ビデオレンタル新作の『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』を観ました。
監督はイギリスのガイ・リッチー。といえば、平成12年(2000)、10歳も年上だった当時42歳のマドンナと結婚したことで一躍有名になった人。有名人大好きの売名野郎でマドンナの金目当ての二流映画監督だろうどうせと踏んだのですが、ところがどっこい。ロック、ストック & ;トゥー・スモーキング・バレルズ Lock, Stock and Two Smoking Barrels (1998) とスナッチ Snatch (2000) を観たら、これはこれはの傑物でした。
この2作品であのジェイソン・ステイサムを売り出し、スナッチに客演したブラッド・ピットの可笑しさときたら、彼の代表作の一つにしたいくらいでした。
今回、はじめてガイ・リッチーのウィキペディアを読んだら、「映画オタク」なのは作品からわかっていたものの、異色の出自と経歴に驚いた。こんな人物と結婚するマドンナは、やはり只者ではなかったのだなと納得しました。
ガイ・リッチーは、その後も、ロバート・ダウニーJrとジュード・ロウの魅力をさらに引き出したシャーロック・ホームズ Sherlock Holmesをヒットシリーズに育て上げ、往年の人気TVドラマ「ナポレオン・ソロ」をリメイクした、この『コードネーム U.N.C.L.E.』に起用されたわけです。
米ソ冷戦下の60年代が舞台です。68年生まれのガイ・リッチーには19世紀のシャーロック・ホームズほどではなくとも、同時代性はないはずですが、やはり自由闊達な作品になっています。テリー・ギリアムの「未来世紀ブラジル」を挙げるまでもなく、近未来SFはたいてい息苦しいディストピアになるのに、ガイ・リッチーのように過去に題材をとると奔放に描けるのはどうしてなのか。たいていの過去も未来と同じくじつは未知とはいえ、未来に閉塞し、過去に跳躍する想像力も映画の謎のひとつです。ともかく、カンヌや米アカデミー賞には関係しないが、いまもっとも楽しい映画を撮ってくれる監督の一人です。
今夜は、同映画の挿入歌を2曲。
Peppino Gagliardi - Che vuole questa musica stasera (1967)
The Man from U.N.C.L.E. - Feeling Good by Nina Simone (Official Trailer Music 2)
(敬称略)