったら快適だろうなあ」
後ろ髪引かれるように眠りにつき
3時間後に起きたら ちょうど雨が降り出していた


深夜2時 まつちや旅館を出発し
後半戦へと突入した





岡山県倉敷を出て 現在290km地点
天候は雨
残り314km

体調は問題なさそうだが
雨がどう響いてくるか
ゴアテックスを着ても 首や腕から水が染みたり
汗が溜まって体が冷えてしまうことがある

体が冷え切ってしまったら致命的だ
そして胃腸がやられて補給ができなくなる可能性もある
それに雨の夜道は 対向車のライトが水たまりに反射して
道路の白線がまったく見えず スピードを落とす羽目になる


油断は禁物である





午前3時 折り返し地点の宇和島に到着
ちょうど数人の参加者がいたので
雨で大変だと笑い合う





数値がえげつない(笑)



スタート前 主催スタッフの女性が
寂しい道があると言っていたが
いったいどこだったか…


先日走ったフィリピンの山奥で 暗闇の中
野犬に吠えられながら走る恐怖に比べたら
四国の山道なんて 超ハッピーな天国でしかない





360km地点 八幡浜で夜が明けた
これで対向車が来るたびにスピードを落とす面倒から解放される






382km地点
インナーが濡れてきたので 伊予長浜駅のトイレで着替える


外に出ると 軽トラのおっちゃんが「どこへ行くのか」と話しかけてきた
「倉敷までです」と答えると 驚いてくれた
倉敷から来て すでに400km近く走っていることを言おうかと思ったが
話が難しくなるのでやめた


おっちゃんが脚を引きずっていたので
どうしたのかと聞くと
おっちゃんはトラックの運転手で
数年前に荷台から落ちて 脚を痛めたと言う
今日は大好きな釣りに出かけるところらしい


「12時ごろ雨が止むよ。夕方また降り出すけど」


釣り人が言うのだから この予報は信用できる
おっちゃんと互いの健闘を誓い合って 再び漕ぎ出した






422km地点
大好きな松山城を横目に見ながら
松山を通過






しまなみ海道にたどり着いたところで
雨が止んだ





しまなみでは たくさんの人とすれ違った


しまなみ海道はすごい
どこまでも同じような景色なのに 飽きることがなく
島に降りれば 立ち寄りたい店があちこちにある
地図なしでも走れるよう走行線や案内板が充実し
レンタサイクルなど ホスピタリティも素晴らしい


多くの自治体が ここを目指して
自転車を活用した町おこしを進めているが
一番大きな差は 目の付け所だと思った


自転車で走るとき やることが増えると「体感」が減っていく
例えば地図を見ながら ルートに気を配って走ると
その分景色を楽しむ心の量が減っていく
気を遣わなくて済むほど 自転車は楽しくなる


地図なしでも 道に引かれた青線を辿ればルートを走れる工夫は
最高のプレゼントだと思った


コンビニに置いてあるベンチも素晴らしかった
サイクルラックもいいが 本当に欲しいのはベンチなのだ




507km地点
生口島の 5つ目のチェックポイントのコンビニで
最後の食事をとる

固形物か液体か 迷ったあげくオムライスを食べたら
凄まじい胃痛に襲われた





胃が痙攣したように暴れて 耐えられないほどの痛みが襲ってくる
食べたものを全部吐き出してしまいたいが 吐き出せない
あまりの痛みに 道端の物置の屋根を借りて
座り込んだ


固形物を食べ続けたのがいけなかったのか
ある程度走ったら 胃に負担が少ないものに変えるべきだったのか



15分待ったが 痛みは変わらないので
ゆっくりでも進むことにした






再び雨が降り出した





痛みに耐えながら
因島(いんのしま)の15%ぐらいの長い激坂を上る


胃に穴があいたように ギュンギュン痛む
痛みで補給ができない
ハンガーノックにならないよう エネルギー効率が良い強度まで落として走る



激坂の途中に トイレがあった
山道では藤の花が満開だったのに
このトイレ前の藤棚は 花が咲いていなかった
痛みに耐えながら その理由をぼんやり考えながら通過した






船で尾道へ渡る
残り60km
胃痛はようやく治ってきたが
怖くて物が食べられない


ここから補給を高カロリードリンク(リッチカルピス)に切り替えた
ジェルも行けるだろうと飲んでみたら 胃が怒り狂ったように痛んだ
ジェルって意外と胃への負担が大きいのかもしれない




そしてスタートから37時間19分
雨の中で折れそうな心を叱咤しながら
日没とほぼ同時に 倉敷のゴールに辿り着いた





ゴールはアルハプスというサイクルカフェ
明るいスタッフの方が迎えてくれた





美味しそうなケーキやおにぎりを勧められるが
すみません 固形物を見たくないのです(笑)





係の方に 通過証明を見せて
600kmの「認定」をもらわねばならない
緊張の瞬間である

去年 福島の400kmで やらかしているので
今回も何かやらかすのではないかとドキドキだ


忘れ物の多い自分は ミスのないように
チェックポイントや 通過証明の写真を撮る場所などを書いたテープを
自転車のトップチューブに貼っている
ミッションを終えたら剥がしていくので忘れることはない


コンビニのレシート 5枚
通過証明の写真 4枚
サクサクとチェックが進んでいく
よかった 全部チェックOKだ


と思ったら


「それでは最後に 因島(いんのしま)の駐車場の写真をお願いします」







頭が真っ白になった


なんだっけ それ?


携帯の写真を1枚1枚見てみるが
そんな写真 撮ってないのであるわけない



不穏な空気を察して スタッフの女性がフォローしてくれる
「撮ったけどどこかに行っちゃったんですかね?」


何かウソでもつけば 突破できる可能性はあるだろうか?
「撮ったけど消えちゃいました」と言うべきだろうか?


だが私には 何も言えなかった
因島の 激坂の途中
藤の花が咲いていなかった あのトイレのある展望台
あそこで写真を撮るはずだったのだ


ではなぜテープを貼り忘れたか?
「椋浦休憩所」が読めなくて
「むくのうら」と読むのだと調べたら満足して
テープを貼り忘れたのだ(笑)




「写真、撮ってないです」
私はそう答えるしかなかった
そしてその場がシーーーーンとなった(笑)



「申し訳ありませんが……認定は出せませんね」


ここまでの37時間 雨の中で苦しみ続けてきたのは
なんだったのだろうか


秋に1,000km走るために SRを取得しなければならず
スケジュール的に 600kmを走れるチャンスは9月までない
ここで落とすのは 無念すぎた
せめて景色を楽しみながら 初めての道を楽しめたなら良かったが
残念ながら雨しか見てない(笑)



しょんぼりと帰ろうとした私に
スタッフが思い出したようにこう言った


「そうだ 今年から
 GPSの軌跡でも通過証明が出せるようになったんです」



私はサイコンを取りに猛ダッシュした(笑)



だが サイコンが雨で調子悪くなってたりして
GPSデータが壊れたりしたらアウトだ
ドキドキしながらデータを読み込む


サイコンのバッテリーが切れそうだ
よくもまあ ギリギリな事ばかり起こるもんだ
データがアップロードされた!
だが距離が長すぎて データがなかなか表示されない


待つこと5分
ようやく表示されたデータをスタッフに見せる
展望所に立ち寄ってなければダメだと言われやしないか
ヒヤヒヤしたが
無事に通過証明をもらうことができた


「去年までならダメでしたよ」


そう言ってスタッフの方たちは笑ってくれた



606km 37時間19分
TSS 897




なんとか300kmに加えて 600kmの認定ももらえた
残る200kmは6月中旬に岩手で
400kmは6月下旬に東京で参加予定
もうこんな失敗はしたくない(笑)



↑「FORM」(疲れ数値)が-15以下になると体の抵抗力が弱るサインだそうだ
 -87なんて見たことない(笑)






ブルベ600km inしまなみ 前編。

2024年04月22日 22時33分44秒 | 自転車
600kmを走ってきました


まさか300kmの2週間後にやるとは思わなかったでしょ(笑)




ブルベ(主催者が決めたルートに沿って走る走行イベント)には

200km
300km
400km
600km
1000km

というカテゴリーがあり
200〜600kmを全部クリアすると
「SR」という称号がもらえる
1000kmにチャレンジできるのは「SR」保持者だけだそうで
私もそのSR獲得のために仕事の隙間を縫って走っている



ブルベは全てが「自己責任」で
アクシデントを自分で解決する力が必要だ
それが旅を 冒険好きにとって魅力的なものにしているし
主催者は可能な限り安全に配慮した 走りやすく素晴らしいコースを選んでくれている


参加費は1,000円〜2,000円ほどで 主催者のかけた手間を考えると
まさにボランティアである
自転車旅好きには本当にありがたいシステムだと思う






ブルベ本番の前日まで 紀伊半島でロケハン(下見)していて
山道を300kmも走ってしまった
仕事だから手を抜くわけにいかなかったが
もうちょっと休んでブルベに挑みたかった(泣)


イベント前日 岡山県倉敷市へ





荷物を3日間おきっぱなしにできるマンションを
Booking.comで予約





どのウェアで走ろうか…


天気予報は
1週前までは快晴だったが
前日に雨になりやがった(笑)
最低気温10度〜最高25度に対応できるよう
守備範囲の広いX-BIONICのインナーに
メリのウールの長袖と ゴアテックス・インフィニウムの長袖をチョイス
さらにアウターとしてゴアテックスの上下
キャップもゴアテックス
シューズカバーは最強のヴェロトーゼ(第2世代)を準備した






サドルは今回から SYNCROSのSAVONA 女性用サドルに変更
女性用は幅が1cm広いのだが 全く問題なかった

前のふかふかサドルは 前乗りになると骨盤が安定せず苦労したが
これはバッチリ安定する
やはりサドルはそれぞれ設計思想があり 性能が全然違う




ここでいきなりアクシデントが





マジか〜
前輪がパンクしているではないか


フィリピンの旅から昨日まで まったく平気だったのに
ここにきてパンクかよ(笑)



「DNS」という言葉が頭をよぎる
重い荷物を持ってきただけで終わらせてたまるか





ロケハン終わりから倉敷に向かう際
ふと思いついて マクハル(タイヤ内の空間を密閉する液ゴム)の小さいボトルを放り込んできた
この少量でタイヤを再密閉できるか?


タイヤの片側をホイールから剥がし
シーラントを丁寧に流し込む
ここから先が大変だ
小さな携帯用ポンプでタイヤのビードが上がるのだろうか?

ダメだったらCO2ボンベを1本消費かと思っていたら
簡単にビードは上がった
これはフックレスホイールの最大の恩恵だ

10分ぐらい シーラントが全体に行き渡るようにホイールを回し続け
空気がピタッと抜けなくなった




この段階で こんな面倒が持ち上がるとは…
これは何かが起こる予感しかしない(笑)


午前1時 就寝




当日 4時10分起床 寝坊した


12km 30分走ってスタート地点へ
すでにブリーフィングが終わり 5時スタート組が次々と出発していた


受付のお姉さんが ブリーフィングで伝えた情報を教えてくれた

「折り返し地点の少し手前に 暗く寂しい道を通るのですが
 夜中なのでそこは通らず国道を直進しても構いません」


世の中にそんなに寂しい道があるのか?
楽しみだ


5時10分 参加者の最後尾でスタートした





岡山県倉敷市を出て しまなみ海道を渡り四国へ
愛媛と高知の県境近い 宇和島までの往復604km
制限時間は40時間だ


途中 休憩のために宿を予約した
290km地点と340km地点の往復で通過する
西予市の古い旅館だ

ルートから外れた宿は 通過してしまう恐れがあり避けたかったのと
お遍路さん御用達の宿に泊まりたかったのだが…
これが大変なことになるのだった(笑)





スタートしてすぐ 朝日が昇ってくる
腰の状態はだいぶ良い
寝坊で朝食が食べられなかったので
持ってきた「くるみ餅」を走りながら3本食べる


600kmの消費カロリーは ガーミン先生によれば14,000kcal
だが自分の経験だと10,000kcalほどだと思う

50kmに一度休憩をとり 500kcal程度の補給をする
走りながら2時間に100kcalほどモグモグする
そして行けるところまで固形物で補給を続けるのが目標だ








26km地点 通過チェックポイント
愛車と看板など 指定されたものを撮って
ゴールで通過証明として見せるのだ
撮り忘れたら…全てがパーになってしまう
くわばらくわばら…





今回の主催者も 粋なコース設定をしていて
尾道で 船がコースに組み込まれている
うまいこと船のタイミングにはまり 先行していた参加者に追い付いた





通行料 210円(人+自転車)
地元の人も乗っていらした
暮らしの中に船があるなんて素敵だ





雲行きが怪しくなってきた


予報は午後から完全に雨になっていた
おそらく200km地点の松山を過ぎたあたりで降り出し
半日ほど降り続くようだ


旅館の休憩と雨のタイミングを合わせられると最高なのだが







下船して 参加者のトレインに着かせてもらう


上りでパワーが上がり 下りと平坦で下がる
これではインターバルになってしまい かなりキツいので
早々に離れ ひとり旅を決め込んだ






良い道をチョイスするなあ






とても気分が良いので
時間を忘れてのんびり走る
この時間がずっと続いてほしい






造船所
とにかくデカい
船の世界にも 省エネやスピードアップなどの技術革新はあるのだろうか?






58km地点 鞆の浦
一度来てみたかった場所だ


10年ほど前 同じように昔ながらの風景が残る山口の萩の人に
こうした街並みが残っているのは
「発展」から取り残されたためだと言われたことがある


かつては経済成長から取り残されたと感じ
今までの暮らしを続けてきた場所が
歴史的価値のある場所と言われるようになり
観光客が訪れるようになった



思うのは 時代とともに変わってしまう価値観ではなく
自分の中の動かない価値観を大事にしてきたいものだ






100km地点
しまなみ海道に突入






実は初・しまなみ


これだけ巨大な橋梁なのに
鉄骨が細い つまり橋が「薄く」造られているのに驚いた


鉄骨の素材にも良し悪しがあって
おそらく最高の素材で造られているのだろう





この景色は 人々の工夫の歴史がくれた
贅沢なプレゼントなのだ






走り方が上手な ペースが合う参加者と一緒に走る


穏やかで クレバーな印象のあるナイスガイ・北村さん
ケツと脚があきらかに「速い」と語っていたが
北村さんからすれば 私は一目見て「自分より速い」と思ったという
面白いもんだ




この区間が暴風雨じゃなくてよかった(笑)






来島海峡大橋
橋の造形がすばらしかった




ドリンクがなくなったので コンビニへ
北村さんと「またどこかで」とお別れした





補給
胃も腰もまだ大丈夫だ



すごく速い 岡さんという女性の参加者とも一緒に走った
「ダラダラ長く行くのが好き」だというが
ケイデンスがめっちゃ高かった
しばらくピッタリ後ろについて来ていたが
「ここからは自分のペースで行きます!」と
元気よく千切れていった


またどこかで走りましょう
その時はもう少しペース合わせますね(笑)






212km地点 第1チェックポイントの愛媛 松山


参加者たちが 雨の準備を始めながら
「雨雲がヤバい」と囁き合っていた


いよいよ来るか……





近くの公園で 雨対策をする



ここでまさかの出来事が





破れやがった(笑)


これから10時間以上 雨の中を走るというのに……
ここから水が染み込み あっという間に右足は水没だ
気分が一気に落ち込んだ



だが これがブルベの醍醐味である
ここからリカバーしてナンボなのだ


シューズカバーを入手するのは現実的ではない
この街で手に入るもので 対策の可能性があるのは

①台所用手袋を足先にかぶせる
②ビニール袋を足先にかぶせる
③サランラップでぐるぐる巻きにする
④ガムテープでなんとかする


①は可能性を感じたが 足先に5本指がぷらぷらするのが気味悪かったので却下(笑)
②は耐久性に難あり
③と④は上手くやれば できるかもしれない





コンビニで養生テープを入手





露出した足先の通気孔をふさぎ





その上から 破れたヴェロトーゼをぐるぐるに固定した



行けそうな気がしないでもない







雨が降り出し やがて本降りとなった


果たしてどうなるのか?
ここからが 想定外の地獄の始まりで
ラストには大どんでん返しが待っていたのだが……
続きは後編で★









ぎっくりブルベ300km。

2024年04月13日 02時56分48秒 | 自転車



痛む腰を引っさげて 群馬にやってきた


今年初のブルベは前橋を発着する300km
仕事終わりで24時に渋川のホテルに入り 4時間寝た



悪夢のぎっくり腰から5日間
とにかく腰の回復だけに努めてきた
上半身を斜めにせず 常に重力方向に向けて
腰が痛まないよう 腹筋に力を入れて暮らした


だいぶ回復してきた気はするが
昨日 整体の先生からは
「腰を庇って全身がガチガチですよ…普通ならドクターストップです」と言われた


はっきり言って勝算ゼロ(笑)





それでもこうして ノコノコやって来たのは
200kmから600kmまで
どうしてもクリアしなければならない理由があるし
これを逃したら秋まで300kmに挑戦する時間が取れない

何より この状態でクリアできたら面白いじゃないかと(笑)



人生は冒険と自己満足の連続だ







5時に受付を済ませる
参加者は60人弱と言ったところか



制限時間は20時間
ベストな体調なら14時間ほどだと思うが
果たしてどうなることやら





ブルベ専用機 サーヴェロのグラベルバイクに
ホイールはZIPP303 FIRECREST





タイヤはPIRELLI CINTURATO 32C
極太で快適 耐パンク性能はバツグン
フィリピンの悪路をノーパンクで走らせてもらって以来
相棒のような安心感がある





そしてブルベ初投入のエアロバー
このために 3ヶ月かけて微調整してきたが
果たして効果があるのだろうか…






5時55分 車検を済ませ
祈るような気持ちでスタートした






「BRM406群馬300」
前橋をスタートし 赤城山麓を通って栃木県へ
日光を経て那須塩原まで北上
栃木県の平野部を南下して群馬に帰ってくる
距離302km 獲得標高3500m
腰への負担が増える激坂が無いことを祈るのみ



腰の痛みさえなんとかなれば 平穏無事に終わってしまうかもしれない
「何にも起こらなかったので 素敵な景色をお楽しみください」
というブログになる可能性もあるぞと思ったら
甘かった(笑)





スタートしてすぐ まさかのシフター電池切れ
ツールド沖縄といい なぜこう本番で電池切れになるかなあ





電池交換に15分
スタートからたった5kmで1人旅になってしまった





今日のテーマは とにかく「腰を守る」ことだ
ここ5日間 できる限り自転車に乗って 腰のことを観察してきた
ポイントはとにかく体幹を使うこと
腹筋(丹田)にじんわり力を入れて 骨盤が動かないようにすると
腰への負担はほぼゼロにできる


実は去年の10月から 密かに腹筋ローラーで
毎日体幹を鍛えて来たので
けっこう長く腹筋を使い続けられるようになっている
何が自分を助けることになるかなんて 分からないもんだ…





国道122号
日光周辺でトレーニングする時によく通る 好きな道





何にもないけど大好きな町 足尾
買い物をするにも苦労する小さな町だが
鉱山が盛んだった数十年前は 栃木県で宇都宮に次ぐ人口を有したという






以前 山道でパンクし 奇跡的に助けてもらった
自動車店の前を通過した
あんなこと2度と起こりませんように(笑)





日光を通過
日光って おいしい店が見つからなくて いつも食事に困るのだが
みなさんどこで食べてるのかしら?





85km地点 4時間走って最初のチェックポイントに到着
気温10度なのに 半パンの参加者が「暑い」と言っていた(笑)





食べられるうちは 固形物を食べる
ちなみに今回の摂取目標は10,000kcal
ロングライドをやると 食べ放題を楽しめますよ(笑)






見るとフレームバッグが開きっぱなしだった
あぶねー またやるところだった(笑)










100km地点を通過
パワーはずっと170Wで踏めているので 体調はまずまずだ
腰もなんとか持っている


それにしても エアロバーの効果はバツグンだ
なんて楽なんだ
体幹をしっかり使ってエアロフォームを取れれば
少ないパワーでスーッと進んでいく





とはいえ 無理をしたら万事休すだ
「腹で漕ぐ」イメージで ひたすら腹に力を入れ続ける





しかし天気予報は夜まで快晴だったが
雨が止まない(笑)
快晴の予報が大雨になることってあるか??







五十里湖
ダムなんて…と思って期待していなかったが
ここは美しい





上流の男鹿川は 高知の仁淀川に匹敵する美しさだった


ブルベの良さは そのエリアを走り尽くした人たちが
選び抜いた道を走らせてもらえること
旅好きにはたまらないイベントだと思う






自転車を停めて しばらく川を眺めていた








電池切れこそあったが
もうアクシデントはないだろうと思ったら
またもや甘かった




快晴の予報を信じていた私は
どうしてもそこから離れられず
雨に降られながらも すぐに止むに違いないと思っていた

これが大きな落とし穴だった
気がつけばウェアがかなり濡れてしまっていた


体を冷やすことは 最もやってはいけないことである
私はそれをやってしまった
そして150km地点
腹に嫌〜な痛みが走り始めた








「おさまってくれ!」
その願いも虚しく
痛みはどんどん大きくなってゆく


場所はまさに栃木県の平野部
周りにあるのは一面の田んぼのみ
いざとなったら助けとなる草むらが見当たらない(笑)


まさに絶対絶命
耐えられなくなって 漏らしてしもうたら
人に近づけなくなってしまう(笑)


グルグル言うお腹
痛みの波が近づいては遠のく
なぜお腹の痛みには波があるのだろうか?
体の中で分泌される何かの物質が一定量になると 痛みに変わるからだろうか


この波がだんだん短くなって
そして徐々に大きくなってゆく
最大値になったら 世界が終わりを告げるのだ(笑)


トイレはまだ先だと 心に言い聞かせる
経験上 もうすぐだと思うと痛みが大きくなる

まだだよ!
トイレまであと1時間かかるよ!と
必死に言い聞かせる


景色なんて全く目に入らない
私はここに何をしにやってきたのだろうか(笑)



あーもうヤバい
身を隠す茂みを必死に探していたその時


目の前に燦然と輝く道の駅が現れたのだった






トイレが埋まっていたら この世の終わりを体験するところだったが
天は私を見放さなかった
誰もいないトイレに駆け込み 必死にロングビブを脱ぎ捨てた
焦れば焦るほど 脱げなかった(笑)



そして私は 大幅な軽量化に成功した




軽量化して これで坂に強くなったぞと思ったが
本日の坂道は全て終了していたのだった(笑)








雨が止んで 残り130km
落ち着きを取り戻したお腹に力を入れて
最後まで170Wで走り切った





時間は予定より大幅遅れの 16時間11分
302km TSS459
全体の25番目のゴールだった






ゴールでは 運営の方々が待っていてくれた


その中に 見るからに体重100kgオーバーの方がいて
まさかと思い ブルベを走られるのかと聞いたら
今回のコース試走は17時間かかったよと笑っていらした


まじか…
世の中には想像を超える人物が まだまだいるもんだ






運営の方が モツ煮をご馳走してくれた
私はモツが苦手で 普段は絶対口にしないのだが
この時ばかりは美味しく感じた
ありがとうございました




さて
こうして私はなんとか300kmの認定をもらった
腰の痛みは増えていなかったが
代わりに 下腹と脇腹の筋肉がゴリゴリになっていた
そうか 腰に負担をかけずに走るには 腹筋群を鍛えれば良いのか
これを知れたことが 今回の大きな釣果だった




ちなみに次の日は 気温25度まで上がる
ウルトラ快晴だったとさ…








ぎっくり。

2024年04月03日 23時48分37秒 | おしごと日記
4月の放送回の編集に追われて
このところモーレツに忙しかった



新年度の4月の放送は 関係各所の注目度が高いので
完成度を高めたくて どうしても時間をかけすぎてしまう
さらに ちょっとチャレンジングなロケをしたら
編集がとんでもなく大変で
…まあこれは放送をご覧いただいて ぜひ感想をください(笑)


しかし忙しいのなんて 何にもなりゃしない上に
トレーニングがまったくできない





通勤ライドだけが息抜きだ…





しかし どんなに忙しくても
ちゃんとお父さん業もやっております





娘が高知の旅を見て 鍛冶屋さんに会ってみたいというので
代々木公園で開かれた「アウトドアデイ・ジャパン」というイベントに行ってきた


なんと あの高知の旅でお邪魔した
鍛冶屋の菊池さんも来ていた





あれだけ手間暇かけたナタが2万7千円…
信じられないぐらい切れて 手に吸い付くように持ちやすい
あのナタが…

作っているところを見ているだけに
この値段で売っているのが信じられない



鍛冶屋の菊池さんと
「またいつか会いましょう」と笑い合って
お別れした







編集の隙間をついて
今年の新入社員への研修90分
感想レポートを書きづらい とんでもない研修をやりたかったが
今まで作った番組をいくつか見せていたら
意外と普通に「夢の実現方法」を語るような
こぢんまりした研修になってしまった(笑)


来年こそ ヒミツ事項だらけの「とんでもない研修」をやってやる





研修を終えて
海外へ旅立つ友人のために
自転車を梱包して
愛情を込めて発送した


元気でな!!





そして 久々に帰宅すると
人生で初めての体験が待っていた


床に置かれた服を何気なくまたいだら
腰に電撃が走り
動けなくなった


あ〜
これか
確かにこれは「魔女の一撃」だ

重いものを持ち上げたり
腰に負担のかかることはしてないのだが
こんなふうになってしまうものなのか…


なんとか歩けるので
軽めのぎっくり腰だったのだろう
体がどうしても「くの字」になってしまうが
狂言の「摺り足」のように 膝をくの字にすると歩きやすい(笑)

ひょっとしたら狂言の摺り足は
腰をいたわるために考案されたのかもしれない


ここ最近の徹夜が体にこたえたのか
娘の習い事のために 8時間もドライブしたからか
アウトドアデイ・ジャパンで数時間立ちっぱなしだったからか
友人のバイク発送に手間取って 何度も郵便局まで往復したからか…



さあしかし これは困った
今週末は ブルベ300kmが控えているのに
とんだ初体験をしたもんだ



300kmブルベに出られるタイミングなんて もう秋まで無い
どうにか走りたい
さあ 私は土曜日のブルベに参加できるのか?


続きは来週(笑)