コタツ評論

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アメリカは蜃気楼、日本は森喜朗だから

2020-11-11 02:55:00 | 政治
アメリカ大統領選をめぐって、「アメリカの政治に詳しい元外務省の」「アメリカ政治がご専門の○○大学の」「ワシントン特派員経験もあるジャーナリストの」「ニューヨーク支局の」、いろんな人が解説をしてきた。

町山智弘氏のアメリカリポートのような例外もあるが、たいていが「浮世三分五厘」の駄弁に思えたうえに、「トランプ支持者」に対する言及がほとんどないことに苛立ってきた。

繰り返し、ニュース画面に登場する、州別に色分けされたアメリカ平面図において、つねに赤色(トランプ支持)が青色(バイデン支持)を圧倒している「赤いイリュージョン〈蜃気楼〉」を眺めさせられるたびに、その視野を占める赤に肌が泡立つような思いがよぎった。



以下を読んで、自分が何に怖気をふるったのか、その正体がわかった気がした。

日本人としてバイデン勝利を悲しむ
https://anond.hatelabo.jp/20201108231135

平明にして簡潔なタイトルに唸った。私なら、「赤い蜃気楼について」とか気取ってしまうだろう。

アメリカに親戚も友人もいないがバイデンの勝利がもの悲しい。

ということは、アメリカ留学や赴任経験がないのに、「トランプ支持層」について、これほどの短文にしてこれだけ説得力ある論評をものしたわけだ。

ジョー・バイデンの勝利演説を聞いてますますその思いを強くした。

「分断ではなく統合を」。

これはトランプ支持者たちが最も聞きたくなかったスローガンだろう。 

だって現に分断はあるわけだから。

トランプが現れる前からそれはあって、トランプはそれを認めてくれたにすぎない。

トランプはそういう戦略であってもその種の問題についての欺瞞は言わず、目を背けなかった。

「俺達と奴等との戦いなんだ」と。

それはオバマやヒラリーやバイデンのどのスローガンよりもトランプ支持者となるような層の現実に向き合った言葉だ。

そうして、「俺達」の代表は敗れ去ってしまった。 

アメリカという国のありとあらゆるインテリや金持ちやエスタブリッシュメントがバイデンについた。

彼等はトランプを支持するような粗野で垢ぬけず育ちが悪く学歴の低い田舎者をまとめて卑しむ。

卑しむし、見捨てる。

彼等はこれから石油産業は閉鎖するし低賃金の仕事にはますます移民を入れるしありとあらゆる外国産の物品を輸入するし

それで貧窮する田舎の低学歴なんか勝手にホームレスになって視界の外で消えて行ってくれるのが当然だと思っている。

トランプ支持者になるような層の生息域は「合理的」にまるごとグローバリストに売り渡してしまう。

これらはどんな立派な演説でも覆い隠せない純然たる事実だ。

(中略)

バイデンとその支持者になるような層が「分断ではなく統合を」という時に、

その統合の中にトランプ支持者になるような層や、私の故郷に生きるような層は含まれない。

そのことはどんな低学歴であっても鋭敏に嗅ぎつけている。

「分断ではなく統合を」はつまり、「お前等のことは見えない振りをしながら消えていくように追い詰める」という宣言に他ならない


トランプが「希望」であるようなトランプ支持層の「絶望」に身を寄せているところが、凡百の論評の及ばないところだ。

トランプではなく、トランプ支持層をほとんど支持している。「ヘドが出るような頭もセンスも悪い低学歴のカッペ(コメント欄)」たちを仲間とし、友人とみている。

すると、「日本人として」は、「アベガー」と「反アベガー」を連想するかもしれないが、安倍はとうてい「大衆政治家(ポピュリスト)」としてトランプに及ばず、支持層の「絶望」と「過激さ」において比較にならない。

ある意味では、バイデンの勝利ではなく、トランプの敗北にこそ、アメリカのデモクラシーの底力を見ている。バイデンの勝利=トランプの敗北という等式ではなく、バイデンの勝利VSトランプの敗北という対立の構図に、分断され続ける民衆の相貌をみようとしている。

私もまた、ほんのときたま現れる「蜃気楼」のような、「見えない振りをされて、切り捨てられる」「赤い」民衆の一人でありながら、「青空」を求める自家撞着を可視化された「怖気」に震えたのかもしれない。

「分断」から「統合」へ思考停止する怯懦を鋭く指摘された気がする。


アメリカ国旗や南軍旗には、すでに赤と青の分断と統合が表されているのだな。

それでは、「トランプ支持層」にも絶大な人気がある「ボス」の名唱です。

The River bruce springsteen



(止め)



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