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世界的演奏家を輩出している「バン・クライバーン国際ピアノコンクール」で、辻井伸行さんが日本人として初めて優勝した。生まれたときから全盲のピアニストで、普通は譜面を見て覚える曲を録音テープを聴いて学ぶという。人の何十倍もの時間をかけて曲を覚え、さらにそれを自分の中で磨き、見えない鍵盤をたたいては一音一音築いていく。多くの人が感動のあまり涙した演奏は努力や鍛錬というありきたりの言葉を超え感嘆としかいいようがない。
全盲というハンデを克服した名だたる演奏家は多く、辻井さんが尊敬するスティービー・ワンダーをはじめ、レイ・チャールズ、ホセ・フェリシアーノ、そしてジャズ・ピアニストで忘れることができないのがアート・テイタムだ。驚異的なテクニックは、ヴラジーミル・ホロヴィッツをして「クラシックの世界でも巨匠となっていただろう」とまでいわせ、テクニシャンで知られるあのオスカー・ピーターソンは、初めてテイタムのレコードを聴いた時、ショックのあまりピアノに近寄れなくなったという。そのバリエーションの展開はジャズ・ピアノの可能性を大きく広げ、その後のピアニストへの影響ははかり知れないだろう。
初期の演奏はデッカに大量に残されていて、写真のレコードはその中から、「タイガー・ラグ」、「ユーモレスク」「セントルイス・ブルース」等、選りすぐりのソロ作品を集めている。ヴァイオリン奏者のステファン・グラッペリが、「2人のピアニストの連弾だと思った」と言い、ハービー・ハンコックは、「ハーモニーの上でテイタムの演奏は未だに自分のそれよりも前進している」と語ったように多彩な音の広がりと目まぐるしい展開はピアノという万華鏡を見るようだ。ベースとドラムが参加しているのではないかと思わせるほどリズミカルな左手の動きが素晴らしく、アニタ・オデイは「You're the Top」で、素晴らしいものの一つに「Tatum's left hand」と歌詞をアドリブしていた。
過去の例をみても盲目のピアニストがクラシックの世界でプロのレベルで活躍することはないといわれているようだが、辻井さんは今回の優勝をきっかけに国際的な舞台に飛び立つだろう。カウント・ベイシーはテイタムを世界の8番目の不思議と賞賛したが、9番目の不思議もある。
全盲というハンデを克服した名だたる演奏家は多く、辻井さんが尊敬するスティービー・ワンダーをはじめ、レイ・チャールズ、ホセ・フェリシアーノ、そしてジャズ・ピアニストで忘れることができないのがアート・テイタムだ。驚異的なテクニックは、ヴラジーミル・ホロヴィッツをして「クラシックの世界でも巨匠となっていただろう」とまでいわせ、テクニシャンで知られるあのオスカー・ピーターソンは、初めてテイタムのレコードを聴いた時、ショックのあまりピアノに近寄れなくなったという。そのバリエーションの展開はジャズ・ピアノの可能性を大きく広げ、その後のピアニストへの影響ははかり知れないだろう。
初期の演奏はデッカに大量に残されていて、写真のレコードはその中から、「タイガー・ラグ」、「ユーモレスク」「セントルイス・ブルース」等、選りすぐりのソロ作品を集めている。ヴァイオリン奏者のステファン・グラッペリが、「2人のピアニストの連弾だと思った」と言い、ハービー・ハンコックは、「ハーモニーの上でテイタムの演奏は未だに自分のそれよりも前進している」と語ったように多彩な音の広がりと目まぐるしい展開はピアノという万華鏡を見るようだ。ベースとドラムが参加しているのではないかと思わせるほどリズミカルな左手の動きが素晴らしく、アニタ・オデイは「You're the Top」で、素晴らしいものの一つに「Tatum's left hand」と歌詞をアドリブしていた。
過去の例をみても盲目のピアニストがクラシックの世界でプロのレベルで活躍することはないといわれているようだが、辻井さんは今回の優勝をきっかけに国際的な舞台に飛び立つだろう。カウント・ベイシーはテイタムを世界の8番目の不思議と賞賛したが、9番目の不思議もある。
日本ではあまり人気のないテイタムですが、デイヴ・ブルーベックは「テイタムの再来は、モーツァルトの再来より難しい」と言っています。人気では他のピアニストが大きく上回っておりますが、記事で紹介しましたようにプレイヤーにとっては神様のような存在です。今週はテイタムのお好みのアルバムをお寄せください。
Art Tatum Best 3
Solo Masterpieces (Decca Session)
Art Tatum / Ben Webster Quartet (Verve)
Presenting (Verve)
紹介したソロ作品集は、ジャケットは違いますがCDでも発売されております。
辻井伸行さんの演奏には驚きましたが、もしジャズの世界で活躍されるなら日本のジャズシーンも変るかもしれません。辻井さんのご感想もお寄せください。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
テクニックは言うまでもありませんが、それだけではないものがあると思います。
音が粒立っているというのでしょうか、聴いていてとても心地よいです。
Ben Webster Quartet は、ジャズを聴き始めた頃に聴いたアルバムで、それだけに印象深いのですが、その後聴いたソロのPiano starta Here方が気に入っています。
Piano starta Here
The Art Tatum Trio
Art Tatum / Ben Webster Quartet
アート・テイタムは、変な表現ですが、天才としか言いようがない天才だと思っております。
そして彼の演奏はプロに衝撃を与える何かを持っているように感じるのです。
お気に入りは
「クラシック・アーリー・ソロ(1934-1937)Decca
知り合いのクラシックのピアニスト(プロ)に聴かせたところ、ホロビッツより上手いと言った一枚。
「アート・テイタム~ベン・ウェブスター・カルテット」
名手2人の息がピッタリ!スタンダードはこう演らなくちゃ!!!!
「ジ・アート・テイタム・トリオ」
テイタムはもちろん良いのだが、好サポートするジョー・ジョーンズが好きだ!
音が粒立っているというのはいい表現ですね。多くのピアニストが尊敬するテイタムならではの際立った美しさと輝きがあります。
Piano starta Here は記事で紹介したレコードとほぼ同じ内容ですね。デッカ時代の数ある作品でも「Tiger Rag」や「 Humoresque」は絶品です。
The Art Tatum Trio は、レッド・カレンダーとジョー・ジョーンズをバックにしたアルバムだと思われますが、デッカ時代と変らぬ力漲る作品です。「Love for Sale」はいいですね。
ベン・ウェブスターとのレコードは私も大好きでして繰り返して聴いた思い出があります。グランツお得意の組み合わせセッションですが、いい結果がでました。
アイザック・ディズレーリは、いかなる天才も熱情によって生み出される、と名言を残しております。プロに衝撃を与えたのは、テイタムのピアノへの熱情なのでしょうね。
デッカ時代のソロはホロビッツを唸らせるテクですし、黒人でなければ間違いなくクラシックのピアニストになっていた人です。もし違う道を歩んでいたら、今のジャズピアノの流れが変わっていたことでしょう。
ベン・ウェブスターとのアルバムは随分ジャズ喫茶でも人気でした。おっしゃるようにスタンダードの手本となる演奏です。
ジョー・ジョーンズとのトリオ盤が録音されたのは日曜日だったのをご存知でしょうか。レッド・カレンダー(笑)
だって、テイタムのベスト3書ける人、そんなに
いるわけないじゃん・・・・。
と思ってあけてみたら、6つもコメあったんで
驚きました。
私は、テイタム&ベンと、
「The Tatum Group Masterpieces」しか
持ってませんので。
後者は、皆さんが挙げておられる
Art Tatum Trio と同じ音源でしょうか?
あ、あとこんなコンピLPが、あります。
「Giants of Piano/ Art Tatum~Erroll Garner」(Roost)
A面が、テイタム、タイニー・グライムスg、スラム・スチュアートb
のトリオによる4曲で、44年録音。
B面が、エロール・ガーナーのトリオとソロの音源で、
47年録音。
テイタムの4曲は、
Flying Home, 明るい表通りで、Dark Eyes, Body & Soul。
先週の課題曲、超急速調で鼻血が出そう(笑)。
凄い、の一言ですね。
スラムは、この時代から、ハミング&弓弾きを
やってたんですね。
聴いている年月がそのまま聴き込みの質に比例するとはいえませんが、長く聴いている分やはり量は多いでしょう。いくら聴いている量が多いとはいえ20万種以上あるといわれるジャズアルバムですので、一生かけても全部は聴けませんし、私が知らないアルバムも数多く挙がります。限られた時間ですので選りすぐりの名演を数多く聴きたいものです。このベスト企画がその指針になると嬉しいですね。
一口にジャズといってもデキシーからフリー、ヴォーカルまで幅広いのでどうしても偏りがでます。皆さん其々好みがありますので、いしいさんが偏り過ぎているのではありません。ただ私は別ですよ。ジョージ・ルイスの次に平然とセシル・テイラーを聴き、ビリー・ホリデイに涙するジャズ変態ですから。(笑)
ノンビリ休みたいわけではありませんが、おそらくテイタムファンは少ないと思っておりましたので閑散を予想しておりました。皆さんテイタムをお聴きのようでコメントをいただけるのは嬉しいですね。
「The Tatum Group Masterpieces」は一連のヴァーヴ・セッションを収録したものですので、皆さんが挙げておられる音源と同じです。
「Giants of Piano/ Art Tatum~Erroll Garner」をお持ちでしたか。コロムビアから「ジャズピアノの巨星」という邦題で出たことがあります。A面はコメット原盤でテイタムのオリジナル・トリオ初録音ですので貴重なものです。スピードに圧倒されますね。スラムは、ギターのスリム・ゲイラードとコンビと組んでいたころからハミングしていたようです。このコンビは「スリム・アンド・スラム」といいます。お笑いコンビみたいな名ですね。(笑)
>>>普通は譜面を見て覚える曲を録音テープを聴いて学ぶという。人の何十倍もの時間をかけて曲を覚え、さらにそれを自分の中で磨き、見えない鍵盤をたたいては一音一音築いていく。<<<
この努力の過程も私と同じです・・・しかし結果は何故こんなに大きく異なるのでしょうか?(笑)
テテ・モントリュー、ジョージ・シアリング、盲目のミュージシャンは結構います・・私の友人の兄貴に和波さんという盲目のバイオリニストもいます・・ということは目が見えるか否かということはあまり問題ではないような・・・。もっと大事な何かが・・・。
ということで天才テイタムの登場ですね。
もう嫌になってしまいますね、このピアノを聴くとしばらく弾きたくなくなります。
ここでも書かれているように左手は凄い、ピアニストが集まると左手の饗宴が知らずのうちに始まります。
ピアニストはその技量の表現の一つとして左手があります。しかしメルドーになるともう嫌味ですね。
では3枚を・・・。
1、Piano Grand Master(4枚組)・・・これがあるとほとんど網羅します。時に貴重な音源が、アームストロング、エルドリッジ、ティーガーデン、ホーキンス、ペティフォード、シドニー・カレット等との共演です。
2、Classic Piano Solo
(Verve盤 1934-37年)
3、Masterpieces シリーズ(Pablo)・・・この中の「IF」は大好きな一曲です。
ところで、辻井さんですが、私は彼のベートベン「熱情」を聴いたとき、アンドリュー・ワッツを感じました、黒人のクラシック・ピアニストです。
何かというと「間」の問題です、同じ感覚を持っているのだと感じました。
そう!クラシックでありながら、「イエッ!」と言える間をもっているのです。
まあ、今回はそんなところで・・・お後が宜しいようで。