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☆=☆☆☆☆☆
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カリスマ

2015年07月28日 18時52分10秒 | 邦画1991~2000年

 ◇カリスマ (1999年 日本 104分)

 監督・脚本 黒沢清

 

 ◇木をめぐる人間ども

 カリスマっていう題名がどうしてもしっくりとこなかったんだけど、カリスマなるものがどういうものかその定義について考えればなんとなく納得できるような気がしないでもない。

 カリスマと呼ばれる木はまわりの土壌に毒素を拡散させ、それでまわりの木々はつぎつぎに死に絶えてしまう。枯死させる毒というのがなんなのかわからないけど、木を枯れさせるものなんか出してたら自分だって木なんだから枯れちゃわないのかなって気もするんだけど、およそ毒というものはそういうものなんだろう。

 ともかく、この不思議な木に価値があるとわかれば欲に餓えた人間どもが群がってくるのは無理もないことで、映画はそれを生真面目ながら運の悪い刑事、植物学者、得体の知れない世捨て人のような若造など有象無象の人間を絡めてもがき回らせる。ただ、嫌になるくらい淡々としている分、ふしぎな雰囲気は出てるし、薄気味の悪さは倍増している。

 結局、このカリスマはまわりの土壌を汚染するだけでなく、まわりの大気までも汚染して、その毒素を吸った人間どもは互いに殺し合ってすべてを消滅させてしまうわけだけれども、それこそがこの世界の法則なのかもしれないっていうところに落ち着くのかしらね。人間は結局、毒を制御できずにみずから滅びの道を選ぶんだっていうのが主題だったのかしらね。難しくてよくわからないんだけどさ。

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