

20XX-7-29
巨大遡上型オショロコマ。
雨のち曇。道東のとある時期のとある渓流のとある場所のとある時間帯には大型オショロコマが集結することがある。

この日は予想通りに尾叉長が36、34、31、30、30、28cmといった大型オショロコマが次々にかかった。












大型オショロコマのうち3匹は銀ぴかで赤点紋理がピンク、ヒレも白く透明感を増したパワフルな大型遡上型オショロコマであった。



このほかさらに、もっと大型の数匹に逃げられた。これから海へ出てゆく降海型オショロコマは一般に小型で尾叉長15~20cm、魚体は細くスマート、銀ピカになりヒレは透明感を増し尾ヒレ、背びれ辺縁が黒くふちどられる特徴がある。
ここに示す遡上型オショロコマは体躯が立派であり、いかにも海で過ごしてきた様子がうかがえる。
この日も撮影させていただいた大型オショロコマたちは全て丁寧に元の場所にリリースした。
ところでオショロコマに関しては情報・データ・経験不足のため降海型と遡上型の区別がしばしばあいまいな状況が続いていた。
私自身も漠然とした捉え方をしていた。
周知のごとく北海道ではヤマベはギンケとなり海へ下るが数年後大型化してサクラマス(本州ではサツキマス)になって川を遡上する。
この海へ下る際のヤマベからギンケへの外部形態の変化はオショロコマの降海型も同じで、私の経験ではアメマスやニジマスの降海型も同一の形態変化を遂げる。アメマスはウミアメマス、ニジマスはスチールヘッドとして海で大型化して産卵行動のため川に遡上する。
オショロコマもウミオショロコマとして大型化したものが産卵行動のため 海から川へ遡上する。
しかし、今世紀になって狂気のごとく建設されたダム群のためこのパターンは途絶え、海からの遡上個体に依存しない河川残留型個体群が現在のオショロコマの主たる存在様式になってしまったのであろう。
現在、北海道ではアラスカなどと異なり遡上型巨大オショロコマ(ドリーバーデン)が見られる川が知床の一部河川などに限られ、個体数もきわめて少ないのはそのためと思われる。

