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常にジャズシーンをリードしていたマイルスは、56年に黄金のクインテットを一時解散している。コルトレーンとフィリー・ジョー・ジョーンズの麻薬が激しくなりバンドの維持が困難という判断だ。ジャズマンの麻薬依存は「よくあること」だが、完璧を求めるマイルスにとってそれはマイナス要因にしかならない。そんな時、フランス人のプロデューサー、マルセル・ロマーノからヨーロッパでのコンサートの声がかかった。
単身パリに渡ったマイルスはフランスのミュージシャンとツアーを組むのだが、これも「よくあること」で計画通りにいかない。そこでロマーノは出来なくなった分のギグの埋め合わせにと映画音楽の仕事を持ちかける。それはツアーのメンバーと録音に臨んだ「死刑台のエレベーター」で、地元で集められたメンバーは旧友のケニー・クラークをはじめ、当時巷の話題になっていたテナー奏者バルネ・ウィラン、のちにバド・パウエルと共演したベースのピエール・ミシェロ、そしてフランス一のバップ・ピアニストといわれたルネ・ユルトルジュである。映画のサントラ盤ではほとんどソロを聴けないが、そのバップフレーズをたっぷり楽しめるのが・・・
「HUM」で、ミシェロとフランス一のドラマーを夢見るダニエル・ユメールの頭文字をとったトリオ盤だ。トップに持ってきた曲は、「よくあること」という邦題が付いているコール・ポーターの「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」で、ただでさえ印象的なテーマをドラムのビートに負けない強さで弾き出す。圧巻はユメールとの四小節交換で、ユメールもドラムという楽器が持てる音全てを巧みに叩きだすのだが、ユルトルジュの高音を生かしたソロもまた変幻自在だ。この火の噴くようなスピード感あふれる演奏にもかかわらず大変美しい。それはクラシックの素養というより楽曲の美しさを引き出す才能だろう。
今ではアメリカのプレイヤーがふらりと外国に出かけ、その国のミュージシャンとレコーディングするのは「よくあること」だが、60年という時代では珍しいセッションだ。マイルスもおそらく期待していなかっただろうが、パリのジャズマンの実力の高さに驚いたかもしれない。ユルトルジュはパウエルに影響された「よくいる」ピアニストではなかった。そしてこのアルバムも「よくある」模倣の演奏ではない。
単身パリに渡ったマイルスはフランスのミュージシャンとツアーを組むのだが、これも「よくあること」で計画通りにいかない。そこでロマーノは出来なくなった分のギグの埋め合わせにと映画音楽の仕事を持ちかける。それはツアーのメンバーと録音に臨んだ「死刑台のエレベーター」で、地元で集められたメンバーは旧友のケニー・クラークをはじめ、当時巷の話題になっていたテナー奏者バルネ・ウィラン、のちにバド・パウエルと共演したベースのピエール・ミシェロ、そしてフランス一のバップ・ピアニストといわれたルネ・ユルトルジュである。映画のサントラ盤ではほとんどソロを聴けないが、そのバップフレーズをたっぷり楽しめるのが・・・
「HUM」で、ミシェロとフランス一のドラマーを夢見るダニエル・ユメールの頭文字をとったトリオ盤だ。トップに持ってきた曲は、「よくあること」という邦題が付いているコール・ポーターの「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」で、ただでさえ印象的なテーマをドラムのビートに負けない強さで弾き出す。圧巻はユメールとの四小節交換で、ユメールもドラムという楽器が持てる音全てを巧みに叩きだすのだが、ユルトルジュの高音を生かしたソロもまた変幻自在だ。この火の噴くようなスピード感あふれる演奏にもかかわらず大変美しい。それはクラシックの素養というより楽曲の美しさを引き出す才能だろう。
今ではアメリカのプレイヤーがふらりと外国に出かけ、その国のミュージシャンとレコーディングするのは「よくあること」だが、60年という時代では珍しいセッションだ。マイルスもおそらく期待していなかっただろうが、パリのジャズマンの実力の高さに驚いたかもしれない。ユルトルジュはパウエルに影響された「よくいる」ピアニストではなかった。そしてこのアルバムも「よくある」模倣の演奏ではない。
ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングスは、コール・ポーターが、1935年のミュージカル「ジュビリー」のために書いた曲です。このミュージカルからは「ビギン・ザ・ビギン」も生まれておりますが、ジャズメンが好んで演奏するのは前者です。今週はピアノでお気に入りをお寄せください。管楽器とヴォーカルは別の機会に話題にします。
管理人 Just One of Those Things Piano Best 3
Bud Powell / The Genius (Verve)
Claude Williamson / Round Midnight (Bethlehem)
Rene Urtreger / HUM (Vega)
他にはパウエル派のアル・ヘイグ、秋吉敏子をはじめ、アート・テイタム、オスカー・ピーターソン、テディ・ウィルソン、比較的新しいところではウォルター・ディヴィスJr.等々、多くの名演がありますので、何が挙がるのか楽しみです。
先週のダルビッシュから、今週は「HUM」、短絡な発想ですがネタがないわけではありません。(笑)
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Eliane Elias - Just One Of Those Things - Heineken Concerts - 1996
http://www.youtube.com/watch?v=TJ1hfopnMpM&feature=related
官能的な表情にドッキリです。
・・・という邦題がついていて、「どんな曲?」
と思ったら、Just One of Those Thingsだった
ということがりましたね(笑
先週は欠席して、失礼しました。
何しろ、手持ちが「Freedom Sound」一枚では
話にもなりませんので。
で、今週のお題ですが、ピアノの手持ちは、
「The Genius of Bud Powell」
「'Round Midnight / Cluade Williamson」
「Jazz Will-O-The Wisp / Al Haig」
「A Day In Paris / George Wallington & Al Haig」
「Dave Brubeck Quartet」(Fantasy 3-230)
「Bird Song / Hampton Hawes」
「A Day In NY / Tony Scott & Bill Evans」
「The Complete Vogue Recordings Vol.1/ Martial Solal」
これから出かけますので、後ほどじっくり聴いてから、
3枚選ぶとしましょう。
さすがにモダン期のピアノはおさえておりますね。3枚の並び替えが楽しみです。
「ただ一つのもの」の邦題もありましたね。古い文献ではこのタイトルと「よくあること」がありますが、執筆者とライナー担当者によって違うようです。ピーンときませんが、ヒット曲でしたので馴染みやすい邦題を付けたのでしょう。先日話題にした「素敵なあなた」や「絶体絶命」は邦題が付いていて助かります。いまだに原題を言えません。(笑)
パウエル命の小生は、Just One of Those Thingsを何度聴いたか分かりません。(笑)
お気に入りは、
The Genius Of Bud Powell
パウエルが天才だった時代の傑作。これを挙げない奴は馬○だ。(笑)
The Tatum Group Masterpieces(ジ・アート・テイタム・トリオ)/Art Tatum
こちらも100年に1人の天才の名演。素晴らしい演奏だが、テイタムとしては普通の出来。パウエルの演奏から感じられる、閃きのようなものはやや劣っているように思う。
Round Midnight/Claude Williamson
好きな演奏で、店でも時々かけている。
こりゃ、選ぶのたいへんそう・・・。
Bud Powell / The Genius (Verve)
Errol Garner/ Dreamstreet(TELARC)
Claude Williamson / Round Midnight (Bethlehem)
この曲は歌も楽器もよくも沢山あると言うくらいあるのですが、ピアノと限定されると良いものが意外に出てこないのであります。
ヘイグとウイリアムソンとどっちにしようか迷いましたが・・。
あと、ハンプトン・ホウズのも好きです。
やっていそうでやっていないのがジャマルやハンク・ジョーンズで、探せばあるのでしょうが、出てこない。
でも巷のジャズクラブではよく演奏される曲の正に「Jast One Of Those Things」なのであります。
ピアノで無ければ、タル・ファーローを出したかったのだがなぁ・・・
最後に、パウエルを入れたのはKAMIさんにバカヤロウ!と言われない為に入れました。これを入れて置かないと埼玉県を通過できなくなってしまいますので・・。
そういえば、このタイトルはサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にも出てきたと覚えています。歌詞がいいんだよなぁ・・。
やはりパウエルですね。古い曲ですが、パウエルが取り上げてから、それを追い越せとばかりに多くのバップピアニストが挑戦しております。それぞれに個性が出た力演揃いですが、神がかったパウエルには一歩譲るようです。
テイタムはいつものようにコロコロと音が舞っておりますね。後半ジョー・ジョーンズとの4バースもありますが、独壇場といった演奏です。レッド・カレンダーは出番がありませんが、日曜日だったのでしょうか。(笑)酒よりお茶を飲みながらのほうが楽しめる演奏です。
25-25 さん、KAMI さんのご意見は普通の出来だそうです。普通でもこの演奏ですから凄いですね。
名曲だけあり多くの演奏がありますので、今回はピアノにしぼりましたが、迷うほど名演がありますね。
トップは、KAMI さんが神がかった傑作と一推しですので外せません。そしてガーナーが出ましたか。パラマウント原盤だと思うのですが、残念ながら持っておりません。演奏内容は想像付きますが聴いてみたいですね。
ジャマルは聴いておりませんが、ハンク・ジョーンズはフランク・ウェスと共演した「Hank & Frank」で取り上げております。ピアノトリオの録音は不明です。
タル・ファーローも良い演奏ですね。ピアノでも管楽器でももれますが、ギターだけでこの曲の選択は難しいかもしれません。
この曲は「ライ麦畑でつかまえて」にも登場していました。サリンジャーはサリげなく曲を入れてきますね。サリンジャーに傾倒した日本の某作家もこのスタイルですが、ジャズファンは楽しめます。
この曲で真っ先に思い出すのは、ベツレヘムの『FOUR HORNS and a LUSH LIFE』です。ロソリーノやハーパーらのボントロ4管編成というのが多すぎず少なすぎず、これが絶妙の塩梅なのです。サヴォイの似た編成の作品を集めるきっかけにもなりました。
ジャズを愛する者に、老いも若いもありませんね、というわけで並み居るお歴々を前に知ったかぶりしていますが、そのうちボロが出そうですので「この一枚」だけで失敬を。でもホントにイイですよ、もしかしたらこの作品、ベツレヘムで一番聴いたかも・・。
トニー・スコット&ビル・エバンスはピアノの出番が
少なかったので、ちょっと番外でしたが。
あえて3枚選ぶとすれば
パウエル、ヘイグ、ウィリアムソンですかね。
次点に、「A Day In Paris / George Wallington」。
ピアノ・ソロのヴァージョンですが、
パウエルに迫る内容でした。
さすが、バド・パウエルに対抗できる唯一の
白人カウンターパートとか言われただけのことは、
ありますね。
ホーズのヴァージョンも、エンディングが
個性的でよかったですね。