自転車ひとり旅★

自転車大好きなTVディレクター日記。

巨大プレッシャー。

2010年06月30日 12時32分29秒 | おしごと日記
メキシコに出発する前の日のこと。
番組プロデューサーであり、会社トップの寺さんに呼ばれた。
2人で茶でも飲みに行こうと言う。

緊張しながらついていくと、
「なぜお前にこの番組をやらせることにしたか」という話。
それから5時間もの息苦しい時間がはじまった。


なぜ息苦しかったかというと、ずっと褒められたから。


うちの会社の人たちは、めったに褒めない。
少しでもユルい作りの箇所があると、
「あれは何故ああなった?」
と問われる。
特に厳しいのは寺さんで、
私の全ての作品にダメ出しをされてきた。

だから、褒められると恥ずかしくて、
そのまま裸足で逃げ出したかった。

そして、5時間にわたる褒め言葉の最後はこう締めくくられた。
「最後は私が責任とるから、君は存分にやってこい」


これは、確かに、嬉しかった。
でもそれ以上にプレッシャーだった。
私にはとても「そうか、寺さんが責任とってくれるからいいや♪」
なんて考えられない。
私にとって一番辛いのは、
「君は期待ほどではなかった」と言われることなのだ。
期待が大きいほど、そう言われる可能性は高いではないか?


もちろん、現場ではそんなことは頭のすみっこに追いやって、
楽しんで撮影することだけ考える。
でも、一日が終わり、シャワーを浴びて気持ちをオフにすると、
このプレッシャーを思い出す。

弱いなあ。

摩天楼。

2010年06月29日 09時54分59秒 | おしごと日記
みなさま、こちらは
エンパイア・ステート・ビルからの夜景でございます。

この景色を見たのは6年ぶり。
あのころ、会社を休んで(クビになりかけたとき)
一か月くらいニューヨークに住んでた。
ひたすら街を歩き回ってたっけ。
今日ニューヨークを離れたら、またしばらく来ないんだろうなあ。

ニューヨークから愛をこめて☆

2010年06月28日 11時54分01秒 | おしごと日記
今日はニューヨークでコーディネーターのポールさんと打合せ。
コーディネーターと言うのは、事前のリサーチから現場の通訳、
取材の交渉などをしてくれる人。
この人の優秀さに、番組の命がかかわっているんです。

でも、たいていのコーディネーターは「何でこの人?」と思うことが多い。
優秀だったのは、チェコのオンジェイだけ。
イタリア、中国、メキシコ…どの国へ行っても「トホホ」な人ばかり。

どんな具合に「トホホ」かと言うと…
野菜や果物、穀物の知識がまるでない。
生えている草木の知識がない。
豊かな日本語力がない(日本人の場合も含めて)。
歴史の教科書には詳しいが、そこから先の、
地形や気候、人々の気質とあわせた歴史の蠢きを考えたことすらない。
そして何より、人の気持ちを理解する能力がまるでない。

こういうコーディネーターと当たっちゃった場合、
まず現場では役に立ちません。
せいぜいレストランで注文する時の通訳くらい。
それで一日4~5万円を要求して来るのだから、呆れちまうわい。

今回のポールさんは、そんなことはなさそうなのでちょっと安心。


さて、今日は日曜日で、
ニューヨーク5番街では華やかなパレードが行われておりました。
それも「同性愛者パレード」☆
みんなスッポンポンに近い格好で踊り狂ってました。
なんだか、今回の旅では縁があるなあ…。

さらばメキシコ。

2010年06月27日 00時04分20秒 | おしごと日記
メキシコシティを出て一週間。
ついにメキシコ湾に到着しました~。

標高2000mから一気に下ると、徐々に背の高い木が増え出して、
湿気をたっぷりと含んだ風がまとわりついて来ます。
海は、コバルトブルー。
その先にはカリブ海が続くことを予感させます。

ここはベラクルスの町。
スペインによる、最初の植民地支配が始まった土地です。
町には音楽が溢れていて、街角ごとに演奏者たちがいます。
「ラ・バンバ」とか「コーヒー・ルンバ」とか
おなじみの曲が多くて楽しい。


さあこれで、一週間の勉強期間は終わり。
これからニューヨークに移動して
今度は私のロケが始まります。
テーマは「アメリカ建国の道」。
国道1号線をニューヨークから南へ、
アメリカの歴史の香りを感じながらの旅です。

テキ~ラ。

2010年06月26日 05時40分08秒 | おしごと日記
友人がテキーラを飲めと勧めるので、
夜のレストランで飲んでみました。
酒だけで飲むと、私には消毒用アルコールにしか思えないのですが、
スパイスの効いたトマトジュースと一緒に飲むと
非情においしい。


ですが、話の本題はここから。


メキシコでレストランに座っていると、
小さい子から老人まで、多くの「物売り」がやってきます。
それはもう、ヨーロッパの比ではありません。
10秒にひとり、物を売りに来るんです。
少女は花を売り、
少年は木の人形を売り、
老人は塩豆を売る。
片足の無い人が物乞いにも来る。


生まれた家が違うと言うだけで、
これだけの差が生まれる。
私は、親の金でぬくぬくと育ち、
何の生産性もない仕事でのほほんと暮らしている。
彼らは、学校にも通えず、
物心ついたころから、その日暮らすために人に頭を下げ続ける。


私は、とてもじゃないが
テキーラなんて飲んでる気分ではなくなった。
だからって、どうしようもないのですが、
自分のこれからについて、あれこれ考えたわけです。

標高2000m。

2010年06月24日 12時44分34秒 | おしごと日記
メキシコと言えば、
タコス、サボテン、ソンブレイロ、乾いた土地というイメージでしたが、
実際にはすばらしい豊穣の土地でした。
乾いた土地にはサボテンやトウモロコシ畑がひろがり、
ちょっと標高を上がれば、生い茂る森と草原に湿気を帯びた心地よい風が通り抜け、
馬や羊たちが草を食んでいる。

そして人々はみな優しく、恥じらいを持って接して来る。

あまりにイメージを覆されて、
メキシコにいることをつい忘れてしまいます。


写真は、赤かぶ畑で働く人を取材した時のもの。
家族総出で収穫をしていました。
収穫の喜びか、その顔がとても輝いて見えました。
奥に見える山は、2つとも標高5000m超。
標高2000m以上にいるのに、駿河湾から富士山を見上げている感覚。
ちなみに、左の山は活火山。
麓は温泉天国らしいですよ。
(今回は行かないみたいだけど)

メキシカン。その2。

2010年06月23日 08時33分23秒 | おしごと日記
メキシコ料理はおいしい。
おいしいから、こうなるんだろうか。

昔、スペインに行った時、
あまりに美男美女が多くて驚いた。
メキシコ人も、その血をひいているからでしょうか、
高校生くらいまでの男女は細くて美男美女が多いんですけど。
こっちでは、女性はボリュームがあってナンボ、という美意識なのかも知れないけど…。

私も気をつけねばなりませんな。
人生初の「ロケで太って帰る」ことになるかも!?

メキシカン。

2010年06月22日 22時48分49秒 | おしごと日記
こちらでよく見る食材。
アボカド。
トマト。
サボテン(写真のインゲンみたいなコマ切れのやつ)。

ワタシ、サボテンは初めて食しましたが、
とても美味しいんです。
サボテンの食感はアロエみたいで、
炒めると中がヌルッとしています。

特に気に入ったのが、
サボテンジュース。
味はゴーヤジュースとか、アロエジュースみたいなもんですが、
ほろ苦さが疲れを癒してくれてグッド。


しかし、メキシコ料理は私の口にとても合います。
タコスなんて、毎日食べていてもいいくらい。
ルーツはメキシコ人かもね(顔は全然ちがうけど)。

テオティワカン。

2010年06月21日 12時02分02秒 | おしごと日記
ゲイたちと物乞いの視線をやりすごし。
ホテルのロビーで張り込むこと4時間。
なんとかスタッフに合流。
なぜか夕飯は「韓国料理」だったので、
一体どこの国に来たのかわからなくなった。
(また中国に来ちゃったような感覚には参った…)

ちなみに次の日の朝、一日遅れで
「20時にロビーで会いましょう」と書いた手紙が
フロント係から届けられました。。
遅いわい!


で、今日は「テオティワカン」という遺跡の撮影。
太陽と月のピラミッドで有名な場所です。
そのピラミッドと町の巨大さは圧巻。
人口は20万人を超え、世界一の都市だったとか。
これが1800年前に築かれたとは。。

写真に写っているのが、今までに世界を巡って来たスタッフたち3名。
今回メキシコには、彼らのスタイルを勉強するために来たんです。
来週からのアメリカロケは私がディレクター。
それまでに、この超~ベテラン組の技術を盗んじゃいますよ☆

問題発生。。

2010年06月20日 20時10分15秒 | おしごと日記
今回のメキシコロケは、
すでに現地に入って撮影しているチームに合流するというミッション。
つまり、ホテルまでは一人で行かねばなりません。
空港でタクシーチケットを買い、
(白タクは危険なので流しのタクシーに乗ってはいけない)
なんとかホテルに辿り着いたのはいいのですが、
日本で教わって来たコーディネーターの電話番号が通じない。

何度かけても、違うメキシコ人女性の電話にかかって、
「何言ってるかわからない」的な事を言われてしまう。

仕方ないので、ホテルのフロントに伝言を遺して、
町をぶらぶら。

…なんだか男の子に頻繁に声かけられるなあ、と思っていたら、
どうやらこのホテル周辺、ゲイの町らしい。
路上で恋を燃やすゲイのみなさんが、たくさんおわします。

ああ、僕はちゃんとスタッフに合流できるのだろうか…。

ビジネスクラス。

2010年06月20日 11時32分33秒 | おしごと日記
ビジネスクラスとは困ったものです。
広すぎて、前に置いた荷物や本に手が届かないんです。
イスはフラットになるので、寝る人には良いのでしょうが、
12時間ずっと窓の外を見ている私にとっては、
たいして役に立ちません。

写真は、となりに座ったメキシコ人のオマル・ハイダールくん26歳。
私と同じ、棚ぼたビジネスクラス組。
大学院生だそうですが、
バイオケミカルの研究のために沖縄に行っていたそうです。
すんごく聡明な青年で、気持ち良い風を感じました。
ちなみに身長は190センチなり。

またどこかで会いたいなあ。
二度と会えないんだろうけどね。

せんべつ。

2010年06月18日 20時31分17秒 | 自転車
明日午後にはメキシコに発つなんて、
うわあ、忘れ物しそうだ…。


旅に出る私に会社の新入社員のカズが、
餞別をくれました。

ごらんの柄の短パンです。

…これは。
意外とオシャレかも!?
シャツを選びそうだけど。

ありがとうカズ!
頑張ってくるよ。
そして帰国するまでに
カノジョ見つけろよ!

CANON EOS5D。

2010年06月17日 19時47分10秒 | 自転車
「世界の街道をゆく」という番組は、すべての映像、写真を
この一眼レフカメラで撮影しています。

今日はその技術レクチャーがあったのですが、
いやはや大変な工夫と試行錯誤の末に出来上がった番組と知りました。


簡単に言ってしまえば、このカメラで撮れる超高画質映像に、
世間のシステムが追い付いていない、という話。

映像が好きな人なら、普通の番組との違いが判ると思いますが、
何となく番組を見ている人にとっては、なかなか気付かないくらいの画質の違いです。
そのために、これだけの労力をかけとるのか! と
感心しきり。


しかも、それを切り開いて来たのが
みんな60過ぎのオジサマ達だからなおさら。


面白い現場に放り込まれたもんです。
私が入ることで何も発展しなかったら悔しいから、
気合い入れないと。




ちなみに、私とキャノンEOSカメラとの付き合いは古くて、
13歳のときに初めて買った一眼レフがEOS10でした。

高校時代、学校の机にしまっておいたら、
ある朝そのカメラは忽然と姿を消して、
代わりに四角いコンニャクが置いてあったのは、かなり苦い思い出であります…。