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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

2020年05月07日 00時45分05秒 | 洋画2017年

 ☆アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年 アメリカ 121分)

 原題/I, Tonya

 監督/クレイグ・ガレスピー 音楽/ピーター・ナシェル

 出演/セバスチャン・スタン ジュリアンヌ・ニコルソン ボヤナ・ノヴァコヴィッチ

 

 ☆1994年1月6日、ケリガン襲撃事件

 トーニャ・ハーディングの半生っていったって、つい20年ほど前の事実の映画化で、こういう即時性というか機動力のあるのがアメリカなんだな~ってつくづくおもう。

 いや、それにしても登場してくる人物たちのなんとまあ無残なことか。アメリカという社会の底辺でもがき苦しみ、それでようやく、まあ母親のおもいがけない行動(スケートがやりたいといっていた娘を黙らせるためにリンクに連れていったものの、そこで娘の予想だにしなかった才能をまのあたりにしたことで、スケートを本格的に習わせてしまうという)によるものとはいえ、人生の栄光と転落を同時に経験してしまったところを描こうとかっていうのは、日本じゃなかなか実現しない。

 すごいとおもうわ。

 物語もさることながら、マーゴット・ロビーっていう女優は個性があるね。狂気をはらんでるっていうか。なんとなく敬遠しちゃいそうになるけど、この熱演ぶりとスケートの腕前は凄い。でも彼女より凄かったのはトーニャの母親ラヴォナ・ゴールデンを演じたアリソン・ジャネイだね。据わった眼がなんともいえないな。

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希望の灯り

2020年05月06日 17時19分55秒 | 洋画2018年

 ◇希望の灯り(2018年 ドイツ 125分)

 原題/In den Gängen

 監督/トーマス・ステューバー 音楽/ミレナ・フェスマン

 出演/フランツ・ロゴフスキ ザンドラ・ヒュラー アンドレアス・ロイポルト

 

 ◇クレメンス・マイヤー『通路にて』

 1989年、ライプチヒ。

 ベルリンの壁が崩壊してすぐの東ドイツはまだまだ貧乏と混乱でごったがえしてて、そこのスーパーマーケットの在庫管理係の物語とかって、まったく地味で社会の底辺みたいにおもわれそうだけど、いやそのとおり、働いている人間たちは過去にいろいろと抱えてる。

 でもそこにだって物語はあるわけで、これはこれで面白かった。

 ちなみに『バビロン、ベルリン』の上級警部を演じたペーター・クルトが死んじゃう上司を演じてるんだけど、好い役だったわ。

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海賊じいちゃんの贈りもの

2020年05月05日 20時25分55秒 | 洋画2014年

 ☆海賊じいちゃんの贈りもの(2014年 イギリス 95分)

 原題/What We Did on Our Holiday

 監督・脚本/アンディ・ハミルトン ガイ・ジェンキン 音楽/アレックス・ヘッフェス

 出演/ロザムンド・パイク デヴィッド・テナント ビリー・コノリー ベン・ミラー

 

 ☆野辺の送りはスコットランドの海

 おじいちゃんが浜辺で死に、孫たちが筏を作ってそれに載せて火葬しながら水葬するという凄い物語をコメディに仕立てる巧さは充分ある。

 なのに、スコットランドへ向かう際の渋滞で、別居中のロザムンド・パイクとデヴィッド・テナントが、車外の雨の中でずぶ濡れでけんかするとき背景は晴れなのに車の窓には雨が叩きつけてるのはちょっとね。

 しみったれの長男に、更年期障害で万引きとカボチャ投げがYouTubeにあげられてしまう嫁、バイオリンの才能のない惚けた息子、バカな次男、大げさで弁護士と浮気中の嫁、なんでもノートにメモする眼鏡の孫娘、バイキング好きな弟、おしゃまでちぐはぐな妹などなどと、実に登場人物の設定は細かい。

 イギリスのコメディはそういう大仰さがなんだか自然におもえちゃうところが上手い。

 なんといっても好いのがメガネっ子のエミリア・ジョーンズだな。

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ビール・ストリートの恋人たち

2020年05月04日 00時07分36秒 | 洋画2018年

 ◇ビール・ストリートの恋人たち(2018年 アメリカ 119分)

 原題/If Beale Street Could Talk

 監督・脚本/バリー・ジェンキンス 音楽/ニコラス・ブリテル

 出演/コールマン・ドミンゴ レジーナ・キング マイケル・ビーチ デイヴ・フランコ

 

 ◇ジェームズ・ボールドウィン『ビール・ストリートに口あらば』

 強姦罪で逮捕された夫の無実を証明しようと妊婦の妻が必死になっていく話だけれども、あまりにも救いがないのはアメリカの黒人問題がもはや引き戻せないところにまで来てるってことなのかな。

 佳境、刑務所で小さな息子が差し入れのパンを食べるときにお祈りしてからといい、パパをお守りくださいというところは健気だったね。

 

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マイ・ブックショップ

2020年05月03日 18時30分14秒 | 洋画2017年

 ◇マイ・ブックショップ(2017年 スペイン、イギリス、ドイツ 112分)

 原題/The Bookshop

 監督・脚本/イザベル・コイシェ 音楽/アルフォンソ・ビラリョンガ

 出演/エミリー・モーティマー パトリシア・クラークソン ビル・ナイ

 

 ◇原作ペネロピ・フィッツジェラルド

 ばかな金持ちが偉ぶって顔役になっているような町は、戦後14年程度では文化なんて育ってるはずもなく、夢を描いて本屋を開いても偏見と利己主義に流される町の人間の心には届かず結局理解者はそのあまりの非道さに怒り心臓発作で死に彼女は夢破れて町から追い出されるわけで、その救いが小さな店員が現代になってなんとか本屋を出せたくらいで、後味が言いとはいえないなあ。

 まあ、実際、ぼくの実家のある港町もそんなもんで、1959年だったらまじにおんなじだったとおもうわ。ていうか、夢を描いて本屋を開くような酔狂な婦人がそもそもいなかったとおもうな。

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誰もがそれを知っている

2020年05月02日 18時22分40秒 | 洋画2018年

 ◇誰もがそれを知っている(2018年 スペイン、フランス、イタリア 132分)

 原題/Todos lo saben

 監督・脚本/アスガル・ファルハーディー 音楽/ハビエル・リモン

 出演/ハビエル・バルデム ペネロペ・クルス バルバラ・レニー インマ・クエスタ

 

 ◇カタルーニャの誘拐詐欺

 娘カーラ・カンプラが誘拐されるまでがまだるっこしい。

 ていうか、前の少女の誘拐事件を関係あるように見せつけることで事件を複雑化させようとしているのだけれども、実はほんとにくだらない金稼ぎのための身内による誘拐という展開は、あまりにも肩透かしを食らわされて、ちょっとなあ。

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シェフ 三つ星フードトラック始めました

2020年05月01日 20時55分05秒 | 洋画2014年

 ☆シェフ 三つ星フードトラック始めました(2014年 アメリカ 115分)

 原題/Chef

 監督・脚本・主演/ジョン・ファヴロー 音楽/マシュー・スクレイヤー

 出演/ソフィア・ベルガラ スカーレット・ヨハンソン ダスティン・ホフマン ロバート・ダウニー・Jr

 

 ☆キューバサンドイッチ

 2番手とみずからいう弟子ジョン・レグイザモのとっぽいキューバ人が、好い味を出してる。

 家族の再生は裏のテーマだけど、これもまた上手に作ってる。友情出演の3人がまたいい。オリバー・プラット演じる敵役とかはいるけど、まったくの悪人を登場させずに物語を展開させてゆけるのもまたいい。腕だろうな。そうそう、腕っていえば、ジョン・ファヴローの料理の腕前が上手に見える。これはたいしたもんだわ。
 

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