「ルーさんのプラスさん」という妙に語呂のいい駄洒落に、ジャケットが浮かぶ「ルウドナのロケット」、「イラストのルー」でも分かるのにピー・ウィー・マーケットよろしく「ルーダーナスンQQS」。11月9日に亡くなったルー・ドナルドソンのレコードをジャズ喫茶でリクエストする時の呼び名である。誰が言い出したのか分からぬが、舌をかみそうな名前なので簡略化されたのだろう。
ブルーノートとアーゴに数多くのリーダー作があるのに日本のジャズファンの間では敬遠されている。先に挙げたブルーノート前期の作品はパーカーまっしぐらでよく歌い人気もあるのだが、63年以降のアーゴとブルーノート後期はそもそもジャズ喫茶に置いていない。コンガでリズムを刻むラテン調やオルガンをフューチャーしたソウル系は苦手な方が多いことによる。そして「Alligator Boogaloo」。大ヒッしたアルバムはコマーシャリズムだと批判されジャズに非ずという風潮があり、ジャズ評論の名著、粟村政昭「ジャズ・レコード・ブック」にルーは名前すら出てこない。
小生のサラ回しの経験のなかで一番のリクエストはリード・マイルスのジャケット・デザインが印象的な「Lou Donaldson- Quartet/Quintet/Sextet」だった。ブラウニーと肩を並べた「バードランドの夜」とほぼ同時期の3つのセッションをまとめたもので盤としての統一性はないもののパーカーを凌駕するのではないかと思わせる立て板に水の流麗なアドリブが凄い。同世代のスティットやキャノンボール、マクリーンと比べても何ら遜色のないアイデアに富んだフレーズの連続だ。新人を支えるミッチェルにドーハム、シルヴァー、ホープ、ブレイキーの優しい雰囲気も伝わってくる。
時代の流れに沿ってスタイルを変えたルーはR&Bやファンク系のファンに受け入れられジャズの間口を広げたのは間違いない。ソウル・ジャズから聴きだし「LD+3」や「Lou Takes Off」が愛聴盤の方もおられるだろう。「Light-Foot」に「The Time Is Right」、「Here 'Tis」とジャケットのルーは柔やかだ。笑顔が長寿の秘訣なのかも知れない。享年98歳。合掌。
ブルーノートとアーゴに数多くのリーダー作があるのに日本のジャズファンの間では敬遠されている。先に挙げたブルーノート前期の作品はパーカーまっしぐらでよく歌い人気もあるのだが、63年以降のアーゴとブルーノート後期はそもそもジャズ喫茶に置いていない。コンガでリズムを刻むラテン調やオルガンをフューチャーしたソウル系は苦手な方が多いことによる。そして「Alligator Boogaloo」。大ヒッしたアルバムはコマーシャリズムだと批判されジャズに非ずという風潮があり、ジャズ評論の名著、粟村政昭「ジャズ・レコード・ブック」にルーは名前すら出てこない。
小生のサラ回しの経験のなかで一番のリクエストはリード・マイルスのジャケット・デザインが印象的な「Lou Donaldson- Quartet/Quintet/Sextet」だった。ブラウニーと肩を並べた「バードランドの夜」とほぼ同時期の3つのセッションをまとめたもので盤としての統一性はないもののパーカーを凌駕するのではないかと思わせる立て板に水の流麗なアドリブが凄い。同世代のスティットやキャノンボール、マクリーンと比べても何ら遜色のないアイデアに富んだフレーズの連続だ。新人を支えるミッチェルにドーハム、シルヴァー、ホープ、ブレイキーの優しい雰囲気も伝わってくる。
時代の流れに沿ってスタイルを変えたルーはR&Bやファンク系のファンに受け入れられジャズの間口を広げたのは間違いない。ソウル・ジャズから聴きだし「LD+3」や「Lou Takes Off」が愛聴盤の方もおられるだろう。「Light-Foot」に「The Time Is Right」、「Here 'Tis」とジャケットのルーは柔やかだ。笑顔が長寿の秘訣なのかも知れない。享年98歳。合掌。
このところビッグネームの訃報が相次ぎ寂しいですが作品は永遠です。
ルー・ドナルドソンですが、仰るように、後期のものは人気が無かったですね。ジャズ喫茶で、アリゲーターなど聴いたことがありませんでしたし、ルーさんのもの。それ自体がかかるというのも、珍しかったです。1~2回あったかどうか。
ルー・ドナルドソンは、エンターテイメントの方ですね。お客様が喜ぶことに徹していた感もあります。来日公演は、レッド・ガーランドと一緒でしたが、ルーさんの方が圧倒的に受けていました。
オルガンは日本では嫌われることが多いように思います。最近、敦賀明子さんのCDなど、オルガンも結構いいと楽しんでいますが、未だに、オルガンで弾くベースが、本物のベース(コントラバス)だったらいいのにと思うことがあります。
当時のジャズ喫茶の様子を書かれていて、興味深いです。ジャズ喫茶ネタがあれば、またご披露いただけば嬉しいです。勝手なことを書いてすいません。
当時のジャズ喫茶はモダンジャズ中心でしたので、アリゲーターを置いている店はなかったですね。仮に所有していてもかけないというのがステータスでしたし、リクエストがあれば「ありません」が店の矜恃でした。
ガーランドとルーの生は残念ながら聴いていません。ジャズ誌のレビューによりますとルーは乗っていたようですね。ステージを面白くするのが上手だったのでしょう。今となっては貴重なライブです。
ジャズ喫茶でかかるオルガンといえばジミー・スミスとウェスのデュオ、ラリー・ヤングの「Unity」くらいでした。「Unity」はヤングよりもウディ・ショウとジョー・ヘンダーソンが目当てだったのでしょう。
「マイルスの小川」や「お城のエヴァンス」、「傲慢な女」等の俗称、通称はジャズ喫茶で生まれたものです。ジャズ喫茶通いをされない方はピーンとこないかも知れませんね。満席になると「フルハウス」。ドアが開くのを見て「見るとジャクソン」。氷屋さんが配達にくると「チック・コリアが来た」。コリア参った・・・昭和ですね。
たくさん出てきますが面白く拝見させていただいております。さら回しはレコード係のことだと思いますが、差し支えなければ店名を教えていただけませんか。それとマイルスとエバンスは分かるのですが、傲慢な女とは何でしょうか?質問ばかりですいません。
私がサラ回しをしていたのは「中野ジャズ・オーディオ」です。JBLの教祖として知られる故オーディオ評論家岩崎千明がオーナーで、当時東京都内で一番音がでかいジャズ喫茶として知られていました。50年以上も前の話です。
レコードの呼び名はジャケットの見た目から付けられたものが多いようです。「マイルスの小川」は小川がデザインされていますし、タイトルが「Miles」なので混同を避けるためです。「お城のエヴァンス」もジャケットですし、モントルーは「2」もありますのでこちらも迷わないための愛称です。「傲慢な女」はネット検索でも出てきませんので謎でしょう。これはソニー・クリスの「Go Man」です。ジャケットをご覧ください。タイトルとスクーターに乗った女性の態度から付けられたので最高のネーミングです。
ご質問がありましたらお気軽にお寄せください。私が知っている範囲でお答えします。
今は知らない世代が多いJBL岩崎氏と中野ジャズ・オーディオですが、雑誌のジャズ喫茶特集でたまに名前が出てくるのは懐かしいですし嬉しいですね。
「傲慢な女」と名付けた人は知りませんが、当時のジャズ喫茶と中古レコード店はこの呼び名でした。
多くのジャズ喫茶ファンの常として、ジャケットを見ずに「これは誰だろう?」
かなり昔…やっぱりパーカーはいいなあ…と思って聴いていたら、なんとジャケットはルー・ドナルドソン! 屈託のないパーカーかな?
それにしても、クインシーやロイ・ヘインズなど、歴史的ジャズメンの逝去をよく聞くようになり寂しい思いをしてます。でも、皆さん、とても長生きですね。ジャズ、クラシックを問わず、長生きのミュージシャンは多いようです。やはり、指を使うからでしょうか? 僕の長女は、英国の有名ミュージシャンのバンドメンバーとして世界ツアーの連続ですが、そんな彼女がしょっちゅう言います。「おとーちゃん、1日最低30分ピアノの練習をすると頭がボケへんで」で、彼女に訊きました…「ほんだらアルツハイマーにもならへんな?」そしたら「いや、アルコール性アルツハイマーがあるで」
白内障の手術で入院していました。本日無事退院しました。シワもシミはっきり見えるようになりました(笑)
ジャズ喫茶では敢えてジャケットを見ずに一人ブラインドが常でしたね。当時はブラインド・テストをどの店でも催していましたので練習を兼ねていた人もいました。当たると耳に自信を持てますが、私は外すことが多かったですね。ルーにキャノンボールにスティット、そしてパーカー、よく間違えました。
娘さんが仰るように指先は第二の脳と言われますのでボケ防止になるようです。麻雀は頭と指を使いますので推奨されているようです。ただ賭けないのが・・・(笑)アルコール性アルツハイマーは私も心配ですが、入院中と術後1週間は禁酒ですので、少し回復するかも。