名古屋に用事があったので、
夢だった筧五郎さん(以下56さん)のローラー練習に
参加させていただいた。
夜な夜な名古屋の56さんちで行われている
ローラー練。
「ひたすらモガかされる」
「1年で平均60w上がった人もいる」
などなど、噂の絶えない夜練だ。
昨年の取材の際に見させてもらって以来、
体験してみるのが夢だったのだ。
私のふだんのパワーをもとに、
56さんがメニューを作ってくれる。
アップ(340W) 3分
レスト 3分
270W 2分
250W 2分
270W 2分
………こんな調子で1時間弱。
「これ、高すぎやしませんか?」と聞くと、
「Dさんの数字だったらできるはず」と。
ローラー台にまたがって、軽く漕いでみる。
実は私、固定ローラーをまともに漕ぐのって
ほぼ初めて。
(いままでは3本ローラーしかやったことない)
…固定ローラーって、こんなに漕ぎにくいものなの!?
体はバイクを動かしたがるのに、まったく動かないので、
体がとまどってしまう。
そして、まったくパワーが出ない。
200W出すと、脚が「オーバーペース」と言ってくる。
速攻で56さんところへ行き、数字を下げてもらう…。
参加者は私を含めて6人。
2分ごとに全員が平均パワーと心拍をコールする。
「261・165」という具合。
みなさん剛脚、私以外の人は皆240W以上で漕ぎ続けている。
漕ぎだしてすぐに、ケツが痛くなる。
感覚的に、サドルが1.5センチ高い感じがする。
パワーは200Wを維持するのが苦しい。
「なぜ? なぜ?」
頭の中は疑問だらけだ。
…結局、後半は180Wを維持できなくなって、
周りが260W以上の数字をキープしている中、
ひとりでタレまくって、攣ったことのない四頭筋が攣った。
(もちろん攣ってないフリしてた)
「練習サボってるでしょ?」
「ペダリングが下手。チェーンの音が一定でない」
「ペダリング効率を測れば、ひどい数字がでるはずだ」
ふだん言われないような「ドS」な言葉が投げつけられる。
あたしゃドMじゃないので、まったく嬉しくない。
「1日2時間睡眠で過ごしてみやがれ」「パイオニアでは効率65%以上出てるんだ」
そして頭の中は、言い訳ばかり湧いてくる。
しかし、語れるのは数字だけ。「ハイ」と答えるほかなし…。
「あと9本」
「ハイ!」
「バイクが暴れるのはペダリングが悪いからだ」
「ハイ!」
ちくしょー。
悔しすぎるけど、仕方ない。
レースの世界は、記録と数字がすべて。
負けたものは、何を言っても「才能がない」か「練習不足」のどちらかなのだ。
そして私は、灰になった…。
固定ローラーなんて大嫌いだ。
そう思ったけど、あまりに悔しいので、
会社でローラー練を始めた。
サドルを1.5センチ下げたら、バイクが暴れなくなった。
でも、数字は200W30分キープが精一杯だった。
会社の会議室が汗で水たまりになったので、
スタッフが出社する前に掃除した。
この番組をやっている以上、私に
「退く」という選択肢はない。
おそらく次に56さんのローラー練に出るチャンスは、1年以内にはないと思う。
でも、次のチャンスの時までに、数字を上げてやる。
この練習が、本当に効くのかどうかは、やってみたら分かる。