Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE514. 意味のある普遍性

2012年11月10日 | Kyoto city
 相倉にはたっぷり日本の風景がある。建具は障子だから、外気が容赦なく入り込んでくる。
 多くの日本の主要都市が戦災で消失したことは昨日のブログで書いた。消失したのは都市だけではなく、それまで続いてきた日本の生活文化や人間の意識までが失われたと思われる。失った後でどうするか、そこには猛烈な勢いで外来文化が入り込んできた。いまの日本人は、外来文化という意識すらなく自明のこととして生活しているが・・・。
 最大の損失は、人間の生活意識である。戦災に遭わなかった京都人と、戦災を受けた東京人などとを比較すると、決定的に違うのは大人の意識や感性である。そういうことは、大人の意識が続いている京都に棲んでみてわかることであるが、私はどうみても東京人の 経済合理主義の考え方の幼稚さや消費癖ばかりが目に付いてしまう。特にシニア世代に多いのが、地に足が着いていない他人の受け売りのような言い回しや意識の多いことを、東京からの観光客が占めている新幹線の中で実感する。あれこそが最大の損失なのだろうかと、一人推測する。
 そう思い至ったのも、古い京都の店ではノートに定規で罫線を引き売り上げを記載していると聞いた。昔からの方法という理由だからである。昔からということは、長い時間フォーマットが変わらず、コピーといった機械や電気に頼らないハンドメイドだ。もう何十年もフォーマットが変わらないからこそ、これから先もずっと同じ方法が使える普遍性がある。それって、効率の問題ではなく、ものすごく意味のある普遍性だと思われる。言い換えれば骨太の都市の歴史の足跡と言ってよい。
 さてその東京からのうっとうしい観光客が多い新幹線で、今日も明日も昼から出勤だす。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO1000,焦点距離42mm,露出補正-0.3,f5.4,1/80,リーニュクレール
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