Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

京都に棲む37. 建築図面

2008年12月03日 | Kyoto city
 実は、ここ1週間ほど法観寺八坂塔の建築図面を探している。重要文化財だから工事をしていれば、図面があるはずだ。だがみつからない・・・つまり図面化を伴う工事をしていないのか。ならば府立資料館でライブラリアンを訪ね、またWEBで図書館資料を国会図書館、筑波大学図書館と検索したが、みつからない[注1]。市井のサイトにはないだろうか。写真は数多くあるが、図面はない。そんな経験をしていると、写真と図面との違いをあらためて実感させてくれる。
 写真には、先ず撮影位置やレンズの画角が様々であり、撮影者の気分も加わる。なによりも最大の欠点は詳細な各部の建築寸法がわからないといった具合に主観的な性質なのだ。それに対して図面は、実測を伴って作図されるので細部に至るまで建築寸法をおいかけることができるし、建築自体の構造もわかる。つまり図面の方が建築形態の理解における定量的な客観性があるということになる。写真と図面との違いを改めて再認識させられる。
 こうした経験をすると、意外と図面化された古建築は、少ないといえる。図面が存在するのは、「日本建築史基礎資料修正」[注2]をみると定説的な建築的価値を有するか、文化財として特に重要な価値を与えられた対象に限られてくる。
 それにしても世の中のブログは、写真という主観的な媒体を通じて、古建築を理解しているのか、それは随分といい加減な態度だと思ったりもする。そんなわけで建築理解における客観性ある図面化は、重要な活動だとおもったりするが、ないですねぇー・・ヤ・サ・カの塔の図面は。

[注1]明治期に松室重光「京都府古社寺建築調査報告」がなされている。この中に八坂の記述があるが文章のみ。この文献については、山崎幹泰:松室重光「京都府古社寺建築調査報告」、日本建築学会計画系論文集、564号、2003.p323-330に掲載されている。
[注2]太田博太郎:中央公論美術出版社、1984.
霊山観音
Fuji FinepixS5pro,AF-S NikkorF3.5-5.6/16-85mmmED
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする