
「裁くのは俺だ」でデビューしたミッキー・スピレインは、バイオレンスとエロティシズムの扇情的な描写で知られる作家だ。この小説で登場した私立探偵マイク・ハマーは、その後シリーズ化され軒並みベストセラーを記録するが、文壇からは通俗ハードボイルドとして冷たい目で見られ批判が多かったという。主人公ハマーは、その後の他の作家に登場する私立探偵の定番ファッションで、トレンチコートとポークパイハットという出で立ちだ。
ジャズ界にもポークパイハットを愛用するプレイヤーは多くいるが、なかでもレスター・ヤングほど似合う人はいない。今でこそレスターのテナースタイルは評価されジャズ史のうえでも重要な存在なのだが、デビュー当時はコールマン・ホーキンスのように豪快に吹くことが最上とされており、全く正反対のソフトで優しい演奏スタイルは受け入れられなかった。スピレイン同様、いつの時代も従来の作法から外れた革新的なものは簡単に理解されるものではないが、それが小説であれジャズであれ作品として優れているなら、早い将来に旧態依然とした批評眼を覆すことになる。
「Lester Young Memorial」と題されたアルバムは、「The Master's Touch」のタイトルで出ているもので、サヴォイに44年から49年までに録音したなかから選りすぐりの演奏を集めたものだ。キーノートやコモドアへの録音に前後した時期で、感性あふれたフレージングが泉の如く湧いてくる絶頂期を余すところなくとらえている。「クレージー・オーヴァー・ジャズ」や「サルート・トゥ・ファッツ」は数テイク収められていて、テイク毎のアプローチの違いはアイデアの豊かさを証明したものであり、上昇フレーズが予想されるところで下降フレーズが現れる意外性はのちのモダン期のアドリブ展開に大きな影響を及ぼすことになる。そしてメロディアスなことはどのテイクも変わらない。
椅子にそっと置かれた楽器ケースからは、テナー奏者のみならず他楽器のジャズ・プレイヤーをも触発した型にはまらないフレーズと、特有の抑揚があるメロディが静かに聴こえてくるだろう。そして、愛用のポークパイハットは、そのスタイルに追随する多くのプレイヤーを優しく包み込んでいるようだ。チャーリー・ミンガスが「プレス」と呼ばれた人に捧げた曲は、「Goodbye Pork Pie Hat」である。
ジャズ界にもポークパイハットを愛用するプレイヤーは多くいるが、なかでもレスター・ヤングほど似合う人はいない。今でこそレスターのテナースタイルは評価されジャズ史のうえでも重要な存在なのだが、デビュー当時はコールマン・ホーキンスのように豪快に吹くことが最上とされており、全く正反対のソフトで優しい演奏スタイルは受け入れられなかった。スピレイン同様、いつの時代も従来の作法から外れた革新的なものは簡単に理解されるものではないが、それが小説であれジャズであれ作品として優れているなら、早い将来に旧態依然とした批評眼を覆すことになる。
「Lester Young Memorial」と題されたアルバムは、「The Master's Touch」のタイトルで出ているもので、サヴォイに44年から49年までに録音したなかから選りすぐりの演奏を集めたものだ。キーノートやコモドアへの録音に前後した時期で、感性あふれたフレージングが泉の如く湧いてくる絶頂期を余すところなくとらえている。「クレージー・オーヴァー・ジャズ」や「サルート・トゥ・ファッツ」は数テイク収められていて、テイク毎のアプローチの違いはアイデアの豊かさを証明したものであり、上昇フレーズが予想されるところで下降フレーズが現れる意外性はのちのモダン期のアドリブ展開に大きな影響を及ぼすことになる。そしてメロディアスなことはどのテイクも変わらない。
椅子にそっと置かれた楽器ケースからは、テナー奏者のみならず他楽器のジャズ・プレイヤーをも触発した型にはまらないフレーズと、特有の抑揚があるメロディが静かに聴こえてくるだろう。そして、愛用のポークパイハットは、そのスタイルに追随する多くのプレイヤーを優しく包み込んでいるようだ。チャーリー・ミンガスが「プレス」と呼ばれた人に捧げた曲は、「Goodbye Pork Pie Hat」である。
レスター・ヤングは除隊後、過酷な軍隊生活により繊細な感受性を失ったといわれますが、それでもなお心打つ名演が数多くあります。今週は前期後期問わずレスター・ヤングのお好みの作品をお寄せください。
管理人 Lester Young Best 3
Pres on Keynote
The Kansas City Sessions (Commodore)
Pres and Teddy (Verve)
キーノート・セッションは、CDに完全にまとめられておりますが、所有はフォノグラムから発売されたレコードです。
初期の音源はアルバム単位ではありませんので、キーノート、コモドア、サヴォイ、アラジンというレーベルセッション毎に挙げていただけると幸いです。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
レスター・ヤング・・・粋なテナーですね。
小生同様、女性にもてたでしょうね。(笑)
お気に入りは、
「ザ・カンサスシティ・セッションズ」
これは良い!これがプレスだ!
「プレス・アンド・テディ」
昔から好きな一枚だ!この時期の最高の演奏だ!
「ブルー・レスター」
これもご機嫌!
次点「レスター・リープス・イン」
そうそう、ビデオ「サウンド・オブ・ジャズ」の「ファイン&メロウ」のアドリブは最高だ!
是非、聴いてほしいと思っております。
コモドア・セッションがトップにきましたか。リズミカルなフレーズの瑞々しさはうっとりします。このアルバムに「I Want a Little Girl」が入っておりますが、邦題は「いい娘が欲しい」です。KAMI さん同様、女性にもてなかったのでしょう。(笑)
「プレス・アンド・テディ」は後期レスターでは最も安定したプレイですね。オール・オブ・ミーのテディのソロはグッときます。
「ブルー・レスター」はジャケがいいですね。44年のセッションは格段ですが、49年の録音はサイドが弱いこともありレスター自身も気魄がないのが残念です。
「サウンド・オブ・ジャズ」は、ビリー・ホリデイと久しぶりに共演した音源ですね。昔日を懐かしむような演奏は感涙ものです。
レスター入りのカウント・ベイシー楽団の古い録音はよく聴きました。レスターのクラリネットプレイもよくて、もっと残っていないかと、いろいろ聴き漁ったことがありました。
①The Kansas City Sessions (Commodore)
「Way Down Younder in New Orleans」、「Pagin' The Devil」など古いですが欠かせません。
②Pres and Teddy (Verve)
③With The Oscar Peterson Trio (Verve)
②は最高、③はCDでの追加曲も含め、繊細なバラードプレイも聴けます。バックがギター入りのピーターソン・バンドでもあり、なじみやすいのではないでしょうか。
プレスってそんなに人気ないのかな?
聴くといいんだけどね。
The Kansas City Sessions (Commodore)
Pres and Teddy (Verve)
Pres & Sweets(Verve)
上位二つは良いとして、なんとしてでもSweetsとの共演、バックがピーターソン、エリス、レイにバディ・リッチとくれば文句なし、収録曲も文句なし、スイング感、グルーブ感抜群、これを1位にしてもよいくらいだ!
しかし、この年末に、リーマンショックに続く鳩山ショック・・・忙しく駆け回っても仕事が減ってゆく・・・そうジャズで言えばフェードアウト状態。
エンディングくらいキッチリ決めろよ・・・と言いたい。
腹いせに近所から飛んできてフンをしていく鳩に石をぶつけています。
我が好みのズートのルーツはプレスなんでしょうから、
聴かなきゃいかんとは思うんですが、何となく跨いでいます。
「カンサスシティ・セブン」というマーキュリーから
出ているLPを持っています。
A麺が、スラム・スチュアートらとのカルテット、
B麺が、ベイシー、フレディ、バック・クレイトンらとの
セプテットによるものですが、皆さんが挙げておられる
コモドア盤とは別セッションでしょうか?
>鳩山ショック・
ハトポッポ、早くなんとかしないと、日本潰れますよ。
先日、谷中霊園を訪れた友人が言ってましたが、
鳩山一郎の墓はかなり荒れていたそうです。
先祖を大事にせず、国と国民を愛さず、そのくせ
対峙する隣国には「友愛」を投げかける愚かな宰相と
一緒に沈没するのは、ゴメンです。
カウント・ベイシー楽団でもレスターはいいプレイをしておりますね。デッカの音源は分散されておりましたが、73年に日本ビクターが編纂した4枚組みアルバムでヴォカリオン移籍前の全録音が聴けます。水を得た魚のように活き活きしております
コモドア、プレス・アンド・テディと順当にきたところでピーターソンとの共演盤が挙がりましたか。ジャケが秀逸なアルバムですが、内容も申し分ありませんね。甘さに流されないスターダストは最高ですね。
プレスが人気薄なのはジャズ喫茶でかからない傾向にあったからと思います。Pres and Teddy かせいぜい挙げられたPres & Sweets ぐらいなものです。前期のものは録音時間が短いことと、音を競うジャズ喫茶向きではない音の悪さがあります。後期では Pres and Teddy が最高の1枚ですが、やはり最上のプレイを聴けるのはコモドアやキーノートのセッションです。是非この辺りを聴いて欲しいものです。
鳩に石をぶつけても上手くかわされたでしょう。難題から逃げるのは得意とするところです。
プレスはお好みではないようですね。先週に続き苦手なものが続きましたので来週はセシル・テイラーでも話題にしましょうか。(シ刑)
お持ちの「カンサスシティ・セブン」はコモドア・セッションです。
>ハトポッポ
鳩山氏は歌が上手なようです。若い頃、北海道の後援者向けに配ったレコードは数万円のプレミアとか。最近CDで発売されたようですが、飛ぶ鳩落とす勢いの売れ行きだそうです。
カンザス・シティ・セッションはファイブも好きですがセブンが好みです。
The Kansas City Sessions
Blue Lester
Pres and Teddy