◎獄門島(1977年 日本 141分)
監督/市川崑 音楽/田辺信一
出演/石坂浩二 司葉子 大原麗子 草笛光子 太地喜和子 浅野ゆう子 加藤武 佐分利信
◎追悼市川崑その12
なにしろ、横溝物は、当時、すさまじい勢いだった。
映画各社がこぞって金田一をやるし、テレビも延々とシリーズ化された。でも、どれも、市川崑の金田一物にはかなわなかった。そう、すくなくともぼくはおもってた。ただ、この『獄門島』はちょっとだけ物足りなかった。
どこがだよ?と聞かれても、困る。
画面にワイドになったのがいちばんの原因のような気もするんだけど、やけに間延びした感じがした。
間延びってことに関していえば、俳句の見立てを知るのが遅すぎるような気がするんだけど、どうかしら?
それと、季違いは木違いの方が良いような気もする。
ただ、この作品が影響を与えたものは少なくなく、たとえば『トリック』なんかはもちろんそうだ。けど、あらためて観直して、序幕の『トリック』がパロディに使ってる部分は、役者を使って欲しかったような気もする。
あ、それと、松田優作が出演してるんだね。これには、さすがにびっくりした。冒頭に登場するんだけど、台詞は無し。なんでカメオ出演してるのかわからないんだけど、当時、なにがあったんだろう?
まあ、それはともかく、全体に緊張感が薄くて散漫な感じがするのは、島という閉鎖された空間ながら、山間の閉ざされた集落から海という開放された空間に一転したことが、そんなふうに感じちゃった要因なのかもしれないね。
でも『獄門島』って、季違いのトリックだからかどうかわからないけど、なかなかテレビとかで観る機会はないし、劇場でも上映されない。
どこかで金田一シリーズの一挙上映とかしてくれないかな~。