◇フィッシャー・キング(1991年 アメリカ 137分)
原題 The Fisher King
監督 テリー・ギリアム
◇漁夫王
いかにもテリー・ギリアムっぽいっていうのがいちばんしっくりくる感想なんじゃないかと。
それはロビン・ウィリアムズにしてもそうで、深い悲しみのせいで気が変になり、けれど同時にたぐいまれな優しさを持って人に接するようになってしまうというのは、かれ自身がそうだったのかもしれず、たとえそうじゃないにしてもそういう演技をやらせたら右に出る者はいないんじゃないかしら。
そういうところからすると、元教授の浮浪者ロビン・ウィリアムズと知り合う元DJはジェフ・ブリッジスでもいいし、ギリアムがキャスティングしたかったというブルース・ウィルスでもいい。つまりは口が災いして輝かしい人生から真っ逆様に転落していきながらも結局はお人好しっていう性格が出せる役者であればいいんだから。
あ、でも、ここまで書いてきておもったんだけど、たしかに聖杯伝説は絡んでるものの、それを基本にさえ置いていれば、あとは登場人物ふたりの性格を描くにはどんな物語がいいんだろうと想像するだけで、この作品は成り立ってることがわかる。そうか、結局、この映画は性質は異なるように見えながらも本質は同じっていう人間を描こうとしているだけで物語そのものに徹底して重点が置かれてるわけではないのかもしれないね。