コタツ評論

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玉石混淆

2010-10-27 08:16:00 | ノンジャンル
10・24「検察・検審を糾弾するデモ」が日比谷公園まで行われたようです。自民党出身の保守政治家の「政治とカネ」の問題で、小規模(500人?)ながら、反検察デモが組織されるなど、前代未聞のことでしょう。もちろん、中国の「反日デモ」が「反政府」を内包しているように、このデモは、「脱属国」を背景としていることは自明です。先日の「反中国デモ」がまったく報道されなかったのと同様に、この「検察・検審を糾弾するデモ」もメディアから黙殺されました。いまどき、新聞やTV、週月刊誌の記事をニュースと思っている人がどれだけいるのでしょうか? その一方で、インターネットのガセ情報が口コミでマスコミに拡がっているのが以下。

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そして以下は、インターネットがジャーナリズムに代わって報道している例です。

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いま日本でもっとも

2010-10-27 02:07:00 | 新刊本


容赦のない文章を書く人は誰かといえば、そりゃ、小谷野敦です。本名かどうかは知らないが、こやの あつし ではなく、こやの とん と読ませるところからして、ただ者ではない
(小谷野敦なら、本名ならどうするんだと突っ込むだろうが)。恋愛至上(市場)主義を批判した『もてない男』など、この人以外に書けそうもない名著である。つまり、他者にはもちろん、自分にも容赦ない人が、脳天気な「日本人論」を許容するわけがなかったという本が、『日本文化論のインチキ』(幻冬舎新書)。裏表紙の紹介文は以下です。

「日本語は曖昧で非論理的」「日本人は無宗教」「罪ではなく恥の文化」……わが民族の独自性を説いたいわゆる日本文化論本は、何年かに一度「名著」が出現し、時としてベストセラーとなる。著者はある時、それらの学問的にデタラメな構造を発見した。
 要は①比較対象が西洋だけ、②対象となる日本人は常にエリート、③歴史的変遷を一切無視している、のだ---。国内外の日本論に通じる著者が『武士道』に始まる一〇〇冊余を一挙紹介、かつ真偽を一刀両断。有名なウソの言説のネタ本はこれだ!


表紙カバーの紹介文は、担当編集者が書くのが通例だが、もしかすると、小谷野自身が書いているのかもしれない。小谷野本を読みはじめると、誰でもすぐに、「自意識過剰」という言葉を思い浮かべるはずだが、やがて、その自意識はかなりふてぶてしいことに気づくことになる。帯には、名著の誉れ高い「日本人論」の「ウソの言説」を並べている。

*「甘え」という語は西洋語にはないから日本人特有の感情だ。『「甘え」の構造』土居健郎
*日本人は裸体を気にしない『逝きし世の面影』渡辺京二
*日本は処女の純潔を重んじない『ヨーロッパ文化と日本文化』ルイス・フロイス
*日本の文藝に描かれた恋は、藝者相手迷いのようなものしかない『東の国から』ラフカディオ・ハーン
*日本人の祖先は宝貝を求めて南方から移住してきた『海上の道』柳田國男
*黒船に無理矢理開国させられた日本人は以後トラウマを引きずり、米国に愛憎入り交じった感情を抱くようになった『ものぐさ精神分析』岸田秀
*ユダヤーキリスト教文化は父性的、日本は母性的。『母性社会日本の病理』河井隼雄


このほかにも、李御寧の『「縮み」志向の日本人』やヘーゲルの「歴史哲学」、フロイトやラカン、司馬遼太郎などなど、洋の東西古今を問わず、学問と誤解されているが非学問的なエッセイや世間話に過ぎないと言い放ち、たとえ学問的ではあっても今日では一顧だにされない旧説と切り捨てる、その太刀さばきが痛快この上ない。政治と教育と映画と日本人論は、誰でも何か書けるものだが、小谷野のような人に典拠を示せといわれれば、裸足で逃げ出す他はない。小谷野敦、最強じゃないか。こちらが最弱なのかもしれないが。

(敬称略)



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