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アヤマテリアル

2019-03-13 00:46:00 | 政治
以下が事実とすれば、イソコファンに続き、「事実誤認とは言えないし、言ってはならない」事例です。 

【お知らせ】堤未果著『日本が売られる』についてのファクトチェックを幻冬舎に送付しました
http://migrants.jp/news/factcheck-nihongaurareru/

彼女の著作では『貧困大陸アメリカ』を読んだだけですが、移住連が取り上げたこの『日本が売られる』についても、いずれ読んでみたいと思っていました。

同書の「水が売られる」で、水道事業の民営化がいかに多くの問題点を抱えているかを指摘して、かねてから話題になっていたからです。

望月衣塑子さんと共に、今後の活躍が期待できるジャーナリストと注目していただけに、ちょっと、いや、かなり驚きました。

同書の「医療が売られる」のなかで、彼女が指摘する「日本の医療機関へタダ乗りする外国人」について、移住連は「そもそもデータがなく、根拠も示さないフェイク記事」と断じています。

移住連の批判内容より、私がいちばん驚いたのは、移住連は彼女の取材を受けていない、あるいは取材申し込みすらされていない、とみられることです。

「日本の医療機関を利用する在日や観光の外国人」について取材しようとしたら、外務省や厚労省の基本データやその外郭団体など公的な機関の資料を収集するのは、取材の第一歩だからです。

「日本の医療機関」=「日本の医療制度」ですから、官の資料を引用するか、踏まえなければ一行も書けないはずなのです。

制度からこぼれ落ちた事例や最近の動向を知ろうとするなら、NGOやNPOなど民間の団体や組織に頼るのも常道です。

そうやって、最低、段ボール一箱分の資料を集めて、ようやく概要の概要がつかめるものです。

そこから、各役所の担当者へ「概要」の確認を進め、同時に「賛成」「反対」「中立」のコメントをしてくれる人を探して聞き歩きます。

しかし、担当者であれ、専門家であれ、たいていは自分の仕事や立場でしか語ってくれません。全体を見通すような構図や構造を教えてくれる人は、「あの人なら」と推薦されて会ってくれた人が10人いるとすれば、1人いるかいないかです。

つまり、ここまでは、いわば自分の「お勉強」のためなのです。ある程度、「知ったかぶり」ができるようになって、ようやく、「事実誤認」のレベルに達することができるのです。

そこから先、「事実」を「誤認」せずに、「真相」がおぼろげながら見えてくるまでいくには、まだまだ時間と手間がかかります。

ほんとうに、堤未果さんはどうしちゃったんだろう。普通の手順を踏めば、移住連から「フェイク」などと抗議を受けるなんて、あり得ないことなんですが。

(止め)



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