Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ヴァーチャルアイランド・プログラム31.

2009年02月05日 | Design&3DCG
 ヴァーチャルアイランド・プログラムの課題内容についてを参考作品集から紹介しよう。
 ヴァーチャルアイランドは、仮想環境に設えたので、デザインの仕事を始めるに際して必要となる作業用の地図がない。そこでこの地図をつくることから始まるところに特徴がある。
 Vueで制作した地形のオブジェクトを書き出し、Strataなどの3DCG系ソフトで開けば、地形のオブジェクトが登場する。あとは所定の等高線で、この地形を水平にスライスし、スライスした断面の輪郭が等高線になる。これを一定の間隔で行い、Illustratorでドローイングしつつ集約すれば等高線になる。
こうして地形図ができあがる。
 その次は、特徴ある地形に名前を付け、集落や植生などの表記を行う必要がある。このとき大切なのことは、ヴァーチャル・アイランドを地球上のどこの緯度・経度に設定したかとする、取り決めである。こうすることで、設定した緯度・経度の風土が、ヴァーチャルアイランドの地形図に反映される。言語や文化、集落の形態、気候や植生の種類といった人文的な要素を踏まえて、表記が可能になる。ここでは、地中海のカプリ島の南に緯度・経度を設定したので、地中海の風土が地形図に反映されている。こうして上の写真であげた100mの等高線で描いたヴァーチャルアイランドの現状地形図ができるのである。
 こうした仮想環境の地図をつくることによって、人間の生活のプリミティブな姿をイメージしてゆくことが大切なのである。もし、あなたが人類で初めてこの島に上陸したならば(仮想環境では初めて上陸することになるのだが)、この島はどんな気候で、どこで水を確保し、どんな食料を調達し、とごに家を建てるだろうか、といった思考力が必要になってくる。そうした思考力を仮想環境を用いて、養うのである。
 地球上にある数多くの集落をみれば、そうした風土的な必然性を持って、集落の位置が決まり、建築様式ができあがり、地域の暮らしが成立しているのである。私達は、そうした風景を自明のこととして見ているが、実は長い時間の中で、自然と人間の暮らしとが試行錯誤を重ねた結果の大変意味がある環境なのである。
 ヴァーチャルアイランドの緯度・経度を設定することによって、当該環境の風土について調べ、考察しながら、現状地形図かできあがるのである。地域環境成立の基本をこの現状地形図をつくりながら、学んで欲しいというのが出題意図の一つである。

制作:2005年
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