コタツ評論

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山中伸弥で打ち止め

2013-05-28 22:57:00 | 経済
けっこうショッキングなデータです。

あまりにも異常な日本の論文数のカーブ
http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/26f372a069cbd77537e4086b0e56d347

Elsevier社Sciverse Scopusに基づく各国の論文数の推移
http://www8.cao.go.jp/cstp/budget/syoken23/kokudai31.pdf

イノベーションに関する国際競争力ランキングの推移
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu107/siryo2_1.pdf

国立大学が法人化された2004年前後から、日本の論文数が激減しているらしい。だとすれば、法人化にともなう研究以外の仕事に忙殺されて論文の生産性が著しく低下したのでしょう。少し遅れて技術開発の国際競争力も2007年から急低下しています。

検索してみると、企業の研究開発費もかなり以前から低迷しているようです。デフレ不況下では製品や商品に研究開発費をのせるわけにはいきません。当然、研究職ポストは減り、博士無職は増えるのですから、学位取得目的の留学が減るのは当然のことです。

その一方で、小学校から英会話教育が必須とされ、大学入試にTOEICが導入されようとしています。「科学技術立国」どころか、すでに日本の科学技術の優位性が脅かされ、日本語の学術基盤そのものが解体に向かっているようです。ほかならぬ、日本の政官財を主導する日本人たちによって。

卑近な例で恐縮ですが、新刊書店の翻訳小説のコーナーが、文庫本ですらあるかなきかくらいに縮小しています。ましてやハードカバーなど探すのにちょっと苦労するくらい。書店員に尋ねたら、「翻訳のハードカバーは高価で仕入れにくい」とのことでした。

出版不況と相まって、日本の学術と文化を特色づけてきた翻訳文化も衰退しているとすれば、事態はさらに深刻です。日本のように世界中の小説をはじめとする多種多様な書籍が翻訳出版されている国はないそうですから、世界的損失ともいえそうです。

そう考えてくると、日本ほどグローバルな国はなかったように思えます。いま喧伝されている経済のグローバリズムとは、ようするに韓国化、中国化に向かうことに思えてなりません。嫌韓や嫌中が増えているのも、そこらへんを敏感に察知しているのかもしれません。


コメント
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