コタツ評論

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all or nothing

2019-01-20 23:38:00 | スポーツ
「勝者には何もやるな」”Winner Take Nothing”, Ernest Miller Hemingway の短編中の有名な一節です。

「他のあらゆる争いや戦いと違って、前提条件となるのは、勝者に何ものをも与えぬこと―その者にくつろぎもよろこびも、また栄光の思いをも与えず、さらに、断然たる勝利を収めた場合も、勝者の内面にいかなる報償をも存在せしめないこと――である。」
(三笠書房刊『ヘミングウェイ全集 -第1巻-』谷口睦男訳)


また、「敗者が全部取る」”Loser takes all”というGraham (Henry) Greene の小説もあります。ヘミングウェイやグレアム・グリーンを読んだはずの梶原一騎は、力石徹に敗れた矢吹ジョーの控室に押しかけた記者たちに対して、丹下段平にこう言わせます。

何だいあんた達は?部屋間違えたんじゃ無いのか?敗者には何もくれてやるな、それがこの世界の掟だ!さあ勝った力石の部屋はあっちだ!

「勝者には何もやるな」
「敗者が全部取る」
「敗者には何もくれてやるな」

それぞれにいろいろな解釈が考えられますが、「敗者には何もくれてやるな」に得心する優れたボクシング記事に出会いました。筆者は森合正範という東京新聞のスポーツ記者でした。

井上尚弥に敗れた男が初めて明かす「モンスターの実像」
怪物に敗れた男たち①

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58544

「井上尚弥はすべてが理想形」敗れた元世界王者が語る怪物の実像
怪物に敗れた男たち②

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59401

おまけ①

グレアム・グリーンさん。たぶん、ヘミングウウェイがかくあれかしと望んだ顔であり、たぶん、丹下段平のモデルだと思う。

おまけ②
冬の歌なので。
広瀬香美 / promise


(敬称略)

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