Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

京都に棲む56. 設計がうまくなる方法10.

2008年12月26日 | Design&3DCG
 昨日のブログで紹介した笹島地区の3DCGの建築空間の中にカメラを入れてみたのが、この写真である。この街で働く人々には、どんな風景にうつるのだろうかと思った。建物の一角にモデルと家具を配置し、背後に街の風景が撮影できる位置にカメラとライトをすえてみた。オフィスのレストルームからは、このように街が見えるのだろう。モデルをいれることで、建築空間のスケールがわかりやすい。
 前述したようにすべての建築空間のテクスチャーは、Vue5上で全て硝子の質感に統一してあるが、画面としては不自然なところはなく、街の風景になっているところが、いかにも3DCGの特徴なのだろう。背後の超高層ビルは、コンピューショナル・フルード・ダイナミック・デザイン(CFDD)という考え方を取り入れて、形態のデザインを決めている。窓越しに見下ろす街路のオブジェは、ここではあまり重要性がないので省力している。
 こうしてみると、名古屋に、新しい風景を持った少し未来的な街区が出現しそうだということはイメージとしてわかる。だがどうも街全体が建築で覆われており、どこかニューヨークのような案配でもあり、高密度なのだが少し窮屈だと感じさせてくれた。そこでこのコンセプトは、もっと広い敷地で展開しようという結論になった。こんな風に、3DCGを用いて、容易に空間をチェクすることができる。
 ところで3DCG空間のなかで撮影していて面白いのは、実際の撮影同様の考え方や設えが必要になってくる。どこで、どんな風に撮影するという考え方と、モデルの衣装や家具などによる演出、そしてモデルを際だたせるライティング、それにカメラアングルといった具合にである。当然実際の撮影に関する知識を知らなければ3DCGにはならない。そこで概略勉強する必要性がでてくる。
 広く浅く学ぶ、これがコンセプトワークやスケマティック・デザイン、さらにはプロデュースの基本だから、3DCGは、この点においても興味深い存在だ。プロデュースのように、物事を統括する立場は、言葉は矛盾するが、ジェネラリストという特性を持った専門家なのである。

制作:2006年
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京都に棲む55. 設計がうまくなる方法9.

2008年12月26日 | Design&3DCG
 3DCGの話を続けよう。写真にあげたように、こうした概略的なデザインを、私は、スケマティックデザインと読んでいる。スケマティックデザインとは、コンセプトを忠実に表現したものであり、実施設計図を忠実に表現した3DCGのパースとは、全く性格が異なっている。
 この写真は、名古屋市笹島地区をモデルにしている。高さ500mの超高層モデルと、低層のオフィス群からなる、アジア地域全体の金融特区というコンセプトをイメージ化したものである。鉄道や河川に囲われた土地だけに、特区はつくりやすい。コンセプトをつくりすぐに可視化してみた。   
 このように可視化してみると、この土地では少し規模が小さいことがわかり、もっと広い敷地が必要だということがわかってくる。そこで新しい土地の提案に結びつけたいと考えており、新提案は、何れの機会に報告したい。
 ともあれ、従来とは全く異なる街区を形成しようという意図に変わりはなく、日本一の特化した街区をつくろうというものである。名古屋では、製造業に限りが見える今、自動車製造販売メーカー依存の一枚岩的な体質から脱却し、世界に門戸をひらける、新しい機能ある街をつくりませんかという提案である。。
 こうした概略的デザインであれば、簡単にしごく速やかに提案を可視化できる。そこに最近の3DCGソフトを駆使した方法は、まさに都合がよいといえよう。ここでは、建築のテクスチャーをすべて硝子の質感で表現している。コアも床もすべて硝子のテクスチャーである。そのほうが、可視化したときに、統一感があるのだ。あまり真剣になって個別のテクスチャーを決めたりしていると、珍奇な空間になるだろう。
 重要なのは、表現したいスケール感覚である。1/100なのか1/1000なのかといった見極めが求められる。ここでは、後者を選択している。そうした場面では、個別的な表現など役に立たない。街全体という捉え方が必要になってくる。ここがポイントであろう。
 実は、そんな捉え方は、あまり例がない。通例多くは3DCGバース屋のように、或いはマンションパースのように、まじめに個別的なテクスチャーを表現しようと勤めている。第一ソフト開発の方向がそうである。
 ところで京都は、夜半から雪が降っている。積もるには至らないが、そのせいかクリアーな風景で晴れている。冬がきたようだ。

制作:2006年
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