Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE516. 菅沼集落

2012年11月12日 | Kyoto city
 日も暮れなずむ雨の中を五箇山菅沼集落へむかった。山間を流れる庄川が谷あいにせり出した僅かばかりの平地にある小さな集落である。江戸時代から和紙や養蚕、鉄砲の火薬の原料である塩硝(えんしょう)が主な生産品、そして僅かばかりの焼き畑農業が行われていたと南砺市の WEBには記されている。ここも規模は小さいけれど、昔の風景を今に伝えている世界遺産である。
 相倉に比べると合掌造りの構えは大きい。おそらく縁側も合掌造りの屋根の懐に取り込んでいるためだろう。相倉では下屋を張り出していたのとは対照的である。
 こういう風景を見ると是非雪の時に訪れたいという都会人特有の願望が芽生えてしまう。だが、雪の降る頃は、都会人にとっては、シンシンと冷えて大変寒いのよね。願望だけにとどめておいた方が幸せだろう。
 世界遺産に登録されてから、なんと高台に駐車場や集落へ降りてゆくエレベータが作られた。あれは景観と気分を損ねるだけだし、そこまでして気まぐれな観光客にへつらう必要はないと私は思う。ブームが過ぎ去れば訪れる人もグンとへるのはめにみえている。もう少し昔のままの姿でいてほしかったと思われる。山間の小さくて静かな集落である。
 私達が集落を徘徊していると、やがて集落にライトアップ用の灯りがともり、とっぷりと陽が暮れてきた。冬の日は短いことを痛感する。
 さて明日からの佐渡出張は、海が荒れるという宿の情報で、日程延期になってしまった。天気待ちである。なかなか訪れることが出来ない集落もある。

菅沼集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO1250,焦点距離20mm,露出補正-0.3,f4.3,1/60,リーニュクレール
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PEN LIFE515. ストックされない社会

2012年11月11日 | field work
 今日は町内のお火焚祭であった。朝から境内の祠を飾り付けて神主さんを呼んでお祓いを行い、護摩木を焼いた残り火で焼蜜柑をつくって食べるという祭である。風邪封じでもあり、きたるべき寒い冬への備えの意味がある。いまでも京都市内の各町内では、連綿と長く続いている歴史ある地場の行事でもある。
 さて今年から受け持つ新しい講義まであと一月を割った。講義のレジメがようやく手に着いたばかりで、資料が届くのを待つ他ない。私の場合、講義のレジメをつくるのに最低2年は必要だ。一度制作し講義を行い、あれがあかんの、こっちがいいのと思いながら、レジメ原稿を作り直すわけだ。だから一度作ったレジメは、経験とノウハウの集積した普遍性を持つものであり、当然何年も使うことになる。
 よく友人から、東京人は古いノートで講義している先生がいるというそしりを受けると聞くが、古いノートの講義だからこそ、信頼を持って語れるのである。歴史的伝承がない東京人の気分がこのあたりにも露出するのか。
 では新しい知識はどうするか。それは学術論文である。新しいことには、実証性と有効性がない話題性だけのものが世の中には圧倒的に多く、それらのなかから、一般性を獲得できたものだけが学術論文となる。これが研究者のスタンスである。
 そう思えばインターネットを含む新聞やテレビなどのメディアの情報は、右から左へ流れて消えてゆくフロー情報でしかない。世の中の多くの人は、そんなフロー情報を追いかけて生きているわけだ。戦災で消失した多くの日本の都市があったという歴史的事実をみるとき、戦災消失都市固有のストックされない社会が形成されてきたとする概念があるのだろう。
 もっとも最近私的には、戦災消失都市にこだわりすぎという感もあるが。さて佐渡へゆく準備でもしなければ。天気は曇りかいな。もってゆく資料、資料っと・・・。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO500,焦点距離100mm,露出補正-0.3,f5.6,1/200,リーニュクレール
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PEN LIFE514. 意味のある普遍性

2012年11月10日 | Kyoto city
 相倉にはたっぷり日本の風景がある。建具は障子だから、外気が容赦なく入り込んでくる。
 多くの日本の主要都市が戦災で消失したことは昨日のブログで書いた。消失したのは都市だけではなく、それまで続いてきた日本の生活文化や人間の意識までが失われたと思われる。失った後でどうするか、そこには猛烈な勢いで外来文化が入り込んできた。いまの日本人は、外来文化という意識すらなく自明のこととして生活しているが・・・。
 最大の損失は、人間の生活意識である。戦災に遭わなかった京都人と、戦災を受けた東京人などとを比較すると、決定的に違うのは大人の意識や感性である。そういうことは、大人の意識が続いている京都に棲んでみてわかることであるが、私はどうみても東京人の 経済合理主義の考え方の幼稚さや消費癖ばかりが目に付いてしまう。特にシニア世代に多いのが、地に足が着いていない他人の受け売りのような言い回しや意識の多いことを、東京からの観光客が占めている新幹線の中で実感する。あれこそが最大の損失なのだろうかと、一人推測する。
 そう思い至ったのも、古い京都の店ではノートに定規で罫線を引き売り上げを記載していると聞いた。昔からの方法という理由だからである。昔からということは、長い時間フォーマットが変わらず、コピーといった機械や電気に頼らないハンドメイドだ。もう何十年もフォーマットが変わらないからこそ、これから先もずっと同じ方法が使える普遍性がある。それって、効率の問題ではなく、ものすごく意味のある普遍性だと思われる。言い換えれば骨太の都市の歴史の足跡と言ってよい。
 さてその東京からのうっとうしい観光客が多い新幹線で、今日も明日も昼から出勤だす。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO1000,焦点距離42mm,露出補正-0.3,f5.4,1/80,リーニュクレール
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PEN LIFE513. 骨太の都市の歴史

2012年11月09日 | field work
 どこか縄文時代を連想させる。それもそのはずで、藁葺き屋根が縄文時代から続いているからだろう。屋根の骨組みは進化したけど、屋根材は変わっていないわけだ。えらく古い時代から引き継いでいる骨太の歴史なのだと思う。
 実は、目下来月から始まる、「都市論」という講義5回分のレジメを作成しているのだが、第二次世界大戦で、日本の主要都市のほとんどは、米軍の空襲を受けて都市が破壊されてきた。だから戦後まもなく日本の多くの都市は戦災復興事業を行ってきた。唯一それを行う必要がなかった県は、秋田、山形、長野、石川県、京都、奈良、島根、佐賀の8県だけである。概ね都市への空襲を免れた県といってよい。
 だから日本の大半の主要都市は、江戸そして近世からの歴史の尾ひれがなくなったといってもよい。今あるのは、その残渣だけだ。建築も街並みも文化も精神も生活習慣も伝統を持った人々といった骨太の都市の歴史が、プッツリときれてしまったわけだ。
 他方同じ戦災を受けた西欧の都市では、ドレスデンといい、昔の姿に復元してきた都市が多く、それを思えば、石の都市、木の都市という違いを思い起こさせてくれる。そういう違いを踏まえても、継承し続けてきた物事は、頑固として未来へ継承し続けるという人間の精神の有無が、両者を分けているように思われる。
 今では、西欧もアメリカも中国も骨太の都市の歴史が継承されている。骨太の都市の歴史の継承がないのは、日本と日本人の意識だけではないだろうか。最近そんな危惧を感じさせてくれる。世界遺産も京都、奈良を除けば、日本の都市にはない。だから地域おこしも、イベント的且つ残渣の掘り起こし的と言わざるを得ないという仮説がありえるのではないか。
 だから私は、縄文をイメージしたのかもしれない。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO1250,焦点距離54mm,露出補正-0.3,f5.6,1/125,リーニュクレール
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PEN LIFE512. 相倉集落

2012年11月08日 | field work
 荒れた天気の中、山の奥へ奥へと、シニア研究員の運転するレンタカーで、世界文化遺産である相倉集落へ出かけた。雨に煙る相倉集落は山奥の傾斜地に立地し、家々の間に畑などが混在して大変良い風景ではないか。
 合掌造りは、白川郷のそれに比べと一回り小さいが、それでも見応えある風景だ。築400年の家のお婆さんにつかまり、昔、京都に嫁いだ親戚があり、そこは三条の豆屋だった。その五色生豆なら、今も京都にありますよ、などと歓談していた。
 リーニュクレールのアートモードで撮影すると、わらぶき屋根が強調されていて少し漫画的だが、これはこれで面白いだろう。通常の撮影もしたが、天気も悪く今ひとつ見栄えが悪い。
 雨の時は、傘を差しながらであるから、ズームレンズをつけたボディ1台持つのが限界である。まあ OM-D のボディは防水仕様だしええか、と思いながら雨を気にすることなく容赦なく撮影できるところは大変助かる。フィールドでは必ず雨が降ると言ってよい。昔中国雲南省の山中でEOS3が、雨で動作が一時的におかしくなった経験があった。
 さて来週には、佐渡へ行きたいのだが、日本海の天気が今ひとつだ。気になるのは、機材ではなく船便である。欠航しなければよいが・・・。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離52mm,露出補正-0.3,f5.6,1/125,リーニュクレール
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PEN LIFE511. 疲れた!

2012年11月07日 | Kyoto city
 翌朝、空が晴れていたので金屋町へ再度出かけた。金屋町は鋳物の街である。様々な行程で専門の鋳物師達が棲んでいるところだ。いつもの研究員がやってくるのは昼前だから、もう少し高岡の街を歩こうというわけだ。歩いている最中からまた雨が降ってきた。雨の中を淡々と歩いていた。
 それ以上に今日はブログを書く元気がないぐらいに疲れている。多分学部生の論文の査読をしていたからだろう。それに出張続きもある。帰りしなにクロッキー教室にでかけた。今日は、全く描く元気がない。しばらく何もしないで2日位すごしたいと思うけど、また来週早々に出張である。原稿もたまってきた。これも疲れの原因である。
 今日は、帰りしなに定食屋でステーキをくらった。これが堅いのなんのって。柔らかいステーキが食べたかったのに。 これも顎が疲れた !。それ以上に今日は書くべき話題もない。

高岡市千本格子の街並み,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離49mm,露出補正-0.3,f8,1/250,リーニュクレール
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PEN LIFE510.  都市浴

2012年11月06日 | field work
 調度旅に出た時が、この秋一番の寒い日だった。低気圧が通過していたので、突風や雷雨の注意報、そしてなんと海上には波浪警報が出されていた。持ち歩いていた傘も突風で折れてしまった。当然佐渡汽船も運行停止になるわけだ、夕方のニュースをみて納得していた。
 高岡の街の徘徊の帰りしな、重要伝統的建造物群保存地区である山町筋を通った。日も暮れるのが早いので、蔵の街はもう夜の風景であった。雨ち風の中二台の機材を振り回し、街の地図を見ながら、傘をさしつつ、スニーカーには雨水が入り指先が冷たいという失態のなか、しどろもどろになって駅前ホテルに戻った。
 さて夕飯!。駅裏手にゆけば飲食街が比較的あるのだが、天気の故もあり、人影はまばらだ。一巡して駅前の富山ラーメン屋で定食となるなど、寂しい限りの夜である。駅前は再開発の工事用仮囲いばかりで、お店がない。だからホテルの狭い部屋に戻ってもどこか感覚が変だ。そうした力の抜けた感覚は、帰ってからも続いていた。
 あの輪島の街に出かけた時のようなテンションといったらよいだろうか。あのときは地元の人が出かける美味しい飲み屋があり、古い落ち着いた街並みが続き、大変魅力的な朝市もあった。そして世の中から隠れるならば、こんな街がいいだろうというイメージまで湧いた。そういう魅力ある街のしつらえと時間が、旅人を元気にさせてくれる。そうした作用を森林浴ならぬ”都市浴”と読んでおこう。旅人にとっては、街の都市浴が必要なのである。
 高岡には、それがなかったなぁー。

高岡市,2012年11月1日
OLYMPUS  PEN E-PM2,9-18mm,f4-5.6
ISO1600焦点距離9mm,露出補正-0.3,f4,1/50
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PEN LIFE509. 痛感

2012年11月05日 | field work
 日程を変更して富山県高岡市にやってきた。駅前に降り立ってまた唖然。タクシー乗り場があるがどこかちゃっちい。歩き回ると駅前では駅ビルの大がかりな新築工事をしているところだった。しかも周辺の商業ビルも建て替えのためすべてお店が撤去されている。当然カフェやコンビニもないという姿であり、今回は駅前に唖然とさせられる旅だ。
 早速宿探し、お目当てのビジネスホテルは満室、ようやく朝飯付き5000円という駅前のビジネスホテルにしけこんだ。ベッドの上から全てに手が届くというぐらいに狭い部屋だ。まあ、綺麗だからいいか。
 晴れていたかと思うと、突然激しい雨になるといった北陸地方固有の天気のようだ。風は大変冷たく、コートを着ていてよかった。この頃テレビのニュースでこの秋一番の冷え込みということを知る。そういうときに旅に出るという奇遇。
 夕方早速伝統的建造物群保存地区の視察に出かけた。雨の中傘を持ち、ワイドズームと望遠ズームのレンズを付けた2台の機材を同時に扱うのは、なかなか難儀だ。やはり雨の時は1台でよいと痛感する。
 2台持つというのは、なんでも来いという気分であるが、実際のフィールドでは、行動が制約されて撮影できるかというと無理であるといわざるを得ない。むしろ PENはOM-Dのスペアボディと考えた方が良い。通常PEN miniは、キャップレンズを付けてコートのポケットに入れておいたほうがよいのかもしれない。
 それにしてもPEN miniのISO感度が低すぎること、キャップレンズの画角が狭いこと。あとでしらべたら、初期設定のままで最高感度ISO1600迄となっていた。画角は、デジタル2倍モードにしてあった。デジタル2倍モードをマニュアルレンズのピント合わせモードと誤解していたわけだ。だから夕方から夜の撮影で随分ブレた画角の狭い画像となってしまったわけだ。
 PENは試写が必須であることを痛感した。そういでなくとも、多分どこかのボタンにふれたのだろうか、時折設定が変わってしまい慌てさせてくれることがある。

高岡市千本格子の街並み,2012年11月1日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO200,焦点距離15mm,露出補正-0.3,f5,1/125,リーニュクレール
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PEN LIFE508. 街の構造

2012年11月04日 | Kyoto city
 建築・都市を専門分野としている人間にとっては、訪れたことがない都市というのは興味がある。情報を集めどんな街だろうとイメージする。もちろん事前のイメージと実際の街の姿とが一致することはまずない。だから百聞は一見にしかずである。
 佐渡汽船が欠航ならば、今日は行ったことがない上越市の中心市街地でも視察するか。夜はお店位あるだろう。そんな気分で長野から各駅停車で1時間半、ようやく直江津に着いた。
 実に簡素な駅に降り立つと、古いビジネスホテルがあるだけで駅前広場、観光案内所もなく、カフェやコンビニすらなく、ターミナル駅としての機能を欠いており、そんな街の構造があるのだろうかという疑問が生じる。タクシーに乗り、この街の話を運転者さんから聞きながら、佐渡汽船の乗り場を目指した。
 運転者さん曰く、「この街はみんな奥に引っ込んでしまったので、ここは人がいないよ、商店街!?、イトウヨーカドーがあるだけ・・・、ホテル!、駅前にはないよ、みんな奥!!」。それがこの街の中心市街地かいとさらに疑問が膨らむ。ホテルもないのでは泊まれない。都市インフラには見識がある新潟県人にしては、めずらしいことだ。
 佐渡汽船の乗り場には、「本日は海上時化のため欠航」とあった。時化を調べると「しけ」、こういう読み方なのかと、最近のPCによる漢字音痴に恥じる。屋上に上がり日本海や上越市を眺めながら、さて少し街を歩いてみるか、といって街情報はない。
 街をあるくと、ほとんどの店はシャッターを降ろし、歩く人もいないゴーストタウンだ。撮影していても街の空気が皆無で意欲が湧かない。なんだろう、この風情のないすさみ方は。
 そこで私は、次の目的地である富山県高岡市を目指すことにした。
 後で調べてわかったのだが、上越市は直江津市と内陸の高田市とが合併してできた都市である。街の中心も内陸部の旧高田市側に市役所や公共施設、高速バスターミナル、ホテル、城址もあるので歴史があって昔からの街並みが少し残されている。奥、すなわち上越市中心市街地は、内陸部高田のことだったのである。そんな街の構造がわかっただけでも、私には勉強になった。
 佐渡宿根木行きは次回に延期したが、こんど時化待ちのときに高田へ泊まろう。

上越市,2012年11月1日
OLYMPUS  PENmini E-PM2,15mmF8,
ISO250,焦点距離,露出補正-0.3,f8,1/125
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PEN LIFE507. シッポ

2012年11月03日 | Kyoto city
 旅行だったら出かける朝はウキウキした気分で楽しいだろうけど、しかし旅の朝は憂鬱である。佐渡の宿根木に出向いて富山を回って帰ってこよう。連泊予定なので出勤届はたっぷりとってある。なんでこんな面倒な仕事を作ったのか、もちろん考えたのは自分なんだけど、面倒だからやめるか、やはり仕事だから行くかと逡巡したあげく、憂鬱な気分で家の玄関を出るわけだ。
 フーテンの寅さんも、ささいなことで=つまり失恋で突然おいちゃん達と喧嘩してフィッと長旅に出る。そう旅の始まりは、誰しもが憂鬱なのである。
 さて名古屋まではいつもの新幹線通勤コース。旅と言っても佐渡の民宿を予約したぐらいで、 成り行き任せの旅だから、 名古屋駅の自販機で直江津までの乗車券と長野までの自由席特急券を購入する。ワイドビュー信濃3号の最後尾車両の最後尾シートに体を沈めるとき、ようやく旅モードになる。この秋始めてコートを着てきたが、ポケットには、キャップレンズを付けたPEN E-PM2がすっぽり入っている。一眼レフがポケットにはいるというのは、なかなか画期的なことだ。
 ワイドビュー信濃のシッポの座席というのは、先ず人があまり来ない。もちろん車内販売も来ない、それでいて車掌室のあるデッキにでれば、三方向の視界が開ける。私にとっては快適且つ撮影しやすいポジションだ。木曽路は紅葉が始まったころだから、撮影するのにはもってこいのシッポである。シッポでPEN E-PM2のキャップレンズの試写をしていた。
 やがて列車が長野駅に着く頃、佐渡の宿から私の携帯に電話があった。「お客さん、午後の船便ですよね!、それ欠航決定です!!、決定ですから今日はもう船はでません!!!、明日も6mの波で今日以上に海が荒れるという情報です!!!!」
 海が荒れている!?、昨日のiPhoneの天気予報ではなかった話だ。うん!、なんだこりゃ。先ずは直江津の佐渡汽船の乗り場まで行ってみよう。長野駅からローカル線に乗り換えて旅は続く。

ワイドビュー信濃3号,2012年11月1日
OLYMPUS  PENmini E-PM2,15mmF8,
ISO250,焦点距離,露出補正-0.3,f8,1/125
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