◇バトルフロント(2013年 アメリカ 100分)
原題 Homefront
監督 ゲイリー・フレダー
◇スタローンの後継ぎ
もしかしたらそんなふうにスタローンとしてはおもってるのかもしれない。すくなくとも『エクスペンタブルズ』で共演したときに、スタローンはジェイソン・ステイサムのことをかなり気に入ったんじゃないかと。だから、みずからこの作品の製作・脚本を買って出たんじゃないかと。そんなふうにおもえるんだよね。なんか、もともとはスタローンがこの作品の主役をやるつもりだったとかって話も聞いたけど、もしもその噂がほんとうに流れてたんなら宣伝の一環だったような気がするんだよね。だって、この物語の主役はスタローンに向いてないもん。
まあ、田舎のちんぴらを相手に元麻薬捜査官が喧嘩するっていうだけの話で、そのきっかけになったのが子供の喧嘩だったっていうんだから、なんだかものすごく狭い世界のちっぽけな話で、実をいえばこういう話は日本の田舎にだってある。子供の喧嘩に親が出てきて、しかもそのヤンキーの親がさらに兄弟のちんぴらにまで声をかけて暴力に訴えるっていう構図は反吐が出るくらい日本的だ。暴力的な脅しが通用すると信じてるのも日本的だし、ことに田舎なんかに行ったらまったくそこらに転がってるような話でしかない。
そんな話がなんとなく受け入れられちゃうのは、やっぱり豪華な脇役たちだろう。ジェイソン・ステイサムとぶつかるのはジェームズ・フランコだし、その相方はウィノナ・ライダーだし、ヤンキーの母親はケイト・ボスワースだし、そういう点では安心して観ていられる。みんなでジェイソン・ステイサムを応援してやろうじゃないかっていうような家庭的な雰囲気で、けっこう暴力的な家庭映画を作ったんじゃないかしらね。