Creator's Blog,record of the Designer's thinking

毎月、おおよそドローイング&小説(上旬)、フィールド映像(中旬)、エッセイ(下旬)の3部構成で描き、撮り、書いてます。

京都に棲む46. コモンスペースか!

2008年12月15日 | Kyoto city
 道路と民家の壁面との間の、僅か1mにも満たないスペースに、縁台が置かれ、自転車や店のシンボルである暖簾がおかれ、格子が引き戸の設えになっており、店の主と商品を前に歓談している。軒下の柱の名残からみると、昔は下屋と呼ばれていたこのスペースが、人を滞留させ、コミュニケーションの場となり、そして商いにもつながる可能性だってあるし、時雨れることが多い京都の雨宿りの場でもある。 それこそ公と私的空間とをつなぐコモンスペースだろう。パリでいえば、それはカフェテラスだ。
 私達の生活が、あらかじめ限定された空間の中で、全て納まるということはない。むしろ、性格の曖昧な空間に、諸処雑多がはみ出してくることのほうが通例である。だから、こうしたコモンスペースを予め設けておく。そのほうが使い勝手がよいからだ。パリでも日本でも同じで、そんな隙間的な空間の扱い方が、建築デザインの知恵であり上手なデザインだろう。
 現代建築デザインが静謐な空間に走ろうとも、私達の生活は、右と左だけでは区分できない曖昧な要素があるのだ。そうした曖昧さを受け入れる空間の作り方で、建築デザインの良し悪しが決まってくる場合がある。
 自動車のハンドルに遊びがあるように、要は建築デザインも、あらゆる面で逃げの設計が重要なのである。最も大きな自然現象が、それを要求するのである。

中京区
Canon EOS kiss digital,EF F2.8/16-35mm
コメント
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