久しぶりに池袋のジュンク堂に入った。西原理恵子と並んでゲッツ板谷のコーナーができているほど、たくさんの本が刊行されているので驚いた。
で、ゲッツ板谷の自伝的不良小説『ワルボロ』(幻冬舎)を買ってしまう。1600円! R・ブロックのマット・スカダーシリーズの最新作を買おうと思っていたのに。ゲッツ板谷ファンなのかな、俺は。
時は、1980年代。荒涼たる基地と競輪の街立川の不良中学生たちのケンカ三昧の日々を通して、主人公・板谷コーイチくんの恋と友情、成長をリアルに描いた青春小説の傑作だ。同系では、中場利一『岸和田少年愚連隊』、さらに遡れば鈴木清順監督の名作『けんかえれじい』を思い出す。『岸和田少年愚連隊』は1960年代、『けんかえれじい』は戦前という時代の違いはあるが、不良少年たちの情動はほとんど同じ。子犬同士がもぶれ合いつつ歩くような少年たちの姿は変わらないのだ。
俺も蒲田育ちなので、不良になって楽しくやるか、勉強してここから脱け出るか、2つの選択しかないクソのような街の閉塞感はわかる。小学生にして、そう思うのだ。幸か不幸か、俺は神奈川県の田舎に転校したせいで、そのどちらの道も選択しないですんだが、もしあのまま蒲田で中学に進んでいたら、たぶん不良になっていただろうと思う。自分の居場所と仲間を見つけなければならないからだ。
親と家庭から離れたいという欲求は、思春期としては健全な情動であり、不良かガリ勉かはちょっとしたきっかけで分かれることは、この本でも指摘されている。ただし、立川や蒲田のような殺伐だった街では不良偏差値がきわめて高い。中学生のくせに、ケンカにドスや日本刀が出てくる場合もあるほど。したがって、不良になるにもガリ勉する以上の辛い毎日が約束されているのだ。弱ければボコられ、使い走りにされ、ときには金まで毟り取られるのだ。
コーイチをはじめとするヤッコ、キャーム、小佐野、ビデちゃん、カッチン、たった6人の錦組は、そんな「一軍」の不良たちに手酷く殴られ、蹴られ、脅かされながら、自分たちの無知と非力に歯がみしながら結束し力を蓄えて、ついに立川の頂点に立ち向かうまでになる。たぶん、同じ物語を優等生群像としても描くことができるだろう。とりあえずの居場所を確保するために友だちを見つけ、仲間とともに自分たちの場所を守っていく。それは原初的な欲求と行動であり、不良グループ・ガリ勉組・スポーツ部・趣味派・帰宅組を問わず、ほとんど等価なのだ。
唯一大事なのは、そこで友だちを見つけること。誰かを友だちと思い、誰かから友だちと思われることなのだろう。
来夏に、この「ワルボロ」は映画公開されるらしい。楽しみだ。
で、ゲッツ板谷の自伝的不良小説『ワルボロ』(幻冬舎)を買ってしまう。1600円! R・ブロックのマット・スカダーシリーズの最新作を買おうと思っていたのに。ゲッツ板谷ファンなのかな、俺は。
時は、1980年代。荒涼たる基地と競輪の街立川の不良中学生たちのケンカ三昧の日々を通して、主人公・板谷コーイチくんの恋と友情、成長をリアルに描いた青春小説の傑作だ。同系では、中場利一『岸和田少年愚連隊』、さらに遡れば鈴木清順監督の名作『けんかえれじい』を思い出す。『岸和田少年愚連隊』は1960年代、『けんかえれじい』は戦前という時代の違いはあるが、不良少年たちの情動はほとんど同じ。子犬同士がもぶれ合いつつ歩くような少年たちの姿は変わらないのだ。
俺も蒲田育ちなので、不良になって楽しくやるか、勉強してここから脱け出るか、2つの選択しかないクソのような街の閉塞感はわかる。小学生にして、そう思うのだ。幸か不幸か、俺は神奈川県の田舎に転校したせいで、そのどちらの道も選択しないですんだが、もしあのまま蒲田で中学に進んでいたら、たぶん不良になっていただろうと思う。自分の居場所と仲間を見つけなければならないからだ。
親と家庭から離れたいという欲求は、思春期としては健全な情動であり、不良かガリ勉かはちょっとしたきっかけで分かれることは、この本でも指摘されている。ただし、立川や蒲田のような殺伐だった街では不良偏差値がきわめて高い。中学生のくせに、ケンカにドスや日本刀が出てくる場合もあるほど。したがって、不良になるにもガリ勉する以上の辛い毎日が約束されているのだ。弱ければボコられ、使い走りにされ、ときには金まで毟り取られるのだ。
コーイチをはじめとするヤッコ、キャーム、小佐野、ビデちゃん、カッチン、たった6人の錦組は、そんな「一軍」の不良たちに手酷く殴られ、蹴られ、脅かされながら、自分たちの無知と非力に歯がみしながら結束し力を蓄えて、ついに立川の頂点に立ち向かうまでになる。たぶん、同じ物語を優等生群像としても描くことができるだろう。とりあえずの居場所を確保するために友だちを見つけ、仲間とともに自分たちの場所を守っていく。それは原初的な欲求と行動であり、不良グループ・ガリ勉組・スポーツ部・趣味派・帰宅組を問わず、ほとんど等価なのだ。
唯一大事なのは、そこで友だちを見つけること。誰かを友だちと思い、誰かから友だちと思われることなのだろう。
来夏に、この「ワルボロ」は映画公開されるらしい。楽しみだ。