http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010051201000115.html
むかし、ドイツの商工会議所会頭の御曹司という男と同席したことがあった。彼には驚かされた。欧米人がデスクに両脚をのせてくつろぐ格好は知っていたが、なんと彼は日本人のガールフレンドの膝に両脚を預けて、私たちと話したのだ。彼はこんな話をしていた。
「なぜ、日本の自動車メーカーは頻繁にフルモデルチェンジをするのか？ ドイツなら売れている車のモデルチェンジはけっしてしない。そのほうが儲かるからだ。なぜ、日本ではユーザーから要望もないのに、わざわざ出費がかさむモデルチェンジを３年ごとに行うのだ。理解できない」となかば怒っていた。
私はたまたま知人の会社を訪ねて同席しただけなので、彼の態度と話の内容にも呆れたので早々に引き上げたのだが、下の御曹司は上の御曹司よりだいぶんましな人のようだ。
欧州財閥の御曹司がヘイトスピーチを痛烈批判
http://nikkan-spa.jp/432296
以下、印象に残ったところを抜粋。
―何故日本人は、外国人を受け入れていないと思うのでしょうか？
僕が出した結論は、日本人は自分たち同士でしか好きになれないということ。日本人は長年アジアナンバーワンを自認して偉そうな態度をしてきた。その傲慢さはアメリカと似ている。アメリカ人は他の国のことをまったく学ぼうとしない。ヨーロッパ人は違う国に行ったらその国について学ぼうとする。日本でも、僕はまず日本語を勉強していた。日本人は偉そうにしすぎる。日本社会が日本国民にそうなるよう要求している構造になっている。
そうか、日本人がアメリカ人に親しみを感じるのは、傲慢同士だからか。なるほどな。
例えば津波の時、僕の国を含めていろんな国から日本への救助チームが派遣されるはずだったが、日本政府がそれを拒んだ。弱く見られたくないからだ。だが米軍だけは救助に出たが、それはそうだろう。日本とアメリカはそうするしかない関係だから。
日本政府が各国の救助チームを拒んだとは知らなかった。事実とすれば、民主党には受け入れる用意ができなかったのだろう。首相が東電を怒鳴りつけに出向かなければならない有様だったのだから。
―安倍首相の発言は「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」といったものでした。
何？ 正気か？ 信じられない。何てショッキングなことだ。直ちに首相を辞めさせて、隔離して精神鑑定する必要がある。戦争を起こしておいてよくそんな言い訳ができるな。だから言っているんだ、日本人は偉そうにしすぎると。世界が見ているんだ。日本人は歴史の再教育が必要だが、それをするにはプライドが高すぎる
これが世界の常識だろうな。他国で戦争すれば、そりゃ侵略だよな。
―日韓間の歴史問題は、日韓国交正常化の際すべて解決したというのが日本の立場です。
それは民主的な政府同士で結んだ条約ではない。
うん、これは私も前に書いたことがあるな。
―ヨーロッパのレイシストたちはどのような主張をするのでしょうか？
たとえばイスラム系の政治団体が、ヨーロッパ系の人間を虐めるべきだとか、女性はヒジャブを被らないとダメだとか。表現の自由は保証されているから言いたいことは何でもいっていい。
だが、あのヘイトスピーチ団体は注目されすぎている。例えば、イスラム原理主義者が『ゲイが嫌いだ』となら別にいい。そんなことは知り尽くしているし、誰も興味を持たない。だけど駅前で『ゲイを殺せ』と言ったり、ミニスカートを履いた女性に向かって『娼婦だ』というのは表現の自由ではなく、ハラスメントだ。
表現の自由の境界について、じつに明快だな。
―レイシズムやヘイトスピーチは規制すべきだと思いますか？
すべきではないし、言いたいことをいえばいいと思う。ヘイトスピーチ団体が掲げている問題は単に自らの欲求不満で、他人がさせたものではない。
ヨーロッパでは法的に禁じられているが、彼個人としては法規制をすべきではないと考える立場のようだ。あるいは、ネオナチのヘイトスピーチは禁じられて然るべきだが、イスラム原理主義者のそれは法規制すべきではないという考えとも読める。
全ヨーロッパとして清算済みとヨーロッパ各国で現在進行形という違いがあるし、イスラム原理主義者からは逆にヨーロッパのレイシズムを指摘される双方向性という違いもあるだろう。いずれにしろ、ヨーロッパとイスラム原理主義の軋轢にひきつけて語っている点は新鮮だった。
もちろん、在特会が攻撃対象とする在日朝鮮人は、ヨーロッパのイスラム教徒とはまるで異る。ヨーロッパのイスラム教徒は同化しないが、日本の在日朝鮮人はむしろ同化しているがゆえに批難されているように思える。そこが彼には信じがたい差別なのだろう。
（敬称略）