Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE513. 骨太の都市の歴史

2012年11月09日 | field work
 どこか縄文時代を連想させる。それもそのはずで、藁葺き屋根が縄文時代から続いているからだろう。屋根の骨組みは進化したけど、屋根材は変わっていないわけだ。えらく古い時代から引き継いでいる骨太の歴史なのだと思う。
 実は、目下来月から始まる、「都市論」という講義5回分のレジメを作成しているのだが、第二次世界大戦で、日本の主要都市のほとんどは、米軍の空襲を受けて都市が破壊されてきた。だから戦後まもなく日本の多くの都市は戦災復興事業を行ってきた。唯一それを行う必要がなかった県は、秋田、山形、長野、石川県、京都、奈良、島根、佐賀の8県だけである。概ね都市への空襲を免れた県といってよい。
 だから日本の大半の主要都市は、江戸そして近世からの歴史の尾ひれがなくなったといってもよい。今あるのは、その残渣だけだ。建築も街並みも文化も精神も生活習慣も伝統を持った人々といった骨太の都市の歴史が、プッツリときれてしまったわけだ。
 他方同じ戦災を受けた西欧の都市では、ドレスデンといい、昔の姿に復元してきた都市が多く、それを思えば、石の都市、木の都市という違いを思い起こさせてくれる。そういう違いを踏まえても、継承し続けてきた物事は、頑固として未来へ継承し続けるという人間の精神の有無が、両者を分けているように思われる。
 今では、西欧もアメリカも中国も骨太の都市の歴史が継承されている。骨太の都市の歴史の継承がないのは、日本と日本人の意識だけではないだろうか。最近そんな危惧を感じさせてくれる。世界遺産も京都、奈良を除けば、日本の都市にはない。だから地域おこしも、イベント的且つ残渣の掘り起こし的と言わざるを得ないという仮説がありえるのではないか。
 だから私は、縄文をイメージしたのかもしれない。

相倉集落,2012年11月2日
OLYMPUS OM-D E-M5,M.ZUIKO DG14-150mm.F4.0-5.6,
ISO1250,焦点距離54mm,露出補正-0.3,f5.6,1/125,リーニュクレール
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