◇マーキュリー・ライジング(1998年 アメリカ 112分)
原題/Mercury Rising
原作/ライン・ダグラス・ピアソン『Simple Simon』
監督/ハロルド・ベッカー 脚本/ローレンス・コナー 、 マーク・ローゼンタール
撮影/マイケル・セラシン 美術/パトリシア・フォン・ブランデンスタイン
衣装デザイン/ベッツィ・ヘイマン 音楽/ジョン・バリー
出演/ブルース・ウィリス アレック・ボールドウィン キム・ディケンス チィ・マクブライド
◇男の価値は髪の毛の量で決まるもんじゃない
そんなおそまつなキャッチを使って…とはおもったものの、こういうあほくさい言い回しはけっこう好きだ。
ハリウッドに限らず、窮地に落とし込まれた子供を偶然に救ってしまった主人公が真実を追求して戦う、という構図は、もはや定番で、この作品も例に漏れない。
この場合、たいがい主人公はタフガイあるいは無鉄砲な女性というのも同様だし、子供はたいがい事件を目撃してしまうか、偶然に機密を知ってしまう。あとは、佳境にいたるまで、どうやって何度もふりかかるピンチを切り抜けてゆくか、そのハラハラドキドキ感で疾走していくわけだけど、そういうことからいえば、この作品は成立すべくして成立してる。
ただ、いくらなんでも、国家を担う暗号システムが、あたかも挑戦するかのようにパズル雑誌に掲載されるのはちょっと強引だし、自閉症の天才児ならば、ほかにもいる可能性は十分ある。それと、暗号システムを読み取った少年が、家族もろとも抹殺されそうになるというのはわかるんだけど、いつしか周囲が善人ばかりになってゆくのも都合が良すぎる観がないでもない。
けどまあ、突っ込みどころはいくつかあるにせよ、ラストまで引っ張っていくのは、定番であるがゆえのことかもしれないね。