◇恋におちたシェイクスピア(1998年 アメリカ、イギリス 137分)
原題 Shakespeare in Love
監督 ジョン・マッデン
◇映画の中の舞台劇
なんだか不思議な感覚を持った。
映画そのものについてではなくて、きわめて個人的なことながら、手塚治虫の漫画をおもいだした。
物語は上手に展開してた。スランプで借金の取り立ての受けているシェイクスピアから始まり、『ロミオとジュリエット』の初披露へと進んでいくんだけれども、そこへ男装したグウィネス・パルトローが絡み、けれど当時のきまりとして女性は舞台に立てないということから男と偽っての登場なんだけど、それがばれ、しかしながら男が女装したという偽りのもとに舞台をこなし、しかもその舞台が彼女に惚れてしまった妻あるシェイクスピアとの共演という構造になってるのはいかにも僕好みだった。さらにはグウィネス・パルトローに捧げた難破物語『十二夜』の上演の日が、ちょうど心とは裏腹の結婚をしたグウィネス・パルトローが難破しながらも生還してアメリカ上陸を果たした日だったとかっていう、あまりにもできすぎのラストもまた僕好みだった。
それがどうして手塚治虫とつながったのかよくわからないんだけど、場面の展開や絵作りがどうにも手塚治虫なんだよね。昔読んだ『リボンの騎士』とか『双子の騎士』とか、ああいう宝塚調の衣装や歌や踊り、さらにはうねりのある多重構造の展開が似てたからなのかしら?