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ペイ・フォワード 可能の王国

2007年09月24日 17時22分57秒 | 洋画2000年

 ◇ペイ・フォワード 可能の王国(2000年 アメリカ 123分)

 原題/Pay It Forward

 原作/キャサリン・ライアン・ハイド『Pay It Forward』

 監督/ミミ・レダー 脚本/レスリー・ディクソン

 撮影/オリヴァー・ステイプルトン 美術/レスリー・ディリー

 衣裳/ルネ・アーリック・カルファス 音楽/トーマス・ニューマン

 出演/ケヴィン・スペイシー ヘレン・ハント アンジー・ディッキンソン ジョン・ボン・ジョヴィ

 

 ◇A kindness is never lost

 情けは人のためならずっていう話だ。

 ひとりが3人に親切にし、親切にされた3人がそれぞれ3人に親切にし、親切にされた9人がそれぞれ3人に親切にしていけば、やがて世界は親切で満たされ、世界は変わるっていう方法なんだけど、それを考えた主人公の男の子は、決して幸せじゃない。家庭内暴力の耐えないオヤジはどこかに家出しっぱなしで、おっかあはアル中でその経営するバーを手伝わないといけない。邦画で描いたら悲惨なことこのうえないけど、まあ、観れる。なんで観れるかはわかんないし、それについてはおいとこう。

 ともかく、主人公ハーレイ・ジョエル・オスメントはこの考えを実行に移そうとし、アル中の男、顔にやけどを負った先生、いじめられっ子に親切をほどこす。それと、先生とおっかあをくっつけようともする。たいがいうまくいったかとおもったとき、物語の予定調和どおり破綻する。これは、いい。けど、死んじゃうってのが、観客を泣かせたところで、どうしても後味が悪くなる。

 もちろん、恩送りっていうか、幸せの連鎖が起こるためには、少年の死といったような衝撃的なものがないと駄目かもしれないってことはある。だからこそ、少年を弔い、回り回ってきた親切のお礼になってくる長蛇の列が途切れないんだっていうラストになっていくんだけど、登場人物の死をもって感動を呼ぼうとする手法は、ぼくはあまり好みじゃない。

 まあ、なんていうんだろう、家族的な範疇で完結させてしまうところは物足りないけど、音楽とラスベガスの風景は良いし、DVや虐めやアル中を扱っているのも好いし、「世の中は糞だ」という言葉に凝縮されている物語の構図はあざといけど、それなりに活かされてるかな~ってなところが無難な感想かもしれないけどね。

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