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フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編547. 新型コロナウィルス・いくつかの論文を読んで

2022年08月21日 | analysis

 

 このブログを執筆している7月16日は、第7波の感染拡大中である。このブログがアップされる頃にピークを過ぎてなだらかに低減しているか、あるいはさらに拡大が続いているか。後者ならこれまで最大級の感染規模になる。

2年間のパンデミックを振り返ると、これまで数理モデル駆使し、感染予想、そして感染元が飲食、娯楽産業にあることを突き止め、それを政策に反映してきた(注1)。数理モデルが政策に使える初めての実証実験であったといえそうだ。

国の機関のリポート(注2)によれば、コロナウィルスの残存期間は、20°Cのプラスチック上で、6〜9日とする研究もある。残存期間が長いことがコロナウィルスの特徴だ。

感染源対策という視点に立てば、残存期間を超えてウィルスが生存している環境が私達の身の回りにあるのではなかろうか。つまりシャーレでウィルスを培養しているのと類似の環境が私達の生活環境のなかにあるのではないかとする仮説である。こうした仮説をシャーレ状態の環境と呼んでおこう。

 エアロゾル感染なら空気に関わる部分。身近な環境の空気の操作系といえば、空調機がある。空調機に関する論文(注3)を読むと、空調機の送風口からウィルスを検知し集団感染を起こした事例もあったと報告されている。ちなみにこの論文の共同執筆者2名は建築の専門家である。

建築の立場からみると、保健所は空調機の吸気口や送風口は調べたが、機器を分解して内部を調べていないだろう。というのもそこまで調べた論文が見られなかったからだが。

家庭用空調機は、室内の空気を吸い込み、冷媒ガスが循環している熱交換器によって温度調節を行い、吸い込んだ空気を再び居室に送り出しているに過ぎない。つまり部屋の空気を循環しているだけである。だから内部のフィルターや熱交換器がシャーレ環境ではないかとする仮説を立ててみたわけである。

特に気密性の高いマンションは空調機への依存度が高い。いまのところそうした事柄を定量的に明らかにした論文が見当たらないので、私の疑問は解消されない。

もちろん生活上の対策は2方向の窓を全開にし、フレッシュエアを取り込む換気であることに変わりはない。第7波の感染者数急増と気温が上昇しエアコンを使うタイミングが一致し、しかも空調の利用頻度が高い沖縄県で感染者が急増しているので、そう考えたわけだが・・・。

もう一つの感染元がある。それは海外から持ち込まれた場合である。多くの場合は、経済のグローバリゼーションに伴ってウィルスが運ばれてきたと解釈する方が良さそうだ。

ここであげた論文は、何れもWEBサイトで簡単に読めるものに限っている。暑い夏を家に閉じこめられるならば、こうした論文でも読みながら少し関心事の世界を徘徊している方がよさそうだと思われた。

 

注1)稲葉寿:感染症数理モデルとCOVID-19、COVID-19有識者会議、2020,12,18.

注2)国立感染症研究所 :新型コロナウイルス感染症に対する感染管理、COVID-19有識者会議、2021,06,30.

注3)白井 克彦、古谷 誠章、田辺 新一:新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して、COVID-19有識者会議、2020,05,21.

 

ロシア・サンクトペテルブルグ

EOS1DsMark3、EF28-300mm/F3.5-5.6

ISO1250,露出補正0,f13,1/250

 

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